2026年現在、個人の大工に新築を頼むとどのような家ができるのか?
実例をもとに、ぜひともMays Carpentryの施工品質を知っていただきたい!と、このページを作成しました。
題して「個人の大工のつくる家」です 。
伝えたいところはたくさんあるのですが、、
最高クラスの断熱性能、断熱等級7。
許容応力度計算を用いた枠組壁工法、耐震等級3。
時とともに風合いを増し、美しく風化する無垢シダーシングルの外壁。
木製窓の温もりと、ドライウォールが描き出す柔らかな陰影。
本物の煙突と暖炉。
諸経費が少ないので価格が低くなるのは当然てす。
一過性の流行ではない、ケープコッドスタイルの家を、職人の矜持(クラフトマンシップ)を込め、時間を惜しまず、丹念に創り上げました。
このプロジェクトを振り返る時、真っ先に浮かぶのは、私を信頼し、全てを委ねてくださったO様ご夫妻の笑顔です。 「村山さんにお任せしたい」というその一言が、私の技術者としての魂に火をつけ、私自身にとっても理想の家づくりを支える原動力となりました。
二年にわたる対話、そして家族ぐるみの地鎮祭。私の人生にとってもかけがえのない宝物です。素晴らしい機会をくださったO様に、心より感謝を申し上げます。
これからも色々お伺いするのですが、今回何とか形に出来たのは、そんな、性能と意匠とが理想的な形で融合した住まいです。
日々の細やかなやり取りはメールやLINEで軽快に。
そして大切な決断の場面では、直接お会いして言葉を交わす。
そんな対話を幾度となく積み重ね、構想から着工までおおよそ二年の歳月をかけました。
時間をかけたからこそ、当初描いた図面から、変わったところがたくさんあります。
ポーチ上部の空間を将来的に倉庫として活用できるよう、屋根の勾配を最適化しました。
煙突の位置も変わりました。
最終的には、玄関ホールも凸形状に拡張しました。
住まい手の「今」だけでなく「未来」の使い勝手までを、対話の中から形にしていきました。
現在、どの建築業者においても着工前の地盤調査は必須となります。
私は住宅保証機構の「まもりすまい保険」に加入しているため、その設計施工基準に則った地盤調査を行っています。
近年の日本では、新築の瑕疵保険の延長保証の制度が拡充されており、私のような個人事業主でも、10年以降の保証延長を提供することが出来るようになりました。
万が一の際には公的な機関が保証をバックアップする仕組みですが、指定のメンテナンスを実施することで、入居後20年、30年、40年といった長期の保証を可能とする制度です。
「個人の大工に頼むのは、将来の保証が不安」。
そんな心配をお持ちの方にこそ、この保証体制を知っていただきたいと思います。
今回は、計画地の隣地に既存不適格の擁壁がありました。
長期優良住宅の認定のため、「待ち受け擁壁」の設計においても図面審査を通過させることが必要でした。
傾斜地を専門とする技術者と連携し、万が一の崩落時に受ける土砂の圧力を詳細に算出し、その数値に基づき、枠組壁工法に精通した構造設計士と共に、工学的な強度設計(構造計算)を行いました。
言葉で説明するのは簡単なのですが、困難だったのは「擁壁の耐力」ではなく、この「土砂が加える力」の算出でした。これは建築の領域を超え、砂防や土木という特殊な知見を必要とする分野だからです。
島根県の技術者の方からの紹介で、神奈川県川崎市の専門家に依頼。専門領域の壁を越えた連携により、科学的な裏付けのある数値を導き出しました。
その結果、安全性を担保しながらも、過剰な施工を削ぎ落とした合理的な設計を実現できました。
該当地域の木造の住まいの築造において、「ここまで緻密な検証を行うケースは極めて稀である」と、関係各社からも高い評価をいただくに至りました。
地鎮祭は、決して必須ではありません。
しかし私たちは、これまでの対話を重ねた時間を大切にし、施主のご夫婦、そして私の家族も共に参加する形で執り行いました。
「これから始まる工事の安全と、この地での暮らしの幸せを願う」。
形式的な儀式としてではなく、家づくりに関わる家族同士が心を一つにする、穏やかで温かな節目となりました。
着工の前に、近隣へのご挨拶として、古くからこの地に住む方々を訪ねました。
ある方から、かつてこの土地には井戸があり、上水道が整う前は近隣の方々が水を汲みに来ることがあった、という土地の歴史を教えていただきました。
「水が流れる土地である」という情報は、地盤の強弱を判断する上で、極めて重要なものです。
これにより、地盤改良の費用をあらかじめ予算に組み込んでおくことが出来ました。
地盤調査の結果、やはり、地盤改良が必要との診断に至りました。
当然ですが、建物本体だけでなく、待ち受け擁壁の下部にも鋼管杭による補強を実施しています。
建物本体だけでなく、基礎も構造計算を実施しています。
基礎は二度打ちですが、打ち継ぎ部分には「止水プレート」を設置し、地下水や雨水の侵入対策、蟻害対策を行っています。
要所に地中梁を配置しています。
木構造と同じく、常に全体の剛性を高めつつ、計算に基づいた、無駄のない合理的な設計を心掛けています。
躯体構造には、枠組壁工法(ツーバイフォー工法)を採用しています。
設計にあたっては許容応力度計算を実施し、最高ランクである耐震等級3を確保しています。
外壁スタッドには2x6材を使用。一般的な軸組工法の壁厚(105mm)を大幅に上回る「140mm」もの厚みがあります。
この骨太な構造は、耐震性を生むだけでなく、断熱材を充填するための壁厚としての役割も果たします。
開放的な二階の吹き抜け部分には、屋根の垂木までの継ぎ目のない長いスタッド(柱)を通す「バルーン壁」を採用しています。
通常の枠組壁工法では2450mm~2750mm毎に上下に壁構造が分断されますが、バルーン壁の、上下一体の大判な壁枠組を使用することで、継ぎ目がなくなり、吹き抜けの構造的な弱点(ヒンジポイント)がなくなるのです。
これは現在、大手の住宅会社では殆ど見られない構造です。
大概は中央に耐風梁で処理し、そのヒンジポイントを補強するように、上下の壁を帯金物やホールダウン金物で緊結させる事が多いと思いますが、本来はひとつの壁である方が合理的です。
作業の手間はかかりますが、自分で設計施工できるので、地震や風圧に対しても、住まい全体がひとつの箱として機能するように、なるべく剛性を高めるよう意図しています。
また、意匠の要である、無垢木材を用いた外壁を採用するため、枠組壁工法でありながら、外壁の耐力面材には「軽量で無機質の準不燃建材」の「ダイライトMS」を採用することができました(メーカーとパネル工場の協力によります)。
防耐火の法規への適合と、建物の軽量化、木の仕上げを並立できました。
窓には、北米で信頼のある「Andersen(アンダーセン)400シリーズ」を採用しました。
木製窓なのですが、屋外側は高耐久の樹脂で被覆されています。
意匠美と耐候性とを、高い次元で両立させた木製窓です。
かつて日本の窓の断熱性能が発展途上だった頃、アメリカの高性能窓を輸入することは、理想の住環境を手に入れる、解決策の一つでした。
中でもアンダーセンは、過去にトステム(現LIXIL)が扱っていた歴史があり、その信頼性は、雨の多い日本の気象条件でも実証されています。
現代では日本の窓も進化を遂げましたが、アンダーセンの木製窓には、量産型の樹脂窓には決して出せない、木が持つ柔らかな風合いと、クラフトマンシップがあります。唯一無二の質感です。
造作工事となる、内装の細部においては、これを活かすよう、既製の枠材に頼ることなく、格調高い意匠を追求しました。
今回は、ケープコッドスタイルの伝統的な美しさを引き立てるため、窓台とモールディングによる、繊細な装飾を施しました。
モールディングのデザインは、この家のためだけに製作したオリジナルです。
現場で調色し、塗装を行う「オンサイト・フィニッシュ」によって、空間全体と調和する、上質な質感を創り上げています。
家の顔となる玄関には「Distinction(ディスティンクション)」のファイバーグラスドアを採用しました。
ファイバーグラスドアとは、表面をファイバーグラスで形成し、内部をウレタンで充填する構造です。
木製ドアのような重厚な風合いを持ちながら、雨濡れや日射による反りや腐食に強く、高い断熱性能を持っています。
ファイバーグラスドアの大きな魅力の一つは、窓と同じように、現場での自由な塗装が可能なことです。
今回は外壁の色調と合わせて、現地で塗装を施しました。
既製品にはない、住まい全体が美しく溶け合うような上質な一体感を生み出しています。
無理な配管貫通、構造材の欠損は、住宅診断でもしばしば挙げられる欠陥事例のひとつです。
当たり前のことですが、私は構造図を作成する段階で、あらかじめ全ての配管経路の設計をしています。
梁や柱などの、重要な構造材を傷めない設計を徹底しています。
今回は、キッチン天井の外周部を「下がり天井」としてデザインに組み込み、更に階段の下地の高さを計算し、そのすぐ下に潜り込ませるようにする配管経路です。
構造の整合性を保ちながらも、意匠としても美しく収まり、無理がありません。
二階の床(一階の天井)には、105mm厚のグラスウールを隙間なく充填しています。
これは上下階の音を和らげる防音対策であると同時に、万が一の火災の広がりを抑える「省令準耐火構造」を実現するための重要な施工です。
階段下や配管で天井が下がる箇所、石膏ボードに穴が開くスイッチやコンセントにも、同様にグラスウールを充填しています。
火の通り道となりやすい場所を不燃材料を充填することで、高い延焼防止性能を発揮するのです。
なお、私はnoteにて省令準耐火構造についての詳細な解説も行っています。
断熱構造の研究は私のライフワークのひとつです。
屋根、壁、床の全てに「熱橋(サーマルブリッジ)」を排除する断熱設計を徹底しました。
今回は、 屋根面には独自考案の「合板ガゼット」の手法を採用しています。
この手法による断熱空間の拡張は、日本では殆ど見られないものだと思います。
垂木を平行に室内側に延長させることにより、上部の野地板側に通気層を確保しながら、熱橋が極めて少ない断熱空間を創出するものです。
今回は、費用対効果の高い300mmの厚さに仕上げています。
壁には、2x6材による140mmの充填断熱の外側に、45mm厚の付加断熱を被覆させています。
床は、大引と根太を組み合わせて合計180mmの断熱層を形成しています。
UA値は0.25、C値は0.3の、正真正銘の高気密高断熱の住まいです。
防水構造の研究は、前項の断熱構造と並んで、私のライフワークのひとつです。
今回、建物の寿命を左右する透湿防水シートには、デュポン社の「タイベックシルバー」を採用しています。
一般的にはその遮熱性能が注目されがちですが、それは、あくまでも、おまけとしての副次的なメリットです。
真の採用理由は、耐久性能にあります。
数多くの現場を見てきた実務者の間でも、長期間にわたって防水・透湿性能を維持できるのはどれか、という問いに対し、このシートの選択は一つの共通した正解です。
なお、下地となる耐力面材の継ぎ目、そして付加断熱材である「ネオマフォーム」の継ぎ目と、それぞれに、防水テープを施工しています。
配管の貫通部も含めて、それぞれの層を独立した防水ラインとして機能させる、多重の防水設計と施工を行っています。
内装下地には、テーパーボードを用いて、北米式のドライウォール処理を施工しました。
全ての継ぎ目や入隅に、補強テープとパテ処理を施すこの工法は、廊下や各部屋毎に石膏ボードを一体化させ、極めて強固な「気密層」と連続した「耐火層」を形成します。
アーチも含めた、全ての室内が石膏ボードで覆われています。
仕上げは、艶消しの水性塗料を用いた、塗装仕上げです。
ビニールクロスの仕上げではできない、継ぎ目のない壁面は、美しく光を優しく拡散させ、上質な空間を創り出すことができます。
このシダーシングルの手打ち仕上げは、膨大な施工時間を要するため、現在の家づくりにおいては敬遠されがちな工法です。
街中で見かけることは、殆どないといって良いと思います。
18mm厚の横胴縁によって排水層を確保し、その上にシダーシングル材をSUS304の釘を用いて、一枚ずつ手打ちで施工しています。
シングル材の間の、適度な隙間が自然に通気口として機能するため、縦胴縁を用いる、いわゆるクロス胴縁は採用していません。
12mm厚の450mmの板を三層重ねることで、36mm厚の壁材になります。
シングル材は、現場での施工前に、ロックペイント社のナフタデコールの先行塗装を行っています。
フレーミングの項目でも書きましたが、今回は仕上げが木材となるため、外壁の耐力面材には準不燃建材であるダイライトを用いています。
室内ドアには、Simpson(シンプソン)社のドアを採用しました。
一般的に普及している中空構造のドアとは異なり、芯まで木が詰まったドアだからこそ、開閉時の心地よい重みや、優れた遮音性が生まれます。
外部ドアと同様、室内壁の色彩や質感に合わせて現場塗装を行いました。
仕上がるとドライウォールの美しい壁面とドアが溶け合い、空間全体に一体感と気品を醸成しています。
キッチンには、高いカスタマイズ性のあるIKEAのシステムキッチンを採用しました。木質の天板を選べるのも大きな魅力です。
過去の施工経験を活かし、設計から組み込みまで一貫して管理しました。シンクの位置を、窓の配置と揃えることで、四季折々の景色を楽しみながら家事ができる、開放感あふれる空間を創り上げました。
今回の最大の特徴は、現場で製作したオリジナルのレンジフードです。
天井埋め込み型の金属扇を使用し、唯一無二の造作を実現。調理の際に使うLED照明も仕込んであります。
他ではあまり見られない、この造作レンジフードは、大工としての技術と創意工夫の自信作です。
空間に上質な統一感を持たせるため、床材と同じ材、チークの無垢フローリングを、階段の段板にも使用しました。
階段づくりの工程は、一般他社とは異なるかもしれません。
一般的には、既製品の造作のシステム階段を使うことが多いのですが、私は、一旦、建て方の床組みと同様の構造を現場で組み上げ、その後に仕上げの床板と蹴込板を貼る、北米スタイルの工法にて施工しています。
階段下地の中にも、吸音と延焼の防止としてグラスウールを充填しています。
既製品には出せない、建築としての強度、重厚感と、意匠の一体感、耐火性能が特長です。
適切に取り付けられた天窓は、住まいに、壁の窓では代替できない開放感、陽射しをもたらします。
写真は、階段の上り口から、吹き抜けを見上げたところです。
過去の悪いイメージから、現在では天窓はあまり採用されなくなってしまった印象があります。
多くのメーカーが天窓から撤退する中、ベルックス窓は、実務者の間で「最も信頼できる天窓」として定番となりました。
今回は二階の二か所に天窓を取り付けました。
「Hearth(暖炉)のない家は、Heart(心)のない家である」という古い故事が英語圏にはあります。
住まいの中心に集いの場としての火を据える。
今回は、その思想を形にするために、本物の暖炉を設えました。
暖炉の設置は、完成間際に追加できるものではありません。
煙突の経路や耐火対策を含め、構造図作成の初期段階から綿密に計画しました。
玄関は、ファサード、その住まいの哲学を語る顔に他なりません。
今回、エントランスを彩る装飾柱とアーチは、私の造作大工としてのクラフトマンシップを最も濃密に注ぎ込んだ場所の一つです。
既製品では決して再現できない、繊細なディテールと滑らかな曲線。
一つひとつ丁寧に削り出し、組み上げることで、住まいに深い気品と、手仕事ならではの確かな温度を込めました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
お伝えしたいことはもっとたくさんあるのですが、ここまでと致します。
私が大切にしているのは、目に見える意匠の美しさはもちろんのこと、その裏側にある建材選定と施工監理です。
私は、これらを個別ではなく、包括した建築物理(ビルディングサイエンス)の視点から捉えています。
根拠に基づいて理にかなった作業を行う。
これはすべて、住まう方が30年、50年と歳月を重ねた時に、「この家で良かった」と心から思っていただけるための基盤となるものです。
流行に左右されず、工学的なデータと伝統的なクラフトマンシップを融合させる。そんな私の家づくりに共感していただけましたら、ぜひ一度お話しを聞かせてください。
このプロジェクトのより詳細な仕様や、MAYS CARPENTRYの家づくりについてご興味をお持ちの方は、下記よりお気軽にご連絡ください。
構想段階からのご相談や、技術的なご質問も歓迎しております。あなたの理想の家づくりにお役立てください。
代表:村山 太郎(Taro Murayama)
✉️ tarot.murayama@gmail.com
※現場に出ていることが多いため、メールにてご連絡いただけますと幸いです。
このプロジェクトを振り返る時、真っ先に浮かぶのは、私を信頼し、全てを委ねてくださったO様ご夫妻の笑顔です。 「村山さんにお任せしたい」というその一言が、私の技術者としての魂に火をつけ、私自身にとっても理想の家づくりを支える原動力となりました。
二年にわたる対話、そして家族ぐるみの地鎮祭。私の人生にとってもかけがえのない宝物です。素晴らしい機会をくださったO様に、心より感謝を申し上げます。