中国四国支部・支部長の山田哲平です。2025年11月8日(土)、岡山大学にて「中四国若手クライオ電顕ワークショップ」を開催しました。本ワークショップは、クライオ電子顕微鏡(電顕)に関する技術共有を通じた研究の活性化と、若手研究者間の交流促進を目的として企画・開催しました。プログラムは、クライオ電顕設備の見学会、岡山大学の沼本修孝先生および徳島大学の福田義之先生によるご講演、懇親会の順で進行しました(図1)。
見学会では、岡山大学に導入されているクライオ透過型電子顕微鏡(Cryo-TEM)およびクライオ集束イオンビーム–走査型電子顕微鏡(Cryo-FIB-SEM)を中心に、試料作製からデータ取得に至るまでの一連のワークフローをご紹介いただきました。最新の装置を実際に見学しながら具体的な運用方法を学ぶことができ、参加者にとって装置利用のイメージを明確にする有意義な機会となりました(図2)。
1つ目のご講演では、岡山大学の沼本修孝先生より、クライオ電顕の共同利用体制について、設備概要およびこれまでの利用実績が紹介されました。2つ目のご講演では、徳島大学の福田義之先生より、クライオ電子線トモグラフィーとCryo-FIBを組み合わせたin situ構造解析の原理と応用例が示され、細胞内タンパク質複合体の可視化に向けた最新技術について学ぶことができました。
当日は52名が参加し(図3)、そのうち約半数を若手研究者(学生・ポスドク)が占めました。今回、サブグループ支援費を若手参加者の旅費支援に充てたことで、岡山県外からの参加が促進され、多くの若手研究者にご参加いただくことができました。懇親会も含めた交流を通じて、多様な研究分野・所属の研究者間でネットワークが形成され、今後の共同研究や情報交換につながる有意義な場となりました。また、参加後アンケートにおいては、すべての回答者から「ワークショップに満足している」との回答が得られました。
図1. 宣伝ポスター
図2. クライオ電顕見学会の様子
図3 集合写真