お散歩で初めて行った駅の反対側の階段が怖かったようで、泣いてしまい下りられませんでした。

みんなに励まされ、すべり台に泣きベソをかきながら登っていました。

小さな地震があったので、食事中机の下に隠れましたが、大泣きはしなかったもののご飯を吐きそうにしていました。

大きめのスマホサイズの古びたノートの表紙には、"れんらくちょう"の文字とわたしの名前。表紙をめくったら、臆病で怖がりな3歳児がそこにいた。

保育士さんからの報告に、母は「すべり台、怖かったけどがんばって登ったよと報告してくれました」「昨日の地震で怖がってはいないか心配していました。嫌なことや怖いことがあると、時々吐いてしまうことがあります。この子の癖のようです」と返す。

別の日には、こんなことも書かれていた。

泣いて登園することが目立ちますね。指示に対し反発も多く、どう対処したら素直になってくれるかと考えてしまいます。思うようにならないと悔しがって大きな声で怒鳴ったりしています。

3歳児ってそんなに聞き分けが良いもの?普通じゃないの?と自分を擁護したくなる。しかし同じ年の子どもを何人も見ている中で、あえて[反発も多く][素直になってくれない]と保育士さんが言いたくなる程度には、扱いにくかったということ。そう言えば、わたしの娘はそんな風に反抗したり怒鳴ったりはしなかった。保育士さんが教えてくれた園での様子に、母はこう返している。

「泣くことについては夜、良く言い聞かせていますが相変わらず泣いているようですね。もう少し長い目で教え込んでみます」

どうやら手を焼いていたのは、ひとりでは無かったらしい。

なんにも覚えていない。母がわたしに何をどう教え込んだのかもすっかり忘れてしまっている。しかしノートには同じような保育士さんと母のやり取りが、何回も。わたしは大人の考えるいい子ではなかったみたい。

40年以上経った今、思い通りにならなくても大声を出したりはしなくなった。けれど何か”やらなくてはいけない”とプレッシャーを感じるととたんに気持ち悪くなり、お腹が痛くなる。出来れば気の進まないことは避け、好きなことだけしてのんびり生きていたいと願いながら、今日もまた山のように積まれた、気乗りしないことたちを端から片付けている。