日本で繰り返される黒塗りメイク(ブラックフェイス)を無くすために

差別的行為を「知らなかった・そんなつもりはなかった」で済ませてはいけない

オープンレター

学校法人大村文化学園 理事長

大村 陽之介様

2021年2月23日にアクロス福岡で開催された、大村美容ファッション専門学校のライブストリーミングにて、全身を茶色にペイントされたモデルさんの姿を確認いたしました(その動画は現在非公開)



どの様な意図があってこの様なスタイリングをされたのかまではライブストリーミング動画で確認することができませんでしたが、どういう意図があったにせよ、説明無しに動画を見た我々からすると、人種差別的な黒塗りメイクがまた日本で繰り返されてしまったと感じざるを得ません。黒人の方々にとって、この黒塗りメイクは屈辱的な差別の歴史を思い起こさせるもので、非常にタブーとされているものであり、これは国際的な常識です。ですので、そのメイクをすることを良しとされた学校としての考えや、実際にメイクをされた生徒さんがどの様なリサーチを事前に行われたのかが気になりました。


また、この様なスタイリングをすることが見る人によっては不快な差別行為に捉えられることをもしご存じなかったのであれば、私たちのWEBサイトにてこの件についての記事を書きましたので、ぜひご一読いただければ幸いです。

https://japan4blacklives.jp/2021/02/ourepisodes/blackface2021/



多様化の現代において、黒人は海の向こうの遠い存在ではありません。国内にも多く住んでいますし、多様化が進み今は様々なバックグラウンドを持つマイノリティの子どもたちも日本に多く存在し、このような表現により傷ついたり屈辱的な思いをする人がいます。この様な差別行為に対する認識の低さのせいで、日本には生きづらさを抱える子どもたちが多くいるのです。


また、このような出来事があるたびに、海外の人たちを呆れさせ、批判の的となり続けています。オリンピックを開催しようとしている国で今後このような出来事が度々続いて欲しくありません。ダメなものはダメだと学校として表明していただかないと、いつまで経っても差別行為への認識は低いままです。


最近の森喜朗氏の女性蔑視発言からの辞任、そして女性である橋本氏の後任という流れも国際的な批判が高まったことが原因というのは明らかですし、「日本では~」という特別ルールのようなものは一切ありません。


今回イベント主催者が個人ではなく貴校でしたので、我々からの指摘に対し、何らかのレスポンス及び対応がなされるまで待っておりましたが、2月25日には当該の動画や画像が何のコメントや発表もなく削除され、ほんの少しの写り込みの写真も確認することができません。まるではじめから何もなかったかのような対応のように思いました。また貴校のTwitterやInstagramに寄せられたブラックフェイスを指摘するコメントに対しては、コメント欄そのものを閉鎖したり、中にはブロックされた人もいるようです。これが学校法人の然るべき対応と言えますでしょうか。この様な対応から見ても、このスタイリングに関して弁明の余地なしということか、もしくはやはり何かしらまずかったと自覚していらっしゃるのかと想像せざるを得ません。


このレターはいくつかの団体が共同で作成していますが、いずれの団体も日本を拠点として黒人差別やマイノリティ差別への理解や認識を多くの人に深めてもらい、差別にNOと言える世の中になるために活動しています。ですので今回の件を知った以上は見過ごすことができませんでした。無視や沈黙は何の解決にもならないばかりか、差別行為の黙認になってしとまうからです。

貴校の沈黙という行為も、本件を配信直後から見ている多くの人々に差別黙認と捉えられる可能性があります。どうか沈黙を貫いてほとぼりが冷めるのをただ待つのではなく、以下について対応をお願いしたいと思います。


1.学校として本件をOKとしてライブ配信までなされてしまったことに対しての説明

2.黒塗りのような差別的な誤解を招く表現方法は禁止にする等のルールを設けること

3.また、それが何故いけないのか、生徒に対して教育をすること


私たちは誰も、貴校の生徒が黒人差別をしようと思ってこの様な表現をしたとは一切思っていません。ですが、たとえこの表現が、仮に木や森をテーマにしたもので黒人とは一切関係のないものだったとしても、オンラインで不特定多数に配信している以上、その真意は視聴者全てには伝わりませんし、そもそも黒塗りメイクが世界中のファッションやエンタメ業界で度々問題になっている事実を考えれば、将来その業界に入るであろう将来のアーティストを抱える学校は、そのことについてしっかり教育するべきであると考えます。


もちろん表現は自由ですが、表現の自由は全ての人権が守られてこそです。人間誰しも間違いはあります。このスタイリングをされた生徒さんにも、この表現がどの様な誤解を招く恐れがあるのか、これを機会に勉強していただきたいですし、他の方々にとってもそのような機会になればと思います。


どうかご理解いただき、学校法人らしい対応をしていただきたいと思います。


共同署名

  • Japan for Black Lives / ジャパン フォー ブラックライブズ

  • Black Lives Matter Tokyo / ブラックライブズマター東京

  • Black Lives Matter Kyoto / ブラックライブズマター京都

  • Black Lives Matter Hiroshima / ブラックライブズマター広島 

  • Black Lives Matter Tokai / ブラックライブズマター東海

  • Black Lives Matter Fukuoka / ブラックライブズマター福岡

  • Black Lives Matter Japan Youth / ブラックライブズマタージャパンユース

  • Jaspora: Japan’s African Diaspora / ジャスポラ: ジャパンズ アフリカン ディアスポラ