香「はぁ~・・・・・・」
月美「こーう、どしたの?部室でそんなため息ついて。恋人さんの悩み?それとも新入部員が少ないのが効いてるの?」
香「どっちでもない。・・・・・・そろそろ、水泳の季節だなぁって思って」
日輪「兄さんっていっつも体育どうしてるの?」
香「球技とか陸上とか体操とかそのへんは普通にやってる。武道はできない。水泳は・・・・・・はぁ~」
月美「できないんだね」
香「これが生まれつき片腕で今まで入ったことないとかだったらまだただのあこがれで済むんだよ?でもなまじ泳ぐことの楽しさを知っている分余計に・・・・・・こう、虚しさがこみあげてくる」
月美「うーん、さすがに可愛そう・・・・・・」
日輪「っていっても私らでどうにかできる話でもないし。こればっかりはリーブラの権力とか使って解決できる話でもないし」
香「わかってる、わかってるんだけどさぁ・・・・・・」
日輪「ここまで憂鬱な兄さんも珍しいわね」
月美「ははーん、わかった。水泳の授業もそうだけど、彼女とのデートでプールとか海に行けない事が憂鬱なんだ」
香「よくわかったね」
月美「え、当たり?」
香「当たりも当たりだよ。はぁ、灯火さんの水着見たかった・・・・・・」
日輪「兄さんが水着見たいとかいうのも本当に珍しい」
月美「私らの水着は見たいとか言わないのにねー」
香「恋人でもない相手の水着を見て何が楽しいんだよ」
アリス「お兄ちゃん、とりあえず私から一発ね」
礼丹「では私も」
月美「私もねー」
日輪「兄さん、擁護できないわ。一発いくわね」
香「え、一体何を一発、ちょ、ま」
香「ひどいめにあった。そしてくすぐりに一発とはいったい」
アリス「お兄ちゃんが乙女心にケンカを売ってきたからだ!」
礼丹「香、世の中には言っていいことと悪いことがあるのですよ」
月美「これだから香はなー」
日輪(兄さんの腹筋固かった)
香「女子ってこういうときすぐに団結するよなー」
月美「共通の敵の出現は団結フラグからの味方フラグだよって」
アリス「乙女心がわからないお兄ちゃんが悪い」
香「男の僕に乙女心を理解しろってのが無茶なんだよ」
月美「オーケー、第二ラウンドだね」
香「いや、これは理不尽だ!そっちだって男心はわかんないだろ!?合体技のロマンとか!高火力技のロマンとか!」
アリス「アリスちゃんちまちま崩す派だからわからない」
月美「私、必殺技は一番最初に覚えたやつが至高だと思ってるから」
日輪「技とかいるの?よしんばそのロマンがあったとして兄さんが使える技とかあるの?」
香「おっと、これは僕の奥義たるヴァイブレイト・フィンガーを日輪にくらわせる日が来たと言うことかな?いいだろう、やってやろうじゃないか!」
日輪「えっ、あれよね?兄さんのすんごい痛いデコピンよね?玖美とか愛さんとかアリスとかロウチェが悶絶するあれよね?」
アリス「リーブラとか草華とかアクアとか薫お姉ちゃんとかが痛みで声を上げながら地面を転げまわるあれかぁー」
月美「えっ、なにそれ。そこまで?逆にきになる。やってみて」
香「んー、あとで文句は言わないでよ?日輪も」
日輪「えっ、これ私にもやる流れ?いいわよ、受けて立とうじゃないの」
月美「絶対にデコピンなんかに負けない!」
月美「あぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!」ゴロゴロゴロゴロ
日輪「んがあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」ゴロゴロゴロゴロ
礼丹「おおよそ乙女が出していい声ではありませんね」
アリス「しかたないよー。あれ痛いもん」
香「義手の方だとできないのがなー。もっとバネ力があったら二人同時にとかできそうなもんなんだけど」
アリス「金属製の義手になにを求めてるのさ」
礼丹「本当に痛そうですよね。なぜ自分からくらおうとするのか理解ができないです」
アリス「好奇心は猫をも殺すんだよ」
香「これ、誰でもできるから自衛には持ってこいなんだけどなー」
月美「こんなの出来る人間がほいほいいてたまるか!こちとら悪魔なのに死ぬかと思ったんだからね!」
日輪「玖美たちの悶絶っぷりがわかる痛み・・・・・・私も悶絶したし。これはキツイわ」
香「今んとこオシオキ用でしか使ったことないし、この先もそれ以外で使うつもりはないよ」
月美「つまり品行方正でいろってことか・・・・・・やなこった!」
日輪「なんで!?」
月美「悪魔に品行方正とか無理に決まってんでしょー。香の怒りのスイッチに触れないようにはするけどさ」
香「月美が僕怒らせる姿が想像できないな・・・・・・」
月美「奇遇ね、私もそう思ってた」
香「イェーイ!」
月美「イェーイ!」
日輪「こいつらうざいんだけど」
アリス「日輪イェーイ!」
日輪「アリスイェーイ!」
礼丹「相変わらず変わり身が早いですねー」
月美「はぁ~あ」
文「どうしたの?瑠璃川さん」
月美「香が・・・・・・」
文「風流くんが?」
月美「香が恋人とよりを戻した・・・・・・」
文「えっ、風流くん恋人いるの?」
月美「いるの、いるんだよぉ。2週間ぐらい前に別れて昨日また付き合い始めたの~」
文「そ、そうなんだ・・・・・・そうだよね。やっぱ風流くんぐらいの人だといて当然だよね」
月美「そりゃそうよ!いままでいなかったのが不思議なぐらいよ!」
文「それで、愚痴?」
月美「いや、そこじゃないの。一番はそこじゃないの」
文「え、じゃあどうしたの?」
月美「・・・・・・香に、水着を見せる機会が無くなった」
文「え?」
月美「せっかく新しい水着買ったのに~~~!!!!失恋中の香を慰めようと思ってあわよくばそのまま行けるとこまで行こうと思って新しい水着を新調したの!」
文「瑠璃川さん、落ち着いて。頭痛が痛いみたいなこと言ってるよ」
月美「香が水着見たいって言ってたから5時間ぐらい悩んで買ったのに~~~~!!!!香のバカーーーーー!」
文「あ、あはは・・・。もういっそ見せるだけ見せればいいのに」
月美「香、『恋人でもない相手の水着見て何が楽しいの?』って言ってた」
文「風流くんは全国の男子と女子に怒られるべきだと思う。あ、でも恋人さんからしたらそっちの方が嬉しいのかな?」
月美「恋人からしたら・・・・・・そう、だよねぇ。私がその恋人になりたかったの~~~!!!!」
文「あ、すいませーん。チョコミントケーキ一つくださーい」
月美「私チーズケーキでー」
明「はいよーっ!」
カランカラン
明「いらっしゃいませー!何名様ですか?」
幽「3人です」
明「はーい、お客様三名ご来店でーす」
月美「!!!」
文「どうしたの?」
月美「あの人が件の・・・・・・」
文「ああー・・・・え、どの人?あ、会長?」
月美「紫な人」
文「あー、なるほどー。あの人・・・・・・きれいな人だね」
月美「うん。身長高いし、落ち着いてる。勉強もできるし運動もできる。私が勝ってそうなのが胸のサイズぐらい。・・・・・・五十歩百歩だけど」
文「やめて。それは私にも効くからやめて。私瑠璃川さんと1センチしか変わらないんだよ?」
月美「文の方が大きいじゃん!1センチも大きいじゃん!」
文「・・・・・・風流くんの妹さん、私たちよりはるかに大きいよ」
月美「・・・・・・部長、じゃなかった。ポーラ先輩も・・・・・・所詮私たちは底辺だってことか」
文「やめよ?もうすでにお互いに大ダメージだからやめよ?」
幽「はぁ・・・・・・」
草華「どうしたんですか?ため息なんかついて」
桜「そうですよー。せっかく風流君とよりを戻せてこれからって時なのに」
幽「・・・・・・香くんが」
草華「香君が?」
幽「水着を見たいって・・・・・・」
草華「水着?いいと思いますよ。香くんがそういうのに興味があるとは思いませんでしたけど・・・・・よかった。やっぱり健全な男の子だったんだ」
幽「・・・・・でも、プールとか海とかには行けないって」
桜「え、水着を見たいのに?どうして?」
草華「香くん、左腕が義手だから・・・・・・。あれ、簡単に外せるものじゃないんです。簡単に外れたら困るからなんですけど」
桜「あー、なるほどー」
幽「それはいいのよ。ただ・・・・・やっぱり水着ってプロポーションが直に出るじゃない。幻滅されないかと思って・・・・・・」
草華「んー、香くんはそんなことで幻滅したりはしないですよー・・・・・・って、私が言っても説得力無いですよね」
桜「草華ちゃん、おっきいですしね。あっ、フリル付きの水着とかどうですか?あれだったら多少誤魔化せると思いますよ」
幽「・・・・・・あの時の香くんのイメージは、ビキニ、それもフリルがついてないものだった。私は、出来る限り香くんの理想に近づきたいの」
桜「んー、難しいですねー。とりあえず可愛い水着を選ぶしかないですね」
幽「そう、そこも。私、今までファッションに全く興味がなかったし、今も興味がないわ。でも、香くんにはできるだけカワイイ水着を見せたいと思ってるの」
草華「それだったら私――って言いたいところだけど、こういうことはリーブラにお任せあれ!あの子は香くんのことならなんでも知ってるから」
幽「リーブラ。そうね、彼女も平たいから水着選びに困らないかも」
幽「・・・・・・」
幽「はぁ・・・・・・」
草華「自分で言って自分でダメージ受けるのやめません?」
桜「さらっとリーブラちゃんにも被害がいくのでやめましょうね」
草華「あら、リーブラからメール?」
リーブラ『ファッションなら私じゃなくてアリスに』
草華「だって」
幽「香くんにバレるじゃない」
桜「そこは、あー、草華ちゃんがうまいことやってくれますよね」
草華「えっ、私?うーん、まあそうなりますよね。わかりました、やりましょう」
幽「アリス・・・・・彼女のことは未だによくわかっていないんだけど」
草華「ただの一般幽霊ですよ?」
桜「お昼の放送でもたまに出てますし」
幽「放送に幽霊が出ていることに疑問を覚えないのかしら」
桜「そんなこと言われましても」
草華「春ぐらいに誰かが除霊をお願いしたみたいなんですけど、インチキだったからアリスが心霊現象に合わせて引退させちゃったんですよね」
幽「心霊現象とかできるの?」
草華「ポルターガイストは幽霊の嗜みだって」
幽「ポルターガイストって趣味とか特技感覚でみにつけるのね」
月美「いやー、あの時は面白かったわー」
文「教室まで来て悪霊たいさーん!って言ってたもんね」
月美「アリスがひゅ~ドロドロ~とか口で言ってたのはマジで面白かった。お腹いたかった」
文「それで除霊師の人を浮かせて操って運動場をフルマラソンさせたんだよね」
月美「そっかー、引退しちゃったんだー。なんならまた来て笑わせてほしかったのに」
文「そういえば、なんで教室まで入ってこれたんだろうね?誰も止めなかったのかな?」
月美「あれねー、高橋先生が連れて来たのよ。アリスを通報したのもあの人」
文「あ、そうなんだ」
月美「今となっては高橋先生もアリスにテストを添削してもらってるしアリスほんとわけわかんないわよね」
文「あの学園長ならアリスちゃんを生徒にしそうなものなんだけどね」
月美「香曰く何度も勧誘されてるって。面接も受けさせられたらしい」
文「筆記テストは・・・・・・いらないか」
月美「アリスにテストなんか出したら100点出したうえで問題文の添削されて返ってくるわよ」
文「はたから見る分には面白いよね」
月美「当事者にはなりたくないわねー。先生って大変そう」
文「アリスちゃんが特殊なだけだからね?」タイヘンナノニハドウイウスルケド
愛(んー、暇ねぇー。今日は練習もないし、宿題も大体終わったし、どうしよ)
愛(瞳たちを呼んでもいいけど・・・・・・宿題の当てにされそうなのがなー)
愛(ん?あれ、もしかして)
愛「あ、おーい!香ー・・・・・・?」
月美「お待たせー」
香「待ったよー」
月美「そこ待ってないっていうとこじゃない?」
香「実際に遅刻したのは月美だろー」
月美「それはそうだけどさー」
愛「ちょっと、ちょっとちょっと!」
香「ん、あれ、愛?」
月美「え、どちらさま?」
愛「そっちこそ!なんか待ち合わせしてるとこに割って入って申し訳ないけど!」
アリス「こっちは瑠璃川月美。そしてこっちは平山愛」
月美「あ、どうも」
愛「あいや、こちらこそ・・・・・・じゃなくて!香!も、もしかして、か、彼女!?彼女なの!?」
香「いや、違うけど。普通の友達」
月美「えっ、香。もしかして元カノとか?」
香「違うよ?普通の幼馴染」
愛「・・・・・・」
月美「・・・・・・」
愛「はじめまして同士よ!」
月美「仲良くしようね同士よ!」
香「突然現れて突然なにやってるんだ」
アリス「いやー、面白いことになってきたねー」
愛「なるほどねー、香と同じ部活に」
月美「そうそう。そっちもびっくりだよ。まさか香が言ってた命の恩人の幼馴染本人だなんて」
愛「あんときは私も香に助けられたからお互いさまだって言ったはずなんだけどー?なに脚色してるのー?」
香「いや、脚色してないって。愛がいなかったら死んでたってのはほんとの話なんだから」
月美「そこで自分の功績の方を言わないのが香だよねー」
愛「貸しとか借りとかそういう話じゃないんだからねー。恩人とかやめてよ、寒気がする」
香「えぇ、そこまで言う?」
月美「いいじゃんいいじゃん、持ちつ持たれつ。平山さんは公立のとこ行ってるんだっけ?」
愛「そうなのよねー。ホントは中学から行きたかったんだけど、小学生で全国取れなくてねー。今は二連覇中だからまあ高校からはスポーツ推薦でそっちに行けるかなって」
月美「なるほどなるほど。お金の問題か」
愛「そうなのよねー。免除がないと駄目って言われて。あと、愛でいいわよ。同い年なんだし」
月美「じゃあ私も月美でいいよ」
香「僕は半年以上かかったのに!」
月美「お互いにタイミング逃しただけでしょー」
愛「こんな感じでさくっと言やよかったのに」
香「愛のその気さくさは尊敬に値するよ。初対面でここまで仲良くなると思わなかった」
愛「んー、なんかね、波長があったのよ。この子とは仲良くなれるって」
月美「ピーンと来たわけよ。この子は多分同類だって」
愛「イェーイ!」
月美「イェーイ!」
香「イェーイ!」
アリス「イェーイ!」
礼丹(この4人の親和性はいったい!?)
香「はぁ・・・・・・」
日輪「兄さん、どしたのー?」
香「月美と愛が出会ってしまった」
日輪「え、修羅場?」ワクワク
香「意気投合した」
日輪「あー、あの二人似てるもんね。ノリのいいところとかヘタレなところとか」
香「それで二人で結託して僕を弄ってくるんだよ」
日輪「あの二人がコンビを・・・・・・いやー、相手したくないわー」
香「ただし、こっちも負けじとアリスが加わる」
日輪「おっ、2対2ね!」
アリス「そしてアリスちゃんがあっち側につく」
日輪「トリオになった!めんどくさトリオ!3対1じゃん!」
香「しょうがないから礼丹を召喚する」
日輪「2対3、まだ不利ね」
香「そして僕が愛たちに加わるわけだ」
日輪「4対1だ!」
香「そこで礼丹が消えると」
日輪「4対0になった!・・・・・・あれ?」
香「あー、日輪はかわいいなぁ」ナデナデ
アリス「いやーほんとかわいいよねー」ナデナデ
愛「さすが日輪ちゃんだわー」ナデナデ
日輪「あれ?なにかがおかしい?あれ?」
日輪「愛さん、いつのまに!?」
愛「ずっとスタンバってた」
アリス「お兄ちゃんが日輪を弄ってるから私が呼んだ」
香「もちろん気付いてたから続けた」
日輪「もー!兄さんも愛さんもアリスももー!もーもー!」
玖美「・・・・・・日輪、また牛になってるの?」
日輪「またってなによ!」
玖美「日輪っていっつももーもーいってるじゃん。じゃんじゃん」
アリス「じゃじゃじゃん」
日輪「そんなに言ってないわよー!」
玖美「わよー!よー・・・・ぉー・・・・・ぉ・・・・・」
日輪「エコーするな!うまいけど!」
愛「なにがすごいって声が日輪ちゃんそっくりだったこと」
香「玖美はモノマネがうまいからね」
玖美「愛の声も出せるよ?」
愛「え、これ私の声なの?自分で思ってたのと違う」
アリス「そっくりだったよ」
日輪「あ、そうだ。玖美、愛さんの後ろに隠れて」
玖美「こう?」
日輪「それで玖美が声真似!」
玖美「『東京特許許可局局長今日急遽休暇許可却下』!」
香「声真似しながら早口言葉!?」
愛「なるほど、腹話術みたいになるわけか」
日輪「玖美が私が思っていたよりレベルの高いことしてて困惑中」
玖美「あたしをなめるな!」
アリス「私も多芸な方だとは思ってるけど、玖美も相当だよね。どう、一緒にコンビ組む?」
玖美「どうもはじめまして、アリスと玖美と日輪でお兄ちゃん好き好き連合です。よろしくおねがいします」
アリス「はいおねがいしまーす」
日輪「夏も真っ盛りってことで最近は冷房がかかせないわよね」
アリス「ツッコんでよ!コンビなのにトリオになったことにツッコんでよ!」
日輪「ビークールビークール。冷房あたる?」
アリス「私死んでるからそもそも体温低いし」
玖美「トカゲか!」パシッ
日輪「何で私!?」
愛「香、急に漫才が始まったんだけど」
香「仲いいから」
愛「かわいいんだけど」
香「同意」
日輪「はぁ・・・・・・」
月夜「どうしたの、日輪ちゃん」
流星「おっすおっす日輪、なんだい新学期早々朝からため息ついて」
日輪「妹が」
月夜「玖美ちゃんが?」
日輪「増えそう」
月夜「玖美ちゃん増えるの!?」
日輪「あいや、玖美じゃないのよ。新しい妹ができそうって話」
流星「風流家の両親はお盛んですなー」
日輪「そういうことじゃないの。義理の妹よ、義理の妹」
流星「日輪自体が義理の妹だから新しく風流家で子供産まれてもやっぱり義理の妹なのでは?」
日輪「・・・・・・それもそうね!」
月夜「まあまあ、風流家で養子をとるってことだよね?」
日輪「うん。山生まれ山育ち野生児な妹がね」
月夜「山生まれって・・・・・・・動物に育てられた的な?」
日輪「半分正解。月夜と同じく妖怪よ。猫又ってやつ」
流星「んで、その妹ちゃんは?」
日輪「・・・・・・魔物。キリングドールっていう」
月夜「へぇ。どんな魔物なの?」
流星「名前からして危なそうだね★」
日輪「おばあちゃん曰く『あらゆる存在の殺し方が直感的にわかる魔物』らしい。あと名前の通り元々人形だから親とかいない」
月夜「殺人衝動とかは?」
日輪「よっぽど人間に恨みもってなきゃないって。キリングドールのおばあちゃんが言ってた」
月夜「へぇー、じゃあ安心・・・・・・あれ?」
流星「えっと、その妹ちゃんのおばあちゃんが言ってたって?」
日輪「私、ってか兄さんたちの母方の祖母。まあマネがウチに来たらそうなるから間違っちゃいない」
月夜「えーと、もしかして風流先輩も?」
日輪「クォータードール、つまり四分の一キリングドールだってさ。誰もそれらしいとこ見せないけど」
流星「なるほどねー☆それだったら風流家が引き取ってもおかしくないわけだ☆」
月夜「そっか、キリングドールの扱いは慣れてるから」
日輪「慣れてるっていうか仲間って言うか血筋っていうかね。まあまあマネ自体はいい子だから別にいいのよ。育ての親代わりの猫又がいい人、いやいい猫だったから」
月夜「え、じゃあなにがそんなに憂鬱なの?ため息ついてたよね?」
日輪「マネのね」
流星「うん」
日輪「漢字をどうするかで今大論争してるの」
月夜「それで毎日うるさくて疲れてるとか?」
日輪「違う。私はマネなんだからぱっと読めるし見た感じもいい磨くに音って書いて『磨音』がいいっていってるのよ。だけどみんな全然違うことばっか言ってさ!」
月夜「なんか思ってた悩みと違った」
流星「てっきり野生児過ぎて手に負えないとか思ってたぞ☆」
日輪「顔合わせはしたけどガッチガチに緊張してたし正座してたしおもちゃ触りたいの我慢してたしすごくいい子なのよ!手に負えないなんてことは全くない!姉さんがかわいがるのも若干嫌な顔しながらも耐えてたし!」
月夜「薫さんのシスコンブラコンはまだ直ってないんだね」
日輪「私はそんな気を遣うマネを見て撫でるのも抱きつくのもやめておきました。写真は撮ったけど」
流星「日輪のシスコンも大概なんだよね。・・・・・・今度またお墓参りついてくよ」
日輪「ん、日取り決まったら教えるわ。んで、マネの漢字なんだけどさ!どれがいいと思う?率直に、率直でいいから!ひいきなしで!」
月夜「えっと、どんな候補が?」
日輪「二人の意見を聞きたくてコピーして持って来た。これ」
月夜「真似・・・・・はそのまんまだね。眞音、これは日輪ちゃん路線だね。麻子は読み間違えられちゃいそう」
流星「あさことかまことかね。眞祢も読めないなー。真恵・・・・・・読めない、けどすっごいいい感じな気はする」
月夜「真なる恵み・・・・・・いい響きだよね」
日輪「でも読めないじゃん!」
流星「今の時代そんなのあんまりこだわるもんじゃないって。私だってながれぼしって読まれないし」
月夜「私もつくよだけどつきよちゃんって呼ばれるし」
日輪「それがあるから私はひのわじゃなくてにちりんになったんだけど」
流星「まあまあ、私と月夜はこの真恵ちゃんに一票ずつ」
日輪「うー、私のは・・・・・・?」
月夜「音を磨くのは、んー、どうなんだろ?」
流星「悪くはないけど真恵のいい感じ具合には勝てないねー。ちなみにこれは誰が考えたの?」
日輪「・・・・・・礼丹」
月夜「誰?」
流星「知らない人だ」
日輪「兄さんに憑りついてる女神様。足の親指ぐらいのサイズの小石に躓いて捻挫する残念女神様」
月夜「流石女神様、いい名前つけるね」
流星「加護がありそうだよね」
日輪「うー、礼丹に負けたのが気に入らないー!礼丹もれにって読めないくせにー!」
まね「はぁ・・・・・・」
未美「どうしたの、まね?そんなためいきなんかついちゃって」
まね「ししょー・・・・・・ぼく、ちゃんとできるのかなぁ」
未美「なにを?」
まね「あたらしいおとうさんとかおかあさんとか、おねえちゃんとかおにいちゃんとか」
未美「んー、そうね。わからないわ」
まね「えー!ぶー、やっぱりむりだよー・・・・・ししょーといっしょにやまにいたい・・・・・・」
未美「そうね、一昔前ならそんなものでよかったんでしょうね。だけど、今はそうじゃないの。私たち妖怪や魔物も人と同じように学校に行って、仕事をして、結婚をして・・・・・そんな時代」
まね「がっこうなんかいかなくてもいきていけるよ!・・・・・ぼく、ようちえんってとこもしんぱい。ふつうとちゅーからはいんないんでしょ?」
未美「そうね、しかも冬も迫ってきてる時期に入る・・・・・・なんてことはしないでしょうね」
まね「じゃあいかなくていいじゃん!」
未美「でもね、まね。あなたはこれからいろんな人と一緒に生活をしていくの。学校もそう、家族もそう。決して一人では生きていけない、1人で生きていけてもすごく不便だわ」
まね「でもぉ・・・・・・」
未美「私は知っての通り字の読み書きもできないし機械の使い方もわからないから、すごく不便なの。まねにはそうなってほしくないわ」
まね「うー・・・・・・」
香「どうもー、未美さん、まね」
未美「いらっしゃい、香くん。毎日ここまで来るのも大変でしょう?」
香「これくらいなら平気だよ。さて、真恵。未だ山を下りるのを渋ってる君にプレゼントを持って来た」
まね「ええー、なにー?」
香「ちょこっとスーパーに寄っていろいろお菓子を買ってきたんだ。未美さん、ちょっと水もらっていい?」
未美「はいよーっと」
香「さて、じゃあ今の内にこの粉を容器にいれて・・・・・・」
まね「これをたべるの?たべられるの?」
香「まあまあまあ、見てるんだ」
まね「うわ、なにこれー!いろがかわった!」
香「ねればねるほど色が変わる、ねっておいしいねるねるお菓子。お気に召したのなら嬉しいよ」
まね「え、たべれるの?たべてだいじょうぶなの?」
香「大丈夫大丈夫。ほら、あーん」
まね「あ、あーん・・・・・・あまーい!」
未美「へぇ、今のおかしはこんなものになってるのね」
香「知育菓子がいろいろ出てるんですよ。おばさんの会社がいろいろ作ってるからまとめて買ってきました」
まね「のびるー!あまーい!おにいちゃん、ほかにないの!?」
香「んー、じゃあこんどはこっちのやつでグミを作ろうか。この液を粉にかけるとだね・・・・・・」
まね「・・・・・・!?かたまった!」
香「さあ、真恵もやってみて」
まね「う、うん!えっと、これをここに・・・・・・こっちも、あれ、こんくらいだっけ?あとこれも?・・・・・・できたっ!あれ、でもおにいちゃんのといろがちがう」
香「液の量が変われば色も変わるんだ。たとえばこっちを多めにするとほら、綺麗な緑色に」
まね「ほんとだ!えっと、これをおおくすると?・・・・・・むらさきだー!」
未美「ふふ、楽しそうね、まね」
まね「うん!たのしい!ししょー、そとってこんなにたのしくておいしいのがあるんだね!」
未美「ええ、そうよ。私といるだけじゃ、この山にいるだけじゃ知れないことがたくさんあるわ。香くんが持って来てくれたのだって水を使うものだけでしょ?もっといろいろあるのよね?」
香「もちろん。家にある電子レンジとか使えば幅がもっと広がるよ。アリス」
アリス「はいな!たこやき一丁上がり!」
まね「これもおかし!?」
香「そうそう。気に入ってもらえた?」
まね「うん!」
香「よしよし、それはよかった。まだまだいっぱいあるから、何日かにわけて食べるんだよ」
まね「はーい!・・・・・・あっ、でもほかのはやりかたがわかんないよ」
未美「私も字は読めないしね。でも、遊びたいし食べたいでしょ?」
まね「そうだけど・・・・・・」
未美「ここにはまたいつでも来られるわ」
まね「!」
未美「遊びたくなったら、またいつでも来てちょうだい。知っての通り私はいつでも暇してるから」
まね「ししょー・・・・・・」
未美「ごめんね、香くん。この子のこと、このまま連れて行ってもらっていいかしら」
香「僕はいいけど・・・・・・まね、きみは?」
まね「うー、ぼくは・・・・・・・うー・・・・・にゃぁ・・・・・」
香「まあ焦らなくてもいいさ。住み慣れたところを離れるのは不安だろうしさ。僕らはいつでも待ってるから」
まね「にゃぁ・・・・・・うー・・・・・・うー!ししょー!」
未美「はい、なにかしら?」
真恵「いままでおせわになりました!またくるからね!」
未美「・・・・・・ええ。いつでもいらっしゃい。あ、でも一人であんまり来ちゃだめよ?危ないからね」
真恵「うん!おにいちゃん!これからよろしくおねがいします!」
香「うん、こちらこそ。よろしく、真恵」
真恵「んにゃー・・・・・こたつ・・・・・・あったかい・・・・・・」
玖美「だよねー・・・・・・冬はこたつでみかん・・・・・・最高だよねー・・・・・・」
日輪「そうねー・・・・・・溶けちゃいそう・・・・・・」
香「3人ともみごとにこたつむりだね。真恵もはまっちゃったか」
真恵「だってししょーの家のこたつはこんなのじゃなかったもん。すみやいていれてたもん。へやはさむかったし」
アリス「そんな三人に犯罪的アイテムを持って来たんだけど」
玖美「え、なになに?」
アリス「はーい、アイスクリーム~。冬に暖房効いた部屋でこたつに入りながらアイスを食べる・・・・・・この背徳感がたまらないっ!」
玖美「ずるい!あたしも食べる!」
日輪「はい、これ真恵の分ね」
真恵「ありがとー!・・・・・・つめたい!なにこれ!かちこちだ!」
アリス「冷たいお菓子だよ。開けれる?」
真恵「あけれる!にゃにゃっ!」
香「さて、僕もこたつにはいろうかなっと。真恵、おじゃまするよー」
真恵「はーい・・・・・あまい!つめたい!あまい!つめたい!」
玖美「かわいいなー、まねは」
日輪「ほんとかわいいわね」カシャカシャカシャカシャ
アリス「初アイスにとまどう妹・・・・・ありだね!」
真恵「あまいー、あまいー・・・・・・にゃっ!?おにいちゃん、たすけてー!あたまいたいー!」
香「ああ、急いで食べるから・・・・・えっと、喉の裏を温めるんだっけ?」
日輪「アイス食べ過ぎで痛がる真恵もかわいいっ!」カシャカシャカシャカシャ
玖美「いそいで食べると頭が痛くなる・・・・・でも急いで食べないと溶ける・・・・・・」
アリス「ジレンマだよねー。アリスちゃんの場合痛覚カットで対処できるから大丈夫だけど」
玖美「ずるい!」
真恵「あうー・・・・・アイスおいしい・・・・・」
香「よしよし、ゆっくり食べるんだよ」
日輪「はぁ・・・・・・妹ってどうしてこんなにかわいいのかしら・・・・・」
薫「そんなもの妹だからに決まってるでしょ!玖美、お邪魔するわねー」
玖美「あー、もちあげられたー。お姉ちゃん、私膝の上に座るような歳じゃないんだけど?」
薫「そういうのは私よりおっきくなってからいいなさーい」
アリス「だからお兄ちゃんの事はもう乗せないのか」
薫「前見えなくなるから。でも香、まだ伸びてるでしょ?」
香「微妙にね。そろそろ180超えるとは思うけど・・・・・」
真恵「なにがこえるの?」
香「背の高さ」
真恵「おおー。ぼくもおねえちゃんとかおにいちゃんみたいにおっきくなりたーい!」
薫「いっぱい食べていっぱい寝て、いっぱい遊んでいればおっきくなるわよー」
日輪「これからよ、まだまだね。ていうか姉さん、なんで私の事は膝に乗せないの?玖美は乗せるのに。妹差別はよくないと思います」
アリス「そうだそうだー!」
薫「やー、日輪そろそろそういうの恥ずかしくなってくる歳でしょ?」
日輪「んなもんここにきて姉さんと殴り合いしてから吹っ飛んだわよ。私は妹だから妹らしく姉さんに甘えるの」
アリス「アリスちゃんは愛されガールだからいつでも愛でていいんだよ?」
愛「よしよし、じゃあアリスは私が愛でてあげよう」
真恵「あー、あいだ」
愛「はぁい、真恵。今日も元気?」
真恵「うん、げんき!」
愛「それはよかった。元気な真恵にはさっき作ったクッキーをあげるわ」
真恵「やったー!」
玖美「ずるい!あたしも元気!」
日輪「私も!」
愛「はいはい、焦らない。ちゃんと全員分あるから。あ、薫さんのと香のはないわ」
香「そう言われると思って事前に作って・・・・・」
薫「ないわよ」
真恵「おにいちゃん、わけたげる!はい、あーん」
香「あーん」
玖美「じゃあ薫お姉ちゃんにはあたしがー。あーん」
薫「あーん」
アリス「愛ー、あーん」
愛「あーん」
アリス「と見せかけて日輪に放り込む!」
日輪「はぐっ。ん、んむ・・・・・・・・おいしいっ!」
愛「あったりまえよ!誰が作ったと思ってるのよ!」
香「さすがは愛。昔っからやってるだけはあるね」
真恵「もぐもぐ・・・・・んっ!ぼくもできるようになりたーい!」
愛「ふふ、それじゃあ明日一緒に作ってみる?」
日輪「やる!やりたい!あ、でもやりながらだと写真撮れない・・・・・・でも作りたい・・・・・兄さんっ!」
香「写真は任せろ!」
日輪「おねがい!」
薫「うふふ、みんな元気でいい子で楽しそうね・・・・・・。この光景見てたら、悩みとか全部吹っ飛んじゃうわね」