小学生のころから、私と彼女は何かと競い合っていた。
草華「はーいこの二つのクッキー、どっちがおいしかったか投票してねー」
リーブラ「どっちがどっちかはもちろん言わないわ」
アクエリアス「よくわからないけどお姉ちゃんの方がおいしい」
リーブラ「ど・っ・ち・がって言ってるでしょ!ちゃんと食べて!選んで!」
香「んー、右!」
愛「私左ー」
アクエリアス「・・・・・・どっちもじゃだめ?」
草華「これは譲れないなー。だめー」
リーブラ「アクアの1票で決まるんだからね」
アクエリアス「んー・・・・・・左」
草華「っし!」
リーブラ「ああー!もうー!アクアー!」
アクエリアス「正直に言ったもん」
リーブラ「もー!もー!愛ちゃんも!もー!私も味方は香くんだけだ!」
香「味方って、そういうのじゃなかっただろ?」
草華「ちなみに、香くん。どっちかというと右ってだけだよね?たまたま右がちょっと好みだったってだけだよね?」
香「草華もグイグイ来るなぁ」
学校が同じになった時も。
草華「国語100点!算数100点!理科100点!社会100点!全部100点!」
リーブラ「もちろん、私もよ」
草華「もー、全然勝負つかないじゃない」
リーブラ「それはこっちの台詞。先生、次はもっと難しくしてください」
草華「私たちだけでいいから!」
山田先生「えーっと、二人だけ特別なテストをっていうのはちょっと・・・・・・」
桜「模試を受けたりしないんですか?」
リーブラ「すでにやりました。同点でした」
草華「2人で全国1位ですよ。だから勝負がつかなかったんです」
桜「ほぇぇ・・・・・・幽ちゃん、どうしましょう」
幽「・・・・・・テストの点数以外で決めればいいじゃない」
リーブラ「やっぱりそういうことになるわね。次は何で勝負する?」
草華「またお料理勝負あたりでいいんじゃないかな。でもなー、審判が偶数なのがなー」
幽「奇数にすればいいのに。もしくは一人」
リーブラ「忖度なしで審判をしてくれるのが偶数人だけなんです。誰かをハブるわけにもいきませんし」
草華「蕾とか玖美ちゃんとかは忖度しちゃうものねー」
桜「大変ですねぇ」
中学に上がってからも。
草華「5計は?」
リーブラ「500点」
草華「奇遇ね、私もよ」
リーブラ「はぁ、またね。先生も頭を悩ませてたわよ。私たちに点数を落とさせる方法はないのかって」
草華「むしろもっと難しくしていいと思う」
フェア「そうにはいかないでしょ。テスト受けるのはあんたたちだけじゃないんだから」
リーブラ「フェア先生」
フェア「あんたたちが競い合ってるのは知ってるんだけどね。一応私たちも二人の決着が見たくていろいろ工夫してるのよ?引っ掛け問題入れてみたり。全部躱されるけど」
草華「ひっかけ・・・・・・?」
リーブラ「今回の社会だと問5の小問3よ」
フェア「方やひっかけにまったく気づかずに突破する、方やひっかけを全部看破する。このまま放っておいてもテストじゃ決着つきそうにないわね」
草華「あの、あれってどこがひっかけてたんですか?」
リーブラ「ほら、事前に昼間人口のグラフがだされててドーナツ化現象を説明する問題。前の問の資料をそのままひっぱったら間違えるのよ」
フェア「ほらね。で、そんな二人に決着が着けられそうな案件を持って来たわ」
草華「と、いいますと?」
フェア「生徒会選挙。折角だし、2人で会長に立候補してみたらいいじゃない」
リーブラ「あー、ごめんなさい。私は副会長に立候補するつもりなんです」
草華「私は会長ですけど・・・・・・私は方針を立ててみんなを引っ張っていくのが得意なのに対して、リーブラは抜けた穴のサポートやミスのカバー、細かいところの見直しが得意なんです」
リーブラ「生徒会はあくまでも学校生活をより良くするための団体ですから、私物のように使うつもりはありません。適材適所の役割を遂行しないと、組織の運営がなりたちませんから」
フェア「・・・・・・なんかごめんね。二人ともすごく真面目に取り組んでるのに」
草華「いえ、先生の申し出はありがたかったです」
リーブラ「実際に一度は考えましたから。ですが、2人で話し合って思いとどまったんです」
フェア「いやー、いいわねー。若い二人が切磋琢磨して競い合って、お互いを認めあえる。青春だわー」
中学3年生あたりからはテストだけじゃなくて体育でも競い合っていた。
桜「リーブラちゃんのシュート、なんであんなに曲がるんですか?」
リーブラ「回転をかけていますからね」
幽「草華は草華でどうしてそれに反応して、ゴールからゴールまでボールを届かせるのかしら」
草華「私、パワープレイが一番得意なんです!」
桜「テクニックのリーブラちゃん、パワーの草華ちゃん。二人が組んだら向かうとこ敵なしですね!」
幽「色んな部に望まれていたものね。是非とも我が部にって」
リーブラ「部活動をしてしまうと、それに縛られてしまいますからね」
草華「家の手伝いもあるしねー」
桜「うーん、もったいないです。二人なら全国大会とか行けそうなのに・・・・・・」
リーブラ「あら、私は個人で一応出ましたよ。射撃とアーチェリー、あとゴルフですね」
草華「今年の夏休みに大会やってたわよね。百発百中のスナイパー!ってね」
リーブラ「まあ名前を憶えてもらえないんですけれども」
幽「・・・・・・大変ね、呪いも」
桜「まだ解けてないんですか?」
草華「解けてないって言うか、大会に行ってる間は香くんと離れるから再発しちゃうっていうか」
幽「香くんは行ってないんだ。応援行きそうなものなんだけれど。・・・・・・あっ、ごめんなさい」
桜「えっと、なにがあったの?」
リーブラ「香様は幽さんという初彼女ができたので二人でデート旅行をしていらしたのです。それが私の日程と被ってしまって」
草華「目に見えて浮かれてたもんね。夏休みにすぐ!って感じで」
幽「香くんの申し出は嬉しかったし、旅行も楽しかったけど・・・・・・そう知ってしまうと少し申し訳なくなるわね」
リーブラ「構いませんよ。私にとって何よりも優先すべきは香様の幸せ、香様のスケジュールです。大会の結果はトロフィーと賞状を見せればことたりますから」
草華「むしろ張り切ってたよね。絶対に香くんに見せるんだって」
リーブラ「香様に情けない姿を見せるわけにはいきませんから」
桜「このストイックさ、憧れるなぁ・・・・・・」
もちろん高校生になっても競い合っている。
桜「相変わらず草華ちゃんとリーブラちゃんは実技教科含めて全部満点、そして私は勉強は平均よりちょっと上、体育はダメダメ・・・・・・」
瑠花「いや、あれと競い合うのが無理ゲじゃね?てか、相変わらずってことは前からあんな感じだったの?」
幽「初等部時点であんな感じよ」
瑠花「まぢ?」
桜「でも、お互いに自分だけの土俵では戦わないんですよね。自分と、相手が公平な状態でできることしかやらない」
幽「あと、その競争に他人を巻き込まない。中等部のころの生徒会選挙なんかもそうだったわ」
カノン「あくまで勝負は公平に、実力のみで戦う。でないと本当に勝ったと言えないと仰ってました」
瑠花「よくやるわ~。うちじゃあんなの無理・・・・・・そもそも平均とれてないし」
カノン「瑠花は勉強をすればいいのでは?」
瑠花「めんどい」
幽「・・・・・・年々競える種目が増えているのよね」
桜「え?」
幽「今はゲーム対決とかもしてるみたいだし。中等部の2年のころまでは体育で競うこともなかった」
カノン「体格に大きな差がありますからね」
桜「決着をつけたいんじゃなくて、勝負その物を楽しんでるんでしょうね」
草華は天才だ。もって生まれた才能でなんでもこなす。その上能力を身に着けてからは身体能力も大幅に向上。体格の良さも相まってもはや隙がない。
リーブラ「私、ダンクシュートを3ポイントラインから決める人間を初めて見ました」
草華「リーブラに対抗しようと思ったらこれやらないとポイント数で負けちゃうから」
愛「リーブラはリーブラでなんで自分のとこのゴール下から片手投げレイアップでシュート決めるのよ」
アクエリアス「取って取られてを繰り返すから私たちの出る暇がない。せいぜいシュート後のボールを渡す係程度」
香「草華は手も長いし、跳躍力もあるし、いつかはやるんじゃないかなって思ってたよ。でもあれって能力使ってないよね?」
草華「意識しては発揮してないけど、基本性能に運動能力アップがついてるから・・・・・・」
愛「いやー、私があれやると絶対勢い余ってゴールを壊すかボードにぶつかるかだわ」
アリス「愛はあんまり球技得意じゃないもんね。ノーコンだし」
愛「アリスはパワーが足りてないし」
アクエリアス「二人は大事な所がそれぞれ足りてないわよね。その点私は器用貧乏だからだいたいできる」
香「腕伸ばすのを禁止されなければ・・・・・・」
草華「それはダメでしょ?」
香「いや、わかってるけどさ」
リーブラ「香様がお望みになるのならすべてを解禁して行ってもよいとは思いますが・・・・・・そうなるとアクアと愛ちゃんの能力が強すぎますね」
愛「ゴールを空気で塞ぐ。ゴールを氷で塞ぐ」
アクエリアス「かちわれる分私の方が不利」
アリス「そういう問題じゃないよね」
私は凡才だ。彼女のようになんでもできたわけじゃない。運動は苦手だったし、体格も悪い。特別頭がいいわけでもない。
雫「リーブラ先輩ってすごいですよね」
地理「うんうん。ほんとになんでもできるしなんでも知ってる」
木々「トイレが水漏れしてたら直してくれた」
月夜「学食の調理師さんが急病で全員お休みしてたときは代理でやってましたね。一人で」
流星「学校のテストだけじゃなく学外模試でも全部満点らしいね☆」
炎火「ソフトボール部に助っ人で呼ばれて全部三振で打ち取って自分は全部ホームランしたって話」
金「正に規範とすべきお方ですね。生徒会の引継ぎ書類も完璧でした。図や絵を駆使してわかりやすく簡潔にまとめられていました」
雫「そしてお金持ちのお嬢様!それでいてそれを鼻にかけることもない!」
金「必要なものに関しては資金に糸目を付けません。ですが、必要ないものは極力購入しない」
炎火「理想のお嫁さんだよねぇ。この前なんか気づかないうちに全運動部の全部室を掃除して洗濯物も全部洗濯して全部整理されてた。入る部室間違えたかと思ったもん」
地理「炊事洗濯料理勉強運動全部完璧。楽器もたくさん演奏できるし絵も描けるし誰に対しても丁寧で交渉力もプレゼン力も高い」
月夜「芸術にも秀でているというのが非の打ちどころの無さを教えてくれますよね」
流星「歌もうまいよね☆カラオケについてったら軒並み100点で軽くひいたゾ☆」
木々「そこでも100点なんだ。そういえば食事マナーも完璧だった記憶がある」
地理「作法まで完璧かぁ。むしろできないことを探す方が難しいかも」
雫「えーっと、身長を伸ばすこと?」
地理「胸をおっきくすること!」
金「副会長を叱ること」
木々「諭すのはしそうだけどね。んー、アクアの変態をやめさせること」
炎火「エネルギー波を打つこと」
月夜「それできるみたいですよ」
炎火「うっそ!?」
流星「ママチャリライダーになって妹を送り迎え!」
地理「もはやできないことじゃなくてやりそうにないことだよね」
日輪「ああ見えてリーブラは豪快なことができないの。元がすごい繊細だから石橋を一歩毎に叩いて渡ってる感じなの」
月夜「あっ、日輪ちゃん。おはよう」
日輪「おはよう。リーブラがなんでもできるのはなんでもできるようになるまで努力したから。備えあれば患いなしを全部に適応しちゃった結果ね」
雫「ってことはリーブラ先輩にもいろいろとできなかった時代が?」
日輪「私の覚えてる限りだと、リーブラは逆立ちしようとしてそのままむぐっ」
草華「だめよー、そうやって人の恥ずかしい過去を公開するのは」
日輪「んー!んー!」ジタバタ
地理「お、おっぱいで口止めした・・・・・・無敵のおっぱいだ・・・・・・」
そして私には、大切な人ができた。私の全てを捧げてもいいと思えるほどの人が。だから私は、勉強をした。
ロック「リーブラ・・・・・・これ全部終わったのか?」
リーブラ「はい。そろそろ本棚が埋まるので新しいものを用意しようと考えています。折角ですので自分で作ろうと思っているのですが、お父様のお知り合いに木材加工を扱っている方はいらっしゃいませんか?」
ロック「あー、いるっちゃいるけど」
リーブラ「家で加工作業をするとなるとコスモスやケイオスが危ないですから、規格をあわせた木材だけ用意していただきたいのです。組み立ては自分でやりますから」
ロック「いやいや、それなら普通に新しいの買うぜ?」
リーブラ「いえ、お父様。こういった技術は机上の空論だけで身につくものではありません。やはり自分で何度もやらないと覚えられませんから」
ロック「そこまで言うなら・・・・・・だけど、その言い方だと本当は加工も自分でやりたい感じだな?」
リーブラ「欲を言えば、ですけれどね」
ロック「そういう時は親に甘えるもんだ。双子の面倒ぐらいなら俺が見ておくから、お前はお前のやりたいことをやれ」
リーブラ「お父様・・・・・・。ありがとうございます。では、次の休日にお願いできますか?」
ロック「おう、任せろ!にしても、全部読みこんでるなあ・・・・・・何周したんだ?」
リーブラ「1冊につき10周はしています。深い知識ほど読み込みが必要ですから」
ロック「すげぇなぁ。俺の娘とは思えないほどだ。俺はそう言うのからは逃げてたからなぁ。やっぱあいつの血か」
リーブラ「お母様や伯母様はかなりの努力家だと聞いております。スラム生活から使用人を経て社長夫人になるまでの経緯は感服せざるをえません」
ロック「よくやるよ。セレアもお前も」
私の大切な人は片腕を失った。二度とそんなことを起こさせないためにも、私はあらゆる障害から彼を守ると誓った。だから、その力を身に着けるため鍛錬をした。
リーブラ「98・・・・・・99・・・・・・100・・・・・・!」
薫「はい、30分休憩ね。休憩後は走り込みよ」
リーブラ「はい、わかりました」
薫「・・・・・・で、どうかしら?実際に運動できるようにはなってる?」
リーブラ「もちろんです。以前と比べたら月と鼈ぐらいにはなっていますわ」
薫「ならよかったわ。一応リーブラの弱い所を補いつつ全体的に鍛えていくメニューではあるんだけど、理論ではあっても実践はなかったから」
リーブラ「では私の身体能力が薫さんの想定するレベルまで向上すれば理論が正しいと証明できるわけですね」
薫「そういうこと。一応私の研究レポートも兼ねてるから、頼むわよ」
リーブラ「もちろんです。薫さんが香様のために今の道を歩んでいるのは知っています。今の私にできるサポートは、結果を出して証明することだけですから」
薫「・・・・・・あんまり香に縛られなくてもいいのよ?私は姉っていうのがあるけど、リーブラはどこまでいっても最終的には他人なんだから」
リーブラ「ええ、確かにそうです。ですが、私は香様に救われました。この世の全てに絶望していた私に光を与えてくれました。私は、そんな香様に報いたいのです。これは私のわがままなんです。・・・・・・いけないでしょうか?」
薫「もー、そんないい方されたらこれ以上言えなくなっちゃうじゃない。香ったらモテモテねー、ほんとに」
リーブラ「香様ですもの。当然です」
もちろん、ただ力をつけるだけでは意味がない。香様をあらゆる障害から守るのだから、生活における不便も全て排除しなければならない。
リーブラ「西園寺メイド長、お願いがあります」
歌恋「はい、どうなさいましたか、リーブラお嬢様」
リーブラ「私にメイドとしての稽古をつけてほしいのです」
歌恋「・・・・・・それでしたら、海に言った方が」
リーブラ「マギ・フィールド家のメイドの中でも先代メイド長に認められた者のみがなるのが現メイド長。海を力不足だというつもりはありませんが、どうしても私たちの専属である以上どこがで甘さが出てしまいます」
リーブラ「私は奉仕の真髄を学び、香様にお仕えするのに相応しい人間へと成長したいのです」
歌恋「香様・・・ああ、風流香様ですね。リーブラお嬢様が彼をお慕いしているのは承知していますが、その様子ですと何かあったようですね」
リーブラ「・・・・・・先日、私が原因で香様に不快な思いをさせてしまいました。私自身の欲を満たすために香様をないがしろにしてしまったのです。このような体たらくでは香様の側にいるなどと言語道断であります。私は一流の大和撫子となり、香様のお側で支えていきたいのです」
歌恋「・・・・・・ふぅ。おそらく、奥様や旦那様にはすでにお話を通しているのですよね」
リーブラ「はい。西園寺メイド長の意思次第だとおっしゃられていました。どうかお願いいたします。私に、奉仕の精神を教えてください」
歌恋「リーブラお嬢様、それではダメです」
リーブラ「・・・・・・おねがいします。どうか」
歌恋「そのように地に指を付けてしまっては手が汚れてしまいます。そのような汚れた手では奉仕はできません」
リーブラ「!」
歌恋「メイドの礼はこのように行うのです。姿勢を正し、指を身体の前で重ねて腰から曲げる」
リーブラ「こう、でしょうか」
歌恋「はい。奥様の姪とはいえ、容赦はしませんよ。メイドとなるのならばそれ相応になるまで一切手を抜かないように」
リーブラ「はい!」
もちろん、力だけでは香様をお守りできるとは限らない。メイド訓練中は屋敷のメイドと同等の立場で、給金ももらっていた。そして、それを元手に投資をして、資金を増やした。
ロック「なあ、リーブラ。お前、俺の扶養から外れてるんだけど」
リーブラ「申し訳ありません、雑所得が法廷金額を上回ってしまいまして」
セレシア「雑所得って・・・・・え、何をやってるの?メイドのお給料は名目上お小遣いだから非課税よね?」
リーブラ「それを元手に投資で増やしたのです。違法なことは何一つ行っていません」
ロック「はぁ、まあやっちまったもんは仕方ないか。ただ、そういうのは一応報告してくれや」
リーブラ「ごめんなさい、お父様、お母様」
セレシア「それで、いくらぐらい稼いだの?元が大きいとはいえ増えた分もかなりあるでしょう?」
リーブラ「あまり口外はできませんが、おおよそ××××くらいと」
ロック「はぁ!?ちょっと待て、それ俺の貯金を超えてるぞ!?」
セレシア「えっと、いったいいつからはじめてどうやってそこまで?」
リーブラ「情報さえ集めておけば推測はできますから、半年ぐらいで今の額には。まだまだ増やします」
ロック「そんなに金貯めてどうするんだ」
リーブラ「そうですね、とりあえずどこかの島でも買って別荘を建てて香様の慰安に使えるようにしようかとは思っています」
セレシア「島・・・・・・別荘・・・・・・」
リーブラ「お金だけ持っていても仕方ないですからね。あとはレストランを買い取ったり、農場を買い取ったりすると後々便利そうですね。とりあえずは生活を豊かにする方向に考えています」
セレシア「レストラン・・・・・農場・・・・・・そんなものがあったら食事に困ることはないでしょうね」
ロック「まあ、自分で稼いだ金だ。文句は付けないさ。だが、デカい買い物をするときは相談ぐらいしてくれな」
リーブラ「ありがとうございます。頼りにしていますね、お父様」
セレシア「お母さんは?お母さんは頼りにしてくれないの?」
リーブラ「その、お母様は金銭感覚が、そうですね、みみっちいですし」
セレシア「み、みみっちい・・・・・・」
リーブラ「生まれ育った環境を知っているだけに当然のことだとは思うのですが、買うものを報告するたびに失神してしまうのではないかと」
ロック「懐かしいな。はじめてステーキを食って失神したあの日が」
セレシア「もう!それは忘れてって言ってるでしょ!」
もともと、空間を把握する能力だけは高かった。それに加えて得た「次元移動」の能力。この力を得るのと同時に、使いこなせるように補正がかかったのだと思う。私は長さ・広さ・大きさを正確に判断することができるようにまでなっていた。
オルレアン「優勝おめでとうございます、お姉さま」
アクエリアス「おめでとう、姉さん」
リーブラ「ありがとう。オルレアンもがんばりましたね。アクアも応援ありがとう」
オルレアン「ですが、やはりリーブラお姉さまには敵いませんでした。この前のクレー射撃も、アクアに大差をつけて堂々の優勝でしたし」
リーブラ「的に物をあてることは得意なのよ。昔からね」
オルレアン「なるほど。そういえばお祭りでも輪投げなんかを全て正確に行っていた記憶があります」
アクエリアス「射的も外さないしね」
リーブラ「以前からそうだったけど、能力を得てからはより顕著になったわ」
アクエリアス「つまり能力のブーストがかかってない状態で2位になった私は実質優勝」
オルレアン「じゃあ今回2位のオレも優勝ってことだなァ!」
リーブラ「決勝で弓を引いていたのは間ですよね?」
オルレアン「オレらは3人で一人!何も間違っちゃいねェ!」
アクエリアス「ちなみにその本人は?」
オルレアン「寝た」
自分自身を鍛え、心技体全てを熟練させようとしている時期、私は担任の先生に呼び出しを受けた。授業は面白いが宿題が多いことで有名なフェア先生だ。
フェア「あ、来たわね、リーブラ」
リーブラ「はい。お呼び出しがありましたが、なにかしてしまいましたでしょうか」
フェア「あ、これ怒ってるわけじゃないのよ。ただのお節介で」
リーブラ「はい?」
フェア「んじゃ、一回脱いでみて」
リーブラ「・・・・・・え?」
フェア「個室だし鍵閉めてるし誰にも見られないって。ほら、上だけでいいから」
リーブラ「え、いや、あの」
フェア「はい、さっさと脱ぐ」
リーブラ「・・・・・・わかりました」
・・・・・・
リーブラ「脱ぎましたが、どうしました?」
フェア「んー、やっぱりね。リーブラ、今の自分の身体見てどう思う?」
リーブラ「どう、と言われましても・・・・・・ちゃんと鍛えられてるなとは思っています」
フェア「はい、それよ。別に私は体を鍛えること自体を悪いとは思わないわ。あなたが香に並々ならぬ執着があってそうしてるのは知ってるし」
リーブラ「話が視えません」
フェア「アリスから聞いたわよ。香のことを守りたいんだってね。で、色んな人に特訓してもらってる」
リーブラ「はい。香様をお守りし、香様にお仕えするのに相応しい実力を持たねばなりませんから」
フェア「でもね、今のままじゃあなたが思ってるようにはならないわ」
リーブラ「と、言いますと?」
フェア「あんたの身体には女らしさがないのよ。全くと言っていいほどね」
リーブラ「胸がないのはどうしようもないですし、豊胸するつもりもありません」
フェア「そうじゃないのよ。身体における女らしさってのは身体全体の丸みの事を言うの。保健体育でやったでしょ。女の身体は脂肪を付けて丸みをおび、男の身体は筋肉をつけて角ばってくる」
リーブラ「ですが、身体に無駄な脂肪をつけるのは・・・・・」
フェア「んー、そうね。あんた、自分のその身体みて甘えたいって思う?」
リーブラ「・・・・・・いえ」
フェア「んじゃ、草華は?」
リーブラ「彼女には包容力がありますし、身体も柔らかそうできっと抱きしめ心地も・・・・・ああ、そうですか。こういうところ、ですか」
フェア「そうそう。んで、香を守りたいって言うのなら香が疲れた時に癒してあげたりもしなきゃいけない。そういうときに女の身体ってのが必要になってくるのよ」
リーブラ「柔らかな身体で、包み込むようにして癒す・・・・・・お母様もよくやってくれました」
フェア「だから、これはアドバイス。身体に丸みをつけなさい。丸みを帯びた身体は相手から緊張を取り除いてくれるわ。男は本能的に柔らかくて温かみのある身体を求めているの。ま、膨れ上がるような筋肉はついてないみたいだからすぐつくわ」
リーブラ「わかりました、ありがとうございます。脂肪をつける、というのならやはり油分をとればいいのでしょうか」
フェア「ハイダメー。あんたのとこの一族は本当に極端ねー」
リーブラ「一族って・・・・・」
フェア「あんたの先祖は昔の旅仲間だったのよ。んで、昔取った杵柄だけど栄養士の資格もある私からのアドバイス。バランスよく食べなさい」
リーブラ「バランスよく、ですか」
フェア「そ。家庭科でやったでしょ?6グループの食材。理想の身体をつくるにはバランスの取れた食事ってのが必要なのよ」
リーブラ「わかりました。アドバイス、ありがとうございます。私、必ず丸みをおびた女性らしい身体になってみせます」
フェア「ん。がんばれ女の子。乙女よ大志を抱け」
リーブラ「それにしても、栄養士の資格なんてもっていたのですね」
フェア「女ってのは好きな男のためになら頑張れるもんよ。最初はなにもできなくても、その人の事を想えばなんでもできるようになるんだから」
リーブラ「・・・・・・ええ、その通りですね」
身体の基礎は薫さんに鍛えてもらったおかげで常人以上にまでは成長した。リビングにあるテーブルを軽く持ち上げて移動したらアクアにはゴリラだと言われた。
アクエリアス「えーと、ゴリラみたいなパワーでチーターみたいなスピードで走って?」
リーブラ「チーターより速いわよ。100mぐらいなら5秒切れるわ」
アクエリアス「秒速20m以上・・・・・・どれくらいの物なら持てるの?」
リーブラ「この前部屋の模様替えをするときに本を入れたままタンスを動かしたわね。持ち上げて」
アクエリアス「草華は能力でゴリラってるのはまだわかる。姉さんは違うじゃん。純粋な筋力じゃん」
リーブラ「愛ちゃんも一緒に鍛えたのよ。どう、アクアもやる?」
アクエリアス「ダイエットしたくなったらちょこっとだけやろうと思ってる。でも今のところ海や姉さんの作るごはんのバランスが完璧だから太らないのよね」
リーブラ「成長期って言うのもあるでしょ。こんなに大きくなってね。本当に」
アクエリアス「スタイルもこんなによくなって。姉さんとは大違い」
リーブラ「・・・・・・今晩は野菜を一品増やそうかしら」
アクエリアス「待って、私が悪かったから。だからニンジンのグラッセはやめて。ね?」
リーブラ「はぁ。妹はこんなにスタイルがいいのにどうして私は・・・・・・一緒に身体を鍛えた愛ちゃんもあんな感じなのに」
アクエリアス「やーいやーい、73ー」
リーブラ「追加確定ね。おかわりもしなさい」
アクエリアス「やだー!」
だけど、これだけでは香様を守れるとは思えない。もっと力を付けなくてはいけない。必要なのは、たとえこの世の全てを敵に回しても香様をお守りできるほどの力。だから私は、門をたたいた。
キル「【技】を教えて欲しいって?」
リーブラ「はい。キルさんは、私が知っている中で最も【技】に精通している方です。私はそれを身につけたいのです」
キル「うーん、私のこれは種族的なあれがそもそもとしてあるんだけど・・・・・・」
リーブラ「香様をお守りするために。あらゆる障害をはねのける力が欲しいのです。たとえ何が相手であろうともはねのけるほどの力が」
キル「それで技をねぇ。うーん、確かに香くんのことは私も心配だし、だから一人絶対に守ってくれるって子がいてくれると安心だよね」
リーブラ「お願いします。どんなことでも致しますから。必要であればお金も用意します」
キル「いや、お金なんていらないよ。なんだかんだ私も弟子的なやつには憧れてたし。リーブラちゃんがキル=ソフライムの弟子1号だ!」
リーブラ「はい!ありがとうございます!」
キル「ふふ、それに【技】だけじゃ足りないよね?」
リーブラ「お見通しですか」
キル「もちろん。いいよ、私から言っておくからみんなのところに行ったらいいよ。【技】、【力】、【速】、【守】。四天王全員から吸収してみなさい。リーブラちゃんが欲しい力ってのはその先にあるんでしょ?」
リーブラ「はい。決して根は上げません。しっかりと習得させていただきます」
キルさん。スララさん。レーラさん。キースさん。全員からそれぞれの得意分野について教わり、1年。あと半年で中等部も卒業するという時期までさしかかり、私は新たなことを覚えようとした。
リーブラ「ご先祖様、よろしいでしょうか」
雅「はい、リーブラちゃん。どうしたの?」
リーブラ「私、魔法を身につけたいのです。そして、ご先祖様のような吸血鬼の力も」
雅「えーっと、やめといた方がいいよ。今の世の中魔法なんて使えてもあんまり役に立たないし」
リーブラ「私は人の身体を限界を超えて鍛えているつもりではありますが、さらなる力を手に入れるためには先祖返りが必要なのです」
雅「そんなに力をつけてどうするの。今世の中は平和だよ?」
リーブラ「平和です。その平和が保たれているのは実力があるからです。ですから、香様をお守りするために、ありとあらゆる障害をはねのける実力が必要なのです」
雅「ええー、うーん、その気持ちはわかるけど・・・・・・うん、じゃあこうしよう。私が使っている人化の魔法。これとは逆のやりかたで吸血鬼化する」
リーブラ「一時的に、ということですか?」
雅「そう。自分の力を解放する感じでね。そして、そうしている間だけ魔法を使えるようにする。こうすれば日常生活には一切影響が出ない」
リーブラ「吸血鬼の力を完全に馴染ませてしまっては生活に支障が出るのですね」
雅「そうだよ。日光に弱くなっちゃうってだけで大損害だよ。そんなのがないようにするためのやつね」
リーブラ「わかりました。それを教えていただけますか?」
雅「ただし。私が教えるのは吸血鬼化だけ。魔法の基礎については紗菜ちゃんに教えてもらって」
リーブラ「紗菜さん・・・・・・香様の曾祖母に当たるお方ですね」
雅「そうそう。そして、魔法の特訓中は私と紗菜ちゃんの見てる前でしか魔法を使わないこと。これが条件」
リーブラ「承知しました。決して約束は破りません」
雅「ふふ、リーブラちゃんなら絶対破らないって知ってるよ。じゃ、さっそく紗菜ちゃんのとこまで行こっか」
力も、学も、富も、能も、香様をお守りするために必要なものは全てを揃えた。そしてもちろん、自分磨きも忘れない。
アリス「リーブラってなんで和服着てるんだっけ?」
リーブラ「私は大和撫子へとなりたかったので、形から入った結果ね」
アリス「なるほど。で、割と気に入ったと」
リーブラ「それもあるけど、和服って結構サイズフリーなところがあるじゃない。ほら、私一部分だけが大きいから・・・・・」
アリス「あー、パンツだとお尻ぱっつぱつだもんね。だからスカート一択になるわけだ」
リーブラ「あと、血筋的には純正のフランス人だから小さい頃一人で行動してた時はおまわりさんにつたない英語でよく話しかけられたのよ」
アリス「和服着てたらそれがなくなったと」
リーブラ「はい。アリスは着ないの?」
アリス「やー、アリスちゃんスタイル的にあんまり似合わないんだよね。襦袢で整えればなんとかって感じだから」
リーブラ「もったいない。こんなにかわいいのに」
アリス「晴れ着はハレの日に着るだけでいいんだって。・・・・・あ、リーブラ。シャンプー変えたね」
リーブラ「あら、わかった?」
アリス「私はその辺も研究してるからね。美少女らしくあるためには日々努力が欠かせられないから」
リーブラ「ええ、とてもお世話になっているわ。お化粧の技術や香水の選び方、そして服装センスも含めて教えてもらったからね。歌恋さんや伯母様も感心していたわ」
アリス「だって考えてみなよ。私って美少女だよ?それが美少女たる努力をしないのは宝の持ち腐れでこの世に対して喧嘩売ってるのと同じだよ?」
リーブラ「その喩えはよくわからないけれどもアリスはとても頑張り屋さんね」
アリス「いやー、褒めても自作の香水ぐらいしか出ないってー」
リーブラ「香水自作してるんだ」
アリス「最近ちょっと凝っててねー。私じゃなくて、ウチの家の人らに合うような香りをね」
リーブラ「ふふ、もしかして私に合うものも用意してくれてたり?」
アリス「せいかーい!ってことで正解者のリーブラ選手にはこちらをプレゼント!」
リーブラ「これは・・・・・・葉っぱの香りかしら??」
アリス「柏に桜の葉をあわせた感じかな。緑なリーブラに合わせて新緑っぽくしてみました」
リーブラ「ステキね、ありがとう。また今度なにかお礼するわ」
アリス「期待してるよー」
全ては、香様に愛されるために。ほんの少しだけでもいい。私だけを見なくていい。私は愛を捧げます。私の全てを捧げます。だから私を、
香「リーブラ」
リーブラ「はい、どういたしましたか?」
香「これ。誕生日おめでとう」
リーブラ「まあ。ありがとうございます」
香「他にプレゼントは受け取った?皆用意していたんだけど」
リーブラ「いえ、皆さん遠慮して渡してくださいませんでした。みな、香様が最初にプレゼントを渡せるように気遣ってくれていたのです」
香「あー、ってことは僕も早めに渡しておけばよかったかな。いや、でもやっぱこのタイミングじゃないと」
リーブラ「私は、幸せ者です。愛する香様にこんなにも想われて、特別扱いされて・・・・・・今日この日はこの上ない喜びに満ち溢れています」
香「リーブラが満足してくれてるのならよかったよ。と言っても、何もしてないどころか全部やってもらってるんだけれども」
リーブラ「でも香様は、私がそれを一番望んでいると知って時間を作ってくださった。独り善がりではなく、相手が本当に望んでいることを実行できる。香様の深い愛の為せる業ですわ」
香「ま、幼馴染だしね。これでリーブラも18歳か。自覚はある?」
リーブラ「そうですね。自分で歳をとったという自覚はございませんが、皆さんに祝われて、こうして香様にもお祝いしていただいて。自分にとって特別な時間なんだということは自覚しております」
香「そんなもんだよね。さて、リーブラ。一つお願いいいかな?」
リーブラ「はい、なんでしょう。なんでもいたします。あなたのためでしたら」
香「後残り3時間、まあ今日が終わるまでか。昔みたいに話してくれないかな」
リーブラ「と、言いますと?」
香「単純に、であったばかりみたいな感じでさ。折角の18歳の節目、僕は僕に使える君じゃなくて幼馴染としてのリーブラ・マギ・フィールドと話がしたい」
リーブラ「・・・・・・・うん。こんな感じ、だったっけ?」
香「そうそう。少なくとも敬語は使ってなかった。あともっと元気な感じ」
リーブラ「元気、と言われてもね。何も知らなかったあの時みたいにはなれないよ」
香「そうかな?でも、リーブラは生き生きしてる時があるよ」
リーブラ「え?」
香「草華となにかを競っているとき。あのときは、昔みたいに戻ってるんだ。いや、昔から変わってないのかな」
リーブラ「んー、まあね。なんだかんだ言って草華は同い年だし、遠慮とかこう面倒見てあげなきゃって部分もないしそういうとこがあるのかな」
香「うん。リーブラは根っからのお姉さんだから、年下相手には面倒を見ざるをえないんだよね」
リーブラ「お姉さん、お姉さんかぁ。でもお姉さんらしく引っ張っていったこととかないなぁって」
香「それは草華の役割。で、リーブラはまとめ役のお姉さん。草華は方針を打ち出して、リーブラが固める。ここはずっと変わってない」
リーブラ「まとめ役、か」
香「そしてそれはきっと、なんでもできるようになるまで努力をしたリーブラだからこそできること。誰かのサポートだけでも大変なのに、全員のサポートをこなしちゃうところがリーブラって感じだ」
リーブラ「ま、手のかかる妹とか幼馴染たちがいたからね。愛ちゃんは無鉄砲だし、アクアは根暗だし、草華は大雑把でアリスは怪しい。そして香くんは負けず嫌い」
香「で、その負けず嫌いに何時間も付き合ってくれたのがリーブラだ」
リーブラ「そりゃそうだよ。愛ちゃんが香くんをずっと好きなように、草華が香くんとそういう関係になるのは吝かではないように、アクアが香くんの後ろに隠れていたように、アリスが憑いているように」
リーブラ「私は、香様に救われたから愛しているのではありません。自覚がなかっただけ。あんなことよりずっと前から、香くんのこと、好きだったの」
香「・・・・・・・」
リーブラ「きっかけなんてないの。ただ一緒にいるだけで楽しかった。ずっと一緒にいられたらいいって思っていた。そして、それは好きってことだった」
リーブラ「ね、香くん。私はあなたのことが好き。これからもずっと一緒にいたい。恋人にしてだなんて贅沢なことは言わないよ。だから、私を」
リーブラ「これからも、側においてくださいませんか」
香「・・・・・・もちろん。リーブラ、君に役職を与える」
リーブラ「はい」
香「僕の専属のメイドになってくれ。これから先、何が起ころうともその役目を放棄することを許さない。生涯僕のために働くんだ。いいね?」
リーブラ「はい!喜んで!」
愛して
私の家は香くんたちとは少し離れているから、私のせいで遊ぶのが早く終わったりすることも多かった。それがすごく申し訳なかったけれど、私にはどうしようもない。
草華「あーあ、もっと長く遊べたらいいのにな」
香「まあ暗くなると危ないし」
草華「大丈夫だよ!私、お姉ちゃんだもん!」
香「そうは言っても女の子でしょ」
リーブラ「そうそう。なにかあったりしたら大変なんだからね」
愛「また明日も遊べるし、それでいいじゃない」
アクエリアス「今日が終わったら明日。明日が終わったら明後日」
アリス「草華もなんか守護霊憑けてみる?生きのいいの探すよ?」
愛「幽霊なのに生きがいいの?」
リーブラ「アリスみたいなものでしょ」
香「まあまあ。とりあえず今日は送っていくよ。そしたらぎりぎりまで一緒にいられるでしょ?」
愛「おおー。香あったまいいー」
草華「いいの?」
リーブラ「いいのよ。ほら、みんなで草華の家まで行くわよー」
アクエリアス「おー」
アリス「おー!」
特別な能力を手に入れて、一番最初におかしくなったのが目に見えてわかったのが私だった。だからこそ、気付かないといけなかった。私だけじゃないってことに。
草華「香くん、今日も起きないね」
愛「うん・・・・・・」
草華「愛ちゃんは平気?」
愛「うん・・・・・・」
草華「今日はいい天気だね」
愛「うん・・・・・・」
草華「いやいや、雨降ってるって」
愛「うん・・・・・・」
草華「・・・・・・愛ちゃん、山道で足を滑らせたんだっけ」
愛「うん・・・・・・」
草華「でも、普段の愛ちゃんならそんなことなかったよね。きっと、何か考え事してたんだよね」
愛「うん・・・・・・」
草華「そしてきっと、愛ちゃんがそんな風に考えてたのは・・・・・・私の事」
愛「・・・・・・」
草華「私が、弱かったから。愛ちゃんが恐い思いをして、香くんはこんなことになって・・・・・・」
草華「気付いてなきゃ、いけなかったのに・・・・・・お姉ちゃん失格だよ・・・・・・」
愛「・・・・・・そんなこと、ない」
愛「あんな状況なら誰だって取り乱す。誰だって自分の事でいっぱいになる。そして、香がこんな目にあってるのは」
愛「私が、なにもできなかったから」
草華「違う!愛ちゃんはがんばった!だからこうやって香くんは生きてる!愛ちゃんがいなかったら出血多量で死んでたんだよ!?」
愛「でも、でも!私がいなかったら香はこんなことになってなかった!熊に襲われることもなかった!」
草華「それなら、私がいなかったら、愛ちゃんが足を滑らせることもなかった。私が、もっと、ちゃんと、してたら」
草華「・・・・・・ごめん、ね。弱いお姉ちゃんで、ごめんね。愛ちゃん、香くん、ごめん、ね。私、強くなるから・・・・・もっと、もっと強くなるから・・・・・・!」
愛「・・・・・・私も、強くなる。もう、こんな思いしたくない。もう二度と、香をこんな目にあわせない」
リーブラはすごい子だ。何を聞いても何でも答えることができる。それはたくさん勉強をしているから。同じ学校、同じクラスになってそれがよくわかった。
桜「今日のテスト難しかったよー」
草華「えーっと、どのあたりが?」
リーブラ「問2あたりね。おそらくですが、大きさを比較する際に通分をし忘れたのではないでしょうか」
桜「そう、そこ!あ、そっか!通分か!がんばってどっちがおっきいか考えてたら時間が過ぎちゃって」
幽「できないなら飛ばせばいいのに。私はそうしたわ」
桜「ちょっとイーってなっちゃって、そうしたらね」
リーブラ「そうなってしまったら一度他の問題をやるというのは灯火さんの言うとおり得策ですよ。もしかしたら他の問題を解いてる最中にひらめくかもしれません」
桜「なるほどー」
草華「あれって普通に大きさ考えたらわかりそうなものですけど」
桜「そうなの?草華ちゃんすごいなぁ」
幽「私はわからなかったわ」
リーブラ「草華は頭の中で想像できるからね。ただパッと見てわからないなら計算が必要なのよ」
草華「そんなものかなぁ」
薫さんの元でリーブラが身体を鍛えていると聞いた。もともと運動が得意ではないけれど、あの人の元でならきっと人並み以上な力を得られる。だから、私は私で別のやり方で鍛えた。
蕾「お姉ちゃん!りんご食べたい!」
草華「はいはーい、じゃあ切るわね」シュシュッ
蕾「おおー」
鈴火「相変わらずのスゴ技。リンゴを投げて指だけで切ってついでに皮むきもやるだなんて」
草華「ふふ、こう指の先にちょっとだけ光の刃を出してるの。ペーパーナイフよりも薄くて日本刀よりも切れ味が鋭い優れものよ」
蕾「あれ簡単に言ってるけどすっごい苦労してたんだよ。最初は全身光ってたから」
鈴火「夜にやると虫がいっぱい集まりそう」
草華「やろうと思えば紫外線だけ発射することも可能ではあるけど、やらないわよ」
蕾「虫取りの時におねがいしよっかな」
鈴火「ってことは今年もファーブル昆虫記と虫の解剖で読書感想文と自由研究を済ませる気だね?同士よ」
草華「自由研究かぁ。どうしよう、今年は何を手縫いしようかな」
蕾「去年はエプロンだから、今年はセーターとか?」
鈴火「夏なのに?」
草華「冬用に作るのはありね。じゃあ今年はセーターを手編みしましょうか」
リーブラはなんでもできるようになった。勉強も、運動も。でも、このままじゃ一人になってしまうかもしれない。誰もリーブラのことをわかってあげられないかもしれない。そんなのはだめ。だから、私はあの子の隣に並べるように努力した。
リーブラ「・・・・・・王手!」
草華「桂馬で取って回避」
リーブラ「歩を進めるわ」
草華「王手」
リーブラ「角で道をふさぐ」
草華「桂馬を前進させるね」
リーブラ「王手」
草華「飛車で取って・・・・・あ、だめだ。じゃあ銀で守ろう」
リーブラ「銀をとるわ」
草華「王で角をもらうね」
リーブラ「ん・・・・・・こっちね」
草華「王手」
リーブラ「これは・・・・・詰み、ね」
草華「よーっし!これで100勝100敗で五分五分だ!」
リーブラ「くっ、折角勝ち越してたのに!」
カノン「対局お疲れ様です。お茶をどうぞ」
リーブラ「ありがとうございます」
草華「ありがとうございます」
カノン「それにしても、お二人は本当に仲がよろしいですね」
リーブラ「なんだかんだの腐れ縁ですから」
草華「腐りすぎて白骨化してそうだよね」
カノン「そうやって競い合っている姿を見ると、本当にそう思います。幽さんと桜さん、上海さんと蓬莱さんとオルレアンさんと世界さんのような関係とはまた違っていますから」
草華「昔っからこうなんですよ。お姉ちゃんマウントとりあってたんです」
リーブラ「勝った方がその日のお姉ちゃん権を得られてたんです」
カノン「お姉ちゃん権とはいったい」
リーブラ「まあ私の方が生まれは早いけど」
草華「私の方が年上っぽいけどね」
カノン「なるほど、昔からこうやってたわけですか」
今でもリーブラとは普通に遊びに行くし、普通にごはん食べたり普通に泊まったり普通に友達はしてる。他の幼馴染もそう。だけど、私がお姉ちゃんとして接さないのはリーブラだけ。きっと、私が素を出せるのもリーブラ相手にしたときだけ。
草華「タピオカチャレンジって知ってる?」
リーブラ「あの忌々しいあれね」
草華「ちょっとやってみようと思う」
リーブラ「無理よ、無理。あんなの安定するわけないでしょ」
草華「すいませーん。タピオカ黒糖ミルクくださーい」
リーブラ「私は普通のミルクティーで」
・・・・・・
リーブラ(ほんとに乗った!!)
草華「ず、ずるはしてない・・・・・押さえつけてもない・・・・・・!」プルプル
リーブラ「バランスとるのに必死ね。いや、でも土台が安定してない丸いものだとそうもなるか」
草華「このまま最後まで飲むんだっけ?」プルプル
リーブラ「いや、乗せるだけで成功のはずだけど」
草華「じゃあ、もう手に持ってもいいよね?いいんだよね?」
リーブラ「ちょっと待って、写真撮らせて」
草華「で、出来る限り早くね。急いで。おねがい」
リーブラ「そう言われるとのんびりしたくなるのが人間の心情」パシャッ
草華「そうは言いつつもちゃんと急いで撮ってくれるとこ、好きだよ」
リーブラ「私も写真撮るまでがんばってくれるとこは好き」
草華「まるでそこ以外は好きじゃないような物言いだね」
リーブラ「その無駄に大きい胸は嫌い」
草華「今ひどいこと言った!今この子ひどいこと言った!」
誰かに頼られるのが嬉しかった。みんなを引っ張っていくのが好きだった。そしてなにより、誰かのためになることをするのが大好きだった。そしてその誰かを考えた時に、真っ先に思い浮かぶのが香君だった。
香「草華はまた生徒会長やるの?」
草華「そのつもりだよ。それにほら、家庭科部ってマイナーだし人数も少ないから立場が弱いし」
ポラリス「そうそう。だから生徒会長になってこの部を守ってきたわけですよ」
香「ポーラさんってそう言うの多くないかな」
ポラリス「いやー、楽なとこ楽なとこに行こうとすると零細部に行きつくんだよね。もはやこれはdestinyだよ」
香「運命というかなるべくしてなってるというか」
草華「まあ中等部のころに生徒会長やってた子は大体高等部に来てもやってるんですよね。今の中等部の生徒会長は日輪ちゃんだよね」
香「そうそう。あれは草華の事を見て憧れてたんだよ」
ポラリス「物理の会長、権力の副会長。高等部でも有名だったよ、あんなmonstersが来るのかって」
草華「モンスターってひどくないですか!?」
ポラリス「通称Double Powers。口うるさいOB・OGを物理と権力で黙らせた話は学校中に広まってるのさ」
草華「むー。まあいいですけど。がんばって生徒会長になって、とりあえず空き教室を休憩部屋にできるようにしようと思います」
香「休憩部屋って」
ポラリス「なんかやらしいね」
草華「どうして?」
香「あ、ダメですポーラさん。これ本当にわかってないパターンです」
ポラリス「今どき珍しいね。Rareものだよ」
草華「よくわからないですけど、香くんもメンテナンスができる場所があったら便利だよね?」
香「まあそうかな。現状部室でやらせてもらってるけど、細かいパーツとかが散らばると危ないし油刺したりする環境でもないし」
ポラリス「なるほどねぇ。そういうやり方があったか・・・・・・」
多分私はすごくわがままで、自分勝手なんだと思う。相手の意思に関係なく、自分を押し通そうとする。お姉ちゃんだのなんだのは体のいい方便。でもね、私は本当に
草華「聞いたよ。リーブラを専属メイドに指名したとか」
香「うん。まあなんだろ、このままずっと今の関係性のままってわけにはいかないからさ。名目上だけでもなにか変えないとって思って」
草華「そっか。香くんもいろいろ考えること多いもんね。特に女の子関係」
香「まあ、ね。実際にそれで僕をずっと追いかけている子や、僕を妄信する子、そして、泣いていた子もいる」
草華「でもそれは、香くんが男の子として魅力的だから。って多分言われてるよね」
香「そうなんだよ。そしてそれは、僕の性質のせいdむぐっ」
草華「はーい、そこがだめー」
香「もがもが」
草華「性質だとかどうとか知らないけど、そういうのも含めて香くんなんだよ。私たちは香君の性質に惚れてるんじゃない。香君に惚れてるの」
香「もぶっ・・・・・・ちょっと待って。今、私たちって言った?」
草華「そうだよ?」
香「・・・・・・草華も?」
草華「そうだよ?」
香「・・・・・・そんなそぶり、全然なかったのに」
草華「もう、にぶちんさん。って言っても、私は見せないようにしてたから。でも、一応色んな人には言ってるんだよ?香君とそういう関係になるのは吝かではないって」
香「なんていうか、表現が遠回しと言うか・・・・・・でも、どうしよう。草華は本当に何も考えてなかった」
草華「他の子はもう考えてるの?」
香「考えてるって言うか、幽はもともと恋人だし、愛は幼馴染で、月美は親友で。アクアは保留してるけどリーブラは知っての通りメイド。で、アリスには専属秘書って言ってる」
草華「なるほどー。なんていうか、一人一ポジションって感じなんだ」
香「一応ね。今は学生だし、僕もまだ子供だから誰かをどうしようとか縛り付けることはできない。リーブラは別として」
草華「なるほどねぇ。だから自分を好いてくれてる女の子にはとりあえずそのポジションで納得してもらってるわけだ」
香「キープとかそんなつもりはないんだよ。ただ、やっぱりさ。泣いてる姿って、見たくないから。泣かせる位なら、受け入れた方がいいんじゃないかって」
草華「そっかそっか。香くんは、ずっとそれを悩んでたんだよね。月美ちゃんに告白されて、初めて自覚して、それからずっと」
香「・・・・・・草華には怒られると思ったけど」
草華「怒らないよ。それは、香君が悩んで、悩んで、悩んだ末に出した結論で、選んだ選択なんだから。そこに口出しなんて野暮なことはしないよ」
香「・・・・・・そこにこだわりすぎて、周りが全然見えてなかったみたいだけどね」
草華「いいんだよ。これから見ていけば。右も、左も、前も。今までは後ろしか見てなかったかもだけど、これからは見ていけるよね」
香「後ろだけ、か。そうだね。そういうことだったんだ」
草華「そう。後ろしか見てなかったところに、前を向いたから答えが出た。だから私は前を歩いてたの。香くんが悩まなくていいように。香くんが前を向ける様になったら、私のことが見えるように」
香「そっ、か。気付かなかったけど、ずっと、目の前にいたんだ。草華も、草華だけじゃない、たくさんの人が」
草華「うん。じゃあ、お姉ちゃんから問題です。ここからどうすればいいでしょうか?」
香「決まってる。草華は、そのまま前を進んでいてくれればいい。僕が後ろから追いつくから。追いかけて、隣に立ったところで、たくさん話をしよう。お姉ちゃんじゃない、草華と」
草華「・・・・・・んっ、120点!じゃあ、私は待ってるからね。でも、遅すぎると置いていっちゃうから。なるべく早めにね」
香「うん。ありがとう、草華」
草華「どういたしまして、香くん」
香くんを導いていきたいの。香くんに追いかけて欲しいの。そしていつか追いついて、お姉ちゃんじゃなくなった私を見て欲しいの。ね、香くん。
大好きだよ
草華「さてさて、第1回お姉ちゃん会議ー!」
リーブラ「・・・・・・これは何?」
草華「はい!お互いに幼いころからの気持ちの告白という一大イベントを終えたところですが!まだまだ私たちの関係は続いていきます!」
リーブラ「えっ、ちょっと待って。草華も、し、したの?」
草華「したよー」
リーブラ「ええっ!?いや、私知らないわよ!?だって香様昨日の夜は普通に帰ってたし・・・・・・」
草華「え、だって私がしたの夕方だよ?生徒会の仕事を片付けた後」
リーブラ「学校で!?」
草華「えっ、なにをそんなに驚いてるの?」
リーブラ「神聖なる学び舎で一体なにをしたっていうの!?むしろ香様はどうしてそれを承諾したの!?」
草華「え、いや、結局途中で終わったって言うかなんて言うか」
リーブラ「途中で!?」
草華「まあ私が前だから香くんは後ろだし、まあこれから先でいいよねって」
リーブラ「先も後もあるの!?」
草華「・・・・・・なんか、話が噛み合ってない気がする」
リーブラ「え、いや、でも、えっと、その、したのよね?」
幽「告白をね」
草華「そうそう・・・・・・あ、幽ちゃん。ごめんね、そういうことだから」
幽「ううん、香くんから事前に聞いてるから大丈夫よ。ていうか、私はむしろ推進派」
リーブラ「・・・・・こく、はく?」
幽「愛の告白よ。大丈夫、リーブラみたいにその先に行ってはないから」
草華「へっ、その先って・・・・・・ま、まさか、したってそういうこと!?」
リーブラ「ああああ!恥ずかしい!穴があったら埋まりたいぃぃ・・・・・・」
草華「ちょっと待って!香くんといったいなにをしたの!?もしかして私が思ってるよりリーブラって進んでるの!?ていうか幽ちゃん的に大丈夫なんですか!?」
幽「だから言ったでしょ、私は推進派だって。いっしょにしたし」
草華「一緒に!?」
リーブラ「その、さすがに私一人では申し訳ないので、幽さんに許可をもらいにいったらそういう話になってしまって・・・・・・」
草華「~~~~~~~~~~~っ、不健全!不健全だよ!もーっ!香くーーーーん!!!!!」
幽「そうね、今度は草華と、あと桜も一緒に」
草華「なにもしないから!!!!!!ね!!!!!!」
幽「そう、残念ね。でも、そういう話になったら一応教えてね」
草華「ううー、将来的には否定できそうにないから何とも言えないよぉ・・・・・・」
リーブラ「大丈夫。香様はプロよ」
草華「そのまったく安心できない情報やめてくれないかな!?」
リーブラ「まあ、それはともかく。経験数は私の勝ちね。一応土台は一緒なんだからカウントするわよ?」
草華「・・・・・・そういえばそうだった!そういえばかなり前にそんな話してた!あああーーーー!!!!ちょっと香くんのとこ行ってくる!」
幽「お供するわ」
草華「来ないで!・・・・・って言えないぃ!誰かぁ!助けてぇ!」