白雪「セラさーん!男の子紹介してー!!」
セラフィム「突然何!?」
白雪「身なりがしっかりしてて丁寧な応対ができてそれなりにスーツが似合う男の子が欲しいのー!」
セラフィム「あなたの希望高すぎないかしら?」
白雪「言い値出すからー!」
セラフィム「買わせないわよ!?」
セラフィム「えっと、つまり?」
白雪「男性スタッフが欲しいの。早急に」
セラフィム「それまたどうして?」
白雪「ウチの店、今のところ女性スタッフしかいないのは知ってるよね?」
セラフィム「ええ。あなたとリズ、リーリアさんとあとバイトの子が二人だよね?」
白雪「そうそう。フレデリア姉妹ねー」
セラフィム「人手は十分足りてるんじゃないの?」
白雪「お客さんが女性ばっかりになるのー!あと変な男も寄って来るしー!」
セラフィム「そうね、あなたたちみんな顔立ちも整ってるしスタイルもいいしそういうの目当ての人もいるかも」
白雪「こう、婚約指輪用とかに買って欲しい指輪とかもさ、中々売れなくて。やっぱ男の子が一人いるだけでも違うんじゃないかなって」
セラフィム「なるほどね。それで男の子を紹介して欲しいと。通報しなくてよかったわ」
白雪「通報!?」
白雪「ってことで宝石の価値を正しく把握してて身だしなみを整えられてて他人との会話で物怖じしなくて女性だらけの環境でも問題が起きない男の子を紹介して!」
セラフィム「今自分で言ってて無理だと思わなかったかしら?」
白雪「だってぇ!セラさんなら人脈広いでしょー!多少の無茶ぶり位なんとかなるでしょー!」
セラフィム「いくら人脈が広いといっても、私が紹介できるのはせいぜいうちの学生の子たちぐらいで、しかもその中でバイトを始めようと思ってる子なんて・・・・・・」
セレシア「いるじゃないですか」
白雪「セレアさん!」
セラフィム「えっ、マジ?そんなに都合のいい子いる?少なくともバイト募集の相談された子の中にそんな超人いなかったけど」
セレシア「バイト募集の方には行ってないようですから、彼は」
セラフィム「ええー、いい条件のバイト紹介するよって触れ込みしてるのに・・・・・・」
白雪「それじゃあセレアさん!その宝石を扱えてかっこよくて口が上手くて女の子に手を出さなくて私のお昼ご飯も作ってくれて掃除もしてくれる男の子を紹介してください!」
セレシア「条件が増えたのだけど・・・・・・まあやってくれるでしょうね、彼なら」
セラフィム「ちなみに、セレアは誰からその情報を?」
セレシア「それはもちろん――」
香「セレシアさんと学園長にすごくお勧めを受けて来たけど・・・・・・」
アリス「なーんか見たことある場所だよね」
香「見たことあるどころか何度も来たことあるし」
白雪「あー!香くんだー!やっほー、どうしたの?何してるの?暇?ごはん食べる?」
香「白雪さん。あ、いや、学園長からバイトの紹介を受けて来たんだけど」
白雪「えっ」
香「白雪さんがちょうどバイトを探してるって聞いて来たんだ」
白雪「・・・・・・宝石を扱えてかっこよくて口が上手くて女の子に手を出さなくて私のお昼ご飯も作ってくれて掃除もしてくれる男の子!!!!」
香「あの、白雪さん?」
白雪「歓迎するよ!ようこそ、ジュエリーショップ『ローザ』へ!」
香(不安だ)
冠光「姉さん、バイト志望の子は・・・・・・あら、香くん。こんにちは」
香「こんにちは、リズさん」
リーリア「あれ、香くん?どうしたの?」
香「おばさん、実はですね――」
ポラリス「Hi!香!」
香「えっ、ポーラさん!?」
ポラリス「YES!愛しの元部長、ポーラさんですよー!」
サリス「・・・・・・ああ、彼がポーラが言っていた子なのね。はじめまして」
香「あ、はじめまして」
白雪「はいはい、いったんみんな手を止めてー!んで奥に来てー!」
冠光「はい?」
ポラリス「Why?」
白雪「いいからいいから!あ、鍵閉めなきゃ。あとシャッター降ろさなきゃ」
リーリア「あの、まだ営業中なんですが」
サリス「???」
白雪「いいからほら、香くんも奥に行って!」
香「え、あ、はい」
白雪「はい注目!えー、かねてより我々が待ち望んでいた男性スタッフの新人アルバイトがついにやってきてくれました!」
ポラリス「ええ!?香が!?」
白雪「そう!香くんが新しいアルバイトです!」
香「え、あの、まだ決めてな」
リーリア「香くんなら安心だねー。彼女持ちだし」
ポラリス「女の子しかいない部活でもNo problemだったし!」
サリス「身なりも整えてきてるわね」
冠光「料理も掃除もできる」
白雪「ってことで今日はもう営業終わり!歓迎パーティーします!」
香「あの、面接とか契約書とか口座とか諸々は」
白雪「あ、そうだね。はい、今年のお給料」
アリス「いや、いきなり百万円ぽんと渡されても」
香「あの、まだ働いてないんですが」
礼丹「このお店って年俸制なんですか?」
ポラリス「私は月給」
サリス「私もよ」
リーリア「私も」
冠光「私もね」
香「不安しかないんですが!?」
白雪「あ、足りない?お姉ちゃんのポケットマネーであと5倍ぐらいまでならこの場で出せるよ?」
香「いや、そうじゃなくて!まだ何も決めてないのに!」
白雪「シフトなら週一でいいよ。日曜日にフルで入ってもらえたら嬉しいかな。あと出来高次第でお小遣いもあげちゃう!」
ポラリス「私が言うのもなんだけど甘すぎない?」
冠光「香くん、姉さんのお気に入りだから」
サリス「えこひいき・・・・・・」
リーリア「なるほど、つまり私も対抗してお小遣いをあげろと。今月はいくらほしい?今貰った額の10倍ぐらいなら銀行で降ろせるけど」
香「それを受け取ったら人間としてだめになる気がするんで受け取りません。ていうか、なんでいきなりこんな好待遇を?」
白雪「だって逃がしたくないし」
リーリア「かわいい甥っ子だし」
冠光「後の収益アップを考えれば妥当ね。ポーラ、パーティー用の買い出しに行きましょう」
ポラリス「あいさ!」
香「不安だ・・・・・・」
サリス(大丈夫なのかしらこの店?)
香「お待たせしました。ビーフシチューと七面鳥の丸焼き、あとからあげです」
白雪「はーい!それじゃあ、香くんの入社を祝って、かんぱ~い!」
「「「かんぱーい!!!」」」
サリス(気が付いたら新人歓迎パーティーがはじまってた。新人が作った料理で)
ポラリス「あれ、また腕上げた?」
香「料亭の娘さんから教わってるんです」
冠光「浮気案件?」
香「リズさんはすぐそういう方向に持っていくのやめてください」
リーリア「あー、どうだろうなー。香くんすぐ手を出しちゃうからなー」
サリス「ポーラ、こっちに来なさい」
ポラリス「香は悪い子じゃないから大丈夫だって!自覚しようとしてる無自覚なだけで!」
白雪「香くんのごはんおいしい・・・・・・これから毎週日曜のお昼休憩のご飯は任せるね」
香「え、休憩時間は家に帰ろうかと思ってたんですけど。アリスいるし」
白雪「だめ!香くんは私のためにご飯作るの!」
冠光「姉さん、いつのまにウォッカ一本空けたの?」
白雪「買い出し中に!」グビグビ
冠光「なるほど」グビグビ
サリス「二人とも!?それスピリタスよ!?ラッパ飲みするものじゃないわよ!?」
リーリア「雪国生まれだもんねー。お酒は飲むよねー」グビグビ
サリス「リーリアさんも!それテキーラ!せめて割って!」
アリス「あ、この焼酎おいしい」
ポラリス「ほんと?私にもPlease!」
サリス「ポーラ!あなた未成年でしょうが!」
クロ「・・・・・・」
礼丹「日本酒もたくさんありますね。家では飲めないから助かります」
香「アリスもクロも礼丹も・・・・・・」
白雪「香くん!」
香「はいはい、なんですか」
白雪「おかわり!」
香「わかりました、いれてきますね」
白雪「行っちゃだめ!お姉ちゃんから離れたらめっ!」
香「え、じゃあおかわりは?」
白雪「おかわり!」
冠光「香くん。姉さんにばっか構わないで」
リーリア「香くんも飲む~?」
香(助けて)
ルーチェ「・・・・・・SOSを受けて来てみたら――」
白雪「zzz」
冠光「おかしいでしょ!姉さんばっかり!私だって!私だって!もっとおっきいほうがよかったもん!」
リーリア「わかる?ほら、香くん。私今すごくドキドキしてるの。ね?ほら、触って?」
アリス「それぬいぐるみだよ」
クロ「・・・・・・」
礼丹「ああ、ルーチェ。来てくれましたか。ご覧のあり様です」
ポラリス「お姉ちゃん。このバイト先って大丈夫なの?」
サリス「やめてよ。私ここで内定もらったからそのまま働くつもりだったのに」
香「白雪さん、ここで寝たら風邪ひくよ。リズさんも、布団行きましょう。リーリアおばさんは迎えが来てくれたからそのまま帰って」
リーリア「どうしてそんなひどいこと言うの!?私も香くんとお泊りする!」
ルーチェ「リーリア?」
リーリア「お姉ちゃんもお泊りする!」
ルーチェ「しません。帰るわよ」
リーリア「やだー!まだ食べるのー!飲むのー!」
ルーチェ「ストップ」
リーリア「」
ルーチェ「それじゃあ、私はこのままこの子連れて帰るね」
香「はい、ありがとうございます」
ルーチェ「あと、もしここで働きたくなかったらウチに来てくれればいいから。香くんならなんでも真面目にやってくれるだろうし、アルバイト枠ぐらい用意するよ」
香「その時はよろしくおねがいします、ルーさん」
白雪「ん・・・・・・朝・・・・・・?」
冠光「あたまいたい・・・・・・のみすぎた・・・・・・」
香「でしょうね」
白雪「あれ、香くん?なんでいるの?お姉ちゃんに夜這い?」
香「朝だよ。二人ともすごく飲んでたからまともに動けないだろうと思って。はい、しじみの味噌汁」
冠光「ありがとう・・・・・・・おいしい・・・・・・」
白雪「いやー、香くんはいい嫁になるねー。ウチに来ない?」
香「僕には愛する恋人がいるから不貞は働かないよ」
冠光「ねえさん・・・・・・なんでへいきなの・・・・・・」
白雪「なんでかな?」
香「叔母さんも潰れてるみたいなんだけど、今日はお店どうするの?」
白雪「あー、サリスちゃん入ってるし大丈夫大丈夫。私も動けるし」
香「白雪さんって接客担当じゃないって聞いたんだけど」
白雪「担当じゃなくてもちゃんとできるよ!香くんに新人教育もしなきゃいけないし!」
香「え、今日から?」
白雪「え、だめ?」
香「・・・・・・まあ、いいけどさ」
白雪「やった!ありがとう!助かるよ!愛してる!」
香「はいはい」
サリス「あの、オーナー?いきなり彼を店頭に立たせるつもりですか?」
白雪「大丈夫大丈夫!香くんだもん!」
香「いや、僕が大丈夫じゃないんですが」
白雪「この宝石の名前は?」
香「ガーネット」
白雪「じゃあこっちの宝石の石言葉は?」
香「オパールは希望の象徴でしたっけ?」
白雪「この通り教育済みだよ!」
サリス「いつの間に?」
香「小さい頃に覚えさせられました」
白雪「九九を覚えるのと同じように宝石を覚えてもらったからね。私の趣味で」
サリス「付き合わされたのね」
香「当時は白雪さんも学生だったはずなんですけどね」
白雪「宝石店を運営することは決めてたの。だから将来の即戦力を用意しておこうと思って」
サリス「つまり、ここに彼がいるのはオーナーの目論見通り?」
香「みたいですね」
白雪「ふふん!それじゃあぱぱっと営業トークだけ教えるね。基本接客はサリスちゃんにやってもらうから、雰囲気をつかんでね」
サリス(私の時もそうだったけど、ほとんど本人に丸投げなのよね。無茶ぶりだわ)
―3時間後―
香「――それでしたら珊瑚がぴったりだと思います。こちらは『安産と子供のお守り』という石言葉がありまして、さらに言うと3月の誕生石なのです」
香「奥様のご出産が3月ごろとなるようですので奥様にとっても、そしてお子様にとってもぴったりですよ」
香「こちらのブローチでしたら悪目立ちはいたしませんので、どの服にも合い、どの年齢の方でもお使いいただけます。奥様がつけるのもよし、お子様が大きくなられてからつけるのもよしです」
香「こちらのネックレスですと――」
・・・・・・
白雪「今日の香くんの営業成績は35万円です!初日のマニュアル覚えたてってレベルじゃないよ!」
サリス「社員にならない?」
香「まだ高校生なんで却下です」
白雪「とにかく!即戦力なのはわかったのでお姉ちゃん満足です!お昼ご飯もおいしかったし!」
サリス「そうですね。ポーラに負けず劣らずだわ。ポーラあげるからウチに住まない?」
香「なんでフレデリア一族ってちょっと打ち解けたらすぐ身内に引き込もうとするんですか?」
アリス「お母さん側の生存戦略ー。味方をとにかく増やすべしという家訓が受け継がれてますのでー」
サリス「聞いたところによると私たちの先祖どうしは良好な関係だったみたいじゃない。これを機にまたいい関係を築きましょう」
香「戸籍上兄妹関係なんで十分良好です」
サリス「つまり書類上は親戚ね!」
アリス「書類上も赤の他人だよ」
香「ってなわけで今日からバイトが始まってました」
薫「なるほどねー。まあ白雪さんとこなら安心かー」
リリーナ「そういえばこの首飾りもローザで買ったものだったような気がします」
香「マジか」
玖美「お兄ちゃん、あたしも宝石欲しい」
香「大きくなって自分で買うか自分のパートナーに買ってもらいなさい」
玖美「もう十分大きいし!玖美ちゃん超発育のいいJSだし!」
上海「そういうのってお友だち価格とかありなの?」
香「社員割引とかはない。ただ原石は仕入れてくれるから、自分で加工するなら原石代だけでOKらしい」
蓬莱「はー太っ腹だなぁ」
香「あの店、加工は全部白雪さんがやってるんだけど、そろそろ職人を増やしたいそうで」
メアリー「ということはお兄様も作るんですか?」
香「ん、まあそうだね」
真恵「幽にあげるの?」
香「まだ何も言ってないんだけど」
アリス「お兄ちゃんがそういうのでまずプレゼントする相手って幽だし」
日輪「恋人だものね」
香「それはそうなんだけど・・・・・・」
薫「なによ、煮え切らないわね」
香「いや、なんでもない」
オルレアン「ちなみに、香様が加工したものはいくらで買い取れますか?」
世界「小切手でよろしいでしょうか」
香「プライスレスだよ」
マリン「当然だろう。香が作るものは贈る相手への専用のものに決まっている」
小梅「香が想いを込めて作る宝石加工品・・・・・・相当なマジックアイテムになりそうですね」
香「そんなつもりはないんだけど」
アリス「アリスちゃんの魔力と礼丹の神力とクロの謎力でお兄ちゃん放出するパワーはやばいことになってるからね」
メアリー「アリスと礼丹は私が早々に動き出すほどですし」
香「漏れてるのか・・・・・・」
草華「入学おめでとう、アクア。そして日輪ちゃん」
アクア「ありがとう。もう家庭科部には行っていいの?」
草華「どうだったっけ?」
リーブラ「ウチの学園には部活に入る時期の規定はないから大丈夫よ」
日輪「じゃあ今日からでも大丈夫なわけだ」
香「そういうと思って入部届、持って来てるよ」
日輪「流石、準備がいいわね」
香「リーブラが持たせてくれたんだけどね」
リーブラ「香様、それは内緒ですよ」
アクア「そんなことだろうと思った」
日輪「あの、ここってバイトとかどうなってるんですか?」
香「僕がしてるんだから大丈夫だよ」
日輪「兄さん日曜日でしょ。平日バイトとか」
リーブラ「大丈夫ですよ。もともと活動の参加に関しては自由です」
草華「ほら、私や幽ちゃんが家の手伝いがあったりしてちょくちょく抜けちゃうから」
愛「私も水曜日に喫茶店のアルバイトいれてるしね。なんならウチで働く?」
日輪「・・・・・・アリですね」
愛「あら、意外な反応」
日輪「一から探すよりも、紹介があった方が手間が省けますし働きやすいですし。今度空いてる日でいいのでお願いできますか?」
愛「もちろんよ。あ、香と一緒じゃなくていいの?」
日輪「私はあの店の人たちと働いたら胃に穴が空きます」
香「まるで僕も変人みたいな発言だな」
日輪「え」
香「え」
アクア「・・・・・・自覚なかったの?」
香「あの、え?みんなからの僕の評価って、え?」
リーブラ「香様は素晴らしいお方ですよ。類稀なるという意味では多くの人とは違っていると言えるでしょう」
草華「うーん、香くん遠慮ないからなぁ。いい意味でだけど」
香「上級生たちのフォローが逆に心に刺さる・・・・・・」
リル「香も日輪もアルバイトね。高校生の内から大変だけど、大丈夫?」
香「勉強に関しては自分でやってるのと、リーブラやアリスから教わってるのがあるから」
壮司「学業に関しては心配していない。お前も日輪も自分で自分を律することができるからな」
薫「うっ、胸が痛い・・・・・・」
リル「薫はエンジンがかかったら強いんだけどねー。地頭はいいから成績上記はキープしてたけど」
壮司「俺たちが心配しているのは体調面だ。疲れすぎで生活リズムが崩れるとか、体調を崩すといったことだけはないようにしてくれ」
日輪「大丈夫よ。私週2でしかやらないし」
香「僕も週1だから生活に影響はでないよ。テスト前の時期は休ませてくれるよう白雪さんに了承をとってるし」
リル「ならいいんだけど・・・・・・薫はたまにすごく根を詰めるときがあるから心配で」
壮司「姉弟だから似るところもあるだろうと思っている。いざとなったら無理にでも止めるからな」
リル「日輪もよ?あなたは真面目で頼みを断れないところがあるから」
香「わかった。ありがとう、父さん、母さん」
日輪「ありがとう。肝に銘じておくわ」
上海「アルバイト・・・・・・私も始めた方がいいのかな」
リル「やりたい、というのなら反対はしないわよ。ウチの子たちと一緒でね。理由にもよるけど」
上海「えっと、そろそろ働ける年齢だし家賃的なものを払うべきかなって」
蓬莱「んー、まあアタシら居候だしな。このまま何もしないってわけにも・・・・・・」
リル「ダメです。そんな理由で働くことは許しません」
上海「ええ!?」
蓬莱「オイオイ、なんでだよ」
リル「二人には家事をこなすことを家賃代わりとしてもらっているはずです。この家で過ごす以上、家族としての役割は果たしてもらいますといいました」
上海「それはもちろん続けるよ!」
リル「話はまだです。私たちはあなたたちが自立できるようになるまでは二人の保護者でいるつもりです」
壮司「・・・・・・余計な気は回さなくていい。金には困っていない。遊ぶ金欲しさにアルバイトするのはいいが、生活費と考えているのなら許可を出さない」
上海「普通逆じゃない!?」
蓬莱「でも、やっぱりなんだか申し訳なくて・・・・・・」
オルレアン「上海ちゃんも蓬莱ちゃんも、何を言ってるのですか」
上海「へ?」
オルレアン「今のままで足りていないと思うのなら、今まで以上に頑張ればいいだけですよ。居住条件が労働で返すということなのですから、それに見合った働きを自分ですればいいだけです」
世界「オルレアン様がお説教をしている・・・・・・今夜はお赤飯ですね」
虹香「今食べてるの晩御飯ですけど」
世界「過去にさかのぼってお赤飯を炊きましょう。私ならできるはずです」
リル「オルレアンちゃんが言ってくれた通り、申し訳ないと思うところがあるなら身体で支払ってください」
薫「上海は料理で、蓬莱は掃除でね」
蓬莱「リルさん・・・・・・。ごめん、ちょっと変に考えすぎてたみたいだ」
上海「私も、ごめんなさい」
アリス「思春期だからね。仕方ないよ」
世界「思春期になっても頭の中がお花畑なのはオルレアン様ぐらいですからね」
オルレアン「もう、褒めても何もでませんよ」
マリン「なるほど、言い得て妙だな」
真恵「ボクもお小遣い増やしてー!」
リル「ちゃんとお手伝いがんばったらね」
メアリー(そういえば、日輪お姉さまはどこでアルバイトするんでしょうか?)
愛「明さん、暗さん、バイト志望の子連れて来たよー」
明「え、ほんと?」
暗「珍しいわね。一日に二人も来るなんて」
愛「え?」
雪美「・・・・・・あれ、日輪?」
日輪「あ、雪美?」
愛「あら、知り合い?」
明「世間は狭いわね」
暗「というか、偶然というかなんというか」
明「二人とも人格に問題があるわけじゃないっぽいし、採用!」
暗「雇用契約書を用意しておくから、次回来るときに印鑑と口座番号を教えてちょうだい」
日輪「わかりました」
雪美「わかりましたー」
愛「まーまー、あんたらの関係はよくは知らないけど、私以外のバイトが増えてくれてよかったよかった」
雪美「雇ってくれて助かりました。サイボーグでも働けるところって中々なくて」
日輪「雪美の家って割とお金持ちじゃないの?」
雪美「それとこれとは話が別だよ。なんだかんだ体の維持費にお金かかってるから、せめて自分のお小遣いぐらいは自分でね」
愛「割とお金持ちなのは日輪もでしょ。制服の余りとかってありましたっけ?」
明「ないから発注しておくね」
日輪「発注、ってここってチェーン店かなにかでしたっけ?」
暗「腕のいい仕立屋がいるの。平山のもそこで頼んだわ」
愛「そもそもバイトいなかったしね、ここ。この制服は私デザイン」
日輪「ええっ!?」
雪美「平山先輩、すごいですね!」
明「仕立屋さん紹介してくれたのも愛ちゃんだしねー」
暗「私たちもこの服は気に入っているから使わせてもらっているわ」
日輪「・・・・・・愛さん、その仕立屋ってもしかして」
愛「キルさんよ」
日輪「ですよねー。世間は狭いというか、コネで来たから当然というか」
明「え、ソフライムさんと知り合いなの?」
愛「孫ですよ、この子」
明「あー、そうなんだ。ソフライムさん姉妹はウチのお店の常連だったりお菓子の仕入れ先だったりでいろいろと関わってるんだ」
日輪「え、叔母さんのお得意様?あー、あとであいさつしに行っておこう。お菓子グレードアップしてもらおう」
雪美「なるほど、世の中やっぱりコネか」
暗「姪っ子が働いてるとなると来る頻度も増えそうだし、メニュー開発が捗りそうね」
愛(連れてきてよかったのかなー)
愛「そんなわけで、こうして日輪がバリバリ働いてるわけ」
香「なるほどねー」
日輪「お待たせいたしました。ケーキセットをお持ちいたしました」
愛「さて、今日のケーキは・・・・・・んっ、おいし」
香「裏メニューケーキセット、通称余りもののオーブン焼き。今日は当たりだね」
日輪「わかってても言わないでよ」
香「僕も愛も知ってるし、今僕ら以外にお客さんいないしさ」
愛「そもそものキャパが大きくないしね。それで、香。あんた最近根詰めてるって聞いたけど?」
香「根を詰めてるというかなんというか、白雪さんに宝石加工を教わってるんだ。技術を早く身につけたいからちょっと頻度が多くなってるだけ」
愛「それを根を詰めてるって言うんでしょー。幽さんもおばさんも心配してたわよ」
香「まあまあ、もう少しで納得のいくものができそうなんだ。それさえできれば落ち着くからさ」
愛「それ私に言われても困るんですけどー」
香「愛に話振っといたらその辺うまくごまかしてくれるだろ。ほら、ケーキ奢るからさ」
愛「ったく、いいように使ってくれるねぇ。ま、身体だけ壊さないようにしなさいよ」
日輪(兄さんと愛さんのこの気の置けない関係が羨ましい。遠慮がないというかなんというか)
愛「そんなすごい顔で見つめられても、別に香を取ったりしないわよ」
日輪「はいぃ!?わ、私そんな顔してた!?」
愛「してたしてた。もうすっごい顔」
香「日輪、コーヒーのお代わりをお願いできるかな」
日輪「え、あ、うん!少々お待ちください!」パタパタ
愛「いやー、可愛いわねー日輪ちゃん。彼氏できたての薫さんみがあるわー。姉妹って似るものねー」
香「元はとこだから血のつながりはないんだけど」
愛「そういうこと言わないのー。人の性格って血筋だけじゃないんだからね。環境とかの人格形成って大きいんだから」
香「・・・・・・よし!完成だ!」
白雪「おめでとー!お疲れ様ー!うんうん、中々に上出来だよ。贈り物には十分!」
香「ってことは店頭に出せるほどじゃないってことだね。まだまだ精進しないと」
白雪「でもでも、デザインに関しては見習いたいとこがあるかな。このハートの髪飾りとか特に」
香「ハート型に成形するのが難しいからと知恵を絞った結果だよ。ま、でもデザインに関して愛に・・・・・・幼馴染に負けてられないから」
冠光「あら、珍しいのね。香くんがライバル心を見せるなんて」
香「リズさん?ああ、もう休憩の時間か」
冠光「今回作ったそれは、無料でいいわよ。原石代は私が出しておくわ」
香「え、いいんですか?」
冠光「私からの遅めの入社祝いってことで」
白雪「自分で作ったから人件費もかかってないしね」
香「あ、でも白雪さんには付きっ切りで教えてもらってたけど」
白雪「いーのいーの。オーナー直々に指導してるんだから問題ない!」
香「そっか、オーナーが言うなら仕方ないね。ありがとう、白雪さん、リズさん」
白雪「どういたしまして」
冠光「ふふっ、私の情報統制は完璧だからね。香くんのサプライズはうまくいくわよ」
香「はい。本当に助かります。これで――」
愛「どうしたのよ、香。突然呼び出して」
アクア「しかも、この6人だけで集まるなんて。いつぶりかしら?」
草華「私もそうだけど、お友だちができたり、香くんには恋人ができたりして私たちだけでってのはなかったよね」
アリス「そうだねー。しかも最近お兄ちゃん忙しそうにしてたし」
リーブラ「私ですら調べることができなかったのですが・・・・・・香様、一体何をされていたのですか?」
香「ほら、僕ローザでバイトし始めて1年弱ぐらい経つだろ?それで、折角宝石店で働いてるんだからって思って」
愛「え、いや、そういうのは幽さんにしてあげなさいよ」
香「うーん、それも考えたけど・・・・・・幽には将来的に別のものを贈る予定だからさ」
アクア「突然惚気るのやめて」
リーブラ「あの、香様?あまり高価なものは私は・・・・・・」
香「ってことではい、これを愛に」
愛「私?」
香「こっちは草華に」
草華「あ、可愛い箱」
香「これがアクアで」
アクア「これは口に入れて大丈夫な物?」
香「やめてくれ。そしてこれがリーブラ」
リーブラ「ありがとうございます、香様」
香「そしてこれがアリス」
アリス「わーい!いや、アリスちゃんをもってしても中身が想像できないんだけど、何が入ってるの?」
香「それは開けて確かめて欲しいな」
愛「それじゃあ、開封!」
愛「わっ、これ、髪飾り?」
草華「あ、マーガレット型!かわいい!」
アクア「このうにょうにょは・・・・・・・?」
リーブラ「それは水瓶座のシンボルね。そして私のこれは天秤座のシンボルですね」
アリス「んー、トランプのダイヤ型かな?綺麗な四面体だ!」
香「白雪さんに教わりながら作ったんだ。一応お墨付きはもらえんだけど・・・・・どうかな」
愛「中々洒落てるじゃない。ハートマークってことは私の名前にちなんだってことよね?」
香「うん。愛の髪飾りに使ったのはルビーとピンクオパールだよ」
草華「じゃあ私のマーガレットも、草華って名前から花型にしたのかな?」
香「そうそう。草華のにはセレナイトとトパーズを」
アクア「吸い込まれそうな青・・・・・・とてもきれいね」
香「アクアはアクアマリン。宝石の方もいいかんじだったからね」
リーブラ「私のこれは、ネフライトですね。とても素敵です」
香「よく知ってたね。その通りだよ」
アリス「お兄ちゃん、私のは?」
香「レッドスピネルだね。実はそれが一番時間がかかった」
アリス「うん、綺麗な断面だもん。きっとすごい丁寧に、時間をかけてやってくれたんだよね」
愛「あー、どうしよう。お返しとか用意できそうにないわね。ま、でも・・・・・・まずはありがとう、香」
草華「香くん、こんな素敵なものをありがとう」
アクア「これはさすがに口に入れられないわ。大事に使わせてもらう。ありがとう、香」
リーブラ「ありがとうございます、香様。こんなにも香様に愛されていて・・・・・・私は幸せ者です」
アリス「ありがと、お兄ちゃん。これは、ずっと大事にさせてもらうからね」
香「うん、喜んでくれたみたいでよかった。僕の方こそ、いつもありがとう。そして、これからもよろしく」
「「「「「こちらこそ!」」」」」
アリス「んー、しかしまあ、これやっぱりマジックアイテム的な側面がすごいねー」
香「え!?そういうの無いようにするために、あとリーブラとアリスにバレないようにするためにシャットアウトしてたのに!」
リーブラ「なるほど、リズさんの力で・・・・・・でしたら私が調べられなかったのも納得です」
愛「マジックアイテムって、具体的にどんな感じなの?私でも魔法出せるの?」
アリス「んーとね、わかりやすくマジックアイテムって言っただけで実際は魔力はそんなにこもってなくて、とんでもない量の神力と謎力がつまってる」
アクア「つまり、礼丹とクロのせい?」
草華「ということは、これってご利益あるかな?」
香「え、どうなんだろう。リズさんなら鑑定できると思うけど」
礼丹「・・・・・・その宝石は、幸運を貯めこむことができます」
アリス「わっ、礼丹!?珍しい、草華と愛の前で出てくるなんて」
礼丹「一応説明はしておくべきかと思いまして。身に着けているだけで運気が上がるという効果がありますが、それ以上に幸運の貯蔵器としての側面が大きいです。ある程度の不幸ならすべて跳ね飛ばしてしまうほどに」
クロ「ついでに、私仕様簡易減光結界を入れておいた。乙女の玉肌を憎き紫外線から守ってくれるはず」
リーブラ「夏の海でも快適に、そして安全に過ごせそうですね」
草華「二人とも、わざわざ力を入れてくれたの?」
礼丹「憎き仇敵ではありますが、あなた方は香を守ってくれる存在でもありますから。信仰が失われ、力を使い切ったばかりのわたくしにとってはこれくらいが精一杯です。あくまで香を守るためですが」
クロ「・・・・・・」
草華「もー!二人ともいい子すぎだよー!ハグしちゃうー!よしよしだよ、よしよしー!」
礼丹「ひゃあっ!?離しなさい!憎い脂肪の塊が!」
クロ「・・・・・・」
リーブラ「ふふ、そうですね。折角ですし、時間が合うタイミングでみんなで海にでも行きましょうか」
アクア「でも、もうすぐ玖美たちがあの別荘は使うんでしょ?私たちだけってのは厳しくない?」
リーブラ「その後でいいじゃないですか」
香「あー、海かぁ・・・・・・海かぁ・・・・・・」
愛「大丈夫よ、キルさんが防水スーツとか作ってくれるって」
アリス「う、海か・・・・・・」
草華「大丈夫!船に乗らなくてもいけるから!ね、リーブラ」
リーブラ「ええ。風情が無いかもしれませんが、アリスのトラウマを呼び起こすつもりはありません。私の能力でひとっとびです」
アクア「じゃ、今から詳細な日程決めよっか」
愛「オッケー。日輪、おつまみセット追加でー」
香「コーヒーもおかわりを頼むよ」
日輪「あ、話終わった感じ?すぐ持ってくるから待ってて」
アクア(・・・・・・あの制服かわいい。私もバイトしたいなぁ)