玖美「アリスー」
アリス「ん、なに?」
玖美「アリスってさ、おばけなんだよね?」
アリス「そうだよ」
玖美「でもさ、この本におばけはかがみにうつらないってかいてるの」
アリス「むしろ鏡にしか映らないオバケとかもいると思うんだけどね」
玖美「ねー、なんでー?なんでアリスはうつるのー?」
アリス「だってアリスちゃん質量もってるし」
玖美「しつりょーってなにー?」
アリス「体重」
玖美「えっと、アリスは重いからうつってるの?」
アリス「そう思ってもらって構わないよ」
香「玖美がアリスはデブだって言いまわってたんだけど」
アリス「あのクソ妹あとでぶっとばす」
玖美「だってアリス重いからうつってるって・・・・・・」
アリス「ちゃんと科学的な根拠を説明しても8歳の玖美にはわかんないでしょ?だからわかりやすく言っただけ」
薫「それよりもお姉ちゃんとしてはアリスが幽霊なのに体重が21グラム以上あることにびっくりだわ」
アリス「それ俗説だよ」
薫「えっ」
香「日輪的にはその辺どうなの?」
日輪「兄さんが私に何を求めているのかわからない」
薫「あの、ちょっと。今私衝撃的なことを聞いたんだけど」
香「ほら、巫女的なあれで幽霊と話したりとかできないの?」
日輪「巫女に夢見すぎ。そもそも私は知っての通りなんちゃって巫女だし」
アリス「ガチの由緒正しい巫女の血筋が何を言いますか」
薫「20年ぐらい信じ続けてたことなんだけど、ねぇ」
日輪「大事なのは血じゃなくて魂だってのは幽霊のアリスがいちばんわかってるでしょ」
アリス「いや、アリスちゃん魔女の血筋で魔法使ってるから血筋って大事だと思ってるけど」
日輪「兄さん、祓っていい?」
香「だめー」
薫「・・・・・・くすん」
リル「不思議なのよね、アリスに実体があるってこと」
アリス「魔法で作ってるだけだよ?ものすごく雑な言い方すると体自体はゴーレムだし」
玖美「ゴーレム?」
アリス「魔法で作った動く土人形」
日輪「どうやって動かしてるの?ポルターガイスト?」
アリス「そう言われてもなぁ、自分の手足を動かす方法に疑問を持たないのと同じように私の体も普通に動いてるんだよ。普通に」
香「あ、そうだ。実体がないってことなら礼丹と小梅もそうなんじゃないの?」
礼丹「え、ここでわたくしに話を振りますか?」
薫「そりゃ振られるでしょう。小梅は今どこにいるの?」
リル「うーん、さっき和室でお茶を飲んでたのは知ってるんだけど」
小梅「呼びました?」バタン
薫「うわっ!?びっくりした!」
日輪「なんで棚の中から出てくるんですか」
小梅「こっちの方が超常現象っぽいかなと。そしてお答えしましょう、私には実体があります」
礼丹「わたくしも一応ありますよ。本当に一応ですけれど」
玖美「なんでいちおーなの?」
礼丹「アリスが魔法で作ったものと違って、わたくしの体は信仰心でできています。そこの仕組みを詳しく話せと言われてもわからないのですが、まあとにかく元が質量の無い物なので出たり消えたりも自由自在ということです」
小梅「妖怪の私は畏れからできています。人々の「運」への恐怖や不安などの負の感情が元ですね」
日輪「不可解なのは服ごと消えるじゃん、あんたら。自前のじゃなくても。あれ、どうやってるの?」
礼丹「それは、そういうものとしか」
小梅「アリスはどうなんですか?」
アリス「アリスちゃん霊体になるときは部屋に服全部置いてくるよ。それも面倒だから最近は服ごと錬成してるけど」
玖美「??????」
薫「玖美が理解できてなさげね」
香「大丈夫だよ、玖美。僕もぜんぜんわかってない」
日輪「私もねー」
薫「質量のないものが質量に代わるっていう質量保存の法則を無視したのが気に入らないんだけど」
礼丹「気に入る気に入らないという問題ではありませんが」
香「母さんはどうなの?」
リル「私は魔法もバリバリ使えるオカルト派だから」
薫「母さんの魔法って、見たことないんだけど」
リル「あら、そうだったかしら?」
アリス(鏡ってのは、光の反射)
アリス(私たちが目にしている光景風景は光が物体にぶつかって、吸収されなかったものが反射しているもの)
アリス(だから、本来幽霊の私は鏡には映らない。そして、魔力で作ったアストラル体では一般の人間の目にも映らない)
アリス(だけど、この状態でも、私の体は鏡に映っている)
アリス(鏡の能力を使っているつもりはない。だけど、この能力を手にする以前では映っていなかったのは確か)
「知りたい?その理由」
アリス「いや、見当ついてるから大丈夫です」
「えっ」
アリス「大方私に憑りついた鏡の神様が映してるか、もしくは神様本人かどっちかでしょ」
「ふふ、両方正解で両方間違い。鏡が映すのは、あなたではない。あなたの、理想」
アリス「はい?」
「あなたは決して自分の姿を鏡で見ることはできない。あなたが見ている虚像は、あなたの理想を映しているにすぎないのだから」
アリス「・・・・・・あんた、それ私自身と見比べてから言ってみなよ」
「ふふ、何を言って・・・・・・あれ?」
「あれ?あれ?なんでそのまま映ってるの?こんなはずがない!だって、私は――」
アリス「そりゃ当たり前でしょ。アリスちゃんはこの世で一番の美少女、私の理想は私自身なんだから」
「え、なにそれ」
アリス「んー、やっぱりいつみてもチャーミング。サラサラの髪、小さな顔、大きくぱっちりした目、主張しすぎずバランスのとれた体形」
アリス「まあ、魔法で実体作った時にそのまんま身体を作ってるのを考えたら当然でしょ」
「ほ、本来のあなたは」
アリス「まあさすがに死んだときの姿そのままは醜いを通り越して視界に入れたらヤバイレベルだから見せないけどさ。いくら美少女とはいえ餓死死体はねー」
アリス「で、あんたは誰?理想を映すとか言ってたけど、もしかしてナルキッソス?」
「いや、違う。私は、アリス」
アリス「ああ、なるほど。理想の少女像の方か。んで、元ネタの不思議の国のアリス要素が混じって鏡にねぇ、ふーん」
「なんで名乗っただけでそこまで理解できるの!?」
アリス「私ってばただの美少女じゃなくて天才なんで。んで、あんたも私もアリスだとややこしいから・・・・・・」
アリス「うん、あんたはアイリスで」
アイリス「えっ?あの、どういうこと?」
アリス「苗字はどうしようかな、礼丹に相談するのは癪だし・・・・・・鏡の向こう側に渡るってことで渡辺でいいか」
アイリス「そんな一般人的な名前嫌なんだけど!?そもそも、私はア「イ」リス」
アイリス「・・・・・・被せないで!」
アリス「いやー、礼丹からお前の神はトート以外にどこいったって聞かれて困ってたのが解決したよ。じゃ、礼丹のとこまで引っ張るか」
アイリス「ふっ、この私を鏡から出そうなんて愚かな。ここは私の世界、何人たりとも干渉は」
アリス「ハンマー・オブ・ガイア」
アイリス「か、鏡の中に魔法の土を作り出すなんて・・・・・・」
アリス「実体作ってー、結界で閉じ込めてー、リングで拘束してー、さあ行くよー」
アイリス「えっ、あのっ、私動けないんだけど、鏡の中に戻れないんだけど、あの、ちょっと?」
アリス「あ、ここ地下室だから階段あがる時に頭ぶつけまくるかもしれないけど許してね」
アイリス「自分で歩くから拘束といてよー!」
アリス「やだ」
アイリス「うう、頭痛い・・・・・・」
礼丹「はあ、あなたがアリスに憑いてる・・・・・・」
香「僕に憑りついているアリスに憑りついているアリスか」
アリス「二重憑りつきのダブルアリスだよー」
アイリス「なんなのこいつ、私の力が全然敵わない」シクシク
アリス「んで、こいつにも戸籍とらせたいんだけど、どうすればいいんだっけ?」
香「唐突だなぁ。その辺は父さんがやってくれてたからなんとも」
アイリス「えっ、戸籍?なんで?」
アリス「職務質問されたときに困るでしょー。お嬢ちゃんどこから来たの?ないすちゅみーちゅーとかさー」
礼丹「その言い方は経験済みですね」
アリス「日本国パスポート見せて私はれっきとした日本人ですって言ってるけどね」
礼丹「出身はイタリアですよね?」
アリス「500年日本に住んでるからもう日本人でいいでしょ。国籍条項的にも帰化できるって」
礼丹「まあわたくしたちもあの岩戸ができたころからここにいますからねー」
アイリス「私たちにとってアレはただの出口であって住まいではなかったでしょ」
礼丹「いや、わたくしは本当にあそこにいましたよ。あまりにも信仰が消えすぎててやばかったので存命のために仕方なく」
アイリス「えっ、本当に?」
香「あそこの神様ってそういう人たちばっかりなの?」
礼丹「そうですよ。そこのア「イ」リスが異端なのです」
アイリス「被せないでって!」
アリス「アリスはアリスちゃんだけでいいの!あんたはアイリス!それとも真のアリスをかけてバトる?ボコボコにするよ?動け無くしてからタコ殴りだよ?」
香「こら、本当にタコを召喚するな」
礼丹「これタコじゃなくてクトゥルフなんですけど」
アリス「とりあえずアイリスはおひとりさま限定のタマゴとかそういうの買う時に人手になってほしいからさっさと戸籍とらせないとね」
アイリス「えっ、パシリなの?私パシリになるの?」
礼丹「一つ言っておきましょう。この家で神の立場は全くと言っていいほど高くないですよ」
香「礼丹にお使いは行かせないけどね」
アリス「犬にほえられて卵落とすし、ペットボトルに躓いて持ち帰りのカレーダメにするし」
アイリス「うわぁ」
礼丹「その話は言わなくてよくないですか!?」
壮司「戸籍の取得自体は構わない。こちらで手を回しておく」
アリス「いやー、さすがだねお父さん。頼りになる!」
日輪「おじ・・・・・・父さんと母さんのコネってすごく特殊よね」
リル「昔取った杵柄よ~」
壮司「で、それはいいんだが一つ質問がある」
アリス「はいはい、なーに?」
壮司「風流じゃだめなのか?」
アリス「私と被るからダメ」
アイリス「でも渡辺はやだよっ!そこのアストライアーみたいなカッコいい苗字がいい!」
礼丹「廻谷ってそんなにかっこいいですかね?」
香「うん」
薫「風流も結構いいって言われるけどね」
壮司「俺はぜひとも風流にしたいんだが」
リル「娘が増えるのは大賛成よ~!」
薫「妹が増えるのも大賛成よ!」
アイリス「仮に風流になったとしてもフレデリアと違って私は享年じゃないから一番年上になるんだけど」
アリス「アイリスの原典みたいな不思議の国のアリスが1865年刊行だから、160歳ぐらい?若いねー」
壮司「・・・・・・俺より年上の娘、だと?」
リル「大丈夫、私よりは年下よ!」
アイリス「うう、他の神勢にも若い若いって言われ続けて・・・・・・」
礼丹「実際に新参ですしね。文明が発展してから生まれた神ですし」
日輪「礼丹は?」
礼丹「そうですね、黄金時代にはすでにいましたとだけ」
香「時代が変わって人も変わって、そんな中でも最後まで地上に留まった正義の神。それがアストライアー」
リル「あら、礼丹ちゃんのために調べたの?」
香「日記に書いてあった」
礼丹「えっ」
アリス「トートの力でダウンロードしといたよー」
礼丹「えっ」
壮司「年上の娘・・・・・・ありか、なしか・・・・・・うーむ」
玖美「もうおねーちゃんふえなくていいとおもう」
薫「妹が増えるのは歓迎だけど長女ポジは譲りたくないから却下」
日輪「兄さんは?」
香「アリスが嫌がってるから反対ってことで」
アリス「さっすがー!話がわかるー!」
礼丹「あの、わたくしの日記どこまで読んだのですか?あの、もしかして最後までとか、あの、ねえ?」
アイリス「あー、もー!勝手に決めないで!私はアリス!アリス・リデルなんだから!」
アリス「あー、見た目が全く同じってのもダメだね。そいやそいやっと」ポポンッ
アイリス「!?」
玖美「かみのけのいろがかわった!」
香「銀髪?」
アリス「鏡をイメージしてみました」
薫「本人の許可なく見た目を変えるのはさすがに・・・・・・」
アイリス「ふ、ふーん。まあ、いいんじゃない?この髪、私のイメージにもぴったりだし?まあいいんじゃない?」
薫「気に入ってた」
アイリス「んで、これから私はどうすればいいの?」
アリス「ん?ああ、もう鏡の中に戻っていいよ」
香「扱い雑だなー。まあ、なんだ。今後ともよろしく、アイリス」
アイリス「だからアリスだって・・・・・・もういいや。名前一緒なのも面倒だし」
アリス「なんにせよ、これで人手が増えたわけだし、これから買い物とか楽になるよー」
香「でもアリス、アイリスはその辺り大丈夫なの?礼丹みたいに信仰無さ過ぎてカラスに負けたりしない?」
アリス「不思議の国のアリスが某ネズミさんの傘下に入ってるから大丈夫だとは思う」
アイリス「女の子が理想の自分を抱き続ける限り、私の信仰が無くなることはないよ」
香「なるほどねー」
アリス「まあ現代の神様勢はアリアエル一強でそれ以外はアリスちゃんの足元にも及ばないけどね」
香「なんでそう喧嘩腰なんだ、アリスは」
アリス「ほら、ペットの躾ってまず上下関係をわからせることからでしょ?」
アイリス「私ペット扱い!?」
香「なるほど、一理ある」
アイリス「うわーん!味方がいないよー!」
「やっと、やっと見つけたわ・・・・・・」
香「アリス、なんか言った?」
アリス「いや、何も?」
アイリス「私も喋ってないよ」
礼丹「香、窓の外に幸が薄い死神がいます」
香「え?」
「誰が幸が薄い死神よっ!・・・・・・否定はできないけど」
アリス「えーと、あんた誰?」
「私はニケ。ニケ=ネクロヴァイス」
香「えーと、はじめましてネクロヴァイスさん。僕は風流香です。12歳です」
ニケ「あなたに用はないわ。私はそこの幽霊、そう。アリス=フレデリアに用があるの」
アリス「んー、私?なんだろ、冥界の人に怒られるようなことをしたつもりはないんだけどな」
ニケ「あなたの魂は本来500年前に冥界に送られる予定だった。それが何の因果かずっと現世に留まって・・・・・・」
ニケ「おかげで500年間探し回ったわよ!あんたの故郷とか!いろいろ!」
香「えっと、つまり?」
ニケ「私はあなたを回収しに来たの。さあ、私と共に冥界に来なさい」
香「おい、ふざけるな。何を言って――」
アリス「まーまー、お兄ちゃん待ってよ。あの子は多分下っ端の下っ端、上司から多分忘れられてる可哀想な子なんだよ」
ニケ「誰がかわいそうな子よ!もういい!問答無用で回収してやる!黄泉斬り!!!」
ザンッ
アリス「ありゃっ?」
香「アリス!」
アリス「あー、残機が一個減った。回復しとこ」
ニケ「・・・・・・あれ?」
アイリス「あのー、ごめんね。アリスは私の影響で成仏できなくなってるの」
ニケ「は?え?は?えっと?どういうこと?」
アリス「えっとだね、つまり」
香「このっ―――」
リーブラ「死に晒せ」
バキッ
ニケ「っっっ~~~~~~~~~~!?」
ニケ(なんかいきなり現れた女に全力で殴られた。鼻血が止まらない)
香「えっと、リーブラ?」
リーブラ「香様が手をお汚しになる必要はありませんわ」
礼丹「今説明しようとしていたところなのに・・・・・・まあ、香が殴りかかろうとする気持ちも、リーブラが代わりにやる気持ちもわかりますけど」
ニケ「な、なに!?あんた誰!?」
リーブラ「あなた如きに誇りある我が名を教える必要はありません。このまま太平洋の底にでも送り込んで差し上げますよ」
香「部屋が水浸しにならない?大丈夫?」
アイリス「アリスが消滅されたら私も困るから、一応今こいつ鏡で捕捉してるけど・・・・・・このままでいい?」
リーブラ「ありがとうございます。ではすぐにでも深海にまで落ちてくれそうな金属の塊を探して参ります」
香「なるほど、それにくっつけて落とすのか」
ニケ「あ、あの、ど、どういう相談をしてるの?」
香「君を消す方法」
アリス「わーわー!待って、待ってよ!アリスちゃん大丈夫だから!二人とも落ち着いて!」
アリス「もー、お兄ちゃん私のこと好きすぎでしょ!んでリーブラもそれに乗じない!」
リーブラ「私は今の平穏が壊されるようであればどんな手段を用いてでも守って見せますよ」
アリス「二人ともステイ!もう、アリスちゃんのキャラはまとめ役じゃないのに!」
ニケ「」ガタガタガタガタ
アリス「んで、ニケだっけ?あんたには悪いけど、私は成仏できないの。自分の意思じゃなくて、そういう【呪い】なの」
ニケ「え、えっと、呪い?」
香「だから無理矢理成仏させようものなら存在そのものが消滅するんだよね?」
アリス「うん」
ニケ「え、じゃあ、私の仕事・・・・・・」
アリス「多分もう完遂不可だよ。諦めて帰りなよ」
ニケ「で、でも!死神はちゃんと魂を回収するまで帰れないのよ!だからアンタが冥界に来てくれないと・・・・・・」
香「冥界、冥界か・・・・・・ちょっと待って。母さんかおばあちゃんに連絡つくかな」
ニケ「え?」
香「え、本当に?直接来るの?マジで?」
ルルト『そうそう。そろそろ香水とか入浴剤とか買いたいーって言ってたし、ついでに買うってさ』
香「あー、じゃあ迎えの準備しとかなきゃ。うん、ありがとう、ルルトさん」
ルルト『どういたしまして。明日には到着すると思うから。それじゃあボクも仕事あるし、またね』
香「はい、また今度来てね。それじゃあ」
アリス「どうなったの?」
香「冥界の一番偉い人に来てもらうことになりました」
ニケ「ええっ!?」
リーブラ「上司に頼んで消してもらうのが一番ですね。では何をご用意しましょうか?」
香「入浴剤とか香水とか言ってたから、お土産に出来そうなやつを」
リーブラ「畏まりました。叔母様からせしめてきます」
アリス「セラさん、ごめんねー」
香「じゃあ、一応傷は治しておくか。回復回復っと」ポワァ
ニケ「あ、あれ?あなた、回復魔法を使えるの?」
香「むしろこれしか使えないんだ」
アリス「あと、私はもう気にしてないからあんまり可哀想なことしちゃダメだからね!ただでさえこの子幸薄いんだから!」
香「それは見ればわかる。幸運の絶対量がそもそも小さい」
ニケ「えっ」
礼丹「生まれついての不幸者ですね。どうしようもありません」
アイリス「器が小さいと水入れても溢れちゃって勿体ないからね」
ニケ「あの、私っていったい」
ダークネイク「知らないわ」
香「あれ?」
アリス「ほら、あれでしょ。シェリアが魔界の住民全員把握してないみたいなもんでしょ」
ニケ「あの、冥王様ってマルファート様だったはずなんですけど」
アイリス「ほら、こっちも知らないって言ってるよ」
ダークネイク「母と世代交代したのは300年ほど前よ。その時は20年ぐらいかけて冥界の住民の戸籍みたいなものを一新したんだけれど」
アリス「あー」
香「なるほどー」
ニケ「えっ?えっ?」
ダークネイク「外に出て魂を回収してくる死神の下っ端たちも回収するのは死にかけの魂ぐらいだから、何らかの事情があっても20年の幅があれば帰ってこれるだろう・・・・・・と母やレーラさんと話し合って決めたのよ」
ニケ「あの、私500年間ずっとアリスの魂を探し続けてて・・・・・・」
ダークネイク「それならそれで一度報告をしに戻ってくればよかったのに」
ニケ「死人の魂が無いと冥界まで戻る力が無くて、戻れなくて・・・・・・」
ダークネイク「おかしいわね。不測の事態のために現場の者には帰還用の命の石を持たせていたと母からは聞いているのだけれど」
ニケ「その、たまたま立ち寄った街で黒い魔力の塊に襲われて、そのときに飲み込まれて・・・・・・」
香「黒い魔力の塊?それって触手っぽかった?」
ニケ「ええ、そうよ」
香「それで、出所は黒くて丸い球体?」
ニケ「よくわかったわね」
ダークネイク「・・・・・・シェリアか、あいつ」
香「その辺の話知ってそうなのだと・・・・・・叔母さんかなぁ」
ダークネイク「まあ、なんにせよもうどうしようもないわね。今から冥界に戻ってきても死神登録が消えてるし」
ニケ「えっ、そ、それじゃあ、わ、私は・・・・・・」
ダークネイク「可哀想だけど、もどっても仕事も家もないわよ」
ニケ「そんな、私、じゃあ、なんのために、ずっと」
ダークネイク「別にいいんじゃない?地上はいいところよ。食事はおいしいし空気はよどんでないし空は明るいし」
ニケ「うぅ・・・・・ひっく・・・・・わたし、もうなんじゅうねんもまともにごはんたべてない・・・・・・そらがあかるいとたましいでてこないし・・・・・・」
香「散々だね」
アリス「さすがにちょっとかわいそうになってきた」
礼丹「でも彼女の幸運、今が最高値ですよ?」
ダークネイク「・・・・・・本当にどうしようもないわね」
ニケ「もう、どうしたら・・・・・・」
香「リーブラー」
リーブラ「はい、お呼びでしょうか?」
香「せめて家なんとかならないかな?」
リーブラ「よろしいんですか?アリスちゃんを襲ったことを考えればこのままひんむいてほっぽり出してもいいと思っていますが。もしくは無理矢理冥界に帰すか」
ニケ「か、帰れるの!?」
ダークネイク「ほう、どうするのだ?」
リーブラ「冥界は死者がいくところでしょう?じゃあ」ジャキッ
ニケ「ひっ!?」
リーブラ「とりあえず頭に穴が開けば帰れるんじゃないでしょうか?」
ダークネイク「アリスに手を出したの?・・・・・・さすがにそれは擁護できないわね」
ニケ「そ、そんなぁ!」
ダークネイク「アリスが風流である以上、竜の民の一員だからね。悪いけど、私は手助けできないわ」
香「リーブラ、ストップ。銃をしまってくれ」
リーブラ「畏まりました」
香「それで、どうしようかなぁ。リーブラ的には許すのは無し?」
リーブラ「香様が許せと仰るのならいつでも」
香「じゃあ、許せ」
リーブラ「はい♪」
ニケ「わ、私、死なない?死ななくてすむ?」
リーブラ「香様の寛大なお心に感謝するべきですね」
香「そのうえで、住居はなんとかならないかな?」
リーブラ「・・・・・・あなた、炊事洗濯掃除はできますか?」
ニケ「いや、やったことない・・・・・・」
リーブラ「無理ですね。伯母様の家でメイドにしようと思ったのですが」
ダークネイク「不動産業は扱っていないのか?」
リーブラ「はい。副業で製造とか教育とかもやっていますが、メインはあくまでも貿易業です」
アリス「職に関しては当てがあるから、紹介してもいいけど」
ニケ「へっ?」
ダークネイク「ほう」
アリス「すっごい癪だけど、あいつに頼るのはすっごい癪だけど、まあできなくはない。すっごい癪だけど、半分私の責任みたいなとこあるし」
ニケ「で、でも、まず住む家が無いと・・・・・・現代って住所が無いと仕事できないし・・・・・・」
香「うーん、じゃあ、しばらくここに住む、とか?」
ニケ「えっ?」
ダークネイク「ほう!いうじゃないか!」
香「って言っても、父さんも母さんも今いないし、アリスを襲ったとか言ったらみんなぶちぎれるだろうから僕の部屋でなら匿える、けど」
アリス「あとはまあ、私の部屋?」
香「アリスの部屋トイレもシャワーもついてないだろ」
アリス「オバケに代謝とかないしねー」
ニケ「い、いいの?そ、そんなこと、本当に?」
リーブラ「・・・・・・香様がそうお決めになるのでしたら文句は申し上げません。なにか必要なものがあればいつでも私にお申し付けください」
ニケ「あっ、えっと、それじゃあ」
リーブラ「あなたには言ってませんよ」
ニケ「ええっ!?」
ダークネイク「よし、なんとかなりそうでよかった。では私はホテルに戻らせてもらおう」
香「あ、フレアさんたちには会っていきます?」
ダークネイク「フレアがいるのか?」
香「はい。フレアさんはカフェの店長を、カレアさんはマッサージ屋で働いてます」
ダークネイク「なるほどなるほど。悪いが、場所を教えてもらえないか?」
香「はい。今から地図を書きますね」
アリス「はあ。じゃ、私はちょっと電話してくる。出るかな、あいつ」
リーブラ「衣食住の内、では私は衣と食をご用意させていただきます。香様、これでよろしいでしょうか?」
香「ありがとう、リーブラ。頼りになるね」
リーブラ「そのお言葉が私にとっては至上の褒美ですわ」
ニケ(な、なんだかとんとん拍子に話が進んでいく・・・・・・私、こんなに幸せでいいの?)
香「それじゃああとは他の家族にはバレないようにしないとね」
玖美「はーい!」
香「よし、いい返事・・・・・・だ・・・・・・」
アリス「・・・・・・玖美、いつから?」
玖美「ん?んっとねぇ、なんかずっとしゃべってたから、アリスのおへやで聞いてたよ!」
アイリス「あ、鏡つなげっぱなしだったね」
香「玖美、このことは他のみんなは?」
玖美「知らないと思う」
香「よし。ところで玖美、ケーキ食べたくないか?」
玖美「食べたい!」
香「ダークネイクさん、ニケ!ひとまず場所を移動しよう!フレアさんのいる喫茶店だ!」
ダークネイク「あ、ああ。わかった」
アリス「こっちはこっちで準備しとくねー」
香「頼んだ!」
ふれれ「おかえりなさいませご主人様☆何名様でのご来店で・・・・・・しょうか・・・・・・」
ダークネイク「・・・・・・フレア。随分とかわいらしい格好じゃないか」
香「ふれれさん、4人で」
フレア「香、ちょっとこっち来い」
香「はい?」
フレア「なんでダークネイク連れて来たの!?他のには知られたくなかったのに!」
香「いや、昔っからの知り合いだってルルトさんに聞いて」
フレア「もしかしてルルトにも言ってるの!?」
香「はい」
フレア「あああああっ!もおおおおおおっ!ばかやろうっ!アタシのキャラってもんがあるだろうが!アイツらにこんな姿見せたくないんだよ、チクショウ!」
ダークネイク「フレア、そろそろ席に」
フレア「衛生の問題でこっち来んな!」
ダークネイク「ひどいな!?」
ニケ「おいひい・・・・・・こんなにおいしいもの、なんじゅうねんぶり・・・・・・」
ダークネイク「ああ、今までの分食え。今日は私の奢りだ」
香「いいの?」
ダークネイク「せめてこれくらいはな」
玖美「お兄ちゃん、あーんして、あーん!」
香「はい、あーん」
玖美「あーん!」
フレア「まったく、面倒なことに巻き込みやがって。香はちゃっかりクーポン出してくるし」
香「パスポートとクーポンはとりあえず見せておけと叔母さんからの教えですから」
フレア「ルーのやつ、まーだ外国人扱いで職務質問されてんのか」
香「フレアさんは?」
ふれれ「メイド喫茶ハミングで店長やってます☆」
フレア「って言ったら納得してくれる」
ダークネイク「なんでメイド喫茶?とかいう仕事なんだ?不死鳥旅団団長の名が泣くぞ」
フレア「アタシに頭がないのわかってるだろー。頭も体も足りない女でも稼げる仕事ってこんなのしかねーんだよ」
ダークネイク「しかしだなぁ。あれだけ熱意をもって世界を飛び回っていたお前が、まさかこんな・・・・・・」
フレア「人が空を飛べるようになって、アタシらの時代は終わったんだ。今の世の中は金がなきゃやってらんねーよ」
ダークネイク「お前も苦労してるんだな・・・・・・城に帰ればいいのに」
フレア「年に一回でいいよ、あそこは。なにより家主のいちゃつきが見ててしんどい」
ダークネイク「それは同感だ」
ニケ「あ、あの、パンケーキ、おかわりで」
フレア「あいよー」
玖美「お兄ちゃん、あーん」
香「あーん。・・・・・・おいしいよ」
玖美「やったー!」
香「さて、玖美はこれでニケのこと内緒にしてくれるね?」
玖美「うん!」
香「よしよし、それじゃあもう一口、あーん」
玖美「あーん」
ダークネイク「仲良いわねー、相変わらず」
香「かわいい妹ですから」
玖美「もぐもぐ・・・・・・ごくん。カッコいいお兄ちゃんですから!」
アリス「で、こいつが電話で言ってた子」
ニケ「に、ニケ=ネクロヴァイスです!種族は死神です!」
テトラ「はーっはっはっは!アリスから話は聞いているぞ!随分と幸が薄いようじゃないか!だが安心しろ!少なくとも最低限度の生活が遅れるような給金は渡すと保証しよう!」
アリス「じゃ、私はこれで。帰りはそこの鏡からもどってくればいいから」
テトラ「なんだ、アリス。釣れないじゃないか。もっと話をしてもいいんだぞ?」
アリス「私は私で忙しいの!今からベッド作ったりいろいろしなきゃいけないんだから!」
テトラ「ベッドを作る?組み立てるのか?」
アリス「私の魔法、知ってるでしょ。錬成魔法、あれで作るの。今ニケのベッドがなくてお兄ちゃんと同じベッドで寝てるから」
ニケ「香くんが本当にそういうのに興味なくてよかったわ。正直貞操ヤバいかもって思ってたし」
アリス「お兄ちゃんはそんなことしない!でもムカつくからベッド分けてやる!」
テトラ「安心しろ、新人!香は普段から美女美少女に囲まれているからな!そんじょそこらの男とはわけが違う!」
ニケ「新人!?もう決まったんですか!?」
テトラ「当然だ!いつから働ける?」
ニケ「あ、えっと、明日からにでも!」
テトラ「あいわかった。貴様の制服も用意しておこう」
アリス「あ、連れて帰ってもいい系?」
テトラ「いや、採寸もしておきたいからもう少しかかる」
アリス「おっけ。そんじゃあね」
テトラ「ああ。スワンにも顔を出すように言っておいてくれ」
アリス「自分で言ってよ」
香「じゃあ、テトラさんがあとはなんとかしてくれるんだ」
ニケ「うん。住居とかも探しておいてくれるって」
香「よかった、なんとかなりそうで」
リーブラ「家具などはどうするのですか?」
ニケ「いや、まだ何も」
香「テトラさんのことだから用意はしてくれそうだけど、なーんか抜けてるところがあるからなぁ」
リーブラ「はぁ。ニケさん、住居が決まりましたらこちらにご連絡ください」
ニケ「えっ?あの、これは?」
リーブラ「私の電話番号です。伯母様の家で使っていたものを一式交換するとのことですので、一部かっぱらってきます」
ニケ「い、いいの?」
リーブラ「業者に引き取ってもらうのもお金がかかりますしね。すでに話はつけてあります」
アリス「よし、ベッド完成!どうよ!細部までこだわったこの力作!」
玖美「ぼよんぼよんしてる!」ボヨンボヨン
アリス「側だけじゃなくて中のスプリングとかまで拘ってるからね!やっぱりアリスちゃんの仕事は天下一品だ!」
香「仕事って・・・・・・でも本当によく出来てるね」
ニケ「あ、ありがとう、みんな、私のために・・・・・・うっ、うっ・・・・・・」
礼丹「ではそろそろ幸運値を元の値に戻していいですか?」
香「やめてあげてくれ。今彼女は幸せに浸ってるんだから」
リーブラ「女神というのはかくもこのような畜生ばかりなのでしょうか。器がしれますね」
礼丹「ふふ、世迷言を。あなたとて彼女を排除したくて仕方がないくせに」
ニケ「えっ」
礼丹「だから出て行った後二度と香に会わせなくて済むよう手配している。違いますか?」
リーブラ「違います」キッパリ
アリス「リーブラのはお兄ちゃんへのただのアピールだよ」
リーブラ「あなたがいいますか、あなたが」
香「アピールなんかしなくても、リーブラが優しい子だってことは知ってるのに」
リーブラ「香様・・・・・・」
礼丹「なーんかムカつきますね。香以外全員幸運下げときますか」
アリス「玖美、ゴー!」
玖美「れに、かくごー!」
礼丹「きゃあっ!?」
玖美「こちょこちょの刑だー!こちょこちょこちょこちょー!」
礼丹「ひゃひっ、ひゃっ、やめってゃ、てゃしゅけてくだひゃい~~~~!!!!!」
香「相変わらず弱いなー」
―1か月後―
ピンポーン
日輪「あれ、誰だろう。はーい」ガチャッ
ニケ「どうも、風流アリスさんはいますか?」
日輪「アリスの知り合いですか?ちょっと見てきますね」
アリス「いや、いるから大丈夫だよー」ニュッ
ニケ「ひきゃぁっ!?」
日輪「床から生えてこないでよ。お客さんびっくりしてるじゃん」
アリス「驚かすのはオバケの性分なものでしてー。で、どったの?ニケ」
ニケ「え、えっと、こ、これ!」
アリス「カステラ?」
ニケ「香くんとか、リーブラちゃんとか、とにかくみんなで食べて!それだけだから!それじゃあ!」
アリス「いやいや、折角だし上がっていきなよ。お茶出すよー」
ニケ「え、じゃあお邪魔しようかな」
玖美「にっちゃん、なにやってるのー?」
日輪「お客さんよ」
玖美「あ!お兄ちゃんといっしょにねてたひとだー!」
日輪「は?」
アリス「あー」
ニケ「えっと、とにかく、私はこれで!」
日輪「いやいや、遠慮しないでください。上がれ」
ニケ「ひぃーん!どうしてー!?」
日輪「もー!兄さんも!玖美も!アリスも!私に内緒でそんなことしてたなんて!もー!もー!」
玖美「にっちゃんが牛になっちゃったー」
アリス「まあまあ、もう終わったことだしいいじゃんか」
香「実際、アリスのことを聞いてたら封印なりなんなりしてただろ?」
日輪「兄さんが巫女にどんなイメージ持ってるのか知らないけど、私そんなこと出来ないからね」
ニケ「それで、その、初任給が出たからお礼をって思って」
リーブラ「そういうわけですか。ではありがたくいただきますね」
アイリス「カステラおいしー」
香「アイリスも、なんだかんだ出てきてよかったんじゃないかな?」
アイリス「うん。ごはんおいしいしマンガ面白いゲーム楽しいし」
アリス「アリスちゃんに関わった子はみんな幸せになってる。つまりアレか。アリスちゃんは幸運の女神か!」
礼丹「呼びました?」
香「礼丹は正義の女神だろ」
礼丹「まあそうですけれどね」
アリス(でも、一番幸せにしてあげたい人は、私の手じゃ幸せにできない)
アリス(私にできるのは手助けだけ。だから、誰か、私の一番大切な人を)
アリス(風流香を幸せにしてあげてください。なーんて)
アリス(ガラでもないかな、こんなこと)
アリス(しっかし、あのお兄ちゃんに恋人とかできるのかなー)
アリス(モテたらモテたで面倒だし、いやすでにモテモテな気もするけど)
アリス(目指すは第二夫人の座!幽霊のアリスちゃんにはこれが精いっぱいだ!)
アリス(だからいつか、いつかでいいから、二番目でも三番目でもいいから)
アリス(私を、幸せにしてね)
アリス「お兄ちゃん♪」
香「うん?」
アリス「なんでもないよー」