―中学時代―
日輪「こんにちはー」
月美「日輪ちゃんやっほー」
香「やっ。これで揃ったね」
日輪「兄さんたちほんとに毎日ここにいるのね」
香「過ごしやすいしね」
月美「私も香も昼休みとか放課後に外で遊んだりしないからねー。こうやって部室でだらだら過ごすのが楽なのだー」
日輪「お弁当もここで食べてるけど、教室で食べないの?友達とかと食べたりしないの?」
月美「なんでそんな残酷なこと言っちゃうの?」
日輪「えっ」
香「そもそも教室で一緒に食べる友達がいない」
日輪「あっ、その、ほら!あの文芸部の先輩とか!」
月美「眞下さんは別クラスなんだよ~・・・・・・体育は一緒だけど」
香「教室に友達のいる日輪は教室で友達と一緒にワイワイ騒ぎながらお弁当食べてきてもいいよ」
日輪「兄さんはなんでそんなひどいこと言うの!?私も兄さんとか瑠璃川先輩とごはん食べたい!」
月美「私らいつでもここにいるからお好きにどうぞ」
香「来てくれたら食べられるよ」
日輪「わかった明日は行く」
香「明日は土曜日だよ」
日輪「もー!」
日輪「待ちに待った月曜日!」
月夜「そんなに学校が恋しかったの?」
流星「お兄さん・・・・・・は違うなぁ。家で会えるし」
月夜「案外制服お兄さんフェチなのかも」
流星「あっ、それありえる」
日輪「あんたらは何言ってんのよ。こほん、今日は私部室でごはん食べるから」
流星「えー、なんでー、さみしいじゃーん」
月夜「中学入って3週間でそんなこと言いだすなんて」
日輪「だって!兄さんとお弁当食べたいもん!」
月夜「だよねー。知ってた」
流星「日輪はお兄さんのことになるとすーぐそっち優先する頭ピンクさんだもんね☆」
日輪「誰が頭ピンクよ!祓うわよ!」
流星「げっ、アレは魔力根こそぎ持ってかれるからマジ勘弁」
月夜「やめてー、もう封印されるのは嫌ー」
日輪「わかったらあんまり好きかって言わないことねー」
月夜「うー、日輪ちゃんの暴君ー」
流星「日輪の巫女力が現状私らに特攻あるのが悪い。対抗手段を考えないと」
月夜「そっか。日輪ちゃんしばらく私たち対策会議するから離れてて」
日輪「言われなくても今から離れるわよ」
日輪「兄さんっ!瑠璃川先輩っ!」
香「お、来た来た」
月美「待ってたよー。それじゃあお弁当会・・・・・・の前に」
日輪「前に?」
月美「今日流すCD決めないと。どれ流す?」
香「クラシックは評判悪いからなぁ・・・・・・僕は好きなんだけど」
日輪「え、兄さんクラシックとか聞くの?」
香「玖美の部屋にいっぱい置いてるよ」
日輪「なんで?」
香「玖美、なかなか寝つきが悪くてね。クラシック聞かせたら寝るんじゃないかなって思ったから」
日輪「子守唄じゃない!」
月美「香のクラシックもだけど、私の演歌も評判よくないんだよねー」
日輪「二人とも趣味が中学生とは思えないんだけど。ほら、J-POPとかさ」
香「結局それに落ち着くのかぁ」
月美「あんまり流し過ぎると歌う時にかぶって比較されそうで怖いんだよね」
香「比較しても十分なぐらい月美は歌うまいし声もいいと思うけど」
月美「いやー、まだまだよ。ボイトレはしてるけどプロには敵わないって」
アリス「こいつらほっといたらすぐこうなるね」
日輪「もうてきとうに選ぶわね」
日輪「はーい、じゃあお弁当たーいむ」
香「今日は自信作だよ」
月美「今日もママが作ってくれましたー」
日輪「兄さんが作ってくれたー」
アリス「まあそうなるよね」
月美「香はえらいよねー。自分でお弁当作ってて」
香「父さんも母さんも週末しか帰ってこれないし、姉さんは不規則だし。かといって購買で買おうとするとリーブラが弁当を届けてくる」
日輪「草華さんも届けてくるしなんなら学園長が手作り弁当渡しに来る」
香「その辺を全部回避しようとすると自然と自分で作るしかなくなるのさ」
月美「甘えちゃえばいいのにー」
香「あの人たちに甘えると僕は将来ダメ人間になる」
日輪「本気で甘やかされるとヤバいわよね。私も抗えなかったもん」
月美「そんなになの?」
日輪「草華さんのね、膝枕がね、ふかふかなの。その上でやさしく頭を撫でながら褒めてくれるの。あれはキメたらヤバい奴」
香「リーブラも似たような感じ。うん、やばい」
月美「それは経験してみたくもあるけど、私はハマっちゃうんだろうなー」
香「だと思う。母さんに甘やかされ耐性をつけられてた僕らだからなんとかなったけど」
日輪「母さんも本気出してきたらヤバいわよね。私一瞬胸に吸い付きかけたもん」
月美「それは聞いてるだけでヤバイ」
月美「香、香」
香「ん?」
月美「そのハンバーグ頂戴」
香「じゃあそっちのカツと交換」
月美「いいよー。はい、あーん」
日輪「・・・・・・!?」
香「うん、うまい」
月美「うちのママ印の冷凍食品だよ」
香「冷食もバカにできないよね。んじゃどうぞ」
月美「あーん・・・・・・うん、おいしー。これは手作りの味だ。ちょっと甘めのソースが絡んでいい感じ。しかも冷めてるのに肉の味が落ちてない」
香「基本的に我が家は冷食使わないんだよね。妹たちの健康のために。冷食の作り方を叔母さんから聞いて参考にしておいしくなるようにしてるつもり」
日輪「待って」
月美「ん?」
日輪「いっつもそんな感じで過ごしてるの?」
月美「んー?あー、日輪ちゃんも何かいる?」
日輪「玉子焼き食べたいです。ってそうじゃなくて。その、さっきの食べさせあいとか」
月美「あー、もともと私らの先輩がいた時からやってて」
香「てかあの人が主導で全部やってて」
アリス「それが残ってる感じだよねー」
日輪「じゃああーん」
月美「え?あーん」
アリス「ぱくっ」
日輪「・・・・・・!?」
日輪「アリス!なに横取りしてんのよ!」
アリス「うんうん、適度に甘くていい感じ」
日輪「こら!聞いてんの!」
アリス「聞いてるよー。日輪アレ食べられないからアリスちゃんが代わりに食べたんだよー」
月美「え、アレルギー持ち?」
香「日輪は特にアレルギーとかなかったはずだけど」
日輪「ないない」
アリス「あの玉子焼き、いっぱい魔力を含んでたの」
日輪「魔力?」
アリス「そうそう。この地上で暮らす魔物は普通に暮らしてるだけだと魔力不足になっちゃうんだ。それで魔力を含んだ食材で補給するの」
月美「へー。知らなかった」
香「日輪が食べられない理由は?」
アリス「魔力持ってないから消化できなくておなか壊す。確実に下痢する」
日輪「じゃあ兄さんは大丈夫なの?」
香「あー、僕忘れられがちだけど魔物クォーター」
日輪「あ、そうだった」
月美「あ、一個気になったんだけど。逆にさ、香たちは魔力食品食べなくて平気なの?」
アリス「お兄ちゃんもお姉ちゃんもあと妹の玖美もときどきお母さんが魔力入りのおやつ食べさせてるよ」
香「え、マジで?知らなかったんだけど」
アリス「食べ物とかに魔力が含まれてるとかは訓練しないとわかんないしね。玖美は気付いてそうだけど」
月美「なるほどねー。香のとこといい、ウチのとこといい、世の魔物たちのお母さんは子供たちに気付かれなくともそういうことしてるわけだ」
日輪「・・・・・・ってことは、母さんがおやつ作る時って私の分は別で作ってるの?」
アリス「うん」
日輪「わざわざタネを分けたりしてるってことよね・・・・・・そういえばどれが誰のとかちゃんと指定してた気がする」
アリス「あと大きさで文句言いださないようにできるだけ一緒にしてる。その辺の苦労はお母さんならではだね」
香「母親はすごいな、うん」
香「・・・・・・お弁当が食べたい」
日輪「今食べてるでしょ」
香「違うんだ!こう、ほら!僕も恋人ができたわけだしさ!恋人の手作り弁当とか憧れるじゃん!」
月美「憧れるのはわかるけどさー。香の恋人さんもほら、お弁当はお母さんが作ったりしてるかもだし」
日輪「我が家みたいなのは中々珍しいのかもね」
香「最近はちょっと楽になったけどさ。リーブラが作ってくれるようになったから」
月美「マギ・フィールド先輩の手作り弁当とか全生徒の憧れじゃないの?」
日輪「あの生徒会副会長のお弁当ですしね。とってもおいしいです」
月美「今日のがそれか!よこせ!」
日輪「はい、あーん」
月美「あーん・・・・・んー!おいしー!」
香「おいしいんだ、おいしいんだけど、そうじゃないんだよ・・・・・」
日輪「もー、兄さんったら贅沢すぎー。あんなにかわいくて綺麗なお嬢様が作ってくれたお弁当にケチつけるなんてー」
香「え、普通じゃないの?」
月美「・・・・・・香ってさー、周りの女の子のレベルがめちゃくちゃ高いことに気付いてる?」
香「え?」
アリス「お兄ちゃん知らないと思うけど草華もリーブラもアクアも日輪も愛もみんな結構モテモテなんだよ?告白とかされまくってるんだよ?」
香「あのアクアが!?」
日輪「喋らなきゃ美人だし」
月美「たしかにベッドに入ってる姿は良家のお嬢様って感じだったけど、そんなにひどいの?」
アリス「TPOをわきまえない変態だから」
月美「へ、変態って・・・・・・」
香「とにかく!僕は彼女のお弁当が食べたいぞー!」
日輪「ない物ねだりしてもしょーがないし今はリーブラさんのお弁当食べてなさいよ」
香「日輪は正論で殴ってくるよね。食べるけど。うん、おいしい」
幽「・・・・・・桜」
桜「はーい」
幽「私にかわいいお弁当の作り方を教えて」
桜「・・・・・・えっ?」
幽「知ってるわよね。私が正式に香くんと付き合うことになった話は」
桜「もちろんです。風流くんを連れて報告しに来てくれましたし」
幽「それで、その。今度改めて初デートをすることになったんだけど」
桜「そこでお弁当を作っていってあげたいんですね」
幽「ええ。香くんも恋人のお弁当が食べたいって思ってたし」
桜「でもほら、幽ちゃんはお母さんもお父さんも料理上手じゃないですか」
幽「お母さんは料理苦手よ」
桜「えっ?そうなんですか?てっきり私・・・」
幽「まあ、見栄は張ってたし。お父さんが作った料理で」
桜「そうだったんですか・・・それ言ってもよかったんですか?」
幽「桜だしいいでしょ」
桜「そう言ってくれるのは嬉しいですけど・・・」
幽「あと、お父さんの料理は古風だから現代の若者の舌には合わないと思ってる」
桜「古風って、確かに和食は多いですけどね」
幽「おねがい。私が知っている中でもっとも女の子らしいのは桜なの。桜が一番の理想の女の子なの」
桜「そ、そうかな?そこまで言われると悪い気はしないかな・・・・・・よし!桃山桜、がんばります!」
幽「ええ、ありがとう。助かるわ」
桜「それで、デートっていつですか?」
幽「明日」
桜「じゃあ今日中に練習しなきゃですね。折角なのでウチで晩御飯も食べちゃいましょう!」
幽「ええ。お願いするわ」
香「・・・・・・あー」
幽「ふふっ」
香「こうやって外でゆっくりするの久しぶりだ・・・・・・」
幽「そうみたいね。以前も私の事を楽しませてくれようといろいろ連れまわしてくれたし」
香「他の誰かと出かけるとみんな何かしらしたがるからなー」
幽「私とは全然違う生活ね。私はあまり出かけないから」
香「実家の手伝いもしてるんだろ?」
幽「あんなのは本を読む口実よ。私がしなくたって大丈夫。花屋みたいに忙しくないもの」
香「草華は花の宅配も請け負ってるしね。幽のとこはそういうのはしないの?」
幽「経営不振になりそうだったら始めるかもとは言ってたけれど、現状予定はないわね」
香「じゃあしばらくは安心だ」
幽「ええ」
幽「というわけではい、お弁当よ」
香「どういうわけなんだ」
幽「お腹減ったでしょ?」
香「確かにちょっとそう思ったけど・・・・・・心が読めるってのは便利だ」
幽「そうね。好きな人がやりたいことがわかるから」
香「それは純粋に羨ましいな。僕はまだ幽の考えてることはあんまり読めないし」
幽「香くんと出会う前は日々やるべきことしか考えていなかったし、私自身も私がやりたいこととかまだわかっていないもの。読めるわけないわ」
香「あ、でも一つだけ分かった」
幽「え?」
香「幽は僕を喜ばせようとしている。どうかな?」
幽「・・・正解。今まで料理はあまりしてこなかったから自信はないけれど、教えてもらった通りに作ったからまずくはないと思うわ。さ、食べてみて」
香「それじゃあ、いただきます。・・・・・・うん、おいしい」
幽「ええ、その通りよ。作り方はともかく、味付けはリーブラに教えてもらったの。香くんの事なら彼女が一番詳しいから」
香「僕のために美人な彼女がこんなに尽くしてくれるなんて・・・・・・めちゃくちゃ嬉しい」
幽「そう思ってもらえたなら私も嬉しいわ。これからもがんばって作るから、期待しててね」
香「うん。よろしくおねがいします」
アクア「ぎりぎりぃ・・・・・・あいつらイチャイチャしやがって・・・・・・あ、玉子焼きおいしい」
草華「ほんと?今日はちょっと味付け変えてみたんだけど口に合ってよかった」
アクア「香が手作りお弁当を食べたいなら私も作るのに・・・・・・」
草華「アクアも今お勉強中だもんね。がんばれ!」
アクア「姉さんだって香のためにメイド修行してるんだもの。私だってなにかしないと落ち着かないわ」
草華「海さんのご飯もおいしいよねー。あの豪快な味付けが割と癖になっちゃう」
アクア「アレを真似すると姉さんから大味だって言われちゃうのよね。好みなのに」
草華「ちっちっち。違うよー、アクア。豪快な味付けと大味な味付けはまた別物」
アクア「海に教わった通りにやってるつもりなんだけどなぁ」
草華「料理は一日にしてならず。何度も積み重ねて覚えていくものだよ」
アクア「そう言われるとぐうの音も出ないけど。姉さんは小さい頃からの積み重ねあってだし」
草華「リーブラは小学校低学年のころからがんばってたよね。私もだけど、兄弟姉妹の一番上だとはりきっちゃうものなんだよ」
アクア「私真ん中。姉のお小言をスルーした結果自堕落に育つ」
草華「アクアは私たちの中でも最年少だもんねー。甘やかされちゃったからねー」
アクア「草華は特に甘やかしてくれるわ。姉さんは全然なのに」
草華「リーブラは厳しいお姉ちゃんだからね。香くん以外に」
アクア「愛にも甘い。私にだけキツイ」
草華「私にもキツイ!」
リーブラ「それはあなたたち二人が常識はずれなことばかりするからよ、まったく」
アクア「あれ、姉さん。メイド修行は?」
リーブラ「今日の分は終わり。折角だから合流しに来たら好き勝手言ってくれてるじゃない」
草華「あ、香くんと幽ちゃんがちゅーした」
アクア「はぁっ!?ちょっと!見逃したんだけど!姉さんなんで話しかけるのよ!邪魔!」
リーブラ「じゃ、邪魔って・・・・・い、急いで来たのに・・・・・・」
草華「よしよし、リーブラはがんばったねー」ポン
リーブラ「その乳を私の頭に乗せるのをやめなさい!もぐわよ!」
アクア「あ、食べ終わった!移動始めた!草華、姉さん、行くわよ!」
草華「あいさ!」
リーブラ「え、私まだ何も食べてなくて、あの、2人とも、待って」
オルレアン「第1回!香様を篭絡しようの会!」
上海「わー」
蓬莱「わー」
世界「わー」
オルレアン「世界、調査結果を!」
世界「はい。オルレアン様の意中の相手である風流香様ですが、先日恋人と仲睦まじく公園デートをしている姿が見られました」
上海「先輩、恋人持ちなのにオルレアンは狙ってるの?」
オルレアン「恋愛は!最後に隣に立っていたものが勝つのです!鳴かぬなら奪ってしまえほととぎす!略奪愛がなんですか!私は私の恋に生きる!」
蓬莱「オルレアンがここまでお熱になるのもすげーな。さすが兄貴」
上海「先輩ってほんと人たらしだね」
世界「私はまだ怖いです」
上海「それはアンタが悪い」
蓬莱「自分から喧嘩売っておいてボコられて怖いですって泣き言言ってるのはダサい」
オルレアン「世界がダサいのは私服を見ればわかるでしょう」
世界「えっ」
上海「料理もおいしいのに色合いがねー」モグモグ
蓬莱「弁当作ってくれたのはいいんだが味はともかく見た目がな」モグモグ
オルレアン「全体的に茶色くて女子らしさが足りないですね」モグモグ
世界「なんですか!なんなんですか!お弁当なんですからおいしく食べられたらそれでいいでしょうが!」
蓬莱「キャラ弁が何のためにあると思ってんだよ」
上海「見た目もおいしく食べるための大事なファクターなんだよ」
オルレアン「料理ガチ勢の上海ちゃんがこう言っているのです。世界、負けを認めなさい」
世界「むぅ、確かに上海様の料理は見た目も鮮やかで楽しいですし味もおいしいですし非の打ち所がないです」
蓬莱「嫁にほしいぐらいだな」
上海「私そういう趣味はないかなー」
蓬莱「あたしもだ」
オルレアン「そういう趣味とは?」
世界「オルレアン様は知らなくていい話です」
オルレアン「ずるいです。私だけのけものみたいじゃないですか」
蓬莱「アタシとしてはそこそこ純粋培養の上海に通じたのが不安なんだが」
上海「んー、まあウチは厳しいから逆にって感じ。はー、そのうち許嫁とか言いだすのかなー。やだなー」
オルレアン「許嫁・・・・・・今からでも香様とそういった関係になれないのでしょうか。お姉さまを通じて」
世界「リーブラ様やアクエリアス様が拒否をすると思われます」
オルレアン「でーすーよーねー。はぁー、香様のお側にいくにはどうすればいいのやら」
―現代―
月美「お昼休みー!お弁当たーいむ!」
響華「月美さん、今日は午後もいらっしゃるのですか?」
月美「今日は完全オフだからね!放課後香を誘えなかったのだけが不満だけど」
響華「香様は多忙でいらっしゃいますしね。我々とは違い部活動もやっていますし」
月美「響華はバイト?」
響華「いえ、今日はシフトに入っていませんので」
月美「じゃあちょっと遊びに行かない?1人でいると声かけられるのが嫌でさー」
響華「大丈夫、ですがあまりお金のかからないところだと嬉しいです」
月美「響華の家に凸るだけだからへーきへーき」
響華「許可していませんが?」
月美「それにしても響華さぁん、そのお弁当、随分とおいしそうではありませぇんか」
響華「その喋り方はいったい・・・・・・お弁当は卯衣さんが作ってくれたものですね」
月美「私もママが作ってくれた」
響華「以前自分で作っていた時はいかに節約するかを考えたお弁当ばかりだったので、こうしてかわいいお弁当を作ってくれるのはうれしいです」
月美「ウチはいかに楽するかだなー。凝ったお弁当と言えば・・・・・・香が作るやつだったな」
響華「香様のお弁当ですか!?」
月美「そうそう。日輪の分も作るからって毎回めちゃくちゃはりきってて」
響華「香様のお弁当・・・・・・羨ましいです!」
月美「へっへっへー、あの味を知ってるのは中学時代の親友の特権だ!」
響華「今は!今はどうなのですか!」
月美「今は上海ちゃんとか幽さんが作ってるみたいでねー。自分で作らなくなったって言ってた」
響華「では香様の手作りのお弁当を食べる機会は・・・・・・」
月美「作らなきゃないね」
響華「・・・・・・私が生徒会長になったら懇親会の名目でマギ・フィールド学園の生徒会と手作りお弁当を持ち寄る機会を作りましょう。これで解決です」
月美「職権乱用!」
響華「いいのです!オーナーだって使えるものは使えと言っていました!」
月美「リーブラ先輩を見習うと圧政になるよ」
響華「オーナーの方針がそれなら生徒会もそれに準じていいでしょう!」
月美「あと、向こうの生徒会の次期に香がいるとも限らない」
響華「真泉さんも日輪さんも香様を副会長に据えると言っていましたのでそこは確定です」
月美「え、マジ?じゃあ私も生徒会入ろっかなー」
響華「というか、月美さんには会計監査をお願いしようかと思っていたのですが」
月美「え、マジ?」
響華「ええ。この学園で自分のお金で学費を多少なりとも賄っているのは月美さんだけですし、お金に関しては厳しく見てくれるのではと思いまして」
月美「響華は?」
響華「私は全額免除ですので」
月美「そうだった。成績優秀者すごい」
響華「月美さんも上位の常連ではありませんか。歌手のお仕事もあって忙しい中、すごいことですよ」
月美「それを言うなら響華もバイトしてるしさ」
響華「私は勉強の時間を潰さぬよう計算して入れていますので」
月美「私は隙間時間にコツコツとって感じかな。リーブラ先輩流の時間活用術をね」
響華「オーナーはすごいお人です。私も経済の勉強をすればあの人ぐらいに稼げるようになるのでしょうか」
月美「無理だと思う。あれは自分の私生活を全部捨てる境地にまで行かないと」
響華「私生活を全て・・・・・・無理ですね。こうして月美さんとお喋りしたり、家族と遊んだりする時間を捨てるだなんてとてもできません」
月美「私も無理ー」
響華「しばらくは学費免除で我慢するしかないですか」
月美「それで十分だよー」
心愛「雪美さん、つららさん。ご一緒してよろしいですか?」
つらら「いいよー。どぞどぞ」
雪美「あの三井さんが自分から声をかけて来るだなんて・・・・・・去年までは考えられなかったことだよ」
心愛「あの時までの私は矮小な自尊心で周囲との壁を作っていた愚か者でした。お姉様や香様と出会っていなければ今こうしていることもなかったでしょう」
つらら「あの男はまーたちょっかいかけてんのか」
心愛「いえ、むしろ私から声をかけたというか、なんというか・・・・・・」
雪美「いぇーい。私らお兄さんに救われ隊ー」
つらら「え、私も入んの?」
雪美「体質の問題を解決してもらったって聞いたけどー?」
つらら「それは、そうだけど」
心愛「香様によって救われた生徒たちは多数います。やはり香様の深い愛こそが我々が標とすべきもの」
雪美「お兄さんの真似しようとしたら命がいくつあっても足りないよー」
つらら「あいつはアイツ自身もそうだけど周りの奴らが頭おかしすぎるだけ。真似したかったらあれと同等のコネを用意しなきゃいけないのよね」
心愛「人を動かす力というのは組織の長にこそ求められる力です。さすが香様、かのアザラシ製菓の次期社長なだけはありますわ」
雪美「お兄さん、私のことも雇ってくれないかなー。身内びいきとか絶対しないんだろうなー」
つらら「障碍者枠でワンチャン」
雪美「狙うか。私一番重いのだし」
心愛「改めて不思議なお身体ですわよね。サイボーグだなんて創作の中だけのものだと思っていました」
雪美「私もー。自分が一番信じられなーい」
つらら「制服改造してんのもその一環よね?」
雪美「うん。身体がオーバーヒートしないように熱を逃がさないといけないからねー。こんな痴女っぽいスタイルになっちゃう」
心愛「それにお弁当も、少し変わっていますね」
雪美「そもそも私、胃も舌も残ってなかったからねー。食べようと思えばなんでも食べられる。だからこうやって燃料を直接食って体に入れる」
つらら「あれ、でもあんたたこ焼き食べてなかった?」
雪美「人口舌で味は感じ取れるんだよ。このバイオ燃料を飲んどけば普通のご飯でもエネルギーに変えられるし」
心愛「科学の進歩はすごいですよね。飲む燃料だなんて」
雪美「私もそう思う」
つらら「しかしその代償に月々の維持費がやばいと」
雪美「うん。あと最近知ったけどローンもある」
心愛「お家のですか?」
雪美「んにゃ、私の手術費。お兄さんの左腕とかロボットさんの身体とかいろんなパーツを組み込んだんだけど、それがどれもクソ高いやつばっかだったみたいで」
つらら「あの超高性能左腕、確かに高そう・・・・・・」
雪美「制御装置が特殊だとかですぐに用意できなかったとかなんとか。お兄さんが間に合ってくれなかったら私は死んでた」
心愛「やはり香様の深い愛が奇跡を起こしたのですね」
つらら「あいつは奇跡を狙って起こすから質悪いのよ!それで何人の女を落としたことか!」
雪美「奇跡は起こすわ覚悟はガンギマリだわであれを直接受けると落ちない方が難しいよねーっと」
心愛「あら?その言い分ですと、雪美さん?」
雪美「私の子宮が無事に残ったのはお兄さんの子供を産むためだと思ってる」
つらら「言い切りやがったコイツ」
雪美「内臓で完全に無事だったのは脳と子宮、あと心臓だけだったし。それ以外は全部潰れてぐちゃぐちゃ。我ながらよくあれでしばらく生きてたと思うわー」
つらら「そりゃ日輪が死なないように魂を身体に封じ込めてたからね」
雪美「よく手術が終わるまで持ってくれた。手術してくれたのもお兄さんのお姉さんだし、もう頭が上がらないよ」
心愛「風流家のみなさま、というより香様の周囲の方は本当にすごい方たちばかりで」
つらら「あんなのに囲まれて生きてたらそりゃ全員変になるよねー。はぁー、日輪に会いたい」
寧音「今日のお弁当は~・・・・・うぇっ、ぴ、ピーマンの肉詰め」
美玖「ピーマン嫌いなの?」
寧音「子供っぽいのはわかってるんだけどどうしても苦手で・・・」
愛良「わかる、わかるよ。もっと大人っぽくしたいのに苦手なものは苦手なまんま!私も!ニンジンが!嫌いです!」
美玖「愛良のお弁当はニンジンパラダイスだけど」
すもも「すももはピーマンだらけだよー」
寧音「うぇっ、グロい」
すもも「いや、グロくはない」
愛良「寧々ちゃん。おかず交換条約を結びましょう」
寧音「商談成立だ!もってけドロボー!」
美玖「なにやってんだかあんたらは」
すもも「ニンジンもピーマンもおいしいのにね」
寧音「美玖とすももも食べる?ピーマン」モグモグ
美玖「肉だけ抜いて食べてるんじゃねぇよ」
すもも「ピーマンはもういっぱいあるし」
愛良「私、美玖ちゃんのとんかつほしいな~」
美玖「残念、私もニンジンは嫌い」
愛良「じゃあすももちゃんのハンバーグとか~」
すもも「ハンバーグを取ったら戦争だよ?」
愛良「もー、お母さんのばかぁ!どうしてニンジンばっかなのー!」
寧音「ママはみんなの分作るから、全員の嫌いの物をよけようとすると何も作れなくなるって言ってた」
美玖「それはわかるけどこれはやりすぎだと思う」
愛良「親戚がニンジンいっぱい送ってくるから・・・」
美玖「わかってんじゃん」
愛良「理解と納得は別物だよ!」
寧音「そーそー!美玖とすももは文句ないのかー!」
すもも「ないね」
美玖「私も別に・・・うげっ」
寧音「おっ、どうしたの?」
美玖「いや、なんでもない・・・」
寧音「・・・ははーん。そのカボチャが嫌いなんだね?美玖ー」
美玖「何も言ってないのに」
愛良「初等部のころもパンプキンスープとか嫌そうに飲んでたね」
寧音「カボチャの煮付けとかスゴ嫌そうな顔して食べてたねー」
すもも「パンプキンパイを調理実習で作りますーで顔が青ざめてたもんね」
愛良「牛乳で一気に流し込んで」
寧音「パンを食べる時に苦しくなる」
すもも「そして食べきれずお昼休みに突入する」
美玖「まるで見てきたかのように・・・見て来られたんだけど」
寧音「あ、そうだ。お兄さんに言えばなんか交換してもらえないかな」
愛良「香様に?」
寧音「オーナーさんとか呼びつけて交換してもらえたりしないかなって」
美玖「どうやって連絡するの?」
寧音「高等部はスマホ禁止されてないからお姉ちゃんに連絡を取ってもらう!」
美玖「それやってる間に食べた方が早い」
すもも「高等部の校舎まで行って帰って香様まで呼んできてたらお昼終わっちゃうよ」
寧音「そっか・・・うん、わかってた・・・でも辛い現実から逃げたかったんだ・・・」
愛良「はぁ・・・一個交換してもニンジンパラダイスなのは変わらないよ・・・」
美玖「・・・うん、がんばろう」
すもも「好き嫌いって大変だねー」
鈴火「今日も4人でお弁当ー」
蕾「今日も玖美は休みー」
地海「玖美ちゃん、学校来れないの可哀想・・・」
蒼石「本日は晴天なり。容体が安定するまではかのスロゥスには荷が重いのだ」
鈴火「去年まではまだマシだったのになぁ」
地海「え、そうなの?」
蕾「もともと体調は崩しやすいし紫外線アレルギーも3年前ぐらいに発症したけど去年まではまだ軽い感じだったんだよね」
蒼石「ああ、確か例の通り魔事件か」
地海「通り魔事件、って去年の秋のあれ?」
鈴火「そそ。そのときになんと私と蕾と玖美は通り魔さんに遭遇しちゃってね」
地海「ええっ!?大丈夫だったの!?」
蕾「大丈夫じゃなかったら私たち多分ここにはいないなー」
地海「あ、そっか・・・え、でもじゃあ玖美ちゃんは?」
鈴火「日傘とかランドセルとか荷物全部捨ててダッシュで逃げたの。で、逃げてる途中に太陽光にやられてダウン」
蕾「香にぃたちが駆けつけてくれなかったら私たち三人とも多分ばっさりいかれてたね」
鈴火「あのときのお兄さん、かっこよかったなぁ・・・今もかっこいいけど」
地海「みんなが無事でよかった・・・」
蒼石「玖美は無事じゃないぞ」
蕾「紫外線浴びすぎると喉が腫れて気管が詰まって喘息が出て呼吸困難・・・あ、だめだ。言ってるだけでかわいそうになってきた」
鈴火「今日、放課後暇?」
地海「予定はないかな」
蒼石「部活」
蕾「同じく」
鈴火「まあ私も部活だけど」
地海「あれ?わ、私だけ?」
鈴火「ってことで部活終わったら風流家に突撃するよ!地海は先に行ってて!」
地海「ええっ!?」
蕾「大丈夫!玖美のプリント渡しとくから!届けに行ったついでにちょっと遊ぶだけ!」
地海「な、なるほど!それなら仕方ないもんね、うん」
蒼石「・・・建前など作らずともただ行くだけじゃダメなのか?」
蕾「蒼石ちゃんって空気読めないって言われない?」
蒼石「えっ!?」
梨々愛「はぁ~あ、最近暇だなぁ~」
ステラ「あんたも部活すれば?」
梨々愛「やだ~、りりあは永遠の帰宅部なの~」
磊「ゲーム部とかあれば喜んで入りそうなんだけどね」
梨々愛「ゲームはゲームでもビデオゲームの方ねー。アナログは性に合わない」
ステラ「ウチの部室、ゲーム置いてあるけど」
梨々愛「え、マジで?」
磊「もしかして先代の放送部の遺産?」
ステラ「先代の、っていうか菫先輩の私物」
梨々愛「えっ、あのお堅そうな先輩の!?」
ステラ「あんたはお昼の放送を聞いてそう思ってたの?」
磊「あの先輩も演技すごいもんね」
梨々愛「月一のテレビ放送のダンスしかちゃんと見てなかった」
ステラ「あれ流すのも大変なのよー?結構な時間踊るから休憩のタイミングとか見て楽しんでもらえる構成とか考えるの。まあ全部先輩がやってくれるんだけど」
梨々愛「それで大丈夫なのか次代の部長ー」
ステラ「それについては問題ないよ。汎用的な技術はもちろんのこと、自分が得意なことをつきつめてネタにするのが我らが放送部の真骨頂!」
磊「風流先輩とか水田先輩とかダンスばっかりだからそういう放送しかしないのかと・・・」
梨々愛「てか、ステラの得意なことって?」
ステラ「私?早着替え。するのもさせるのも」
磊「へぇ~」
梨々愛「知らなかった~」
ステラ「来年は1年分のテレビ放送をこのネタで持たせないといけないから、まだ出してないんだけどね。ネタ切れ起こすし」
梨々愛「じゃあ先輩の妹さんは?」
ステラ「玖美のこと?玖美は・・・あの子大抵なんでもできるからなぁ」
磊「声劇で一人何役もやってるもんね。違う声で」
ステラ「そうなのよね。あの子無駄に器用だし、料理配信でもするんじゃないの?」
梨々愛「なるほど。お弁当の時間にお弁当を作っていくわけだね」
磊「そしてみんなが食べ終わったころにおいしそうなお弁当を食べ始めるんだ」
ステラ「そしてみんなお腹が空いてくる、と」
梨々愛「うわー、クソゲーすぎるー」
梨々愛(・・・でも、あの子料理はできないとか先輩が言ってた気がする)
菫「・・・もしもし、玖美、見えてるー?」
玖美『見えてるよー』
夢華「おお、玖美ちゃんがちゃんとこの時間に起きてる」
玖美『前もって言われてたらそりゃ起きるよー』
菫「よし、んじゃオンラインお弁当会をはじめますかー」
夢華「てか、私でよかったの?ステラちゃんは?」
菫「梨々愛ちゃんたちといっつもお弁当食べてるみたいだし、読んだら大所帯になりすぎるわ」
夢華「そっかー」
玖美『今日のお弁当は・・・ってかお昼ご飯だけど。お好み焼きー。レンジでチンしてきたよー』
菫「わかりやすいぐらいに作り置きご飯ね」
夢華「私は・・・じゃーん。お母さん特製の鶏そぼろ弁当~」
玖美『おおー』
菫「私は普通に普通のお弁当よ」
玖美『これぞって感じだね。ソースかけてー、マヨネーズかけてー』
菫「待ちなさい。マヨかけすぎでしょ」
玖美『誰も見てないからいいんだよーっと』
夢華「あ、あれのカロリーはいったい・・・」
玖美『カロリーは!高ければ高いほどおいしい!』
菫「めちゃくちゃ濃そう・・・」
玖美『じゃあいただきまーす。うーん、おいしーっ!生地に山芋が練りこんであってふわっとしてて、キャベツにもしっかりと下味がつけられてて飽きない!ってかこれソース無しでもいけそう!』
夢華「あ、あんなに言われるとすごくおいしそう・・・」
菫「お弁当もおいしいんだけど、やっぱりああいうジャンキーな感じのもおいしそうに見えるわよね」
玖美『付け合わせは~、中華スープ!玉子とキクラゲ、タケノコの入った鶏ガラベースのスープに片栗粉が入れられてとろっとしたスープになってるよ!』
夢華「熱々のスープうらやましいーっ!」
菫「持ってくるお味噌汁だとどうしてもちょっとぬるくなっちゃうもんね」
玖美『うわ、このスープカニの味がする!カニ殻から出汁をとったんだ!天津飯にしたい!』
夢華「カニ天津飯・・・」
菫「あんたはその実況だけで食べていけるわよ」
玖美『や、アタシもさすがにちょっと将来悲観しててさ。外に出なくてもできる仕事ってことで配信的なことをするための練習をね』
夢華「玖美ちゃんならなんでもできそう」
菫「即席似顔絵とかいろいろあるじゃない。あんたなら大丈夫」
玖美『まあね~。あ、ちょっとカメラズームするね。スープはこんな感じー』
小梅『こら、玖美!パソコンをしながらご飯を食べるのは行儀が悪いですよ!』
玖美『小梅!?ち、違うんだって!これは』
小梅『言い訳無用です!これだから現代っ子はすぐお行儀の悪いことを――』
玖美『あ、ダメーっ!電源引っこ抜かないで!お願いだから話を聞いt』ブツン
菫「・・・・・あっ」
夢華「・・・・・かわいそうに」
炎火「弁当の時間だオラァ!」
雫「お昼休みですよおらぁ!」
地理「今日もメイドさんが作ってくれたよおらぁ!」
木々「毎日作ってくれるよおらー」
金「ママ・ファイスが作ってくれるのもおいしいのですがねおらぁ」
炎火「自作ー」
雫「です」
地理「私もなー、手作りしようと思うんだけどなー」
木々「朝って眠いよね」
金「布団が心地いいのが悪いのです。起きれなくとも私は悪くない!」
炎火「今日はー、稲荷ずし弁当ー!昨日の晩御飯のちらし寿司を詰め込んだだけー!」
雫「私はちらし寿司はおにぎりにしたよ。他のおかずは冷食」
地理「それでも家庭科部の一員か!雫隊員!」
雫「お弁当のために朝からわざわざ洗い物を増やすなんてやってられませんよ!」
木々「そうか。一人暮らしはそういう問題があるのか」
金「恥ずかしながら我々は全部メイドさんたちがやってくれますからな。携わることがない」
炎火「あんたらも1人暮らしやりなさいよー」
地理「やってもいいってファイスさんとかセラさんからは言われてるけど今のところやるメリットが存在しない」
木々「寝てるだけでごはんが出てくる生活から離れるなんて想像できない」
金「じ、自分は大学生になったらするつもりです!副会長からアルバイトの情報も集めていますし!」
炎火「やー、先輩様様だよねー。陸上部しながらでもアルバイトできるのは嬉しいわー」
雫「やっぱり世の中コネだよね」
木々「アルバイトなー、食べるだけのアルバイトとかあればいいんだけどー」
地理「あるらしいよ」
木々「え、マジで?」
地理「上海ちゃんから聞いたんだけど、いろんなお店の料理の評価をするアルバイトがあるって」
金「しかし、それをやるには評価が納得に値するための信用が必要なのでは?」
地理「うん。だから雇うとしたら個人で掛け合わないといけないって言ってた」
雫「食べることをお仕事に出来るのはすごいですよね。芸能人の方もそうですけど」
炎火「月美先輩とか漁り先輩もたまにグルメ番組出てるよねー」
金「あれはあれで大変らしいですよ。ちゃんと気の利いたコメントをしないといけないしカロリー計算もうんたらかんたら」
木々「その点月美先輩はすごいよね。食べた感想がすらすらと出てくる」
炎火「何回かやってたよね。今日の風流家のお弁当コーナー」
雫「あのお弁当、おいしそうだったな~。あれ全部先輩と日輪ちゃんの手作りだって言うし」
木々「お弁当食べてるのにお腹が空く内容だったよね。ついでにアザラシ製菓の冷食技術が漏洩してた」
金「しかしそのおかげでクラスのお弁当の質は高くなったと聞きます。やはり日本の技術はすばらしい」
木々「・・・・・・先輩に言えばアザラシ製菓でお菓子食べるバイトとかさせてくれないかな?」
地理「どう、だろう?できそうな気もする、けど・・・・・・」
雫「そこで無理ってならないのが先輩だよね」
草華「今日のお弁当は~、これっ!」
桜「おおー!オムライス!」
幽「まさかの被った・・・・・・」
桜「こっちも!?」
上海「お弁当にオムライス・・・・・・頼まれなきゃやらないけど、頼まれたの?」
草華「そうですね。蕾に」
幽「鈴火にお願いされたわ」
上海「玖美・・・・・・は今日も自宅待機だしなぁ。お好み焼きチンして食べてねって言っておいたけど」
蓬莱「多分まだ寝てるな」
オルレアン「玖美ちゃんですからね」
世界「オルレアン様は人の事を言えませんよ」
幽「あいかわらず上海ちゃんのお弁当はきれいね」
上海「目、鼻、口。場合によっては耳、食感も含めたら五感全てで味わうのが料理ですから」
蓬莱「個人的にはこの砂肝が結構気に入ってる」
桜「上海ちゃんの作るお弁当派品数が多くて見てて楽しいですよね」
日輪「和食は味付け調理法云々もそうだけど、なによりその品数が注目される料理。そのプロの家で育ったんだから毎回気合も入るわよね」
上海「実家から勘当されても料理に罪はない!悪いのはあの家の大人たちとその頭だけ!」
蓬莱「ああ。悪いのは親とその頭だけ」
世界「悪いのは主人の癖とその頭だけです」
オルレアン「・・・・・・え、私のことですか?ちゃんと勉強はできるんですよ!アクアには勝てないですけど・・・・・・」
日輪「そしてそのアクアよりも上を言っているのが、わーたーしー!にっちりんでーす!」
月夜「そうなんだよねー。流石は元生徒会長」
流星「そして次期生徒会長候補!そこに痺れる憧れる☆」
日輪「ながれはともかく月夜はちゃんと勉強しなさい」
月夜「だ、だってぇ、忍術作ってたら時間が無くなるし・・・・・・」
流星「魔法研究してたら徹夜とか余裕だぞ☆」
日輪「私も舞の振り付け考えて夜遅くなることもたまーにあるけど」
世界「日輪様の遅くなるは日をまたがないじゃないですか」
日輪「そりゃそうよ。夜には寝なさいって真恵とかメアリーに言ってるのに私が実践してなかったら言い返されるでしょ」
幽「日輪ちゃんは反論をさせないタイプなのね」
日輪「私はマリンさんとかリーブラさんみたいに口は回らないし。正論を突き通すしかできないもん」
リーブラ「その点草華は楽よね。机を叩けば終わりだもの」
草華「叩いてないもん!一回しか!」
オルレアン「あれ、お姉様が部室で食べるのは珍しいですね」
リーブラ「ここじゃないと電子レンジが使えませんので。よし、空いてますね」
草華「お弁当あっためるの?」
リーブラ「昨日と今朝は忙しくてお弁当の準備をする余裕がなかったの。だからコンビニ飯よ」
流星「・・・・・・はぇっ!?」
月夜「り、リーブラ先輩がコンビニに!?」
リーブラ「私だってコンビニぐらい使いますよ。私の事をなんだと思ってるんですか」
日輪「や、でも気持ちはわかるわ。リーブラって学園長の姪だし社長令嬢だしっていうイメージが強いから」
桜「とりあえずお金持ち!って感じがあるから庶民のお店なんか行かないんだろうなって感じがありますね」
上海「結構スーパーで会いますよね」
リーブラ「ええ。海だけだと買える量が限られてしまいますから」
流星「スーパーかぁ・・・・・・」
月夜「微妙に遠くてめんどくさいから行かないよね」
流星「一人暮らしだとコンビニが近くて便利だしね」
リーブラ「っと、できましたか」
草華「で、何をあっためて・・・ら、ラーメン!?しかも臭いの強い豚骨ラーメン!?」
リーブラ「なによ、文句あるの?」
桜「お、おいしそうです・・・・・・」
上海「いくらお弁当を食べてる最中だからと言って、その匂いは犯罪ですよ!」
蓬莱「お弁当の具材は基本的にあまり匂いの残らない具材が多い・・・それなのにそんなうまそうな脂の香りを部屋中に行きわたらされるとはてめぇ!」
オルレアン「お姉さま、一口、一口だけでいいので」
リーブラ「だーめっ。これは私のよ」
世界「ううう、よりにもよってなぜ豚骨を・・・まだ塩や醤油なら匂いがマシなのに」
リーブラ「豚骨が一番好きだからですが」
アクア「やっほー」ガラッ
オルレアン「うわぁあん!アクア、聞いてくださいー!お姉様が、お姉様がってアクアーーーー!!!!」
アクア「え、なに?」
月夜「が、学食をここまで持って来たんですか!?」
流星「しかもお前もラーメンか!」
アクア「今日は醤油ラーメンの日だったからね。速攻買いに行ったわよ」
幽「スープが凍ってる・・・・・・アクアの力って水しか状態変化させられなかったんじゃなかったの?」
アクア「ラーメンスープは命の水!」
リーブラ「反論の余地の全くない正論ですね」
草華「この姉妹はっ!」
幽「『水』と認識していればなんでも行けるのね・・・」
日輪「ってことはアクアは心の底からラーメンスープを水と思っていることに」
アクア「最高の状態のラーメンを最高のタイミングで食べるためになら私は自分の常識をも変えるわ!」
リーブラ「素晴らしいわ。それでこそ私の妹ね」
草華「これだからこの姉妹は!」
香「こんにちはー」
愛「やーっとついたー。もう日直の仕事多すぎよー」
香「今度生徒会の議案に出すか・・・・・・あれ、いい匂いがする」
リーブラ「よろしければ味見なさいますか?」
オルレアン「お姉様っ!?私は禁じられたというのに!?」
リーブラ「身の程をわきまえなさい」
香「それは・・・・・・コンビニラーメンか。食べたことなかったからちょっと気になってたんだよね。もらおうかな」
愛「私にもちょうだいー」
リーブラ「自分で買ってきなさい」
愛「ひどい!幼馴染差別だ!いいもん!私今からチャーハン作るから!それと交換ね!」
リーブラ「ラーメンに、チャーハン・・・ヨシ!交換成立ね!」ゴソゴソ
草華「ラーメンもう一個!?」
リーブラ「私が1個で足りるわけないじゃないの」
愛「こう見えて筋肉の塊だもんね、あんたの身体。私も人の事言えないけど」
桜「ああ、愛ちゃんがお米3合ぐらいをチャーハンにしようとしています・・・」
蓬莱「あれ全部でカロリーいくらだ・・・」
日輪「考えたくもないけど・・・愛さんそれだけ動くしね」
ガイア「遅くなった。山本死すべし」
アラヤ「水泳できないのがそんなに悪いですか。山本死すべし」
アクア「あいつに捕まってたんだ。まあゴーレムって言うわけにもいかないし」
ガイア「言った。信じてもらえなかったから時間がかかった」
アラヤ「しかたないから学園長を呼んで説得してもらいました。学園長を探すのに時間がかかりました」
香「言ってくれれば説得ぐらい手伝ったのに」
ガイア「香に頼りすぎると人としてだめになると桜に言われた」
アラヤ「香さんに頼りすぎると惚れるからやめろと愛に言われました」
香「愛は何を言ってるんだ」
愛「え、なに?あんたもチャーハン食べる?」ジュー
香「食べるけど」
上海「香も結構食べるんだよね・・・うむむ、量を見直すべきか・・・でもこれ以上やるとお弁当の見栄えがなぁ・・・」
アリス「私も愛のチャーハンとリーブラのラーメン食べるー!」
リーブラ「対価を差し出しなさい」
アリス「昨日お母さんが作ったクッキーが残ってるけど」
リーブラ「交渉成立ね」ゴソゴソ
草華「3つ目・・・」
文「はぁーあ」
浅梨「どしたの?」
文「いや、そのね。中等部時代を思い出して」
虹香「何か憂鬱なことが?」
文「いや、そうじゃなくて。ただ単に風流くんのお弁当おいしかったなって」
浅梨「え、風流家のお弁当って、風流家の母の味?」
文「ううん。風流くんの手作り弁当。あのときは普通におかず交換とかしてたけど、今となっては希少性すごかったんだなぁって」
虹香「あー、今は香さん作りませんしね」
浅梨「ていうか、中等部時代は作ってたんだ」
文「お母さんもお父さんもお仕事で忙しいし、お姉さんも研究で忙しかったとか聞いたよ」
虹香「全く持ってその通りです。今日のお弁当も上海さんですし」
浅梨「でも、あの人たち行事の時には絶対来るよね」
文「真恵ちゃんとかメアリーちゃんもいるしねー。絶対に空けるらしいよ」
虹香「そういえば、眞下さんの妹さんが真恵ちゃんたちのクラスメイトなんでしたっけ?」
文「そうそう。心配だなー。あの子私以上に人と話をするの苦手だし」
瑠花「何を仰る兎さん。中等部時代放送部に混じって暴れ回った記憶を忘れちゃった系?」
文「あ、先輩」
カノン「どうも。ご一緒してよろしいですか?」
浅梨「あ、はい。大丈夫ですよ」
瑠花「いいよねー、この学園はお昼休み長いし外に昼食スペースあるし」
浅梨「え、てかなんですか、中等部時代暴れ回ったって。しかも放送部って、噂に名高い香と月美のあの?」
文「いやいや、私なんか全然でしたよ。あの二人がアドリブを始めるから軌道修正しようとしてただけで」
虹香「もしかしてアドリブを本筋に戻すためのアドリブをしてたんじゃ・・・」
瑠花「よくわかったね虹香ちん!」
カノン「ミイラ取りがミイラになったわけですね」
浅梨「はぁ、聞けば聞くほどなんで私は中等部時代はここにいなかったんだろうって思っちゃう」
文「私としてはやっぱり瑠璃川さんがいないのが寂しいかな。中等部のころは私と瑠璃川さんと風流くんの3人でずっとすごしてたし」
瑠花「文芸部の思い出はないのかね、後輩」
文「左右田先輩が突然夏休みデビューをしたことなら覚えてますよ」
瑠花「いいじゃんいいじゃん!ウチも恋したかったの!ギャルになれば恋愛強者になれると思ったの!クソザコのままだけど!」
文「恋をすると言っている時点でにわかです。恋はするものではなく落ちるものですから」
浅梨「ふ、深い・・・」
虹香「なるほど。恋をしたいと言っている間は落ちていないから絶対に出来ないわけですか」
カノン「私のようなロボットには恋愛の感覚はわかりませんが、眞下さんはその言い方だと恋に落ちているのですか?」
文「それは秘密です。さっきのも瑠璃川さんの受け売りですし」
浅梨「月美が言うと妙に説得力があるんだよね。あの子カメラの前で堂々と片思い中ですって宣言してるし。相手も公開してるし」
虹香「強かですよね。アイドル路線じゃないからこそできることです。ちゃんと瑠璃川さんのファンは応援してくれてますし」
カノン「そのせいで香がそこそこ有名になってしまったのがまた。ついでに幽も」
文「世間の反応が面白いですよね。恋人同士爆発しろ派、瑠璃川さんとくっつけ派、二股しろ派、別れて独り身になっちまえ派とか」
浅梨「最後はともかくとした3派閥がメインどころなの面白いよね。お月見チャンネルで偶にデュエットしてるの見るとなんでデビューしないのとか思うし」
文「え、風流くんあのチャンネルに出てたの!?」
カノン「生放送のみ、録画不可のプログラムが組まれた特別ページでたまーにやってますね」
文「ああもう!どうして教えてくれないの!私も見たいのに!瑠璃川さんのバカぁ!」
香「ただいま~・・・・・あれ?」
小梅「うぅ~、ごめんなさい・・・・・」
玖美「だめっ!ぜぇーったい許さない!せっかく先輩たちがわざわざつなげてくれてたのに!途中の作業データも飛んだし!」
香「・・・・・なにがあったの?小梅が玖美に怒られてるなんて珍しい」
マリン「機械知識に疎い小梅が玖美のオンライン昼食会をむりやり終わらせてしまったんだ」
香「え、なにがあったし」
玖美「あ、お兄ちゃんお帰り!聞いてよ!アタシの来週の放送で使う作業データ、途中だったのに全部飛んだの!飛ばされたの!」
香「それは・・・小梅?」
小梅「私が、私が悪いのです・・・・・・パソコン同士で顔をあわせながらご飯を食べる文化があるのを知らなかったから・・・・・・」
香「あぁー、なるほど。バックアップは?」
玖美「菫先輩に相談しながらやるつもりだったから途中までしか取ってない!そのためにもつなげてたのにー!」
真恵「なんかパソコンってすごいんだね」
メアリー「玖美お姉さまがここまで起こるのも珍しいです・・・・・」
玖美「データ飛んだのもそうだけど!先輩たちに悪いじゃん!わざわざお弁当の時間につなげてくれたのに!」
小梅「返す言葉もないです・・・・・」
日輪「なるほどねー。とりあえず菫たちに事情は・・・まあ説明してるわよね」
玖美「した!」
マリン「しかし、やらかしてしまったことはもうどうしようもない。次からは気を付ける、それでいいだろう」
玖美「アタシの気が収まらない!」
マリン「参ったな・・・まあずっとこんな調子だ。私が早くに気付いていればよかったんだが」
香「ああいや、マリンは悪くないよ。・・・シュシュ?」
シュシュ『はいはーい。悪いけど私は玖美のデータは触ってないわよ』
香「ティアは?」
シュシュ『え、ちょっと待ってね。聞いてみる。ティアー、ティアー』
ティアージュ『はいはい、なに?』
香「ティアもウチのローカルネットワークに入り込んでるんだろ?玖美のパソコンのデータとか残ってたりしない?」
ティアージュ『ご飯を食べ始めたあたりでコピーしておいたわよ。玖美のことだし食べ物ぶちまけたりしないかと思って』
香「さすがだ!ってことで玖美、データは大丈夫らしい。菫と夢華は、うん。僕がフォローしとくよ」
小梅「あの、私も直接会って謝った方が・・・」
香「・・・玖美、どうしたい?」
玖美「土下座させる」
香「らしいからがんばれ」
小梅「土下座でも腹切りでもやりましょう」
日輪「腹切りはやめて。片付けがめんどくさい」
香「ツッコミどころそこ?」
リリーナ「ジャパニーズ・ハラキリ・・・やるの!?」
香「興味を持つような内容じゃないからやめなさい」
玖美「ふーんだ!ちゃんと菫先輩たちに謝るまで許さないんだからね!」