うちのお姉ちゃんは奔放だ。それに、家族の中で一番の家族思い。私たちに何かあったとき、真っ先に駆けつけてくれるのはお姉ちゃんだ。
薫「玖美ー、体調はどうー?」
玖美「けほっけほっ・・・・・・果てしなく眠い。でも寝すぎて寝れない」
薫「なるほどね。それじゃあ、今のうちに体拭いちゃいましょうか。着替え、持ってくるわ」
玖美「おねがいー・・・けほっけほっ」
薫「無理して起きなくていいから、おとなしくしてなさい」
私は病弱だから、いつもお姉ちゃんのお世話になっている。お父さんもお母さんも、仕事が忙しくてなかなか帰ってこれないから。お姉ちゃん、ありがとう。
うちのお兄ちゃんは優しい。いっぱい甘やかしてくれる。ちっちゃいころからいろんなところに連れてってもらったり、遊んでくれたり。
香「玖美。これ、今日の部活で作ったカップケーキだけど、食べる?」
玖美「食べるー!」
香「日輪には内緒だよ。ごはん前にってのがばれるとうるさいから・・・」
玖美「わかってるよー。いっただっきまーす!」
香「どうぞ召し上がれ」
お菓子とか、おもちゃとか、そういうのをいろいろ作ったり買ってくれたりしてくれる。お兄ちゃんの左腕は義手だから、作るのに苦労するだろうに。ありがとう、お兄ちゃん
香「いや、この腕すごい高性能だから。むしろめちゃくちゃ楽だから」
薫「まあまあ、玖美はあんたのことすごく苦労してまでいろいろしてくれるお兄ちゃんって思ってるんだし、いいんじゃない?」
香「いや、だってさ。一応、姉さんが作ってくれたやつだし・・・。なんていうか、ちゃんとわかってほしいというか・・・」
薫「んもーっ!弟君かわいいーっ!大丈夫よー!お姉ちゃんはわかってるからー!」
香「暑い。うざい。息苦しい。抱き着くな。酒臭い」
薫「ぐへへへへ~」
香「姉さん、今割とガチで女が出しちゃいけない声だしてたからな?」
日輪は、一応あたしの姉だ。なんかいろいろあって姉妹になった、血のつながっていない義理の姉。お金とか、生活とかに、すっごい厳しい。
日輪「・・・はい、そこに正座」
玖美「はい」
香「はい」
日輪「兄さんが玖美のこと大好きでついつい甘やかしたくなるのもわかります。玖美も甘やかされるとついつい乗っちゃうのもわかります」
玖美「だよね!抗えないよね!」スクッ
日輪「正座」
玖美「はい」スタッ
日輪「私もね、いいと思うよ?多少お菓子を食べるぐらい。兄さんのお菓子おいしいしね?わかるよ?」
香「あ、日輪の分もあるし、取ってこようか?」スクッ
日輪「正座」
香「はい」スタッ
日輪「でもさ、どうして・・・どうして・・・!」
日輪「どうして、晩御飯前にカップケーキ5個も食べるのよっ!限度があるでしょ、限度がっ!!」
玖美「はい、ごめんなさい・・・」
香「おっしゃる通りです・・・」
日輪は厳しい。でも、ちゃんとあたしがいけないことをしたときしか叱らない。いいことしてたら褒めてくれるし、ご褒美もくれる。血は繋がってなくても、あたしの大切なお姉ちゃん。
日輪「もう・・・ちゃんと気を付けてよ。この話はこれで終わり」
玖美「よし!それじゃあ」
日輪「次は一昨日お小遣いもらって昨日使い切った話ね?あ、兄さんはもういいよ」
玖美「・・・・・・はい」
やっぱり厳しい。
うちにはわけのわからない幽霊がいる。ちょっと前まではあたしのお姉ちゃんだったけど、今では妹になっている。享年ってめんどくさい。
玖美「アリスー、あれどこやったのー?」
アリス「私の部屋の右から三番目の棚の下から2段目の左側」
玖美「めんどいから持ってきて」
アリス「そういわれると思って玖美の部屋のベッドの下に置いておいたよー」
玖美「ぎゃー!なんで勝手に人の部屋に入ってあまつさえベッドの下に覗き込んでるのよ!やめてよ!あああ、絶対見られた、いろいろと見られたぁぁぁぁ・・・」
アリス「このアリスちゃんに鍵だとかプライバシーだとかそんなものが意味あると思ってるの?」
玖美「くそぅ、これから全部電子媒体にしてやる・・・」
アリス「そういや、最近ハッキングも勉強してるんだよね」
玖美「いやがらせか!」
本当にめんどくさい。でも多分、一番しゃべっていて楽しいのはアリスだ。他の家族とは違う、友達に近い感じの関係。でもベッドの下覗いたのは許さない。
日輪「アリス、買い出し行くからついてきて」
アリス「えー、今私勉強で忙しいんだけど」
日輪「ふーん、ならいいや。ちなみに、何のための勉強?」
アリス「ちょっと気になったからハッキング勉強してるんだよねー。現代って楽しい!」
日輪「内容についてはとやかく言わないけど、法には触れないでよ」
アリス「死人に法は適用されないし大丈夫大丈夫」
日輪「そうなったら私が個人的に制裁するからね。兄さん直伝のデコピンで」
アリス「やめて!あれマジで頭割れそうになるんだから!やめてよ!変なことしないから!!」
日輪「ていやっ」バチンッ
アリス「あぎゃーーー!!!!」
日輪「兄さん直伝脳に響くデコピン。とりあえず勝手に玖美の部屋に上がり込んだ分ね」
アリス「頭が、頭が割れるぅぅぅ・・・幽霊なのに死にそうぅぅぅ・・・」
あたしの正式な妹は二人いる。正式といっても血は繋がってないけれど。猫っぽいほうの妹は、わんぱくで元気いっぱい。声が大きい、おとなしくしていられない。その辺がかわいい。
真恵「うー、がぉー!食べちゃうぞー!」
玖美「おばあちゃん、お菓子はさっき食べたでしょ。これはあたしの分だからダメ」
真恵「えー、ぼくもっと食べたーい!あとおばあちゃんじゃない!ぴちぴちの小学2年生!」
玖美「とにかく!これはあたしのだからあたしが食べるの!」
真恵「ぐっ、かわいい妹がおねだりしてるっていうのに、この姉は!」
玖美「本当のかわいい妹は自分からかわいい妹っていいません」
真恵「こうなったら、力尽くで!にゃーっ!」
玖美「がんばれー」ヒョイッ
真恵「にゃにゃーっ!」
玖美「こっちだよー」ヒョイヒョイ
真恵「にゃにゃにゃにゃにゃーーーっ!」
玖美「どうしたどうしたー、もう食べ終わっちゃうよー?」
真恵「飽きた。灯鈴のとこ突撃してくる」
玖美「いってらっしゃーい」
いくら運動神経抜群な妹とはいえ、まだまだ負けないよ。姉には姉の意地ってものがあるんだから。あと、鈴火の家には今お兄ちゃんもいたような・・・?
アリスとは違って正真正銘あたしの妹である女の子、メアリー。なんかよくわからないけどいろいろとあって気が付いたら妹になっていた、おとなしいほうの妹。敬語かわいい。
メアリー「お姉さま、少しよろしいですか?」
玖美「んー、なにー?」
メアリー「今日の宿題で手伝ってほしいところがあって・・・でも、今は家に誰もいなくて・・・」
玖美(んー、つまりあたし最後の手段としてしか見られてないのかなー?)
メアリー「おねがいしますっ!今、頼りになるのはお姉さまだけなんです!」
玖美(今ってつけたよね!?今ってつけたよね!?)
玖美「まあまあ、ここはお姉ちゃんらしくあたしがパパッと解決してあげようじゃないの!で、どんな宿題?」
メアリー「はい。家族の一日というものを書いてこいという宿題なんですけど・・・」
玖美「うん?」
メアリー「これで、大丈夫でしょうか・・・?」
12時:起床・食事
13時:睡眠
18時:起床・食事
19時:お風呂
20時:ゲーム
21時:睡眠
玖美「・・・・・・・・・・・・起床のところを1時間ずらして間に勉強をいれようか」
メアリー「え、でも私、お姉さまが勉強してるところ見たことな」
玖美「大丈夫大丈夫、あたしこう見えて陰ながら頑張ってるから。普段見せないだけだから」
メアリー「はあ、そうですか。そうおっしゃるのでしたら・・・」
素直はいいことなんだけどね?うん。真面目なのもいいと思うよ?お姉ちゃん、そういうの美徳だって思うな。でもちょっぴり黒い何かが見えるのはなんでなんだろうね。あれ、涙が出てきた。おかしいな、早起きしたからかな。でも今日1時に起きたから絶対そんなことないわ。くそぅ、くそぅ!
真恵「メアリーっ!」
メアリー「うなっ!?ま、真恵!?」
真恵「宿題終わったー?」
メアリー「は、はい、もちろん・・・そういえば、真恵は誰の分を書いたんですか?それともまだ終わってない?」
真恵「ぼくはねー、お兄ちゃんのこと書いてきたよー」
メアリー「うなっ!?お、お兄様ですか!?いらっしゃったんですか!?」
真恵「いや、灯火家で彼女さんとイチャイチャしてた」
メアリー「あー、なるほどー、灯鈴さんのところに行ったときに会って・・・・・・私もついていけばよかったです」
真恵「メアリーは誰の分を?」
メアリー「大変不本意なんですが、玖美お姉さまのものを」
真恵「えー、めちゃくちゃ楽じゃん!ぼくもそっちにすればよかったー」
メアリー「もっと内容が濃い宿題にしたかったです・・・」
うちのお母さんは、でっかい。おっぱいすごい。髪の毛の先がくるくる。やさしい。眼鏡。金髪オッドアイで人妻。お母さんに抱きしめられると眠くなってくる。すごい。おっぱい。
玖美「うにゅ・・・お母さん・・・」
リル「なに~?」
玖美「おっぱいすっごいね」
リル「いつもそればっかりね」
玖美「だってお姉ちゃんもすっごいし」
リル「大丈夫、玖美も十分大きいわよ」
玖美「まあ、クラスの中で一番いろいろとおっきいしね!お母さんの血のおかげだ!」
リル「そうね~、もっとおっきくなってほしいから、今日は玖美の好きなごはん作ろうかしら」
玖美「ほんと!?じゃあね、えっと、えっと、えっと、ドリア食べたい!ハンバーグのやつ!」
リル「はいはい、それじゃあお買い物行くから、いっしょにいきましょ?」
玖美「いえっさー!」
お母さんはお仕事が忙しくて、なかなか帰ってこれない。だけど、こうやって一緒にいるときはすっごいかまってくれる。あとごはんおいしい。すっごいおいしい。
うちのお父さんは、でっかい。胸筋とかすっごい。ムキムキ。お母さんが金髪なのに、あたしたち兄弟が黒髪なのはこの人の血だと思う。あと、無口。休みの日によくコーヒー飲んでるけど、カップが小さくて笑える。
玖美「おおー・・・」
壮司「・・・・・・・・・・・・」
玖美「腕、すっごいガチガチ・・・お兄ちゃんは華奢なのに」
壮司「・・・あいつは、母さん似だ」
玖美「あたしはー?」
壮司「・・・・・・俺だな。薫も俺」
玖美「えー、普通逆じゃない?」
壮司「・・・・・・特に、いろいろとすぐにさぼろうとするところは俺に似ているな」
玖美「うっ、あ、あたしはこれで・・・」
壮司「身体が弱いから、無理に学校へ行けとはいわない。ただ、宿題はちゃんとするんだ」
玖美「うー、お、お父さんもいろいろさぼってたんでしょ?」
壮司「俺は8月31日に宿題を全部終わらせる男だったからな」
玖美「お姉ちゃんとあたしそっくりだ!」
見た目は真面目そうなのに、結構抜けてるとこがある。あと、おねだりに弱い。そんで、なにかいいことがあったら褒めてくれる。自慢のお父さんです。
リル「あなた~、また玖美にゲーム買ってあげたんですって~?」
壮司「うっ・・・すまん、つい・・・」
リル「もう、先週も同じことしたばかりじゃない。日輪が怒ってるわよ。がおーって」
壮司「そうか・・・正座、何時間で済むと思う?」
リル「しーらない。1時間は見ておいたら?」
壮司「・・・・・・日輪がほしがっていたものは」
リル「あなた?」
壮司「・・・すまん、冗談だ」
あたしの家族は、素敵な人ばかりだ。だからあたしも、素敵な家族の一員でいたい。
リル「はーい、ごはんできたわよー」
真恵「あ、ぼくが!ぼくがもってく!」
メアリー「私も運びますね、お母さま」
日輪「熱いからやけどしないようにねー」
壮司「だ、大丈夫か?」オロオロ
香「父さん、心配しすぎだよ」
薫「えっと、カメラカメラ・・・」
アリス「薫?何してるの?」
薫「妹の尊い姿を撮影しないと」カシャシャシャシャシャシャシャシャ
玖美「連写しすぎ!あ、あたしも運んだほうがよかったかな?」
だから今日もとりあえずご飯を食べよう。みんなと一緒に、笑っていよう。
リル「あ、玖美。悪いけど、他の子たちも呼んできてもらえる?」
玖美「あ、はーい!」
あ、そうそう。同居人は他にもいるんだよ。それはまた別の機会に、ね。