想い出

御神木の前で

落ち着いてから彼のことを 観察してみると、どうやら今日から私が通う 学校の制服を着ているのが分かった。
御神木を眺めながらもどこか遠くを 見据えているような熱のこもった瞳は なぜか寂しそうで揺らいでいるようにも見える。
……横顔に気をとられている場合ではなかった。 それよりも、彼はどうしてこんなところにいるのか。
万が一この人が聖域に足を踏み入れたら 大変なことになってしまう。
私は注意を促そうと声を掛けることにした。
【紅】「あの、すみません」

案内人

【担任】「骸くん、任せて大丈夫ですね?」
【眼鏡の男】「はい、俺に任せてください」
骸くんと呼ばれた男が立ち上がり、 はっきりと言うその姿は凛としていて 目を奪われてしまった。
【紅】「骸さん、よろしくお願いします」
【眼鏡の男】「……ああ」
骸さんはそれだけ返すと席に座り、 何故か私を鋭い目で見ていた。

良く当たる占い

教室を覗くと、一人の男子生徒が 女子生徒数人に囲まれていた。
【女子生徒】「姫くん、次私のことも占ってもらっていいかな」
【姫と呼ばれる男子生徒】「……その姫って呼び方をどうにかするなら 別にいいけど」
【紅】(あの人、姫って呼ばれてる…… さっき骸さんが言ってた人だよね)
【姫と呼ばれる男子生徒】「…………」
【紅】(っ!? 心なしか、目が合ったような…… というより……ずっと私の方を見てる?)