研究会の目的

近年、精神保健福祉領域（精神臨床）においては認知行動療法（CBT）がRCTによるエビデンスを備えた心理療法として隆盛を極めています。しかし、認知行動療法の隆盛にも関わらず、精神臨床の現場レベルでは、実践のエビデンスがほとんど提出されていないのが実情なのです。

実は、その認知行動療法（CBT）には行動分析学のエッセンスを取り入れた方法論が多く存在しています。そして、精神臨床分野での実践において、行動分析学のエッセンスを取り入れて支援を行なっている専門家は、それと意識しない場合でもかなりの割合になると考えられます。行動分析学は、公認心理師や精神障害支援に関する教科書の中にも取り上げられてきており、今後も幅広い領域のヒューマンサービスの基本的な理論やテクノロジーとしての力量をもっています。

本研究会は、精神保健福祉領域の実践家・臨床家に、①応用行動分析学を現場において実践していくための方法を学ぶ機会（事例検討）を提供し、②現場で得られた実践の効果を、学会発表や論文という形にして公表していく枠組み（事例発表・論文投稿）を提供することを目的として設立されました。

論文を、個人の業績のためだけではなく、未来のクライエントのために書くという趣旨のもと、多くの実践家の方々にご賛同、ご参加頂き、現場レベルのエビデンスを「単一事例研究デザイン」の実践成果・研究成果として集積してゆくことで、「完成度の高いサービス（well-established service）」を発信し、実現していくための枠組みを提供します。