研究プロジェクト紹介

実施プロジェクト研究一覧

各プロジェクトの詳細はProjectID番号をクリックしてください。PDFで閲覧可能です。

2020年度 研究プロジェクト紹介を実施します!

(下記スケジュールのPDFはこちらからダウンロードできます

2020_GenePro_Introduction

動物応用科学科主体のプロジェクト

1

伊藤 潤哉(生殖科学)  戸張靖子(小鳥の歌の科学) 

本プロジェクトでは,実験動物(マウス)をモデルとして用い,分子生物学的アプローチから哺乳類の雄性生殖細胞(精子)の形成・機能を分子レベルで解明する研究に携わっていただきます.本プロジェクトにより哺乳類の雄生殖細胞に関する亜鉛シグナルの重要性が明らかにできれば,得られた知見を,希少動物や実験動物,家畜の生殖工学技術に応用することにより,『個体への高い発生能をもつ哺乳類卵・胚の体外生産法』を開発できると考えられます.また現在の技術では治療不可能なヒト不妊症の新たな治療法の開発にも応用できる可能性も秘めています.

マウス

精子,卵、受精,妊娠、亜鉛,鉄


2

植竹勝治(動物管理)加瀬ちひろ(動物行動)大木茂(乳肉卵の経済)南正人(動物社会)塚田英晴(保全管理)水野谷航(肉科学)竹田志郎(食品機能) 

人、動物、環境の福祉(健全性)を一体的に考えるOne Welfare(ワン・ウェルフェア)の概念を基軸に、人と動物が関係する社会的イシュー(論点・問題点)である、家畜福祉(アニマルウェルフェア)と畜産食品の品質・安全性、愛護動物に対する人の介入の影響、自然・情操教育における動物(特に展示動物)の役割の理解という最終目標(基本課題)を見据え、本プロジェクトでは、個別課題にパイロット・スタディ(予備研究)として取り組みます。参加学生がプロジェクト後もその研究への興味が継続し、将来の主研究にしてくれれば、プロモーターとしては望外の喜びとするところです。 

産業動物(家畜)、愛護動物、展示動物

人、動物、環境、One Welfare(ワン・ウェルフェア)、動物福祉(アニマルウェルフェア)、自然・情操教育、持続可能性


3

加瀨ちひろ(動物行動)植竹勝治(動物管理)

本プロジェクトは、埼玉県こども動物自然公園と共に①希少動物の保全を目的とした繁殖学的研究や②展示動物の福祉的飼養管理の実現を目的とした生理・行動学的研究を行うことで、将来動物園で活躍できる人材の育成と科学的根拠に基づいた管理方法を提案し、動物園の発展を支える事を目的としています。今期は①に関連するテーマとして、日本固有種であるアマミトゲネズミが飼育下でどのような活動周期をしているかを明らかにします。 

アマミトゲネズミ

動物園、行動発現、空間利用、生息域外保全 


4

南正人(動物社会) 塚田英晴(保全管理)

シカは食べものとなる植物に強い影響を与えます。近年、日本ではシカが増加し、生息環境にある植物がシカに食べられて、特に林の下に生える植物が減っています。こうした植物 (例えば、野イチゴ類など)が減ると、それを食べていたクマの食性が影響を受けます。シカへの対策として人間がシカを捕獲してシカを減らすと、植物が増えてその種構成が変化します。さらに、罠でシカが捕獲されると、クマがそれを襲って食べ、クマの食性も変化します。

このように動物の食性の変化を捉えると、その動物が生息する環境の植物の変化が捉えられます。さらにその地域の動植物の相互関係が明らかになります。私達は生態系と人間の関わりの中で起こっている変化を、動物の糞を分析することで捉えたいと思います。

ニホンジカ、ツキノワグマ

食性、種間相互作用、胃内容分析、糞分析、保全管理


5

戸張靖子(小鳥の歌の科学) 南正人(動物社会) 茂木一孝(社会神経科学)

現在は採卵、採肉、実験用として飼育利用されている家禽化ウズラですが、最初の家禽化は、鳴き合わせ用の「啼きウズラ」を育成する目的だったとの文献がある一方で、野生のウズラと家禽化されたウズラの声を比較すると、家禽化されたウズラの方が、声が大きく耳障りな声であるという報告が2本あるのみです。日本人は、そのような耳障りな「啼きウズラ」を作出したのでしょうか?プロジェクトメンバーとなった学生さんには、ウズラの野生種と家禽種の求愛発声の音響構造を詳細に解析することで、日本人による家禽化が鳥類の発声をどのように変化させたのかを明らかにしてもらいたいと思います。 

ウズラ

ラブソング、コール、さえずり、広告声、雌雄間コミュニケーション、ソナグラム、レコーディング


6

竹田志郎(食品機能) 水野谷航(肉科学)澤野祥子 (食品生命科学科)

食品の機能は1次機能(栄養性)、2次機能(嗜好性)、3次機能(生体調節機能)に分けられます。一方、乳、肉、卵といった動物性資源は動物の生命活動の源を維持するうえで重要であり、我々も日常の食生活において頻繁に摂取しています。本プロジェクトでは、動物性資源の食肉および食肉製品がもつ2次機能(嗜好性)と3次機能(生体調節機能)の発現と要因を明らかにすることを目指し、研究を行っていきます。期待される結果として、①食肉および食肉製品のおいしさを決める要因が明らかになる。②新しい機能性を持った食肉製品の応用開発につながる。ことが挙げられます。 

産業動物(家畜)、ヒト

食品、食肉、食肉製品、おいしさ、呈味性化合物、発酵、機能性 


7

茂木一孝(社会神経科学) 久世明香(行動発達) 菊水健史 (社会内分泌)

母のみが子に授乳するという子育て進化を遂げた哺乳類動物では、母子の関係性は子の成長に大きく影響します。マウスを用いた私達の研究では、人為的に一腹の兄弟の半分を通常より早く離乳させてしまうと、その子マウスの社会的行動やストレス応答性の発達が通常時期に離乳されたマウスと異なることを明らかにしてきました。しかし母側の観点から、母動物は子育て中の子をどのように認知しているのか?子の数が途中で減少する場合などに子への行動を変化させるのか?といったことは殆どわかっていません。これらの研究により、母動物は育子中の子達をどのように認知しているのか、母動物の認知能力がわかります。また、子育て中の子の数の変化で母性行動が変化する場合、そのことが子の成長にどのような影響を与えているのかをさらに調べることで、母動物の子育て戦略を考察します。

マウス

母性行動、社会認知、発達


8

久世 明香(行動発達)永澤 美保(同調的共生) 菊水 健史(社会内分泌) 茂木 一孝(社会神経学) 

イヌはヒトと同様に成長後にもよく遊ぶ稀な動物です。ヒトの子供は遊びの中で仲間との関わり合い方といった社会性を学びますが、それは子イヌでも同様なのでしょうか?集団での遊びのなかではどのような個性が見られるのでしょうか?またその個性は成長後の行動特性と何かしら関連するのでしょうか?子イヌの遊びと社会性発達の関連性を調べます。

イヌ

盲導犬、遊び、社会性、行動発達


9

永澤美保(同調的共生) 菊水健史(社会内分泌) 

イヌはオオカミと共通の祖先をもつ動物ですが、ストレス応答性の変異により穏やかな気質になったことでオオカミと分岐し、ヒトとの共生が可能になったと考えらえています 。その中で、イヌは集団の形成がゆるやかになり、様々な立場の個体とやり取りできるようになりました。またヒトとの共生をへて、ヒトと類似した高い認知能力を獲得しています。ヒト社会でのみ観察される、相手の価値判断に応じた交換能力、それはヒトの近縁種であるチンパンジーもできませんが、イヌはどうでしょう?初めてであった相手との価値に応じた交換能力があるのかを調べます。 

イヌ

ネオテニー、社会性、交換、他者視点、価値


10

菊水健史(社会内分泌) 永澤美保(同調的共生) 茂木一孝(社会神経科学) 久世明香(行動発達) 南正人(動物社会) 戸張靖子(小鳥の歌)

動物は群れを形成するものから、単独で生活するものがあります。また縄張りを形成し、群れ外の個体とは交渉を持たないものもあります。一方、家畜化されたイヌや自己家畜化したといわれるヒトでは広範な交流が認められます。このことは、動物の距離間が家畜化の過程で変化し、場合によっては異種間(ヒトとイヌなど)の共生を成り立たせることを可能としたことを意味します。ではこのような共生はなぜなりたつのでしょうか。私たちはホルモンに着目し、ホルモン分泌の変化が、個体の社会的距離を変化させると仮説を立て、その解明に挑みます。これらの研究により動物の距離間を短縮させる可能性が見出せます。

今年度はネコを対象に実施します。将来的には他の伴侶動物、野生動物、家畜も含みます

ホルモン、集団、個体間距離、親和性


11

紙透伸治(基礎化学)、内山淳平(微生物1)、加瀬ちひろ(動物行動)

微生物や植物がつくる天然の分子(天然物)は、古くから薬として利用されています。現在、薬の約1/3がこの天然物をもとにつくられています。例えば、ドラマ「仁」でも出てきますが、微生物のアオカビがペニシリンを作ります。ペニシリンの発見から100年近くたった今も、微生物がつくる分子から薬を開発する研究がされています。

 微生物は、ヒトや動物にとって病気を起こす「悪いもの」として考えられていました。一方、最近、ヒトや動物に生息する微生物は病気から体を守っており、私たちや動物にとって有益に機能していることがわかってきました。動物や私たちの体には多数かつ多様な微生物が共生しており、健康の維持に貢献しています。この健康維持に関与している微生物の中に、私たちの病気を治してくれる微生物が存在することが最近わかってきました。その証拠の一つにヒトの鼻に生息する微生物には、既存の薬が全く効かない病気に対して効果がある分子をつくっている微生物がいることがわかりました。

 これまでに私たちの研究グループでは、麻布大学で世界で初めて見つかった分子を報告しています。これまで多種多様な動物から有用な分子をつくる微生物を探すことは、行われていません。このプロジェクトでは、様々な動物に生息する有用な微生物の探索~微生物が作る有用な分子を見つけ出すことまでを行います。


12

大木茂(乳肉卵の経済)

畜産物食品は毎日のように口にしているものの,その食品をめぐる社会的な議論については十分に関心が払われているとは言い難い。しかしながら動物福祉に配慮した国際的規制は生産・流通・消費の各局面で強化されつつある。とりわけEUを中心に,法律を含む公的規制は,食品表示システム(ラベル)に示される形で確立しつつあり,食品産業のなかにはビジネスチャンスととらえる企業も少なくない。日本は一見遅れているようにみえるものの,産業界は着々と対応を進めており,最終的には消費者がそうした動物福祉対応食品を需要・受容するか否かが鍵を握っている。本研究は,文献・現地視察・小売店頭調査・消費者意識調査により,課題に迫る。

産業動物

動物福祉,平飼い卵,妊娠クレート,薬剤耐性菌,小売業,食品,価格,

食品生命科学科プロジェクト

三宅司郎(抗体・センサ)・大仲賢二(細菌)・松永安由(アレルギー・センサ)

食品衛生法が改正され、2020年6月からHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point: 危害分析重要管理点)システムに沿った衛生管理がすべての食品事業者に義務付けられました。 目的は、食品の輸出振興と、東京オリンピック・パラリンピック開催までに国際標準の食品衛生環境を整えることにあります。このような状況から、国内ではHACCPによる衛生管理体制の確立が喫緊の課題になっており、食品製造工程のモニタリングに使用可能な迅速・簡便な食品危害要因の分析方法が求められるようになりました。

 また、現在はコロナウイルスによるパンデミックの渦中です。ここでも迅速・簡便・高感度な分析方法が求められています。我々の技術は、コロナウイルス検出へも応用が可能であり、その検討も進めています。


守口 徹(食品栄養学),原馬 明子(機能性脂質学)

私たちの身体は約37兆個の細胞でできています.材料となるのは全て口から体内に入れた食品です. その中でも,エネルギー産生栄養素(三大栄養素)の一つである「脂質」は, 肥満などのメタボリックシンドロームの予防から敬遠されがちです. しかし,1つ1つの 細胞の膜は「脂質」でできています.身体を構成し,組織の機能性を維持させるため, 「脂質」はとても重要です.では,いつ,どのような種類の「脂質」を,どれくらい摂取 すればよいのでしょうか? 私たちはマウスを用いて,身体に必要な脂質である必須脂肪酸の役割について研究しています.


武田 守 (神経生理学) 

最近、薬物に頼らない疾病の治療「補完代替医療」が予防医学の視点や健康食品の開発の分野でも注目されています。疼痛の緩和を目的とした「治療薬」と「食品に含まれる化学成分」が生体での同一の標的分子に対して作用する可能性を示唆する報告はありますが「生体における作用メカニズム」を明確に解明した実験は、ほとんどありません。本プロジェクトの目的は食品に含まれる痛みを抑える可能性のある成分を英語文献を検索後、疼痛緩和薬を食品成分で代替できないか?動物実験を立案して、薬に頼らず安全性の髙い治療「補完代替医療」に貢献する基礎的知見を「食品」という視点で明らかとすることです。

ラット

神経科学、疼痛、補完代替医療、食品成分、ファイトケミカル、動物実験


石原 淳子(疫学・公衆衛生学),山本 純平(食品機能学・食品分析学),小手森 綾香(食の情報・栄養疫学),中舘 美佐子(公衆栄養学)

食品やその成分が健康に役立つか、または食品の汚染物質が健康に危害を与えているかどうかなどの研究結果を、実社会に役立てていくためには、それが人間の集団においても起こることなのか、ヒトを対象とした疫学的研究のエビデンスがあることが必須となります。その際、カギとなるのが、曝露情報(=何をどのくらい摂取しているか)を正確にとらえることです。

 人体から採取した血液、尿、毛髪などの生体試料を用いた曝露情報の推定法は、負担が少なく客観的であるという利点があります。私達は様々な食事曝露情報を反映する生体試料の分析値(=バイオマーカー、生体指標)を活用し、健康との関わりを検証する疫学研究を行っています。一例として、発がん性物質であるアクリルアミドの食事由来曝露量を推定するため、赤血球を用いてヘモグロビン付加体を測定し、食事と健康との関係を調べる研究を行っています。




応募資格・参加資格

本プログラムへの応募資格(2019年6月3日現在、変更になる場合もありますので、確認ください)

応募資格:GPAスコア2.75の成績をとり、1年生前期の必修科目での再履修科目が無いこと

参加資格:最終的には各プロジェクトの先生との面談を経て正式な参加となる。