What the ”Autonomy”?

自治ってなぁに?

本項では、「麻布学園の生徒自治」がいったいどういうものであるかを

わかりやすく解説していきます

尚、本項はあくまでわかりやすく解説するために作成された記事であり、必ずしも100%の正確性を有しているものではありませんのでご注意ください。

Point!

①麻布学園の生徒自治活動とは、「生徒が自由を獲得し・維持するための活動」

②自治機関とは、自治活動に主体的に取り組み、生徒の手によって自由な活動を行うための組織。

   (a)予算委員会とは、「生徒の自由な活動に必要なお金を配分すること」「生徒全体としての意見を生徒全体から集約すること」「他の機関の業務ではない自治活動」を 業務とする機関

   (b)文化祭実行委員会・運動会実行委員会とは、文化祭・運動会を生徒の手による開催を主導するための機関。

   (c)サークル連合とは、サークル間の利害の調整と全サークルの代表としての活動を行うための機関。

   (d)選挙管理委員会とは、各機関のルールの改正投票や重要な役職の選挙を行うための機関。

   (e)全ての自治機関は対等であり、並立している状態。

③自治機関で一番偉いのは、その選出基盤における信任を得た委員による会議であり、非常に民主的。

④予算委員会、選挙管理委員会 → 入るには、クラスや学年での選挙が必要。

 サークル連合(執行部) → 入るには、(所属するサークルの代表者が理解ある人物であることと、)総会での選挙が必要。

 文化祭実行委員会、運動会実行委員会 → 局に入るには、募集があったときに参加希望を伝えることで参加可能。最高意思決定機関である執行委員会に入るには、クラスや学年での選挙が必要。

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自治ってなぁに?

「麻布学園の生徒自治」を考える前に、まず「自治」って何でしょう。

字のままいうならば、自らを自らで治めること。もう少し言うならば、

自分や自分たちに関することを自らの責任において処理すること ということになります。

さらに言うと、やりたいことを、自分で責任をもってやるということです。


さあ、では「麻布学園の生徒自治」って何でしょう。

「自治」というのは、やりたいことを、自分で責任をもってやるということですから、

「生徒自治」というのは、生徒がやりたいことを、生徒が責任をもってやるということです。

個人単位ではもちろんのこと、生徒が構成する組織単位での活動にもこれを行っていこう

というのが「麻布学園の生徒自治」の考え方です。


であれば、なぜこれを行う必要があるのでしょうか。

それは、麻布学園の校風に由来するものでしょう。麻布学園の校風は、「自由闊達」。

そして、自由というものには総じて責任が伴うのです。

その自由に伴う責任の部分を担い、そして自由を確保するために生徒自治があります。


では、実際にはどのようにして責任を担っているのでしょうか。

部活動、文化祭、運動会などの活動は全て自治機関によって行われていますが、

その自治機関の運営と活動の運営には、生徒自らが定めた規則と罰則が存在します。

これによって、生徒活動に「責任」が生じるのです。自ら活動を行い、それの規則を定め、規則に伴う罰則を定める。

こうして責任を伴った活動であることを示すことで、自ら活動を行う自由を確保することができます。

そして、自由を侵害された場合には毅然とした態度で自由の獲得を主張することができるのです。


自由の確保は、今ある自由を維持すること、新たな自由を確保することです。

詳しく言うと、自ら行うべき活動を行う自由を維持すること。

そして新たに、自ら行うべきと考えられる活動が生まれたり発見されたりした場合、それを自ら行う自由を獲得することです。


そして、それらの自治活動を行う組織が「自治機関」です。

麻布学園の生徒全体としての自由の獲得・維持を行う自治機関は、全校の総意を代表するものでなければならず、

その全校の意思集約を主に司っているのが予算委員会です。

予算委員会の根本的な業務は、「予算の配分」と「全校の意思集約」ですが、

予算の配分はもちろんのこと、全校の意思集約というのは、麻布生の自由の獲得・維持に欠かせないものです。


文化祭実行委員会・運動会実行委員会はそれぞれ文化祭・運動会を生徒主体で行う上で、

それぞれのイベントについて生徒を取りまとめて運営を行う機関です。

サークル連合は、サークル間の利害の調整と全サークルを代表して外部との交渉を行う機関です。

選挙管理委員会は、それぞれの機関に定められた大事なルールである「規約」の改正投票や、

他自治機関の幹部を選挙する際にその投票・選挙の運営を行う機関です。


予算委員会・選挙管理委員会は、そのすべての構成員が選挙で選出されています。

文化祭実行委員会・運動会実行委員会も、それぞれ一番偉いのは、構成員がすべて選挙で

選ばれた委員である執行委員会です。

サークル連合は、そのすべての構成員がサークルの代表者です。

(ちなみに、全ての機関は対等な関係にあります。事実上頭一つとびぬけている機関はありますが、それでも他の機関の上にある

というわけではありません。)

つまり、全ての自治機関はその選出基盤における信任を得た委員による会議が構成している、

非常に民主的な組織であると言えます。

例えるならば、日本の国会の議員が全て新進気鋭の政党無所属議員で構成されたようなもので

す。会議中に寝ている委員はいませんし、与党が数の暴力で強行採決といったこともありませ

ん。内閣(行政実務機関)の長は国会による指名を受けますが、自治機関においても実務を行う

全機関の長は選挙によって選出されます。

コラム①:他校の生徒活動と麻布の自治活動の違い

他校にも、いわゆる「生徒会」をはじめとする組織が存在することが多くあります。それらは生徒代表の組織であり、所管内容も似たようなものであったりします。(ex.予算の審査)

しかしながら、他校のそういった組織と麻布の自治機関では大きな違いがあります。

それは、「生徒の自主的な活動であるか否か」と「活動の主目的」が主なものです。

まず、「生徒の自主的な活動であるか否か」。麻布学園の各自治機関は、主に生徒が作った組織です。歴史を遡れば、その原型と言える組織の設立には学校側が関与していることもあります。しかし、現状の各自治機関とは大きな違いが山ほどあるので、まったく別の組織と言っても過言ではないでしょう。ですから、麻布学園の各自治機関は生徒が自主的に結成した組織であると言えます。他方、他校のそういった組織は学校側によって設立され、それに則って生徒が活動していることがほとんどです。

次に、「活動の主目的」です。麻布学園の自治の主目的は、先に述べた通り「生徒自由を獲得し維持すること」です。しかし、他校のそれにおいては、「学校側が設置した教育の現場」としての意味合いが強くあります。確かに、麻布学園の自治活動も教員側の容認を受けているからこそ可能なことではありますが、やはりそこには根本的な差異があるでしょう。

少し自治の歴史の話。

第二次学園紛争、皆さんも名前は聞いたことがあると思います。校外の方も、東大安田講堂事件と同じ時代に、同じような空気の中で起きた事件と言えばおわかりいただけるでしょう。麻布でのこれは、当時の校長代行が生徒の自主性を否定しようとしたためにおきた紛争です。そして、これの前にも自治機関が存在しました。しかし、それらの組織は「教員側が作って、それに生徒が参加する」という形でした。しかし、第二次学園紛争以降の自治機関は、「生徒自らが作って、生徒自らが運営する」という形のものになっています。ですから、第二次学園紛争以降の生徒活動こそが「自治」であると言えるでしょう。

コラム②:麻布の自治の必要性

麻布の自治と言うのは麻布生の自由獲得のための大事な役割を果たすはずのものです

ただ、麻布生の自治の獲得という面において重要な役割を果たすべきであったとき(ここでは学園紛争)に、当時の中高各生徒会をはじめとする組織がその役割を果たせなかったのは事実ですではなぜそれらの組織が役割を果たせなかったのかと言えば、学校側による自由の侵害がない状態が長く続き、自治活動が形骸化してしまったことによります。(もちろん、それらの組織が学校側の指示に基づいて作られたというのもありますが)

さらにいえば、今回のコロナによる自由の侵害についても、各自治機関は大きく初動が遅れました。数十年単位で不祥事が頻発している組織も存在します。要は、予算委員会をはじめとする現行の自治の仕組みと言うのもなまってしまっているということです。

しかしながら、麻布生の自由が侵害されたときには麻布生が自主性を持って組織だった行動をしなければ自由の獲得はなりえない、またはなり難いといえます。これは、学園紛争が良い例でしょう。ですから、平時の自治のありかたを考えることは当然必要ですし、大きな改革も必要でしょうが、自治そのものをなくすということは危険極まりない行為であると言えるでしょう。

なお、自治のあり方は現在予算委員会のシン・自治改革小委員会において主に議論されています。