標記の研究集会を以下の要領で開催いたします.みなさまのご参加をお待ちしております.
日程: 2025年3月28日(金曜日,午後)
会場: 中央大学後楽園キャンパス5号館5138号室 (アクセス)
大坪紀之 (千葉大学)
中村哲平(京都大学)
呼子笛太郎(東京理科大学)
3月28日 (金曜日)
13:40 はじめに
13:45--14:45 呼子笛太郎: 準フロベニウス分裂について
15:00--16:00 中村哲平: 0次ススリンホモロジーとモデュラス付き0サイクルチャウ群の比較について
16:30--17:30 大坪紀之: Gauss超幾何モチーフの変換公式とFrobenius自己準同形
17:35 おわりに
呼子笛太郎: 準フロベニウス分裂について
フロべニウス分裂性は正標数の代数多様体に対して定義される概念で,MehtaとRamanathanにより定義された.準フロべニウス分裂性はこれを拡張する概念であり,元々はカラビヤウ多様体のArtin-Mazur heightの研究の文脈で導入された.この講演では特異点やハイパーケーラー多様体の準フロべニウス分裂性について議論する.講演はKawakami-Takamatsu-Tanaka-Witaszek-Yoshikawaとの共同研究とHaitaoとの共同研究を含む.
中村哲平: 0次ススリンホモロジーとモデュラス付き0サイクルチャウ群の比較について
幾何的類体論とは、有限体上の滑らかな多様体Xのアーベル基本群をX自身の不変量で記述する理論である。主に2つの理論がある。1つ目はSchmidt-Spießによる順分岐類体論である。有限体上の滑らかな多様体Uに対し、順分岐アーベル基本群π^t,ab_1(U)は 0 次ススリンホモロジーH^S_0(U)で記述できる。2つ目はBinda-Kerz-Krishna-Saitoによるモデュラス付き類体論である。有限体上滑らかな多様体Uの正規なコンパクト化Xと、X上の有効カルティエ因子Dで、X∖D= Uを満たすものを取ったとき、モデュラス付きアーベル基本群π^ab_1(X|D) はモデュラス付きチャウ群CH_0(X|D)で記述できる。問題は「D が被約であるとき、CH_0(X|D)とH^S_0(U)は同型になるか?」である。本講演では、この同型が成り立つ条件を紹介し、証明の概略を与える。
大坪紀之: Gauss超幾何モチーフの変換公式とFrobenius自己準同形
Gauss超幾何関数を複素周期にもつモチーフが存在し,そのモチーフに付随するGalois表現のFrobeniusトレースはGauss和を用いて定義される有限体上の超幾何関数になる.複素超幾何関数にはEulerとPfaffによる基本的な変換公式があり,それらの有限体上における類似が知られている.本講演では,これら複素・有限の変換公式を超幾何モチーフ間の同形に持ち上げる.そして,有限体上の超幾何モチーフのFrobenius自己準同形をモチーフ的な「超幾何代数対応」を用いて表す.これはFermatモチーフに対するColeman, O.-Yamazakiの結果の高階数類似になっている.時間が許せば,Asakura-O. によるアデール的超幾何関数への応用についても触れたい.
この研究集会は科研費(21K03153)より援助を受けております.
世話人: 山崎隆雄 (中央大学)