イラスト:成田 あむ(転載を禁ず)
石巻専修大学理工学部生物科学科・動物生態学研究室では、サルやシカをはじめとする野生哺乳類を対象に、動物と物理環境、あるいは同種・他種との関係についての研究(専門的には生態学 Ecology といいます)をすすめています。フィールドワークを通して集めたデータを使い、身近な自然の「つながり」を理解することを目的とします。当研究室は「野生動物が好き!」「実験室よりも野外で研究活動をしたい!」という学生におススメです。
石巻専修大学は、キャンパスに隣接した演習林を持ち、キャンパス周辺に牡鹿半島、金華山島など魅力的な調査地があります。大学と調査地の近さは、フィールドワークにおける大きな武器です。地の利を活かし、動物たちの生活や生態学的機能の解明に取り組んでみませんか?
当研究室の研究の柱は、以下の3つです。
東北地方の獣害についての研究:カメラトラップを用いた密度調査、発信機を用いた動物の行動圏利用、農林業被害の定量化、糞・胃内容物の分析による食性評価、車との衝突事故に関する調査を実施し、対策に役立つデータを収集するとともに、自治体への提言を行う。
石巻圏の動物の基礎生態の研究:市内各地に生息する哺乳類や鳥類の基礎生態を明らかにする。
金華山島の野生動物に関する基礎研究:牡鹿半島沖の離島・金華山島に生息する動物の生態を実施し、特に環境との関連性や他種との関係を明らかにする。
以上に加えて、動物園/水族館での研究、研究室で収集した骨格標本を使った研究も実施しています。
*研究室主催者(辻)の専門は霊長類の採食生態ですが、ここ数年は種子散布の研究に力を入れておりますので、希望すれば教員の研究プロジェクトに参画することもできます。本研究室に限らず、所属研究室を選ぶ際は、希望するテーマが実施できるか否か、先生に確認してくださいね。
有害駆除されたイノシシ
車に轢かれたアカギツネ
林内で見つけたテンの糞
タヌキの糞の内容物分析
シャーマントラップでノネズミを捕獲
金華山では自炊生活です
ツキノワグマの全身骨格の組み立て
車と衝突したニホンジカ
金華山島のシカの角切行事のお手伝い
土壌硬度を計測しているところ
センサーカメラがとらえたニホンカモシカ
ゼミの一コマ
研究成果をプレゼンしよう
植生調査は植物の研究室と合同で行います
ロードキル個体の計測作業
金華山島のシカ
ヒヨケザルを捕獲し発信器を装着
学会での発表は緊張します
令和6年度の研究室メンバー。卒業おめでとう!!
参考:卒業研究/修士研究(M)/博士研究(D)のテーマ
(令和7年度)
石巻のタヌキの食性(高橋(尭))M
ロードキルの長期傾向分析(鎌田)
アナグマとハクビシンの生態比較(宍戸)
生息環境の違いがシカの行動に及ぼす影響(岩渕)
野生動物の洞窟利用(高橋(幹))
大学キャンパス内の地域ネコの行動(Aca)
訪問者の変化が観光地におけるカニクイザルの行動に及ぼす影響(Nathan)
(令和6年度)
金華山のヒメネズミの個体数変動と食物資源との関連(奥山)
石巻のタヌキの食性(伊藤(孝))
タヌキの死体分解プロセス(横川)
タヌキの歯形態(高橋(尭 )
衝突事故とシカの行動の関係(武田)
インドネシアのコモンパームシベットの食性(Dhava)
インドネシアのコウモリの食性(Fanifa)
インドネシア・スマトラ島のシルバールトンの基礎生態(Akbar)D
(令和5年度)
アカネズミの個体数変動と食物資源との関連(伊藤(友))M
牡鹿半島のアカギツネの食性(高橋)
大学キャンパスのニホンカモシカの生態(小田桐)
金華山島の糞虫類によるサル糞の処理プロセス(成田)
金華山島のヒメネズミの個体数変動(大槻)
ロードキルの発生に影響する環境要因の解明(富山)
牡鹿半島のニホンジカによる植生への影響(伊藤(凛))
東ジャワのジャワルトンの基礎生態(Rizal)M
インドネシア・スマトラ島のシルバールトンの基礎生態(Akbar)D
(令和4年度)
小型齧歯類の個体数変動と食物資源との関連(伊藤)M
牡鹿半島のニホンテンの食性(阿部)
大学キャンパスのハクビシンの食性(下山)
福島県のイノシシの食性(菅原)
齧歯類によるオニグルミの利用(菊池)
鳥類のロードキル(猿渡)
大学演習林におけるニホンジカの生息状況(八木澤)
ニホンジカの死体分解プロセス(坂本)
東ジャワのカニクイザルの基礎生態(Ubai)M
インドネシア産霊長類の生態の地域間比較(Juliandi)M
インドネシア・スマトラ島のシルバールトンの基礎生態(Akbar)D
(令和3年度)
大学演習林のニホンアナグマの食性(四釜)
大学演習林の徘徊性昆虫類相(荒木)
小型齧歯類の個体数変動と食物資源との関連性(伊藤)
石巻市内のロードキルの発生要因の解明(鈴木)
インドネシア産霊長類の生態の地域間比較 × 3名(Hasniyah, Nurdini, Widayati)
(令和2年度)
センサーカメラを用いた大学演習林の動物相の調査(古川)
生息環境の違いによるカラス類の行動の変化(花立)
石巻市内の野生動物のロードキルの現状(高橋)
糞分析による金華山のニホンザルの食性評価(菅原)
ジャワルトンの泊まり場選択性(Salsabila)
カニクイザルの土地利用(Reffaviyana)
卒業研究のテーマは、できるだけ皆さんの希望を実現できるように配慮します。もし「こんなことを調べてみたい!」というアイディアをお持ちなら、まずはご相談ください。自由な発想に基づく提案をお待ちしています。
国内での研究に加えて、東南アジア(主にインドネシア)でも調査しています。私はこれまでの研究を通じて得た海外の人的ネットワークを活用し、意欲のある学生に海外でさまざまなかたちで経験を積ませたいと考えておりますので、大学院生の方は積極的にチャレンジしてください。また、東南アジア地域から留学生を呼び込むなど、外国の研究機関との連携を強化して、国際的に活躍できる人材の育成に貢献したいと考えています。