私(辻)は、2009年から2020年までは国立大学での大学院教育に、そして2020年からは本学での学部/大学院教育にかかわり、生物学・生態学・野生動物管理学の講義ならびに野外実習の引率を担当してきました。これまでに学部生・大学院生の研究指導、博士学位論文の審査(7回)、教科書教材の作成などの経験を積み、また国内外各地での調査を通じて、人的ネットワークを広げてきました。
当研究室に入室すると、野生動物を対象に生態学的な研究を行うことになります。当研究室に興味がある方は、このページに書いてあることをよく読み、私の指導方針を理解した上でお訪ねください。面談は、随時お受けします。
基本的には哺乳類です。鳥類・爬虫類・両生類・昆虫類などを対象とした研究も実施可能ですが、私はこれらの動物の専門家ではないので、基本的な事項は自分で勉強する必要があります。
卒業研究のテーマは、卒業後の進路と適正に応じて決めています。
【就職希望者】 就職活動と卒業研究を両立できるよう、近場での調査を勧めています。
【進学希望者】 やや難易度の高いテーマに取り組みます。できるだけ調査に集中してもらい、より高い成果を求めます。
当研究室では、地道な作業を継続できる粘り強さ、地域の人々や関連研究者と接するうえでの心構えとコミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキル、文章執筆スキル、統計解析スキル、骨格標本作製スキルなどを身につけることができます。これらの経験はきっと、みなさんの将来の糧になることでしょう。
・教員からの懇切丁寧なケアを期待している人
→ 当研究室では、基本的な方針の決定後は、調査日程の調整・分析作業などを学生の自主性に任せています。私は、調査や分析の過程で疑問を持ち、相談してきた学生に対してはアドバイスをしますが、自から動かず黙っている人に手を貸すことはしません。教員からの手厚いケアを期待している人は、当研究室は避けたほうが良いです。
・汚いものが苦手な人
→ 当研究室では、動物の糞分析や死体の解剖などを日常的に行っています。また、ラボでは骨格標本愛好会が活動しているため、彼らの作業中、ときどき異臭がします。汚いものが苦手な人には、つらい環境だと思います。
・卒業研究に時間をかけたくない人
→ 当研究室では「自分のデータは自分で集める」のが基本です。野生動物相手の調査では、データの多くは一年に一度しかデータを収集できませんので、コンスタントに野外調査に行く必要があります。さらに、大学でのデータ解析もありますから、生活リズムの中で卒研の占める割合が高くなります。野外調査・実験・分析・解析・プレゼン…、研究活動そのものを楽しめる人を歓迎します。
・調査よりも公務員試験(教員採用試験を含む)の勉強を優先したい人
→ 野外調査では、一回の拘束時間がそれなりに長く、また対象動物の暮らしに合わせてコンスタントに実施しなければなりません。ゆえに、野外調査と受験勉強の両立は難しいと思います。当研究室の活動は「フィールドワークありき」ですので、試験勉強を理由に野外調査を拒否されるのは困ります。他の研究室を検討なさってください。
・周囲とコミュニケーションの取れない人
→ 当研究室では、地域の人々や他大学の研究者・学生と共同で作業を行う機会が多いので、報告や連絡ができる人、教員との約束やラボのルールを守れる人、研究室の仲間や共同研究者、地域の方と円滑なコミュニケーションをとれる人を歓迎します。指導困難と判断した方は、私から入室をお断りすることがあります。
・当研究室での活動に必要な科目を履修していない人
→ 当研究室に興味があるのでしたら、本研究室での研究に関連する科目「生物学(1年後期)」「動物生態学(3年前期)」「野生動物保護論(3年後期)」を受講してくださるよう、お願いします。また、マクロ生物学(行動・生態・保全など)に関連する本を読んでおくとよいと思います。
当研究室では「研究成果は最終的に出版物として公表する」という方針で指導します。したがって、そのベースとなる卒業論文の提出を卒業の要件とします。私は、文章の論理性や結果の解釈の妥当性に問題がある原稿に対しては、何度も書き直しを命じます。4年生にとっては不慣れなことの連続で大変かもしれませんが、研究室での学びは、論理的な考え方や文章力のトレーニングになるはずです。
指導学生の卒業後の進路としては、中学校や高校の生物教員、博物館学芸員、鳥獣害のマネジメント関連の企業、研究機関、官庁などへの就職が考えられます。ただ、この分野の求人は少ないため、希望する行き先にすんなり就職できるわけではないということを、あらかじめ知っておいてください。動物関係の専門職に就職したいなら、修士課程まで進むのがおすすめです。共同研究や一斉調査などの機会に知り合いを増やし、インターンなどに積極的に参加することが、就職の近道だと思います。進学希望者には、受験勉強のサポートや他大の教員の紹介などが可能です。
石巻専修大学では、例年7-8月に大学院の入学試験が実施されますので、内容を検討したうえで、ぜひ受験してください(➡ 大学院入試情報)。大学院生には、大学から各種の支援があります。外部から受験する方は、事前に一度当研究室を訪問して、入室後の研究テーマ等について打ち合わせをすることをお勧めします。
よくある質問
Q1. ネコの行動観察をしたいのですが、この研究室で卒業研究のテーマにできますか?
→ 当研究室では基本的には野生動物の生態を研究しているため、ペットの研究はお断りしています。ただし、生態学的な課題と関連付けたテーマであれば、検討したいと思います。なお、動物の行動観察は、大学/自宅の周辺、あるいは動物園/水族館で実施できることが実施の条件です。
Q2. 泊りがけの野外調査はできますか?
→ 大学の方針により、学生単独での野外調査は禁止されています(大学演習林は除く)。泊りがけの調査は、指導教員が同行する場合に限って実施可能です。
Q3. 体力に自信がないのですが、この研究室でやっていけますか?
→ 野生動物の調査には、炎天下での行動観察・カメラの回収・植生調査などハードな作業が多くありますので、体力はあったほうがいいです。しかし、当研究室では運動経験のない学生も多く受け入れてきたし、皆さんちゃんと研究していました。むしろ、コツコツ努力する「根気強さ」があるか否かが重要だと思います。
Q4. 私は同級生に比べて動物に関する知識が足りないと思っています。動物の調査ができるでしょうか?
→ 当研究室がメンバーに期待するのは、卒業研究/修論研究を通じて「新しい知識を生み出すこと」です。予備知識があるに越したことはありませんが、知識ばかりで行動が伴わない人よりも、動物に愛着や興味をもって何度も現場に通い、調査・勉強の努力を続ける人の方が、良い仕事をする傾向があります。
Q5. 研究室配属はGPAで決まるって聞いたんですけど、本当ですか?
→ ある研究室に希望者が集中した場合、話し合いで調整することになりますが、まとまらなかった場合は、教員の判断で受け入れを決めます。そのとき、GPAは判断材料にはなりますが、それ「だけ」ではありません。当研究室では「粘り強さ」と「動物の研究に対する熱意」も重視して学生を受け入れています。 ここ数年は、配属前に面談を行い ①配属後の研究の方向性を確認すること、②ラボの運営方針、ラボメンバーとしての責務等に同意すること、③生態学関連の科目を履修していること を受け入れの条件としています。
Q6. どのようなスケジュールで研究に取り組めばいいのでしょうか?卒業論文の執筆が不安です…
→ 配属された学生の一年間のスケジュールは、おおむねこんな感じです。参考にして下さい。
・研究室配属 3年次 10月
・野外調査 3年次 10月(~ 4年次 9月。ただし就活中は最低限のデータの収集にとどめ、データの解析は後回し)
・ゼミ 3年次10月 - 3月 論文紹介、研究のイントロ作製
・就職活動 3年次 2月( ~4年次 8月ころ。就活が終わり次第データの解析開始)
・ゼミ 4年次4月(中間発表(1回目)、統計の勉強)
・大学院入試 4年次 8月
・ゼミ 4年次 9月 中間発表(2回目)、プレゼン資料作成、他大との合同ゼミ
*この時期から卒論を書き始める学生が多いです
・卒研発表会 4年次 2月上旬
*卒研発表会の後が、忙しさのピークです
・ポスター発表会 4年次 2月下旬
・卒論の提出 4年次 3月上旬
・卒業式 4年次 3月下旬