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当研究室は、国立大学法人神戸大学 経済経営研究所 計算社会科学センターに所属し、計算社会科学(Computational Social Science)を専門としています。機械学習や統計的因果推論をはじめとするデータサイエンスの先端技術を活かし、消費行動やソーシャルメディアの解析、科学計量学や文化資料解析など、幅広いテーマに取り組んできました。いずれの分野においても、実データに基づく厳密な分析を通じて、社会や市場の動向をより深く理解する手法を探求しています。
私たちの研究は学術的価値にとどまらず、実際の産業界で役立つ知見を生み出すことを重視しています。そのため、企業との共同研究を積極的に行い、成果を社会実装へとつなげる取り組みを継続してまいりました。松井研究室の主宰をしている松井は、2017年以降、自社のビッグデータを活用した高度なマーケティング戦略や自社プラットフォームのデータを用いたユーザー行動分析、さらにはサードパーティから取得したデータを利用したマーケティングのための現状分析など、幅広いテーマの研究・分析に従事してきました。こうした学術研究の力と企業の事業ノウハウを組み合わせることで、より革新的なソリューションや、分析に基づく戦略を策定することが可能となります。
ゲームの行動データやライブ配信データ、ソーシャルメディアデータなど、数万~数百万件におよぶ投稿データを可視化する研究や、非負値テンソル因子分解(NTF)や単語埋込表現(word embedding)といった機械学習の手法をを用いた消費行動パターン解析など、大規模データの扱いと先端アルゴリズムの開発に力を入れています。既存の分析では把握しづらい多層的なユーザ行動や市場動向の背景を、より立体的に捉えることを目的としています。
具体的な研究例
ソーシャルメディア解析による選挙キャンペーンの可視化
大規模購買履歴データの多次元分析
ゲーム内行動ログやライブ配信視聴履歴を活かしたユーザ行動クラスタリング など
松井研究室は、主宰者の松井がコンピューターサイエンス(工学)と経済学の両分野で学位を持つことから、学際的な研究を得意としています。ソーシャル性を踏まえた分析や技術開発にも強みをもち、工学的な発想や経済学的な思考に偏らず、現場の実情を踏まえた柔軟なアドバイザリーが可能です。たとえば、政策による購買活動の変化を定量的に検証したり、オンラインコミュニティにおける有害言論を未然に防ぐ方法を探究するなど、単一の専門知識だけでは解決が難しい問題にも取り組んでいます。こうした学際性は、企業様が直面する多様な課題にも、的確かつ柔軟にアプローチする上で大きな強みとなります。
当研究室は、複数の企業と連携してきた実績を活かし、学術成果を実際のビジネス開発に結びつける実務経験があります。例えば国内の金融系アプリ企業のデータを活用した際は、キャッシュレス決済施策による消費への影響を因果推論で検証し、消費行動の変化をつかむ研究を進めてきました。また、位置情報のビッグデータを用いた大規模な移動パターンの解析によって、有意義なマーケティング効果を検証する取り組みにも注力しています。今後、新たに共同研究を希望される企業様に対しても、成果の事業化まで寄り添い、学問と産業界の最適な橋渡しを行います。
大学との連携を通じて、ビッグデータやAIといった先端技術を短期間かつ効果的に自社に導入できる可能性があります。また、研究成果を学会やジャーナルで公表すれば、企業ブランドや技術力のアピールにもつながります。さらに公的助成金の活用などにより、研究費用の削減やリスク分散を図りながら、新たな製品・サービス開発の加速が期待できます。
企業が直面しているリアルな課題やデータに触れることで、学術研究をより実践的かつ先進的に拡張できます。社会実装と研究成果を両立させることで、ビジネスと学術コミュニティの双方にメリットをもたらす産学連携のあり方を追求していきたいと考えています。
企業によっては、いきなり大規模な共同研究に踏み切るのは難しい、あるいは限られたリソース・予算でまずは国内学会での研究発表にチャレンジしてみたいという場合もあるでしょう。当研究室では、そうした企業様を対象に簡易的な共同研究やアドバイザリー契約といった形態もご提案しています。
例えば、産学連携の第一歩として自社が保有するデータを活かしつつ、国内学会で研究発表を行うことを想定しています。しかし、「適切な学会が分からない」「どこまでデータを開示できるのか」「論文投稿や学会発表の手続きが不明」など、多くの懸念や不安があるかと思います。
当研究室では、過去の産学連携の経験をもとに、機密情報を公開せずに学術的な意義を引き出すためのノウハウを蓄積してきました。自社データを匿名化・抽象化して論文化するテクニックや、企業の事業戦略を保護しつつ、学術的に重要な知見を導き出す手法など、具体的なサポートをご提供可能です。
通常の大規模共同研究と比べ必要な工数や費用を抑えつつ、当研究室がアドバイザーとしてデータ分析の方針立案から発表内容の検討、学会選定や投稿準備までをサポートいたします。限られた人員であっても、大学研究者の知見を取り入れることで、短期間で学会発表を実現することが可能です。
また、こうした取り組みは、企業の研究開発力の向上や社内人材育成においても重要なステップとなります。単に学会スポンサーとしてブースを出すだけでなく、実際に研究発表も行うことで、企業としての取り組みをより強くアピールできるようになります。研究コミュニティへの貢献という意味でも意義は大きく、「研究活動をスタートさせたい」「学会発表で社内文化を育てたい」といった要望がある場合は、ぜひご相談ください。
初期相談
まずはメールやオンライン会議などでご連絡いただき、ご希望の研究・発表イメージをご共有ください。利用できるデータや公表可能な範囲を把握するために、短時間の打ち合わせを行います。なお、この段階では通常、短時間のミーティングに対する報酬はいただいておりません。
テーマ設定と契約手続き
研究の目的や期間、予算などをすり合わせた後、大学規定に基づく共同研究契約、あるいはアドバイザリー契約のいずれかを締結いたします。簡易的な学会発表支援のみの場合は、年間で数十万円程度の契約形態も可能です。研究内容が拡大し、大規模データを複数人で扱う場合は、数百万円~1,000万円規模の共同研究に拡張したり、他研究室との連携を検討するケースもあります。
研究活動・データ分析(またはアドバイス提供)
実際の分析や学会発表の準備を進めます。企業様のデータ秘匿性を確保しながら、当研究室が培ってきたノウハウを活用し、論文化や発表資料の作成をサポートします。場合によっては大学の研究環境や貴社のサーバを利用し、秘密保持契約(NDA)のもとで安全に作業を行います。
成果共有と次のステップ
学会発表が無事終了した後は、今後の展開についても一緒に検討できます。例えば、「さらなる深堀りを経て国際会議や国際ジャーナルへの投稿を狙いたい」「事業への本格的な応用を図りたい」といったご希望があれば、引き続きサポートさせていただきます。
当研究室では、企業様のデータやノウハウを厳密に保護し、共同研究やアドバイザリー契約で得られた成果の公表範囲を、事前の協議と契約に基づいて明確化しています。機密情報を公開せずに学会発表の意義を確立できるよう、大学の産学連携部門と連携しつつ慎重に対応いたします。特許化の可能性や国際学会発表に向けた手続きなども含め、企業様の利益を最優先にサポートいたしますので、安心してご相談ください。
当研究室との共同研究やアドバイザリー契約に関心をお持ちの際は、ぜひ以下のフォームまでお気軽にご一報ください。
「企業のデータを学会発表に活かしたいが、秘匿性が気になる」「まずは国内学会での研究報告を小さくスタートしたい」などのご要望から、本格的な共同研究まで、サポートいたします。