代数学特論A 2018

時間: 火曜5限 16:45-18:15

場所: 万有館 B405教室

担当: 金沢篤 (京都大学理学研究科/白眉センター)


[連絡事項]

発表お疲れ様でした. 黒板で発表することは講義を聴く以上に良い勉強の機会になったと思います. こちらも聴いていてとても面白かったです. 講義で学んだことをこれから様々な場面で活かしてくれることを願っています. 


[授業の概要]

Lie環と表現論について講義する. Lie環とは非結合的な積を備えた代数であり, 現代数学で最も重要な代数のクラスの一つである. また表現論とは適当な代数系からベクトル空間の線形変換群への準同型を研究する分野である. この講義ではLie環を主に扱うが, 前年で学んだ抽象代数系を線形変換(行列)という具体的な対象を通して見ることで理解を深めることも目標とする. 実際, Lie環と表現論は幾何や解析など他の分野とも繋がっている面白い分野である. また歴史的経緯もあって, 理論物理学との関連も深い. 時間が許せば, 関連する発展的な話題についても触れたい. 講義内容は学生の興味に応じて柔軟に対応する. 


[参考書]

1. 佐武 一郎, リー環の話(新版), 日本評論社.

2. 井ノ口順一, はじめて学ぶリー環, 現代数学社.

3. Introduction to Lie Algebras and Representation Theory, James E. Humphreys. 

講義において教科書/参考書を持っていることは仮定しない. 


[成績評価]

レポート30%+期末発表70%

(当初予定していた)試験ではなく期末発表で成績をつけます. 


[連絡先]

akanazawaあっとまーくmath.kyoto-u.ac.jp

気軽に質問等をメールしてくれて大丈夫です. 

ただ講義後に直接声を掛けてもらうのが一番簡単です. 


[講義記録/予定]

4/10 第1回: Lie環の定義と例, 部分環, イデアル, 準同型。Lie環とLie群の関係

4/17 第2回: 準同型定理, Lie環の表現, 随伴表現, Killing形式

4/24 第3回: sl_2の表現, (半)単純Lie環, Cartan判定法

5/1 (木曜授業振替)

5/8 第4回: Schurの補題, Killing形式の一意性, Cartan部分環, sl_nのルート分解

5/15 第5回: 演習+復習, Cartan部分環の例と同型を除いた一意性

5/22 第6回: 固有空間と対角化, 同時対角化, sl_nのルート分解

5/29 第7回: 双対空間, 半単純Lie環のルート分解

6/5 第8回: 双対空間と(非退化)双線形型式, ルート系, 抽象ルート系, Weyl群

6/12 第9回: ルート系の底, Weyl群の生成元, ルート系の分類

6/19 第10回: (地震の影響で休講)

6/26 第11回: 有限群の表現論1: 有限群, 表現, 部分表現, 商表現, 既約性, 完全可約性

7/3 第12回: 有限群の表現論2: 指標, 類関数, S_3の表現論, 有限群Gの共役類の数=既約表現の数

7/10 第13回: 有限群の表現論3: 指標の直交関係, 指標表, S_4の表現論, 射影公式, 群環, 誘導表現

7/17 第14回: 学生発表1

7/24 第15回: 学生発表2