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人道において重大な罪を犯した者、戒獄使者アポシトスの1人
上流階級や貴族を思わせる素振りをするが、隠しきれない荒さも垣間見えている
自由奔放で、己の利益や願望のためなら何事も恐れをなさない。よく言えば勇敢である。
気分屋でもあり、自分の気分に合わなかったらすぐ手のひらを返したり、数分前と真逆のことを言うこともある。自分勝手極まりないと言われても、彼は反省の色を見せることはない。
話術に長けており、意外と侮れない人物でもある。ただの貪欲者ではないようだ。
ランシュクレは母子家庭で育つ。生活は見るに耐えないほどに苦しく、貧しいものであった。
病弱な母のためにランシュクレは出稼ぎに行き、時には汚いと指をさされ、蹴られることもあったという。綺麗なものにはその当時から憧れがあった。
———特に、街で見かけたジュエリーショップで輝いていた宝石には心を奪われたものだ。
苦しい環境でも生き抜けたのは、彼の話術と観察力、そして身体のおかげである。
上手いこと客を捕まえては、身体を売った。安くてもいいから、とにかく数を———。
買った者は皆、豪奢な服を身に纏っていたのはまだ鮮明に覚えている。同時に、未だ憧れている。首元に光る数個の輝き、それへの憧れは底を知らない様だ。
———母が亡くなり、ランシュクレは独りになった。
ただ、案外金銭面では余裕があり、その金は苦しみを拭うために使われ続けた。
金が底付き、苦しい生活に戻ることを常に恐れていた。トラウマになっているのは明確である。ただただ恐怖と憧れに縛られ続けている。
売春をしなくなったものの、浅い関係で顔は広がった。そう、いわゆる富豪と縁を持ったりしたのである。
富豪とまでいかなくても、金銭面に余裕しかない人。
ああ、羨ましい。
いいじゃないか、そんなに金があるんだから、少しぐらい。
多少使っても、また金が溢れ出てくるんだろうから。
彼は口を開き、流暢に喋り、ご機嫌取りをした。相手は、金があるだけ馬鹿ばかり。
幼き頃に憧れていた宝石などとうに手に入り、腹が満たされるなど毎日のことであった。
———しかし、それでも恐怖は消えない。
財布を開くのが怖かった。どこか遠くに金が消えてしまいそうで。
だから、開かなくても金が出てくれるところへ行こう。
「この世界のモンはぜ〜んぶ俺のだ。あっはっは!! 奪う? 何を言ってんだ、最初からお前は俺に差し出しているだろう? 俺の目の前に現れ、そんで首にじゃらじゃらと下げてさぁ?w」
「俺が欲しいのはその料理じゃない。いや、言い直すと今は欲しくない。片付けな」
「綺麗な宝石持ってんね〜? ああ、とても素敵だ。……そうだ、アンタにオススメの宝石屋があんだけどさぁ〜」
「クッソ……あ、失礼。いや、ほんとに。忘れてくれ」