人道において重大な罪を犯した者、戒獄使者アポシトスの1人
裏切りの狂戦士(ベルセルク)と呼ばれた、元救国の戦士でもある
穏やかで冷静ながらも、静かな狂気を纏っている人物。
しかし、ヒステリックでもなければ、攻撃的でもない。ただただ、底知れぬ狂気が常にある。
普段は強気で屈さない精神を持っているが、ふとした時にネガティブで弱音を吐く時もある。過去のせいか、本当は苦しくても、それを表に出して助けを求めるのも苦手なのだろう。
”裏切りの狂戦士“
戦士ゲレアル・トルファドーラが、このように言われ指を差されるなど、当初は誰も思わなかっただろう。
———
”救国の戦士“
このように呼ばれ、国王からは讃えられ、国民からは憧れと感謝を向けられた戦士が、かつていたのだ。
古代に存在した、栄えていたある国、そこは他国から羨まれる程の富を持っていたらしい。
奪おうと目論み、襲撃する国だっていた程だ。
そんな中立ち上がった、正義感の強い、国思いな戦士———後の英雄、ゲレアル・トルファドーラ。剣を掲げ、応戦の意を示す。
———祖国を汚させはしない、と。
その戦士のおかげで、幾つの命が助かっただろうか。幾つの栄光が、与えられただろうか。
”救国“
彼はこの言葉をかけられることに喜びを覚えていた。本望だったのだ。
祖国を救うために、何度でも立ち上がるつもりでいた。
強い意志は、罪にも成り得る程のものだなんて、思いもしなかった———否、人類に騙されてしまう程でもあったのだ。
国王を始めとした国の中心人物たちが何かを目論む。それは自分勝手で、私利私欲で満たされた、あまりにも醜く愚かなもの。
そう、それを達成するには ”強い意志“ が邪魔であった。
脅迫、圧力、暴力。———そして、洗脳。
皆々は、それに屈した。その洗脳に隙はなく、抗うも無駄と言えてしまうような———
———しかし、”救国の戦士“は違っていた。
国を救う、それは盲目で全肯定でいては成せぬもの。道を外し、絶望に堕ちないよう、常に光を灯せる存在が必要———それに、成りたい。
戦士は立ち上がった。国に、国民たちに光を授けようと剣を掲げる。
王は、その光を酷く嫌悪した。彼がその光を持っていることも、知っていた。
”救国の戦士“ も、所詮は人間なのだ。
ただ力があっただけの、人間から産まれた、人間だ。
皆々は言った。その光に、指を差した。
「裏切り者め」
「俺はゲレアル・トルファドーラ。どうやら、裏切りの狂戦士(ベルセルク)らしい」
「俺は俺の道を行く。それ故に背負わされた罪は、受け入れざるを得ない。ああ、構わないとも。それでも俺は戦い続けよう」
「国の為だと思った、民のためだと思っていた。しかしそれは、罪だった。俺はとんだ悪人で、言うなれば化け物だったんだろうよ。……それなら、それらしく生きてやるだけだ」
「あんたは不思議な人だ、こんな俺と話したがるなんて。いいよ、話せることは話そう。面白いかは分からないけどさ」
「皆々は、化け物だった。そんな俺も、化け物だったんだ。大罪を背負いし化け物は、神からも見放されたんだ」
「俺の話を聞いちゃくれないか?ああ、面白い話だ。そう、ある国の、ある王様のお話。それに仕えていた、救国の戦士のお話でもある」
「罪を償うことすら許されていないわけだが、どうも俺にはお似合いな場所なんだろうな。自覚しているだけマシだ、という発言も、許されないだろうか」
「貴様、罪人ではないだろう。いいや、証拠はない。しかし、根拠はある」
「なぁ、愛してくれよ……愛してくれ、だなんて、……見苦しいか」
「———er jeg vakker?」
はからんさん宅、アスモデウスさん
アスモデウスさんは”憤怒“の罪を背負う罪神。しかしその怒りは仲間への理不尽に対してであり、彼は決して悪人ではないのである。
お互いの善良な本性を知ってからというもの、純な愛情だけでなく独占欲を始めとした重くドロっとした感情も芽生えている。