人道において重大な罪を犯した者、戒獄使者アポシトスの1人
美しい容姿から、生前は【神聖なるセレナイト】と呼ばれていた
素直で、己の信念を貫く性格。その素直さは身分を問うことはなく、生意気だと言う者もいるだろう。
忠誠心もそれなりで、彼の道標である宗教、神への恩返しとして騎士の道を極めてる。
元々は普通の少年であった。家庭内環境は良好とも言いづらいが、特別虐待もされていなかった。愛が薄いとも言えるが、キネルが幼い頃からそうであったため、特に気にしはしなかった。
気にしない、という己の強がりに後悔したのは青年になってからである。
富を持たないリジュード家は、キネルの美しい容姿と努力を利用した。
具体的に言うと、彼は親の身勝手で突然騎士団に放り込まれたのだ。急に変わる環境、戦場に駆り出される不安、親への失望。一気に押し寄せる負の感情は、キネルを追い詰めるのに充分なものであった。
何を信じればいいのか、何に縋ればいいのか、居場所はないのか———。
絶望に浸りながらフラフラと歩いていると、ある教会が目に入る。
” 慈愛の神は、皆を平等に導く “
キネルは居場所を見つけた———否、導かれたのだ。
言語化できぬ神秘に道標を示された。ただ、その道を歩いた。
少しでも恩返しを、祈りを———キネルは立ち上がり、剣を握った。祈りを捧げた。
その神秘は、彼を副団長にさせるほどであった。キネルは、その恩を忘れることはない。
” 罪の最果てでも、私は貴方に着いていく。 “
「私は救われたのだ。確かにあの時、初めて出会ったその時からずっと、ずっと」
「退いてもらおう。邪魔だ」
「騎士は主に仕え、忠誠を誓う存在だ。戦えば良いというものではないだろう。違ったか?」
「老若男女は関係ない。神は皆を見ている」
「ひとつ、教えて欲しい。私は、私の信じるものがあった。それは正に道標だった。周りと道を違えた、行き先が違った。それは何かいけないことなのだろうか?」
「赦されない?上等だ。永遠の苦しみ?受けて立とう!私にはあの御方がいるのだ、絶対的な道標が!そう、ただ導かれるがままに。それの行き着く先を、私は夢見るのだ!!」