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愛を司る神・ロエンに仕えていた大天使
気分が変わったと言い、現在は独りでいる
気分屋、そして天邪鬼で、助けを求めるのが下手。意外と繊細。
掴めない性格でもあり、底知れない雰囲気を纏っている。うすらと笑ってやり過ごすことがほとんど。
愛を司る神・ロエンに仕えていたのは、だいぶ昔の話である。今となれば、リグレイドは孤独で、誰に仕えることもないであろう。
まだ使徒であった頃、リグレイドは慈愛の神・ヘラファルクによる命令で悪魔退治へと出かけた———まぁ、それは今後何度も下される命令であったわけだが。
一度、リグレイドはやらかしてしまったことがある。その証拠は、身体に残る模様———”傷“だ。
その傷は、ただの傷ではない。悪魔によって負わされた枷であり、悪魔によって授けられた邪悪な力である。如何せん、強さの面で見ればプラスになるため、リグレイドは悲観していないようだが、側から見れば悲しい事実である。
楽観的なリグレイドを見ようが、誰よりも悲しんでいる存在がいた。それは、ロエンである。彼女は、愛を司る神であり、リグレイドの主だ。
彼女の悲しみに暮れた顔を見ても、リグレイドは笑顔のままである。それを見て、ロエンはもっと悲しくなってしまっていた。
———リグレイドは、己の痛みに気づけないのかもしれない。
そんなことを考えては、ロエンは誰よりも悲しんだのである。
ロエンがそこまでリグレイドを自分のことのように考えるのかなど、言うまでもない。理由すらもいらない。ただ、”好き“だったのだ。
愛の強さ、弱さ、儚さに縛られ続けるロエンだが、それは彼女が愛を司っているからこそより重いのだろう。この世界の誰よりも愛を持っており、愛を1番近くで司っていた。
リグレイドは、そんなことも知らずに、ただの権力だと思い続けていたのは、誰も知らないことだ。
———後に、リグレイドはそれを”後悔“と呼ぶ。
ロエンに恋情を向けられた時は、リグレイドは内心焦りを覚えていた。”言語化できない感情“と表記するのは、リグレイドにとって逃げでしかないのだろう。
そう、不安なのだ。相手を幸せにできるかが、不安で仕方ない。自分にすら素直になれないのに、誰かをまっすぐに愛するなど、できるのだろうか———と。
リグレイドは曖昧な返事をした翌日、ロエンの前から姿を消した。”気分が変わった“と言っているが、真相は———?
後悔と孤独に蝕まれながら、リグレイドは今日も息をしている。
「大天使・リグレイド。とは言ったものの、神になる気もないし、誰かに仕える気もないけどね」
「君もよく頑張ってるよ。こんなご時世で、例の成り上がりに仕えることになるなんてさ」
「『愛』って怖いよね。それはとても美しくて、弱い。まさに呪いのようだと、俺は思うね」
「”仕方がなかった“この文面は誰しもに悪印象を持たれるのには充分なものだ。まぁ、実際問題仕方がなかったのだから、どうしようもないけどね。いいじゃない、利点はあるよ、自由になれるという利点がね」
「謀略はどうだか知らないけど、知恵はあった方がいいよね。なんだか色々得しそう。……ああいや、あの神は損してる、か」