冴之木悠里に付き纏う、自称掃除屋の青年
口調や格好は可愛いが、かなり残酷な思考で、脳筋でもある
自分と悠里が1番。そのための犠牲は必要で仕方のないこと、という思想。
排他的で、かなりのサイコパス、無意識のサディスト。
過保護な一面も覗かせるものの、その先で虐めに似たことを平気でする。
悠里は覚えていないようだが、悠里と恋甘は幼馴染だ。家も隣で、仲が良かった。
しかし、ただの幼馴染ではなく、確かにあの時2人は愛し合っていたと恋甘は言う。あの時は、悠里も愛を伝えてくれていたのに、と。
幼稚園児だった悠里は、「結婚しよ!」と、幼いが故の純で無垢な一言を放つ。恋甘はそれを忘れられずにいる。当時の悠里は、その言葉の意味をよく理解していなかったことも考えずに、恋甘はただ真っ直ぐに受け取った。
卒園後、小学生に進級をする。残念ながら2人は別のクラスとなってしまったが、恋甘の思いは変わらずにいた。悠里も、当時は恋甘に会いたがっていたらしい。———友達として、だが。
2年後、3年生の時にクラス替えが行われた。そして、やっと同じクラスになれたのである。
(悠里に触れたい)
恋甘は、悠里に触れた。悠里に絡んだ。好きだから、悠里に”愛情”を翳した。
その愛情は異様で、普通の人は傷つくであろう。それは、悠里もそうなのだ。
「悠里はバカだから、治してあげる!ほらこっち来てよ!」
頭を教科書で強く殴った。それは、何度も。
「いっぱい友達を連れてきたよ!悠里と遊びたいんだって!」
集団で暴力を振るった。罵声も浴びせた。
ある日突然、悠里は姿を消した。いわゆる不登校になってしまった。
姿を見なくなって数週間、席がひとつ空いた。担任教師は言う、冴之木悠里くんが引っ越しました、と。
恋甘は考えた、なんで引っ越したのだろうか。
思い返すと、悠里は日に日に弱っていた気がする。顔も曇り、苦しそうにしていた気がする。
悠里は、思っているよりも弱いのだ。
だから、自分が守らなければならない。
10数年後、恋甘は悠里と再会を果たした。
しかし、いくら悠里に話しても、彼は記憶が消えているのか、思い出せないようだ。いじめられたという記憶も、ないようで。
———次こそ守るんだ。恋甘は、そう心の中で誓った。
「恋甘だよ〜!とってもキュートなお掃除屋さん!」
「世の中を綺麗にしつつ、可愛さで周りを癒す!まさに必要不可欠な存在!」
「あ、おっきいゴミ発見。ゴミ箱まで遠いけど頑張って運ぶね!あ、それとも近くでお掃除すればいいかな?」
「悠里はボクがいないとほ〜んとダメだね!今日もたくさんお世話したんだから!え?見たでしょ?あのおっきいゴミたち。悠里が汚れちゃうから急いでお掃除したんだ〜」
「キミは、悠里のなに?ボクは婚約者!えへへ!指輪は、もっとゴミを減らしてからじゃないとなんだ!……だからさ、キミもお掃除しないと、ね」
彼がいつも名乗っている”愛天恋甘”という名前は偽名であり、本名は”坂裏純在(さかうら いとあ)”。
悠里とは出席番号がいつも隣であった。