参謀長でありながらも、前線にて戦う軍人
氷属性であるが、冬や寒さを好んでいない
正義感が強く、厳格。素直で嘘をつくのが苦手。
意外と熱血で、時に感情的になってしまうが、それは現状余裕がないからである。
プライベートで接すると全然良い人で、兄貴肌な一面も。
ある最前線、その戦地は白銀の世界が広がっていた。
白い世界に、一際目立つ赤色。その赤色は鮮やかで、惨い。
息も絶え絶えで、なんとか足を運ぶも、ある軍人はその場に倒れ込んだ。
そのすぐ後に、ざっざっ、と雪道を駆ける音が聞こえる。
酷い赤が滲む身体に、そっと手を当てた。
「待ってろ、今助けを———」
「星実、か? ……あはは、最期の景色はこれか。嬉しいよ、俺は」
親友であり、ずっと片想いをしていた相手が、瀕死の状態に陥っていたのだ。
助けを呼ぶにも、ここは最前線。いつ敵が来るか———。
星実は、氷の結界を張る。この地では氷は有利———それを分かっていたから、それがなんとか救いにならないか、と自分に言い聞かせた。
———止血、できたのだろうか。白銀に滲む赤色は、広がるのをやめた。
彼の手を握る。握った手は、痛いほどに冷たかった。
それは氷魔法のせいなのか、それとも———?
彼は喫煙者であった。煙草は特別好きでも嫌いでもなかった星実は、なんとも思っていなかったが、なんとなく煙草を吸っている姿は日常風景の中でも脳裏に焼き付いていたものだ。
そんな星実は、今はたまに煙草を吸うらしい。寒い日には特に多く吸っており、冬になると煙草を吸う星実を見る者は多いようだ。
風物詩、など言って笑う者も度々見かけている。
「どんな無茶な作戦だろうと、国の為になるのならやるべきだろう! 分からないか、今のこの絶望的な状況を!」
「天ヶ瀬梓月……あいつの身内か。どうも雰囲気が違うから気づかなかった。……仲良くしよう、俺は貴方に関心がある」
「俺たちのやっていることは自己防衛だ。しかし、自己防衛など消極的で生温い行動で救われるはずなどない。これは希望に満ちた未来のための架け橋である。そのために俺たちは武器を手に取るのだろう」
「戦おうじゃないか! さもなければ、現状は悪化していくだけなのだから……俺は戦い続ける!」
「氷だって綺麗だ、綺麗なはずなんだが……俺は、炎の方が好きだな。……なんでだろうな」
「俺は、何度でも立ち上がる。そう……絶対に勝つんだ、勝ってみせる!!」
黄泉さんは、星実が片想いしていた頃から一途に想い続けており、好きな人を亡くした星実にも寄り添ってくれている。
炎属性である黄泉さんだが、星実にとってはその暖かい魔法が落ち着くのである。確かに、そこに存在しているのだと感じれて、安心するのだ。
しかし、入隊前からずっと弟のように見ていた星実にとっては、黄泉さんに想いを告げられた時は相当驚いたらしい。
ただ、黄泉さんが真っ直ぐに、本気で想ってくれているのが分かり、次第に負の感情も癒えてきて、今となっては黄泉さんが大好きだ。大事な心の拠り所である。