流体力学・翼理論


                                            PJ



写真:facebookより引用

ドローンを飛行させる上で知るべき流体力学は翼理論である。

プロペラだから翼は知る必要がないので?と思い込むのは早計でプロペラを回転翼として搭載しそれによって揚力を得ていることで飛行を可能にしている。

ふと思いつくのはプロペラによって下方向へ向けて風を起こしその圧力で上昇しているという考えである。それは決して間違いではないが十分な知識とは言い難い。

プロペラが回転して上昇するために必要な勢いの風が発生しない回転数もあると言えば想像がしやすいので、そこを切り口として無風状態では十分な風を生み出し回転数で回しているのに、ある空域ではその同じ回転数で上昇力が不足するまたは他の空域の場合よりも極端に上昇力が劣っている。そんな経験はないだろうか

写真:facebookより引用

揚力を生む翼の表面を流れる空気の流体特性は

①翼が対気(空気)に対して速度を持つことで空気を上下に分断する。

②翼上面を先端から後縁へと向かって流れる空気は粘着特性を持って表面に沿って流れる、翼下面よりも遠い距離を流れるため速度差が生じ、空気密度の差を生じる。

それは空気の比重の差によって下方から上方へと掛かる圧力となって力を生じ、これを揚力と呼ぶ。

失速とは

飛行中の翼上面の表面に沿って流れている空気が、その粘着特性にも拘わらず、翼表面から剥離した状態を失速と呼ぶ。失速は翼上面後縁から先端方向へと向かって剥離が開始される。失速の初期段階では翼は飛行を継続しているがあるポイントを境にして飛行を継続できなくなりコントロールを失ってしまう。これを完全失速と呼ぶが、完全失速に陥っていない場合でも失速が始まるとコントロールが不安定な状態となる

翼面荷重

固定のデザイン形状及び面積の翼に対して搭載重量のみを変化させた場合の飛行速度は変動をする。翼面積1㎡あたりに掛かる荷重を数値化したものである。

限られた飛行速度域において搭載する重量が重たくなれば機速は速く沈下が大きくなり、軽くなれば機速は遅くなり沈下は減少する。これは翼面荷重の大小によって適切な飛行速度は増減をすることを意味する。

それをポーラーカーブ(ネット引用)によってその変動推移を表すことができる。

飛行速度

飛行速度には対気速度と対地速度の2種類がある。移動速度としては風の影響を受けて地図上を移動する速度のことを対地速度、360度どの方角を向いても翼が進行するうえで向かい風となる大気に対しての速度のみを測る速度を対地速度と呼び、飛行中の失速において常時ケアしておくべき重要な速度は大気速度である。

自分の翼の特性を表したポーラーカーブ(ネット引用)は飛行するうえで最も理解し常時応用して活用するべきスペックと言える。

失速速度から最高速度までの沈下率の変化といった個々の翼の性能差によってポーラーカーブの曲線や長さは各々の違いがある。

ポーラーカーブは翼面荷重の変動により最良滑空比に沿って翼面荷重(小)では低速側、翼面荷重(大)では高速側へと変異をする。つまり翼面荷重の変動により滑空比性能が変化することはない。

←写真ネットから引用

理論上は翼面荷重の増減によって滑空比性能に変化はないとされるが実際の飛行では風の影響やわずかな機体操作による飛行中の傾きなど外部要因とみられる影響により翼面荷重が大きくなるほうが滑空比性能が低下している事例を見かけることが多い。

翼の種類:マルチコプター型ドローンに採用されている回転翼とは

ここまでの翼理論の説明においてこれは滑空機の翼に当てはまるが回転翼とどう関係があるのか、

マルチコプターの回転翼とでは風の影響を受ける率や法則が違うのでは と考えられることもありそうなので一つ付け加えて知ってもらうことそれは

マルチコプターにも使われているプロペラとは元来は翼である。

空気を切り裂いて上下に二分割することでベルヌーイの定理のもとに揚力を発生させる。そういうものである。

おそらく一般的に考えられている理屈として

地面に対して斜めになった角度を持つプロペラが回ることで空気を下へ押し下げて、機体を上空へ持ち上がる力(揚力)を得ている といえば確かに間違いない。

プロペラが空気を上下に切り裂いていることには変わり有りないので、ではその上面を流れる空気は?どう影響するのだろう?上面にも空気が流れることは全く想定の中になかったのでは? プロペラ上面を流れる空気は見なかったことにするわけにはいかないほどに事実として発生する現象である。

それでプロペラが翼の一種ということを理解してもらいたい。

翼であれば当然ながら風が水平方向にまっすぐ流れていなければドローンが正しく飛行してくれないということに関連づけて理解することもまたできる。