お互いの研究分野についてのフィロソフィー理解を目的として,各先生より簡単な研究の紹介と質疑を行います.
@京都大学 稲盛財団記念館 中会議室
京大本部からはちょっと遠いので注意
(〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46)
近年、生成AIをはじめとする人工知能は目覚ましい進歩を遂げ、私たちの暮らしや仕事のさまざまな場面に広がりつつあります。特に、自然な言葉を通じて人とやり取りできる「AIエージェント」が登場したことで、AIは単なる道具ではなく、人間と協力しながら社会の課題解決に参加する存在となり始めています。
これまでのAIは主に「一人ひとりの支援」を目的としてきました。しかし実際の社会や組織の課題は、個人だけではなく「集団のあり方」や「人と人との関わり方」に深く関係しています。例えば、医療現場でのチーム医療、学校での学び合い、地域社会での合意形成、国際協力などにおいて、AIが人と人のつながりを調整したり強めたりすることには大きな可能性があります。
私たちはこのような新しい視点を「共生情報学」と呼び、人間とAIが集団レベルで共に生き、協力し合う方法を探究していきたいと考えています。共生情報学は、情報科学だけでなく、社会科学や倫理学、人文学といった幅広い分野と関わりながら進めるべき学際的な研究です。AIを社会の一員としてどのように受け入れるのか、人と人の関係をどう支援するのか、といった問いに取り組みます。
特に日本は、高齢化や人口減少、地域社会の変化といった課題を抱えており、AIと人間の共生のあり方を世界に先駆けて考える場になる可能性を持っています。ここから生まれる知見は、国内に留まらず、国際的なAIの活用においても新しいモデルを示すものになるでしょう。
本研究会は、このような問題意識のもと、人間とAIの共生を理論と実践の両面から議論する場として開催します。
荒牧英治(奈良先端科学技術大学院大学/教授)
自然言語処理を基盤とした医療・社会分野への応用研究を専門。電子カルテからの症状や副作用の抽出、認知症の言語的兆候の解析、SNSを活用した感染症流行予測や偽情報分析などを主題。医療情報学や機械学習を中心に、心理学や社会学とも連携し、言語と社会を結ぶ学際的研究を推進
堀里子(慶應大学/教授)
医薬品情報学・健康情報学、医療安全と地域医療を基盤とした研究の展開。自然言語処理による患者発信データの解析を通じた育薬およびリスクコミュニケーション、PHR(個人健康記録)活用による服薬支援や生活者視点の処方設計支援システムの構築。インシデント文章の深層学習分析によるプロアクティブリスク管理、ソーシャルメディアからの患者実践知の抽出など、多面的な医療情報学の革新に取り組む
内田由紀子(京都大学/教授)
文化心理学・社会心理学を基盤とした幸福感・感情・対人理解に関する国際比較実証研究を推進。特に幸福・他者理解・対人関係の文化差、地域社会における社会関係資本の心理的役割、文化実践が精神的健康にもたらす意味に注目。心理学の知見を社会課題へのフィードバックへと架橋する。内閣府幸福度研究会委員を務め、日本におけるウェルビーイング指標の構築に貢献
馬場雪乃(東京大学/准教授)
人工知能を駆使した人間とAIの協働、集合知およびヒューマンコンピュテーションの研究に従事。多様な視点を尊重する意思決定支援AIの開発、SwipeGANSpaceによる直感操作型画像生成、FairMachineGuidanceなど公平性を考慮したAI構築を主題。機械学習やクラウドソーシングを基盤とし、教育・社会・意思決定を横断する学際的研究を展開
若宮翔子(奈良先端科学技術大学院大学/准教授)
ソーシャル・コンピューティングを中核としたデータ工学と応用AI研究に従事。ソーシャルメディアやウェブクエリ、ビッグデータ解析を駆使し、パンデミックや災害時の行動促進情報や感情動態の抽出、医療支援を目的とした自然言語処理と地理情報の統合分析を中心テーマとして展開。知能情報学・ウェブ情報学・医療情報学・インタラクション・データベースの交差する学際的探究
古賀千絵(京都大学/特定講師)
社会疫学・予防医学を専門とし、暴力は個人の性格だけでなく、孤立や貧困といった社会的・環境的要因に関連し「予防可能」との視点を重視。全国規模の疫学データによる量的研究を展開し、暴力発生の背景や予防要因の解明、ロジックモデル構築を通じて地域・行政による予防政策の設計に資する成果創出
(事務:伊藤和浩,林純子/奈良先端大)
14:30 開場
15:00-15:30 荒牧先生:
複数の人と複数のAIのウェルビーイング
15:30-16:00 内田先生:
文化心理学から見た場のウェルビーイング
16:00-16:30 古賀先生:
社会とつながる疫学アプローチ
16:30-16:45 休憩
16:45-17:15 若宮先生
17:15-17:45 馬場先生:
AIと合意形成・相互理解
17:45-18:15 堀先生:
薬学的視座で考えるAI・ウェルビーイング
18:30 終了
各先生方の発表キービジュアル
荒牧先生
内田先生
古賀先生
若宮先生
馬場先生
堀先生