ホンダジェット HONDAJET-EDFダクト機(2008.8.24)

  • モーター:enroute enpower450DFⅡ /ダクト:enJET56×2

  • アンプ:Dualsky30A×2 /リポ: ロビン製3,600mA3セル

  • 重 さ:1,580g /翼長:1,260mm /翼形:SD7090

  • サーボ:8ch8サーボ エルロン主翼2サーボ/フラップ1サーボ/ラダー1サーボ/エレベータ1サーボ/主脚引き込1サーボ/前輪引き込1サーボ/前輪操舵1サーボ/エンコン(アンプ)/ 電源用アンプ(U-BEC)

  • 目 的:自作FRP胴としての完成度を高め、難易度の高い模型製作にチャレンジする。

  • 仕上げ:ラッカー塗装(主翼はフィルム貼)

  • 備考:主翼上面フルプランク、製作時間約8ヶ月

(初飛行で脚部が破損)

初飛行

初飛行(コントロールの困難なまま墜落、小破) (6MB)

初飛行は失敗に終わりました。ビデオの後、きりもみ状態で墜落しました。あの高度からの墜落で小破は奇跡的です。通常は完全に形がなくて当たり前のような落ちかたでした。最後はノーコンに近い形でした。

最初は明らかにエルロンの舵角の設定ミスです。小さいエルロンでも舵はものすごく利くようです。そのうち時折エルロンにエレベータが混じるようになり、コントロールが難しくなり、きりもみで墜落しました。

あの墜落で形があったのは奇跡的で運がよかったと思います。ハードランディング程度の破損状況です。他はバッテリートレイの破損、胴体後部の一部ひび割れ程度です。

●改良点

1.エルロンとフラップ面積の最適化。=エルロンをやや大きくとり、フラップを減らしました。

2.エルロン舵角の最適化と差動導入=初飛行の主な失敗原因である舵角をホーンで減らし加えて自作エルロンホーンにより機械的な差動を最初から導入しました。

3.フラップのニュートラル性の向上=新規製作によりニュートラル精度を向上させ、加えてサーボがうならない動きの軽さを出しました。

4.動力ケーブルの最適化=使用電流から見て太すぎる線を排除し、延長線は14AWG、バッテリー間は12AWGとしました。これまで太い12AWGでつないでいたこととケーブルの4本→2本の結線位置が長すぎたので、これを最適化し4本の線をできるだけ短くした結果、30gも一挙に軽くなりました。加えて重心位置がこれで前に移動しバッテリー位置が主翼のすぐ前になりバッテリートレイ板が不要となりました。

5.PCM受信機への変更。これは高価なため新しいものを買うかずいぶん悩みましたが、ヘリ用を一旦下ろし、使ってみることにしました。ヘリは146iをとりあえず使用しリポのならしが終わるまでおとなしく飛ばすこととします。また機外にアンテナを出し、受信精度の向上を図りました。格好を考えてこれまでアンテナをほとんど胴体内に収めていましたがこれが胴体内がシールドになりノーコンにもつながったと考えました。多少カッコ悪くなりますが背に腹はかえられません。

6.エレベータリンケージ補強。

7.ウイングレットの最適化=どうもウイングレットが大きすぎたようでロール軸に対しての抵抗が大きすぎたような気がします。直進に対しては大きい方が良いと思いますが、エルロンに対してはディレーを起こす原因だったような気がします。ちょうど上半角の大きな翼にエルロンが乗っているような感覚です。ですので今回は面積を半分にしました。

●再挑戦でもコントロール不能

トリム調整中に突然起こる翼端失速。コントロールできず。(動画9MB)NEW!

製作計画について

なかなかカッコいい飛行機です。最初見たときは、太い胴体だなと思いました。先進的な胴体形状と主翼も気に入りました。エンジンが翼の上にあるのもなかなかホンダらしいですね。ここにも自動車と同じくメカミニマム・マンマキシマムの思想が生きています。胴体はおもいっきり太く、エンジンはかなりコンパクトです。これがEDFでは大変ネックになるところです。よって主翼とダクト周りはセミスケールとします。

主翼翼型について

翼型はブルーアローで実績のあるSD7090の翼型を採用しました。メインを引き込み関係上、あまり薄くもできません。しかしパソコンでの引き伸ばしにより正確な翼型が再現できています。SD系の翼型は高速では空気に張り付き、低速も粘りのある感じの翼型です。翼厚のテーパーはこの手の機体としてはきつめにしました。

主翼中央部と引き込み脚

補強材に桐材を多用しています。高級仕出し弁当についていた箱をばらして材料としましたが、軽く正確かつ緻密な木で大変重宝します。ハードバルサよりねばりはありませんが、硬く均質な感触でカンナ等の加工性が良好です。

今回は引き込み脚はOKスープラ30、サーボはwaypointのW-150パワー(引き込み脚用)を使いました。16gと軽いのが魅力です。

ナセルの工作

このナセルが今回の工作で一番の難しい工作でした。まだダクトに合わせての3次元曲面どおしの合わせがあります。設計で苦労したのは模型のダクト機はファンのすぐ後ろにモーターがあるため、マウントがどうしても前に寄り非常にマウントしにくい工作になってしまいます。またナセル自身がテーパーかつ非対称、斜めに立つという大変基準面がとりにくい品物となっています。ですから正確に作るには基準面バルサを中に作っておく必要があります。また中面はアンプを格納しますので空洞を用意しておかなければなりません。ですから基準面は外側のバルサの一面を貼ったあと、アンプ用の穴として取り除いてあります。

主翼とナセルの合わせ

主翼とナセルの合わせを行ないます。ナセルのマウント部には桐材ブロックを使いリブ間を渡してなおかつ補強材を下部へ接着しております。脚の補強と兼ねたものとなっており、合理的な設計となっています。ここで一番頭を痛めたのは線の引き回しで、モーターのケーブルがナセルからは入らず、フラップ部を迂回して主翼に取り込むことにより解決しました。

下面プランク

下面は部分プランクとします。理由として①曲面がゆるくフルプランクの効果があまりないこと、②サーボのメインテナンス上、万一故障の場合に手の入る部分を確保しておきたいこと、などの理由に穴あきのままとしました。

主脚タイヤの周りを回ってエルロンサーボとアンプからのケーブルを取り回しています。動作・リンケージなど総てを確認してから上面プランクをします。

上面プランク

この上面フルプランクは、あらかじめ板どおしをあわせておいてからカバーしています。よく一枚づつプランクする工作法もありますが、板どうしのあわせが困難になるとおもいます。このやりかたでしたら、板と板の合わせはぴったりいきます。ご存知のようにバルサは天然材ですので、板は必ずしも1枚の中で均一でなく、左右でかなり片さは違います。硬さの違いは極端な曲げの違いになるため、同じような硬さの板を合わせていかないと前縁部分から中央部分はうまく覆えません。硬さをあわせながら材料を取っていきました。

フィルム貼

本来フィルム貼りはもっとあとでもいいのですが、フルプランクのまま、長時間置いておくのは忍びなくある程度のメドをつけるため、フィルム貼りしておきました。ここらへんは私の精神衛生上の問題です。(笑)オラカバホワイトは隠ぺい力が強く下がほとんど見えません。また、低温から高温まで各段階の収縮力があって非常に使いやすい私のお気に入りフィルムです。主翼中央部はあとからは張りにくく、見えないとこで合理性もないので無しとしました。

胴体加工+パテ修正

いつものようにフォームを重ねて削り出しです。3面図と写真から立体をイメージし、ノコとカッターとペーパーで成型していきます。一番難しいのは円を綺麗に加工することかもしれません。一応、円のゲージはあてますがそれより面の直線のほうが重要かもしれません。面の直線度は板を重ねた分割ラインでわかりますので、左右対称になるように目見当で見ていきます。終わったら、気に入らないところをパテで盛って修正します。

パテ全面塗り

実際にこのフォーム型をさわりまくって凹凸の感触をイメージに変換していく作業を繰り返します。イメージが見えたらそこを修正していく作業をし、OKになるまで繰り返します。作業中に不用意にできてしまった凹みはまたパテを埋めていきます。この段階が成型上、もっとも重要なところです。納得するまで研磨とパテ埋めを繰り返します。パテ自体は硬度はあまりないので下が硬いとそれだけで凹みます。型ができたら水性のウレタン塗料で固めます。

テープパック+FRP成型

水性ウレタン塗料により非常に硬い塗膜ができます。穴があかない程度にサンディングののち、PPテープを全体に巻きます。PPテープはあくまでもなめらかに凸凹のないよう曲面は分割して貼っていきます。綺麗に貼れたら、全体にワックスを塗ってからFRPを貼ります。マイクログラスのカットや養生、塗る順序、貼る順序、作業後のことなどをすべて流れ作業でおこなっていきます。ただ、貼り終わっても、どうしてもわずかな突起や凸凹、気泡はできますので、それの修正があります。ですから貼り→削り修正→部分貼り→軽サンディングを1セットとして4回行います。実はマイクログラス1枚目を貼るのが一番難しいのではと個人的に思っています。(離型処理した表面張力およびすべりの関係ではと思っています。)

使用樹脂はエポキシの5052。これ以外は私は使いたくない、それほど信頼して使っています。マイクログラスの枚数と強度の関係や硬化時間と温度の関係や時間経過による粘度変化もすべて考慮に入れて使っています。 (5052は日本では一般人は手に入らなくなりました。2021年追記)

FRP成型後の処理

4プライ成型後、アフターキュア(熱硬化)を炎天下の車内で終え型ばらしにかかりました。早速成型厚をノギスで測ったところ、ほぼ0.35mmで均一にできています。狙いどおりです。全体を軽くサンディングしたため、白みがかっていますが、ペーパーが当たっていない部分はほぼ透明でできのよさを感じさせます。もちろん裏のはがし部分は抜群の離形性です。またFRP自体は極小の樹脂量で強度的にも文句ないできです。

フォームの掻き出し

今回のFRPはこれまでと比べてボリュームが大きくフォーム材を掻き出すのが大変でした。ですので何かよい道具をと探した結果、雑草を抜く道具がありましたので写真のものを使いました。結果は大変有用な道具です。これがないと手では掘れません。これでグリグリ発泡材を掻き出すことで楽に発泡材が抜けます。機首の取れにくい部分がすっぽり抜けていることがこの方法のできの良さを証明しています。

FRP成型終了

重さは当初考えたものより軽く202gでした。樹脂量は混合量より余ったものが多かったようです。平均樹脂厚は0.35ですのでペラペラですが、大変粘り強いFRPができたようです。この胴体は主翼取り付け部にのみ1mmベニア補強を入れますが、他は強度がありますので完全モノコックとし胴枠は全く入れません。機首部と尾部でマイクログラスをを分割して貼った構造上非常に強くこの部分で胴枠を形成しており、木枠は不要との結論になりました。

ノーズギア組み立て(左)

加藤無線SSノーズギア

サーボwaypointW-150MRS(引き込み専用)+092MB(操舵用)いずれも金属ギア

尾翼組み立て(中)

エレベータとラダーはサーボを内臓

塗装重量(右)

本体      188g

パテ成型    26g

タルク+ラッカー 26g

仕上げ塗装  34g 合計274g