「どうしたの?」から始める子育て

 子どものスマホの使い方について考えるとき、私たちは何を見ているでしょうか。

 「何時間使ったか」「どんな動画を見たか」「約束を守れたか」「トラブルはなかったか」。子どものスマホについて考えるとき、どうしても目に見える結果に注目しがちです。使いすぎていたら注意する。危ないことをしていたらやめさせる。間違えたら、次はどうすればよいかを教える。こうした関わりは、子どもを守るために必要なものでもあります。

 でも、スマホをめぐる子どもの育ちを考えるとき、それだけでは見えないものがあるのではないでしょうか。


「何をしたか」だけでは分からない

 例えば、子どもが夜遅くまでゲームをしていたとします。「約束を守れなかった」という結果は見えます。でも、その子はなぜやめられなかったのでしょう。ゲームが楽しかったから?友達とのやり取りを途中で終わらせたくなかったから?嫌なことがあって気を紛らわせたかったから?それとも、やめようと思っていたけれど、きっかけを失ってしまったのでしょうか。

 同じ「長時間使った」という結果でも、その理由は一人ひとり違います。

 スマホやインターネットの特徴は、情報が子どもの中に入ってから、実際の行動に至るまでの過程が見えにくいことです。何を見て、何を感じ、何を考え、なぜその行動を選んだのか。そこにこそ、子どもの成長を考えるヒントがあるのかもしれません。

 だから、「どうしたら正しく使えるか」だけではなく、「なぜそうしたの?」と聞いてみる。子どもの話を聞きながら、一緒に考えてみる。大人が正解を教えるのではなく、子ども自身が自分の行動を振り返る時間をつくることが大切です。


「攻略」するのではなく、一緒に調整する

 私たちは、学校でも仕事でも、「正しい方法を覚えて、正解にたどり着く」ことをたくさん経験してきました。間違いを見つけ、正しい方法を教えることは、とても分かりやすい指導です。

 しかし、ネット社会には、最初から正解が決まっていないことがたくさんあります。この情報を信じていいのか。この人とどう付き合えばいいのか。この機能をどこまで使えばいいのか。便利だけれど、使いすぎると困るものもあります。

 こうした問題に必要なのは、決められた正解に早くたどり着く力だけではありません。その時々の状況を見ながら、自分で考え、選び、やってみて、また調整する力です。

 だから家庭でも、「こうすれば正解」と教えるだけでなく、「やってみてどうだった?」「次はどうしてみたい?」と、一緒に考えることが大切なのではないでしょうか。


私たち大人も、初めての環境にいる

 スマホやインターネットをめぐる子育てが難しいのは、保護者の知識や経験が足りないからだけではありません。私たち大人自身が、これまでとは違う環境の中で子育てをしているからです。

 子どもだけが新しい社会に適応しなければならないわけではありません。大人もまた、この新しい環境の中で、子どもの見方や関わり方を少しずつ変えていく必要があります。

 子どものスマホを見るとき、「何をしているか」だけではなく、「なぜそうしているのだろう」「今、この子には何が見えているのだろう」と考えてみる。

 すぐに答えを出す必要はありません。分からなければ、子どもに聞いてみればいいのです。

 スマホの使い方を教えることだけが、ネット時代の子育てではありません。子どもと一緒に考え、試し、調整していく。その姿勢こそが、これからの社会を生きる子どもたちを支える大人の力なのかもしれません。