ご挨拶

琉球大学大学院医学研究科先進ゲノム検査医学講座 教授

琉球大学医学部附属病院検査・輸血部 部長

前田 士郎


今年度、開催中止となった第34回春季セミナーにかわり、次年度第35回春季セミナーを開催させて頂く事となりました。コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により関係各位には多大なご苦労をされている中、ご高配賜り心より御礼申し上げます。COVID-19に関しましては、未だ終息の見込みも経たない事から、予断は許しませんが、今後の動向を踏まえ開催準備を進めて行きたいと存じます。内容はほぼ同じ内容を予定させて頂いておりますので何卒よろしくお願い申し上げます。

さて今回のテーマは「プレシジョンメディスン時代の臨床検査」とさせて頂いております。プレシジョンメディスンとはご承知のように2015年にオバマ前米国大統領によって打ち出されたprecision medicine initiative(PMI)から引用させて頂いた言葉であります。PMIが打ち出された後、それまで使われていたpersonalized medicine(個別化医療)という言葉はプレシジョンメディスンにすっかり取って代わられた感があります。PMIでは100万人規模のゲノムコホート研究が展開され、さらに様々なデバイスを駆使した生活習慣などの環境因子情報を全ゲノム配列データとともに収集しビッグデータとして人工知能(AI)を活用して解析する壮大なプロジェクトが進行しております。PMIなどの取り組みにより、今後は臨床検査の領域においてもゲノム情報を始めとしたビッグデータを取り扱っていくことが必要になると考えられます。このような背景をもとに本セミナーではプレシジョンメディスン実現に関する招請講演を2題予定しております。一題は、日本アイ・ビー・エム株式会社グローバル・ビジネス・サービス事業ヘルスケア・ライフサイエンスSVC事業部、金子 達哉氏にプレシジョンメディスン実現に向けたAIの果たす役割、現状、可能性についてご講演を賜り、もう1題は琉球大学大学院医学研究科内分泌・代謝・血液・膠原病内科の益崎裕章先生に沖縄県久米島町で展開されているプレシジョンメディスンの実装研究と言える久米島デジタルヘルスプロジェクトのご紹介を中心にご講演を頂く予定です。その他、シンポジウム等も企画しご参加頂ける皆様にとって実り多いものとなるよう準備に励みたいと存じます。

COVID-19感染症が終息し、無事皆様をお迎えできる事ができれば沖縄情緒を十分に満喫して頂けるようにおもてなしをさせて頂く予定でございます。 4月初めの沖縄は、温暖でとても過ごしやすい時期で、沖縄の自然、文化を満喫して頂くのにも最適かと存じます。例年と違い日曜日の開催となっております。お間違えのないよう、是非多数の皆様にご参加頂けますよう心よりお待ち申し上げております。

令和2年9月吉日