●A会議
議題:中東情勢
~The situation in the Middle East~
議場 :第25会期国際連合総会
会議監督:山下淳也(金沢大学2年)
議長:松井陽(金沢大学2年)
秘書官:安孫子理沙(金沢大学3年)
報道官:羽生のぞみ(金沢大学3年)
〈会議監督挨拶〉
今回、北陸大会A会議の会議監督を務めさせていただきます、北陸支部旧メン山下淳也です。A会議の議題は、「中東情勢」です。今回は第三次中東戦争の際に作成された安保理決議242号を、総会において解釈するという会議を想定しています。冷戦期の真っただ中、各国の利益を追求する会議行動と議論をしていただけると幸いです。フロント一同精一杯会議に取り組んでまいりますので、皆様の参加をお待ちしております。
〈議題解説〉
今年の北陸大会A会議は1970年の「中東情勢」を扱います。中東地域は現在でも不安定な情勢にあります。遡って考えてみると国連はその発足間もないころから中東にかかわってきました。パレスチナ分割決議を採択し、中東戦争に対して和平や国連緊急軍(United Nations Emergency Force: UNEF)の展開をしてきました。
そのような和平や停戦も成果を上げることができず、イスラエルとアラブ諸国の対立を解決することができませんでした。そして第三次中東戦争(六日間戦争)が発生し、イスラエルの圧勝により、国連へと調停が持ち込まれました。紆余曲折を経て、第三次中東戦争終結のため安保理決議242号が制定されました。しかし、この安保理決議の内容は、妥協を重んじる一方で解釈が異なる余地を残したままでした。今回は安保理決議があるにもかかわらず、局地的戦争が発生し、この和平が締結できない状況下で開かれた国連総会を想定しています。
各国は安保理決議を自国の有利なように解釈し、より良い解決策を求めています。一方で、他国に不利な解釈では交戦状態を引き起こしうるインセンティブを与えるものとなります。史実では、第三世界諸国の提出したアラブ諸国有利の解釈で決議案がまとまりましたが、それを決議するための妥協の結果、アラブ側が完全に望んだ解釈ではありませんでした。一時の停戦の後、アラブ側の武力行使から、第四次中東戦争が起きました。また、一連の第三世界の影響力の上昇はアメリカの国連に対する国家戦略に大きな影響を与えるものともなりました。
ではどうしたらよかったのでしょうか。第四次中東戦争は避けられない運命だったのでしょうか。それを参加してくださる模擬コッカーの皆様と考えていけたらいいと思っています。
●B会議
議題:人工知能による世界経済の成長に向けたG20諸国の協調
~Cooperation among G20 countries towards the growth of the world economy by the artificial intelligence~
議場:金融、世界経済に関する首脳会合
会議監督:橋本湖虹(金沢大学2年)
議長:水口雅貴(金沢大学2年)
秘書官:山下慎一(金沢大学3年)
報道官:松原由奈(金沢大学3年)
〈会議監督挨拶〉
今回、北陸大会B会議の会議監督を務めさせていただく、北陸支部旧メンの橋本湖虹です。B会議の議題は、「人工知能による世界経済の成長に向けたG20の協調」です。近年、人工知能は急速に発展し、様々な分野で私たちの生活に影響を与えており、国際的な枠組みを作ろうとする動きがあります。今会議では、各国がこれからの世界でどのような立場にあり、他国とどれだけ協調できるのかという点に重点を置いて実質的な議論を進めていただきたいと思います。皆様にとって有意義な会議となるように精一杯頑張ります。
〈議題解説〉
今回の議題は「人工知能による世界経済の成長に向けたG20諸国の協調」です。
近年、人工知能は急速に発達し、私たちがSF世界のようにとらえていた出来事が実現しつつあります。また、人工知能について国際的議論をする「人工知能国際会議(IJCA)」は50年にもわたり開催されています。2020年には第29回IJACが名古屋で開催されることが決定しました。このように、長年にわたり国際的な会議が設けられ、目まぐるしい技術発展が起きているにもかかわらず、国際的な法規制や規定についてはまだまだ話し合いが進んでいません。
欧州委員会やG7情報通信大臣会合などにおいては、人工知能に関するガイドラインを作成し、普及に向けて動いています。欧州委員会は今後、AIと人間がどのように関わっていくべきかについてAI倫理ガイドラインを作成しました。また、2016年に行われたG7情報通信大臣会合において、日本が主軸となり、AI開発ガイドラインの策定に向けて動き出しました。AIの実質的活用に向けて様々な動きがある中、世界的大手企業の中には、自主的に人工知能技術に制限をかける企業も現れています。人工知能はよりよい社会を作るための強大な力を持っています。その力を規制しすぎることも、力の使い方を間違えてしまうこともあってはなりません。
先日、安倍首相はG20の非公式会合でAIやビッグデータの活用で日本が新時代のルール作りを主導すると主張しました。また、今年6月に日本が議長国となり開催された大阪・サミットでは、人工知能に関して、G20によるAI原則が成立しました。急速に発展するAIを活用し、世界の仕組みに組み込んでいくためには主要国が主軸となり、各国で協調を図る必要があります。
今会議では、各国が進めてきたガイドラインをもとに、人工知能について世界の認識の統一を図っていただきたいです。自国の現状を把握し、将来、人工知能が世界にもたらす影響へ対応できるように、これから発展していく人工知能に対して私たちがどのようにあるべきか、一緒に考えてみませんか。