ミニワークショップ : 21cm線によるサイエンス
開催趣旨
中性水素21cm線によるサイエンスはこの10年で大きく進展した。MWAやLOFARの先行研究に加え、HERAによるパワースペクトル観測から、21cm線による遠方宇宙の探査が本格化している。さらに、2018年にEDGESで報告された吸収線の結果はいまだに議論が続いており、さまざまな理論モデルの提案や、追観測の実験が活発に行われている。また、今後5~10年で21cm線によるサイエンスは質的な転換期を迎えるだろう。例えば、SKA1 Lowの建設は順調に進んており、高感度な21cm線の観測がこれから5年程度で開始される予定である。さらに、近年では、宇宙開発の活発化に伴って、月面に展開するアンテナ群による極低周波での21cm線の観測が構想されるなど、21cm線の観測は今後ますますの発展が見込まれる。そこで、未来の21cm線研究に参画できるように、若手を中心に21cm線によるサイエンスを議論する場を設け、将来のさまざまな観測を見据えた議論を行いたい。本ミニワークショップでは装置や赤方偏移を限定せず、さまざまな21cm線に関わる観測・理論の発表を通して、参加者同士の活発な議論が行われることを期待する。また、進行中の研究についての講演でもアイデアベースの講演でも歓迎する。
本ワークショップでは将来の月面天文台やSKA1 Lowによる21cm線観測を見据え、観測の現状や将来の展望を議論するセッションを設ける。当該分野の重要論文を共有し、ざっくばらんに議論したい。
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スケジュール
1/12 アナウンス&参加登録(1/27まで)
1/27 プログラム確定
2/2 ワークショップ
9:30-9:40 アナウンス
9:40-10:10 Recovering 21cm global signal from 21cm power spectrum with ANN, 島袋隼士
10:10-10:30 原始銀河団領域における21cm線シグナルの研究, 秋葉健志
10:30-10:50 休憩
10:50-11:10 uGMRTを用いた21cm線-LAE相互相関解析の準備と問題点の洗い出し, 吉浦伸太郎
11:10-11:30 MWA low-frequency data calibration and imaging using Hyperdrive and WSClean, Wildan Hidayat
11:30-11:50 RFI除去について, 高橋慶太郎
11:50-13:30 昼休憩
13:30-13:50 暗黒物質ハロー由来の熱制動放射と原始ゆらぎ, 阿部克哉
13:50-14:10 機械学習を用いた21cm線マップ解析による暗黒物質モデル制限, 村上広椰
14:10-14:30 暗黒時代グローバルシグナルを用いた宇宙論パラメータ推定に向けて, 箕田鉄兵
14:30-14:40 休憩
14:40-15:40 議論タイム1
15:40-15:50 休憩
15:50-16:50 議論タイム2
16:50-17:00 Close
(議題)
月面天文台に向けて
・現状俯瞰 (10分, 吉浦)
・月面での21cm線のサイエンス
・サイエンス的な戦略は?(データ解析に向けた準備。 前景放射除去、emulatorなど)
・本当に観測に乗り込んでデータを得るには?
SKA1に向けて
・SKA及びSDC3a,bについて (10分, 吉浦)
・SDC3bに向けて何をしておくべきか
・日本の目指すサイエンスを実現するためSKAに向けてこれから何ができるか。
・データ解析講習会
世話人:吉浦伸太郎(国立天文台, 水沢VLBI観測所), 村上広椰 (名古屋大学), 島袋隼士 (雲南大学)