献上柄には、厄除・浄化・繁栄・尊厳の意味があります。古くは、厄除の独鈷、浄化の華皿という法具を紋様化したので、独鈷華皿(とっこはなざら)紋様と言われています。江戸幕府への献上品として選ばれ、献上博多と呼ばれることになり、重要無形文化財にも指定されました。現代でも、街のあらゆるところに献上柄は描かれ、人々に愛され続けています。
独鈷は、インドラ神が持つダイヤモンドも打ち砕く最強の武器が起源とされています、仏教の世界では、帝釈天が手にしています。空海も独鈷の変形である三鈷杵を力強く握っています。独鈷は、長い歴史の中で、煩悩を打ち砕き、役を払い、悟りの覚悟を決めるなど様々意味として登場してきました。博多織は、この独鈷紋様を伝える使命を持った織物です。
独鈷華皿紋様として博多に定着してゆきます。華皿は、散華の時に使われる法具で、仏の供養、浄化するために使用されます。伝統紋様には、必ず意味があります。人類が紋様に込めたメッセージを再考したいと思っています。