プログラム

タイムテーブル

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ショートトーク

Part 1

「Integration on minimal Z_2^2-superspace and 2D relativistic Lagrangian」

伊藤 蓮 (大阪公立大) 

概要:超対称性はLie超代数により生成される対称性であり,Lie超代数は通常のLie代数に可換群Z_2_による次数付けをしたものである.Z_2_をZ_2_ × Z_2_などに置き換えることにより,Lie 超代数を拡張できることが古くから知られている.本公演では,この拡張されたZ_2_ × Z_2_超代数により生成されるZ_2_ × Z_2_超対称性をもつ古典力学の構築に関する発表である.

「ホモトピー代数から見る場の理論の対称性」

吉中 譲次郎 (京都大) 

概要:近年、弦の場の理論への応用を見据えて場の理論をホモトピー代数を用いて記述する研究が進められている。しかし、場の理論において重要な役割を果たす対称性、特に大域的対称性がどのようにホモトピー代数で記述できるかは未だ明らかではない。本研究では対称性変換及びカレント保存則がどのようにホモトピー代数で記述されるのかを探った。

Part 2

SU(N)ゲージ対称性に基づく複合粒子暗黒物質模型

山中 拓夢 (大阪大) 

概要:現在の宇宙には標準模型で記述されるバリオンのほか、暗黒物質(DM)と呼ばれる正体不明の粒子が存在することが知られている。DMの残存量を記述するシナリオとして有力なFreeze-outシナリオでは、DMの残存量がDMの対消滅断面積に依存する。近年、DMの間接観測実験において高質量領域に対する感度が向上しており、高質量のDM観測への期待が高まっている。Freeze-outシナリオの下で観測結果と矛盾しない対消滅断面積を仮定すると、重いDMに対しては大きい結合定数が必要となる。したがって、高質量のDMは複合粒子の状態で存在するという描像が自然である。本発表ではそのような模型の一つとして、SU(N) composite DM modelを紹介する。この模型では、紫外領域にSU(N)ゲージ対称性に従うフェルミオンを導入する。このフェルミオンは低エネルギーで複合粒子への閉じ込めを起こす。このシナリオにおけるDMの安定性は、くりこみ可能な理論を構築することで生じるaccidental symmetryによって保証される。本発表ではcomposite DM modelにおけるダイナミクス及び今後の展望を紹介する。

6次元GHUにおける2HDMの構築に向けて

名子 明朗 (大阪公立大) 

概要:標準模型のヒッグス場は、ヒッグス機構がはたらくように導入される。そのため、標準模型にはヒッグス場に関して理論の不定性が残されている。したがって、ヒッグス場の起源について明らかにすることが、新たな BSM 理論の発見に繋がると考えられている。高次元理論において、高次元ゲージ場の余剰次元成分をヒッグス場とみなす、ゲージヒッグス統一理論 (GHU 理論) を用いると、ヒッグス場の質量階層性の問題を解決できる。一方で、GHUではヒッグス場はゲージ原理で支配されるため、素朴に標準模型のヒッグス場を再現することは困難であった。今回は、この問題を解決するため 2HDM に着目し、6 次元GHUを用いて標準模型の標準模型のヒッグス場を再現できる可能性について発表する。

5次元SU(6)ゲージヒッグス大統一理論

名古 竜二朗 (大阪公立大) 

概要:ヒッグスの質量階層性問題の解決策として、ヒッグス場をゲージ場の余剰次元成分とみなすゲージヒッグス統一理論が考えられてきた。この理論ではゲージ対称性の一部は余剰次元のコンパクト化によって破れる。適切なゲージ群を導入することで、ゲージヒッグス統一の文脈で大統一を考えることができる。本発表では、具体的にSU(6)模型を考え、ヒッグスやフェルミオンの表現がどのように得られるかについて議論する。 


Part 3

グルーオン飽和状態の場の量子論に基づく記述とゲージ/重力対応

岩中 章紘 (大阪大 RCNP) 

概要:高エネルギー加速器実験から,グルーオンが原子核内に飽和した状態の存在が示唆されている.グルーオン飽和状態を記述する枠組みをカラーグラス凝縮(CGC)と呼ぶ.CGC はこれまで,半古典的な有効模型を用いて定式化されてきた.

本発表では,場の量子論に基づいて CGC の新たな定式化を提案する.その結果からグルーオン飽和状態のゲージ/重力対応について議論する.

加速度系におけるカイラル対称性

川平 将志 (京都大 基礎物理学研究所) 

概要:加速度系におけるカイラル対称性について考察する

Part 4

「一般相対論における重力価とエネルギー」

山岡 起也 (大阪大) 

概要:一般相対性理論における保存量とエネルギーについて議論します。

Entanglement Rényi entropy and boson-fermion duality in massless Thirring model

藤村 晴伸 (大阪大) 

概要:Entanglement Rényi entropy(ERE)は場の量子論を特徴付ける重要な物理量の一つである。EREの解析では主にReplica法と呼ばれる手法が用いられるが、解析的に計算できる例は自由場の理論に限られ、相互作用のある理論の場合は解析が困難である。本研究ではこれらの問題を解決するため、boson-fermion双対性に着目した。我々はこのアイデアを用い、相互作用のあるモデルのEREを非摂動論的に計算できる例を示した。発表では解析手法と結果について議論したい。このトークはarXiv:2309.11889に基づく。

pseudo entropy under joining local quenches

田耕 健也 (京都大 基礎物理学研究所) 

概要:Pseudo entropy, a generalization of entanglement entropy, depends on a pair of quantum states, and its precise physical interpretation remains elusive. In this study, we analyze its time evolution under joining local quenches in two-dimensional conformal field theories. Our primary aim is to identify distinctive characteristics of pseudo entropy, such as the emergence of dips, not observed in entanglement entropy. Additionally, we explore the excess of pseudo entropy above average entanglement entropy, which plays a role in distinguishing states within different quantum phases and suggests the existence of multipartite entanglement.