確率論研究会2

開催方法: zoomと対面のハイブリッド(関西大学千里山キャンパス)

日程

202218日(土)

プログラム

  • 10:00 - 10:35 厚地 淳 (慶応義塾大学)

    • 題目:古典的関数論の離散類似における確率論的側面 - リーマン・ロッホの定理とネヴァンリンナ理論 -

    • 概要:近年、トロピカル数学やトロピカル幾何の文脈において古典的関数論の離散類似が研究されるようになった。特に、Baker-Norine による有限グラフ上のリーマン・ロッホの定理は大きな注目を集め、種々の応用の研究も展開されている。また、トロピカルネヴァンリンナ理論という1次元空間上の古典的ネヴァンリンナ理論の類似も考え出されている。これらの結果の無限グラフへの拡張に対する講演者らによる考察の概要を紹介したい。特に、手法として使われている確率論的側面について述べたい。本講演は、金子宏氏(東京理科大学)との共同研究に基づく。

  • 10:45 - 11:20 松浦 浩平(筑波大学)

    • 題目:Hölder estimates for resolvents of time-changed Brownian motions

    • 概要:標準ブラウン運動の時間変更に付随するレゾルベントの(空間変数に関する)正則性について考える.時間変更が正値連続加法汎関数による場合,そのRevuz測度がある意味でヘルダー連続であれば,対応するレゾルベントもヘルダー連続である.しかし,ヘルダー連続性の指数の定量評価を詳しく調べる研究はこれまでになかった.本講演では指数の下からの評価を与え,その精密さについて議論する.

  • 11:35 - 12:10 正宗 淳(北海道大学)

    • 題目:L^2-リュービル性と関連する話題

    • 概要:二乗可積分の調和関数が自明に限るとき,L2-リュービル性が成立するという.S.T Yauの研究によりL2-リュービル性は完備多様体で成り立つことはよく知られているが,一般の多様体の場合の状況についてはよく理解されていない.本講演では,B. Hua,R. Wojciechowski,講演者の共同研究に基づく一般の多様体のL^2-リュービル性に関する研究成果について報告する.

  • 14:00 - 14:35 桑江 一洋 (福岡大学)

    • 題目:Liouville theorem for V-harmonic maps under non-negative (m, V)-Ricci curvature for non-positive m

    • 概要:この講演は中国科学院 Xiangdong Li 氏, 人民大学 Songzi Li 氏, 埼玉大学 櫻井陽平氏との共同研究に基づく.V を完備で滑らかなリーマン多様体 (M,g) 上の滑らかなベクトル場とし, 非正パラメータmに対するBakry-Emery 型 (m, V)-リッチ曲率を考える. 非負 (m, V)-リッチ曲率の仮定の元で, 劣線形増大度をもつアダマール多様体値 V-調和写像のLiouville 型定理, 及び正の断面曲率を持つリーマン多様体内の正則測地球値 V-調和写像の Liouville 型定理について進展を報告する.これらはそれぞれ V=0 のときに古典的なS.Y. Chneg と H. Choi の Liouville 型定理の自然な拡張であり, 一般のベクトル場 V の場合にはChen-Jost-Qiu (2012) and Qiu (2017) において非負 (∞, V)-リッチ曲率の仮定のもとで証明されたものの改良でもある. 最初の定理の証明は, 多様体間の滑らかな写像に対するBochner 等式に基づいた不等式評価の改良と, 切断跡から離れた領域においての距離関数のラプラシアンの荒い評価に Stafford による確率論的手法を適用する形でなされる.Stafford によるLiouville 型定理の確率論的証明は非負リッチ曲率条件下での古典的なラプラシアンの比較定理に基づいており, 我々の設定でも非負(m, V)-リッチ曲率の条件下でのラプラシアン比較定理はあるにはあるが,それをそのまま適用した形で望む結果は得られない. 証明では, 切断跡から離れた領域においてStafford の方法を適用して, V-調和写像の微分がその領域で消えることを示し, 最終的に全域で消えることで達成される.切断跡から離れた領域で, 距離関数のラプラシアンの評価が領域に依存してもよいのが味噌である. 2番目の定理の証明は, W. Kendall による有界 V-調和関数のLiouville 性と不変シグマ加法族の自明性の同値性に基づく.我々の結果は Vが勾配型の場合に限っても新しい.時間があれば V-拡散過程が再帰的な場合の状況にも触れたい.

  • 14:45 - 15:20 村山 拓也 (中央大学)

    • 題目:On the continuity of half-plane capacity with respect to Carathéodory convergence

    • 概要:複素上半平面の部分集合は,その集合自身を半平面から除いても単連結領域が残るときに,半平面のhullと呼ばれる.hullの大きさを測る容量の一種がhalf-plane capacityである.本講演では,hullがある幾何学的な意味で収束(Carathéodory収束)するとき,対応してhalf-plane capacityが収束するという結果とそのBrown運動に基づく証明について述べる.また,講演者が以前から取り組んでいる,SLE(Schramm-Loewner発展)を多重連結領域へ拡張する問題に関連して,今回の結果も縢りBrown運動を用いて多重連結領域へ適切に拡張されることを見る.

  • 15:40 - 16:15 植田 優基 (北海道教育大学)

    • 題目:Freely quasi-infinitely divisible distributions and Bercovici-Pata bijection

    • 概要:In this talk we focus on the class of quasi-infinitely divisible distributions which are not infinitely divisible, but these characteristic functions have L\'{e}vy-Khintchine-type representation (roughly speaking, the representation has the form like L\'{e}vy-Khintchine representation, but their representation measure is a ''signed'' L\'{e}vy measure). Firstly, Cuppens, Linnik and Ostrovski \breve{i} considered such distributions to attack the problem of the factorization of distributions. After that, Lindner, Liu and Sato have found many examples of such distributions and the details of distributional properties of quasi-infinitely divisible distributions. In free probability, we have similarly faced the notion of quasi-infinite divisibility. In this talk, we explain notions used in free probability and some properties of quasi-infinitely divisible distributions in both probability theories. Finally, we introduce Bozejko's problem of whether we can extend the Bercovici-Pata bijection which is a bijection between infinitely divisible distributions and freely infinitely divisible distributions via the concept of quasi-infinite divisibility. This is a joint work with Ikkei Hotta (Yamaguchi University), Wojciech M\l otkowski (University of Wroc\l aw) and Noriyoshi Sakuma (Nagoya City University).

  • 16:25 - 17:00 塚田 大史 (鹿児島大学)

    • 題目:Pathwise uniqueness of SDEs driven by finite variation Levy processes

    • 概要:We consider one-dimensional stochastic differential equations (SDEs) driven by Levy processes with finite variation paths. In this talk, we discuss the pathwise uniqueness of the solutions to the SDEs under non-Lipschitz conditions.

参加方法

当日は一部の講演者及び関大関係者以外の方については zoom にてご参加いただくようお願いします。

Zoomのログイン情報については関西大学確率論セミナーのメーリングリストに後日お送りします。

メーリングリストに登録されていない方で参加希望の方は 山崎和俊(kyamazak[at]kansai-u.ac.jp) までご連絡お願いします。

お問い合わせ先

山崎和俊

メールアドレス:kyamazak[at]kansai-u.ac.jp