吟味不十分なホームページが多い
最近のホームページは,役に立たないものが多くなったと言っても過言ではない.管理もめちゃくちゃなものがある.最近,コラムの執筆で経験した具体例を紹介したい.
「坂村真民」で Google 検索を行うと,たくさんヒットする.
その中に,以前にも読んだことのある熊本県教育委員会の記事が表示されていた.さっそく下記の項目をクリックすると,
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kyouiku.higo.ed.jp › くまもとの偉人(熊本県近代文化功労者)
以下3行は業績概要の最初の部分を小さく表示
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詳細記事が表示された(記事の詳細は省略).
熊本県近代文化功労者に顕彰された日時を確認してページを閉じた.
それで目的を果たしたことになるので,一件落着のように見えるが,実際はそうではない.
記事は熊本県教育委員会にあることが分かったので,改めて,熊本県教育委員会のトップページから入ろうとすると当該記事にたどり着くことができない.
そこで,トップメニューにあるサイト内検索でさがしてみたが,まったくヒットしない(2016/4/9時点).
Google検索結果にもどり,キャッシュをみると.
これは Google に保存されている http://kyouiku.higo.ed.jp/page/pub/default.phtml?p_id=2335 のキャッシュです。
このページは 2016年3月30日 18:28:48 GMT に取得されたものです。
そのため、このページの最新版でない場合があります。
と書かれている.
ごく最近のキャッシュであり,ホームページサーバ内の公開専用ディレクトリーには存在していることになる.目的の記事の相対的な位置は下記のように記載されているので,
ホーム > くまもとの偉人(熊本県近代文化功労者) > 坂村真民 (さかむら しんみん)
上の階層[くまもとの偉人(熊本県近代文化功労者)]をクリックするとトップページに戻ってしまう.
サイトマップを精査すると,「文化」の下に2項目該当するものがある.
文化
熊本県近代文化功労者
くまもとの偉人(熊本県近代文化功労者)
「熊本県近代文化功労者」をクリックすると,27年度のみが表示され,それをクリックするとPDFファイル(平成27年度分のみ)がダウンロードできるようになっている.一方,「くまもとの偉人」をクリックすると,トップページに戻るだけです.
このようなホームページを県の教育委員会が公開している事自体が問題である.
Google等の検索ロボットがなかったら,どうしようもない状況になってしまっている.「くまもとの偉人」の項目は存在しないし.「熊本県近代文化功労者」で検索すると直近のデータだけで,以前は掲載されていた歴代功労者一覧は存在しない.ホームページの機能を見直し,古いものは掲載しないようにしたのであれば,「くまもとの偉人」は存在しないはずである.
このケースの場合は,熊本県教育委員会のサーバーにファイルが残っているので,Googleの検索ロボット経由で見ることができたが,管理者が現状で問題ないと判断して当該ファイルを削除あるいは退避させたら,Googleの検索結果から消えるのは時間の問題である(検索ロボットの次回巡回で元データが存在しない場合,キャッシュは消去される).
全体の構成上,つじつまが合っていないホームページの制作をWebデザイン専門家に外注しているのであれば,税金の無駄遣いである.教育委員会内部の担当職員が制作しているのなら設計図がない上に,チェックをしていないということになる.
注)アメリカの団体が運営しているInternet Archiveで過去のホームページ(2013年10月)を調べた結果,「文化」の下に「熊本の文化」があり,その下に「くまもとの偉人(熊本県近代文化功労者)」が配置されていることが確認できた.
このような問題に気付いた場合,以前はメールで担当者に連絡していたが,感謝されることは少なかった.半分くらいは,まったく音沙汰が無い.公官庁の場合は事務的な対応が多い.巨大な画像データをWeb掲載に適した大きさに変換せずにそのまま掲載している場合,改善を申し入れても無視されることが多い.ワープロで容易に出力できるようになったPDFファイルの多用も問題である.年寄りの中にはダウンロード恐怖症で見ないという人もいる.
熊本市や大学のホームページでも同様の経験をした.在職中に熊本市の姉妹都市海外派遣に応募した学生の名前を知りたいと思い,検索したが古いデータは掲載されていなかった.そんなこともあろうかと思い,在職中に自ら管理していた学部制作ホームページに年度別派遣学生一覧と体験記を掲載していたが,これも消えてしまっていた.ホームページで情報を公開することは必須の時代,外部評価のためにとりあえず作っているというものが多い.その中身が問われていると思うが,ホームページを見る人の立場からの記事は意外に少ない.今年の入試で受験生の親から相談を受けた際に,ホームページを見るように言ったものの掲載されていないことが判明し,メールに資料を添付して対応した際に感じたことでもある.
追記 公的機関でも熊本市観光振興課や温泉会社のリンク先の誤り等の指摘に対しては丁寧な御礼のメールを貰っている.個人のブロブの場合,地名等の誤記が多く,それが引用されて伝言ゲームのように拡散しているのを散見する.メール連絡できる場合は極力連絡しているが,訂正されていないこともある.最終変更日が古い場合は,担当者が高齢になって放置されている可能性が高い.また,引用したサイトがもはや存在していないのに,そのままになっているのも数多い.
2016.3.9