平成熊本地震の後,街角の地震ゴミ仮置き場には数多くの電化製品が捨てられていた.まだ動くが,傷が付いたので,この際捨てるという人も多かったようである.当時,巷に流布した「もう1回,大地震が起きる」という噂のためか,物に対する執着心を断ち切ろうとする気持ちは理解できないことではない.それでもゴミの分別を真面目に実践する市民の姿には一筋の希望の光が感じられた.
正直言って,私もDIY精神が失せかけていたが,100日を過ぎてようやく半田ごてを握る気になった.今回は,ジャンク箱の小物類の整理を兼ねて.電球のLED化および劣化した Ni-Cd 電池の交換を目的とした関連機器の改造・修理を試みた.
廃棄したいが廃棄方法が分からないということで,身内が持ち込んできた旧式のソーラーセンサーライトの改造を試みた.
製品は,ソーラーパネル(14 cm X 16 cm, 7V. 190mA)で太陽光発電した電力を Ni-Cd 電池(7.2 V, 1300 mA,単二型5本)に蓄電し,6V, 20 W のハロゲンライトを CdS センサーを利用して,動体検知して点灯させるというものである.話によると,一晩中の点滅は無理で,使用を中止し放置していたとのことであった.テスターで調べると,5個直列に接続した電池のうち,1個が極端に電圧低下していた.その1個を取り除き,代わりの手持ちの Ni-Cd 電池を入れると,とりあえず作動した.専用の交換 Ni-Cd 電池の購入を勧めたが,高価(四千円程度)のため,廃棄することになった.下図右側は,上 リレー回路基板 下 専用電池である.
この種の製品は,現在は電力を消費するハロゲン電球を発光ダイオードに置き換えたものになっている.点滅時に数アンペアの電流を流すには,使用電池の容量は不足している感が強い.
分解して基板を見ると,半導体はダイオードのみで,トランジスターや IC 等は使用されておらず,リレーで電球の点滅を制御する単純な回路であることが分かった.さっそく以下のような改造(LED化)を試みた.
ハロゲン電球 (6 V, 20 W) → LED2個を直列接続 (1個あたり最大 40 ルーメン,動作電圧=3-3.4V,電流=150 mA)
専用単二 Ni-Cd 電池(1.2V 1300 mAh)→ 汎用単三 Ni-Cd 電池(1.2V 1000 mAh)
LED化により消費電流が 1/10 〜 1/5 に大幅に低下するため,単二から安価な単三への電池交換が可能である.注)単三 Ni-Cd 電池は.携帯用シェーバー等の交換部品としてタプ付(ハンダ付けによる電池の接続が可能)が通販で入手可能.
二個直列をさらに並列化して.4個のLEDを使用すべきかと思ったが,二個でも十分である.屋上への階段の足元を照らすために試用中である.
この種の製品は,エコ派の人達の自己満足的欲求を利用した商法のように感じられる.ソーラー式センサーライトの本体価格,交換電池に要する費用を考えると,100V交流電源を利用したLEDセンサーライトの方がエコである.たとえば,E社のセンサーライト(消費電力:約2.6W(待機時 約0.5W)が二台購入できる.注)1whの電気代は0.027円.
別メーカーのソーラーパネル方式のLEDセンサーライトの場合,点滅を繰り返した後,点灯しなくなった.ニッケル水素充電池(3個)は正常であり,LEDが劣化していることが分かった.これも,まとめ買いで購入したLEDで見事に再生できた.また,6V豆電球を使用したセンサーライト(電池&6VDCアダプタ)はLED2個を直列にしてちゃんと稼働中である.
まとめ買いした Ni-Cd 電池を利用して,電池の劣化した充電式シェバーとブラッシュカット2台の電池を交換した.電池の持ちは新品並に蘇った.モーターはまったく問題ないようである.
こんなことをしていたら消費拡大には繋がらないのは確実である.
資料
発光ダイオード,タブ付きNi-Cd電池はアマゾンから購入.発光ダイオードは20,50.100個単位,Ni-Cd電池はは4個単位で購入可能.