[1]宝塚医療大学保健医療学部柔道整復学科
低出力レベルレーザー治療(Low reactive level laser therapy)(以下LLLT)は,創傷治癒促進,炎症抑制,仏痛緩和に加え筋疲労抑制などの効果が多数報告されているが,筋疲労に対するLLLTの即時的な効果についてはほとんど検討されていない。筋疲労の即時的な回復効果をもたらすことが可能であれば,スポーツ現場での応用が可能となり選手のパフォーマンス向上だけでなく障害の予防に繋がると考えられる。本研究では実験的に前腕筋の筋疲労を作成し,筋力を指標にLLLT照射に対する筋力の即時効果について検討を行なった。方法は,健常男性18名の非利き手側の前腕筋を対象に,1)コントロール群6名,2)3ヶ所照射群6名,3)経穴群6名の3群に分類した。結果,3ヶ所照射群では,疲労作成直後(29.1±3.1kg)に対し,疲労作成5分後(42.1±6.2kg)の時点で有意に握力が回復した。これはLLLTを照射したことにより交感神経の緊張緩和に加え,血液循環の改善がみられたことで疲労物質であるCreatine Kinase(CK)の低下やATP合成が促進されたことなどが考えられ,LLLT照射により運動後の即時的な筋疲労の回復が期待される。
キーワード:低出力レベルレーザー,LLLT,筋疲労,筋力,遠隔刺激