国際社会プロジェクト演習 多文化共生コース

2022.09.01|THU

8月23日(火)、24日(水) 愛知県名古屋市・豊田市を訪問しました

2022年8月23日(火)、24日(水)、愛知県名古屋市・豊田市を授業担当スタッフで訪問しました。

名古屋市では、外国ルーツの若者のキャリア支援などに取り組む一般社団法人DiVE.tv、そして東海地方のムスリムにとってなくてはならない名古屋モスクへ訪問しました。 

豊田市では、NPO法人トルシーダにて保見団地の外国ルーツの子どもたちの現状と課題について貴重なお話をいただきました。さらに、全国的な傾向と違わず少子高齢化に直面する保見団地にて、的確にニーズを捉え外国籍住民の拠りどころとなっているケアセンターほみにもうかがいました。あわせて、ケアセンターほみと協働し、外国ルーツの子どもと家族に和やかな居場所を提供しているJUNTOSの代表にもお話をいただきました。 

1990年の出入国管理及び難民認定法の改正により、愛知県とくに豊田市には多くの南米日系人が来日し、生活を営んできました。言葉や生活習慣、価値観の違いなどから地元住民と外国籍住民の摩擦や衝突などが大々的に報道されたこともありました。しかし、30年を経た現在、他地域に比べれば、多文化共生を意識したまちづくり、教育などにおける行政施策の充実が見られ、ハード面での整備が進んできています。 

各団体でお話をお伺いする中で、市民一人ひとりが周囲との相互理解に向け対話に取り組み続けていること、またNPOや国際交流協会などの地域づくりや次世代育成の努力が進められていることに感嘆しました。しかしその尽力の一方で、多文化に柔軟に対応する知識や経験が各アクターに継承されておらず、日本人/外国人の二分法がいまだに根深く残存している現状についてもご教示いただきました。 

(また、例えばアルバイトや進学に際しての選択、言語学習や言語使用といった面で表出する外国ルーツの若い世代における構造化された不利的状況が、潜在し留め置かれている状況にあることも明に暗に指摘いただきました。) 

 
今回、直接訪れお話をいただいた5団体は、社会課題に正面から立ち向かい、少しでもより善い世界を実現しようと、各自ができることを着々と進めています。さらに、得意分野を別とする団体や個人と協働することもとても意識されており、「現場から変えていく」という多文化共生の最前線ならではの気概を大いに感じました。 

今後の東京都における団地との連携についても非常に参考になり、大変貴重な2日間となりました。 

(文責:山本佳奈)