メディアコミュニケーション学科

2022.06.07TUE

「最先端メディア体感プロジェクト」第6回講義―ファッション雑誌は『美意識の凝縮― 中央公論新社の伊田博光さん

 「最先端メディア体感プロジェクト」第6回講義は5月27日(金)、中央公論新社専門委員の伊田博光さんにお越しいただき、「出版社の仕事とその未来」というテーマでお話しいただきました。 

長年、『marie claire』や『ELLE JAPON』などファッション誌の編集に携わってきた伊田さんから、ファッション誌の内容や編集の過程などについて、実際の絵コンテや体験を交えながらとても刺激的なお話をしていただきました。

講義を受けるまで私たちは、ファッション誌はファッションに注目して紹介している媒体だと思っていました。しかし実際は、各ページごとに細かく神経を使った配置や色使いなど多くの作業や調整がなされ、「美しい写真・美しいストーリー・美しい文章・美しいデザイン」を考えて創られていることがわかりました。伊田さんは、単にファッションを取り上げるだけではなく、その背景にあるライフスタイルが重要だと話してくれました。

お話を伺い、ファッション雑誌は『美意識の凝縮』であり、ただ美しいファッションを紹介するだけでなく、コンテンツを作る意義やその先の未来を考えたメディア媒体であることを学びました。

特に伊田さんが講義中に紹介してくださった次の言葉はとても印象に残りました。

 

『湖に浮かべたボートを漕ぐように人は後ろ向きに未来に入っていく 目に映るのは過去の風景ばかり 明日の景色は誰も知らない』

──── ポール・ヴァレリー

「未来を考える」ことがファッション雑誌にとって重要であるとわかっていても、ファッション雑誌の編集に携わる方々が未来を視ることのできる超人なわけではありません。

伊田さんは、「未来を見据えるには、今までの学びや出会った人やモノ…。それをベースに自分の心の中の映像を踏まえ想像力を養うことがなによりも重要だ」と強調されました。

想像力を養うためには、これから先も様々なものに積極的に触れ、五感を働かして自分が何を感じたかという気持ちを大切にしていくことが大切だと思います。

 迷いながらもまだ見ぬ未来を作りあげていくファッション雑誌はとても魅力的で、自分の気持ちや思いを反映できる素敵なメディアだと痛感しました。

(筆者はメディアコミュニケーション学科3年の河原みなみさんと蓮池志乃さんです)