メディアコミュニケーション学科

2022.07.28THU

「最先端メディア体感プロジェクト ファッション誌制作コース」第11回講義―社会と共に変化するファッション誌の写真― 7月1日(金)

第11回講義は、フリーランスとして活動されている写真家の米田渉さんにお越しいただき、「ファッション誌の写真」というテーマでお話していただきました。

 

米田さんは、高校生の時にイギリスのファッション写真家ニック・ナイトが撮った写真に衝撃を受け、写真家に興味を持ち始めたそうです。その後、社会問題に興味を持つようになり、政治家を目指した時期もあったそうです。このことをきっかけにドキュメント写真やアート写真に興味を持ち始め、その後、写真の技術を学ぶために撮影スタジオに就職し、2015年からイギリスにて憧れのニック・ナイトのアシスタントとして活躍され、翌年に帰国し、ファッション雑誌のカメラマンとして活躍してます。

写真家の米田渉さん 

米田さんは、ニック・ナイトに直談判してアシスタントとなり、海外で活躍されていたので、その経験から海外と日本のファッション誌の違いや海外ファッション誌の特徴についてお話していただきました。特に撮影の苦労話の中で、「海外のセレブリティが来日して撮影する際にホテルの部屋を貸し切って、複数の雑誌がその部屋に撮影セットを組み、1社につき約90秒で撮影を完了しなければならなかった」というお話がとても印象に残っています。

 

続いて、ファッション誌の写真に関する話をしていただきました。「写真は、メッセージ性を込めることで社会を変えていく」力があるといいます。そうしたファッション誌の写真と社会の変化を、1990年代以降の誌面写真を用いて説明していただきました。90年代初期は、とにかく美を強調したスタイルの良い女性をモデルにした写真が多く使われていました。ところが、90年代後半には身体的欠損のある人の美しさ、体型関係なく存在する美しさに焦点を当てるようになり、美の基準が大きく変化しました。これは、現在のダイバーシティのあり方と深く関係しています。ファッション誌の写真は、その時代の社会に対するメッセージを視覚的に伝えていると感じました。

ファッション誌における時代ごとの写真の変化を説明する米田さん 

その後、写真のワークフロー(仕事の流れ)についてお話していただきました。「以前は事前に被写体に関する情報を調べていたけれども、撮影する時に先入観が入ってしまうので、今はしていない」そうです。また、「写真は記事の内容と合う雰囲気のものを撮影し、最後にカメラマンとしての自分のシグネチャー(特徴や個性)を加えること、そして、目まぐるしい現場のなかで臨機応変に対応することが大切である」とおっしゃっていました。

 

最後に、米田さんと伊田さんから、私たちの企画書をベースに考えた具体的な撮影方法について、チームごとに教えていただきました。いよいよ来週から私たちの雑誌『the LIKE』の撮影が始まります。誌面と写真の両方からメッセージを伝えられる雑誌を作成していきたいと思います。

来週の撮影詳細を伝える伊田さん(左)と米田さん(右) 

(文責 垣内柚希、伊藤大優)