メディアコミュニケーション学科

2021.12.06MON

「新聞活用プロジェクト」講師派遣による授業で、朝日新聞堀篭俊材氏が「シンギュラリティは来るのか」について講義を行いました

11月30日のメディアコミュニケーション学基礎演習(薗部ゼミ)の時間に、朝日新聞編集委員の堀篭俊材さんに「シンギュラリティは来るのか」というテーマでお話しいただきました。シンギュラリティとはAI(人工知能)がすべての人たちの知能を大きく上回る状況になる時点(技術的特異点)のことです。AIの技術は1950年代を皮切りに、実に60年以上にわたる様々な試行錯誤を経て現在に至っているといいます。 

【写真】堀篭俊材さん 

AIは様々な産業に取り入れられ、接客ロボットやスマートスピーカー、2016年に世界トッププロの棋士を破った囲碁ソフトなど、生活者にとっても非常に身近な存在になってきました。こうした新技術の華やかな側面が注目される一方で、亡くなった著名な芸術家や文化人の「新作」をAI技術で作ることについては、話題になるたびに賛否両論が出されました。また、有名人に模した精巧な偽動画がネットで流されたり、兵器に転用されたりすることなどについては、全世界で倫理面での課題が残されています。

【写真】AI囲碁ソフト「アルファ碁」を解説するときに使用したスライド

学生からいくつかの質問が寄せられました。「マスメディアの仕事はAIに取って代わられるのか」という質問に対して、堀篭さんは「10年から20年後には、日本の労働力人口の半数がAIやロボットに取って代わられて、人々の仕事はよりクエリティブな仕事に向けられるとも言われている。だが、放送や新聞記者の仕事について言えば、単純な作業がAIに代替されるとしても、重要な仕事は残るだろう」ということでした。

また、「SF映画で描かれるように、AI(ロボット)は人類の敵になりえるのか」という質問に対しては、「2045年時点でAIはシンギュラリティに到達しない。なぜならば、画像や音声の認識技術が人類に近づいているけれども、人であれば簡単な、歩いて目的地に行くなどの臨機応変に行動することさえも、現在のAIにはできないから」だといいます。AIが過去のデータを大量に処理できたとしても、将来起こりうる不確実なことは予測できないというのです。AIが人類を支配する日が来るかどうかはわからず、もし来るとしてもずっと遠い先のことだと聞いて、安心したという声が上がりました。