メディアコミュニケーション学科

2019.11.26TUE

「新聞活用プロジェクト」の派遣講師授業で、朝日新聞の朝日教之さんが、「天安門事件」の現場の撮影体験を語ってくれました

 「新聞活用プロジェクト」の講師派遣で、朝日新聞の元カメラマンで現在CSR推進部幹事の朝日教之さんが11月12日、1年生の基礎ゼミの授業で、新聞に掲載されている報道写真について、撮影の苦労や報道写真の持つ意味などについて話しました。

 報道写真は、事件や事故、災害などの現場写真やスポーツの写真など様々です。若いころ甲子園の高校野球を担当したときは、球場には7~8人のカメラマンが配置され、それぞれがここぞというタイミングでシャッターを押す。誰の撮影した写真が新聞に掲載されるかわからない。朝日さんは3日間、自分の撮影した写真がまったく使われなかったこともあったといいます。新聞写真は他社との競争の前に、自社の同僚との競争にもさらされているのでした。

「写真は事実を残すことができる。記録が残らなければ、為政者によって何もなかったことにされかねない。だから危険を冒してでも撮影するのです」と、報道写真の意味を語る朝日さん。 

「台風などの災害時には、新聞社のカメラマンは、夜明けとともに羽田空港に待機しているヘリコプターで現場に急行し、上空から写真を撮影して、データを会社に送る。それが新聞に掲載されるのです」と語る朝日さん。画面に映っているのは、10月の台風19号で水没してしまった東北新幹線の車両の写真。

 また、朝日さんは1989年、中国出張中に天安門事件に遭遇した経験を持っています。民主化を求める学生が天安門広場に集まり、人民解放軍と向き合いました。朝日さんは連日連夜、天安門に駆けつけて、写真を撮り続けました。最後に軍が天安門広場に突入してきた6月4日の未明は、暗闇の中、近くに銃弾が飛んできて、道路にあたる乾いた音が聞こえた。そんな中でもシャッターを押したといいます。以下は、緊迫する天安門広場で朝日さんが撮った写真の一部です。

天安門広場に集まった学生たち。「我失望」などと書かれた旗を持っている。 

天安門広場に突入した人民解放軍。撮影の時にフラッシュを使うと、軍に気づかれ撃たれる可能性があるため、ノ―フラッシュで撮影している。 

一夜明けて、人民解放軍の装甲車を遠巻きに見つめる学生たち。