2025.06.17|TUE
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2025年6月14日(土)、オンラインにてTGLキャンプ「SDGsクリエイティブチャレンジ ~ひらめき × 未来デザイン~」を開催しました。本イベントには学部・学年を超えた10名の学生が参加し、SDGsの視点から社会課題の本質に迫りながら、対話と創造を通じた課題解決型学習に取り組みました。参加者同士の活発なコミュニケーションや発想力が光る、充実した学びの機会となりました。
キャンプはZoomを用いたオンライン形式で実施され、冒頭では参加者全員が自己紹介を行い、気になるSDGsのゴールやこれまでのTGLプログラム参加経験などを共有しました。「目標10:人や国の不平等をなくそう」「目標13:気候変動に具体的な対策を」など、各自の関心領域を語ることで、自然と参加者間の関係性が深まりました。
その後、SDGsカードゲームの説明が行われました。このゲームでは、「トレードオフトピック」と呼ばれる社会のジレンマに対して、「リソースカード」を活用し、解決策を考えるというワークを通じて、創造的かつ多角的な思考力を育みます。正解のない問いに、他者とともに挑む点が特徴です。
カードゲームは複数のラウンドにわたって実施されました。第1ラウンドでは、「マイボトル普及と給水スポット不足」といった課題に対して、デザインやテクノロジーを活用した柔軟なアイデアが登場しました。次のラウンドではグループそれぞれに与えられた課題に対し、各グループが自ら考案した最終アイデアをプレゼン形式で発表しました。
グループ①
テーマ:大型イベントによる地域活性化と、騒音・渋滞による住民トラブル
提案:「迷惑」から「楽しみ」へと転換する地域共創型イベント
スポーツクーポンの配布で住民をイベント時間帯から分散させる施策に加え、ドローンで交通状況を把握し、アプリで情報をリアルタイム配信。地域住民とイベントの両立を目指す実践的な解決策でした。
グループ②
テーマ:SNSの自由な発信と、炎上・誹謗中傷の問題
提案:学校教育にSNSの「優しい使い方」を導入
e-learning教材とアニメーションを活用した、感情に訴えるSNSリテラシー教育を提案。スマートフォンでのアクセスにより、多くの子どもたちが気軽に学べる構成が魅力的なアイデアでした。
グループ③
テーマ:英語による授業拡大と、日本語能力の低下
提案:「スポリンガル」=スポーツ×バイリンガル交流施設
日本人と留学生が言語を学び合いながら交流できる施設と、SNSによる遠隔交流を組み合わせた提案。スポーツでの異文化交流を促し、楽しみながら学べる学習環境を目指す。
参加者の振り返りと今後の展望
キャンプの最後には、各グループの発表や他の参加者の意見を受けて、自身の提案や学びを振り返る時間が設けられました。振り返りでは、提案をさらに深めるための視点や、実際に社会で展開する場合に求められる配慮、現実的な展開方法などについて活発に意見が交わされました。
グループ①の提案に関しては、地域住民とのより良い関係構築に向けて、SNSを通じた事前の情報共有(例えば、開催時間、交通規制の案内)や、住民限定の通行証制度、無料招待席の設置といったアイデアが補足的に挙げられました。イベントがもたらすにぎわいや経済効果と、地域住民の生活を両立させるには、共感を促すような仕組みや対話の場が重要であるという認識が共有されました。
グループ②のテーマであるSNSの誹謗中傷や炎上の問題については、技術面の対策だけでなく、社会全体での意識づくりや教育が不可欠だという意見が多数見られました。特に、SNSの利用年齢が低下していることを踏まえ、リテラシー教育は中高生だけでなく、小学生高学年から始める必要があるという具体的な提案もなされました。また、教育機関だけでなく、保護者や地域社会を巻き込むような多角的なアプローチの必要性も指摘されました。
グループ③の「スポリンガル」構想に対しては、アイデア自体の魅力に加え、現実の場面での実施に向けた視点も共有されました。例えば、幅広い年齢層を対象とする際には、安全性や学習ニーズに応じたゾーニングが求められること、また公共施設や地域資源との連携を進めることで、持続可能な形での実装が期待できることなどが挙げられました。
いずれのグループも、トレードオフのある複雑な課題に対して、柔軟かつ多角的な視点から取り組んでおり、「もしこのアイデアを実社会で展開するなら」という問いに対して真摯に向き合う姿勢が印象的でした。単なるアイデアの創出ではなく、課題の裏側にあるさまざまな背景や利害関係にも目を向けたことで、より実践的な学びが深まりました。
国際教育センターでは、今後もこのような実践的な学びの場を通じて、社会課題を多面的に捉え、自ら考え行動するリーダーシップの素地を育む機会を提供してまいります。皆さんの積極的な参加を心よりお待ちしています。(担当講師:水松巳奈)