2024.10.21|MON
2024.10.21|MON
10月19日(土)にTGLキャンプ「体験しよう!ホワイトハンドコーラス」を開催しました。ホワイトハンドコーラスの芸術監督でいらっしゃるコロンえりか氏を講師にお迎えし、「自由であれ!壁なんか最初からないんだ―枠を壊すコミュニケーション能力」をテーマに、白いグローブをはめて演じながらコミュケーションをはかる手法と、そこに至るまでの社会課題に関する講義をしていただきました。
ホワイトハンドコーラスNIPPONとは、1995年にベネズエラで生まれた「エルシステマ」と呼ばれる社会問題解決型のインクルーシブな音楽教育を日本で2017年からスタートさせた団体です。聴覚障がい者、視覚障がい者、車椅子ユーザー、障がいのない子供たちによる手話の表現で歌うサイン隊と、声で歌う声隊とが奏でる、見えない壁を乗り越える芸術創造活動を行なっています。
ホワイトハンドコーラスNIPPONは、ローマ法王からメダルを授与され、NHKみんなのうたや新国立劇場オペラに出場するなど、その活動の幅を広げています。今年2月には、バリアフリーのアカデミー賞として知られる「Zero Project Award 2024」に523団体がノミネートされた中で見事受賞し、ウィーンで国連関係者などが参加する議会の閉会式で総勢126名のメンバーが、ベートヴェンの交響曲第九「歓喜の歌」を演奏しました。その動画を見せて頂きましたが、「全ての人々は兄弟である」というメッセージ力に溢れたパフォーマンスに、参加者の中には涙を流すほど感動している人もいました。
コロンさんの講義から、私たちがどれだけ障がいを持った人々を偏見の目で見ているのかを嫌というほど知らされました。日本の2013年障害者差別解消法には、「障害は個人にではなく、社会にある」と定められていますが、全くその通りだと確信できました。
コロンさんは、「インクルージョンは、ありのままを受け入れること」と提示した上で、「支援される側とする側の互換活動であり、役割が固定しない環境」であると認識することの重要性を教えてくださいました。そのようなインクルージョンは、「Imagination(誰かの痛みを創造する力)」、「Creation(創造で枠を壊す力)」、「Innovation(感動で人を興す力)」であると説明しました。
講義に続き、ホワイトハンドコーラスのベートヴェンによる「歓喜の歌」のごく一部にチャレンジさせて頂きました。「喜び」といった感情を体全体を使って表現する事の難しさを実感しながらも、参加した学生たちは個々の解釈でホワイトハンドを使いながら表現していました。
また、ホワイトハンドコーラスの共同代表者でありプロの写真家である田頭真理子氏は、今回友情講演してくださり、参加者同士が表現するその瞬間瞬間を写真に収める方法を指導してくださいました。
TGLキャンプが終了する頃には、教室全体のムードが愛に包まれていました、と言っても過言ではないと思います。障がいを持った人々と繋がり、身近に感じて、自分達の知らない世界を「教えてほしい」と言った雰囲気が生まれたように感じ取れました。今回の参加者の中からホワイトハンドコーラスのボランティアスタッフになる学生も出てくるかもしれません。実際、そうであってほしいと思います。
このように心に染みる講義とワークショップをして頂いたコロンさんと田頭さんに、心より感謝致します。(報告:国際教育センター准教授 小早川 裕子)