2023.10.28|SAT

TGLキャンプ「消費の力で未来を変える」開催しました

2023年10月28日(土)、講師に梶原誠氏(WAcKA代表)を迎え、TGLキャンプ「消費の力で未来を変える」を対面で開催しました。カナダからオンライン参加した1名を含む21名が参加しました。

今回講師を務めてくださった梶原氏は、着られる事なく捨てられる衣料品を様々な形でアップサイクルし、モノの価値を高めるだけではなく、ヒト、コト、バもアップサイクルする事を目指しています。「消費の力で未来を変える」をテーマとした本TGLキャンプでは、参加者は持参した着なくなったTシャツをストラップにアップサイクルする体験を通して、作る側と使う側の観点から、私たちが抱えている諸問題の本質に迫る議論をしました。

梶原氏は縫製業を営むご両親の元に生まれ、枠にはめ込まれる学校生活に馴染まず無気力に小中高を過ごす中で、高校で観た映画、『スタンドバイミー』の自由に生きる若者の姿に感動し、英語を勉強する意欲が湧いたそうです。主人公は白いTシャツを着ていたのですが、それ以来、梶原氏は白いTシャツばかりを着ているそうです。勉強する意欲に満ちた梶原氏は、素晴らしい恩師との出会いがあって関西外国語大学に入学されました。その後、繊維商社に入社、Tシャツメーカーに転職後、2017年に環境循環と共感の輪を繋ぎ、そして未来に繋ぐ「WAcKA」を設立しました。

WAcKA設立に至った経緯にバングラデシュ駐在中に起こったラナプラザ事件(2013年に起きた縫製工場の崩壊事故)とダッカテロ事件(2016年の起きた日本人も巻き込まれたテロ)がありました。ラナプラザ事件からは、私たちが「遠くの誰かを苦しめている」現実を知り、テロ事件からは、「争いは正義感のぶつかり合い」ではないか、との悟りに至りました。そこから「大量生産の裏側」として、バングラデシュをはじめ、世界の途上国で捨てられた大量の衣料品のゴミ山、「低価格の裏側」として、児童労働者が170万人に及ぶ現実が語られ、環境の面では、「地球環境・自然環境」という「遠い環境問題」に集中し、「より身近な家庭・教育・労働・生活環境」に目を背けていないかといった疑問から、その解決法として、「社会を変える力=消費の在り方」に至る講義をして頂きました。

グループワークは3回行われました。最初のグループワークでは、「アップサイクル思考を養う」をテーマに、前提を疑い、固定概念を捨てて、Tシャツの着る以外の使い道を3分間で考えました。全6グループが10以上のアイデアを生み出し、中には30ものアイデアを考えたグループがいた事に、梶原氏も驚いていました。2回目のグループワークは「なぜ大量生産は止まらないのか」をテーマにSDGs目標12を用いて、「つくる側と使う側」の立場に立って議論しました。最後のグループワークでは、参加者が持参したTシャツをアップサイクルしてストラップを作りました。その際、「この商品を買うならいくらで買いたいか」を決め、その後制作時間やアイデアなどをふまえ、実際に「販売可能な価格」を設定しました。

今回は、消費する側の考え方や行為で未来を変える事が現実に可能である事を皆で学びました。大量生産、低価格、環境問題の現状を知り、グループワークで考えると共に、国際協力は本当に途上国のためになっているのかという議論にまで至る、これまでの前提や固定概念を覆して考える、まさに「アップサイクル論」を学ぶ機会となりました。WAcKA代表の梶原氏に深く感謝致します。ありがとうございました。(国際教育センター講師:小早川裕子)

WAcKA代表 梶原誠さんからのメッセージ

グループワークでは、意見の量だけではなく、質も高いように感じました。より本質を捉え、原因の根本に着眼点を置いた意見が多かったです。

彼らのような考えやアイデアを私たち問題や課題を解決する側が吸収し、事業活動に反映していければ、より最短距離でゴールにたどり着けると感じました。

SDGsやサステナブルが、今ブームのようにPRされており、メディアでの間違った発信のされ方がどのように捉えられているのか?心配していましたが、学生の皆様は、PRやインフルエンサーに踊らされず、本質を理解していたので、安心致しました。

大学での講義は今回が初めてでしたが、充実感とやりがいを感じました。リアクションも良いので、話す側としても非常にやりやすいです。

企業や社会人を含め大人向けでお話をさせて頂くときには、正直、絶望感を感じてしまう時が多いですが、今回は希望を感じました。将来、彼らが大人になったとき、今の気持ちのままでいられるような社会であり続けたいと強く思いました。

WAcKAホームページ https://wacka.jp/