第2回:宮地達也さん(理工学部都市環境デザイン学科2015年卒業)


🔷地図と心に残るものづくり🔷

【業務の紹介】

 私は加藤建設工業にて、工事現場の現場代理人業務を行っています。現場監督(現場代理人とも呼ぶ)は、工事を行う際に社長の代わりとなって現場を管理していく仕事です。

現場管理の具体例として、

・作業中に危険な箇所がないか点検、是正する

・設計との寸法に間違いがないか管理する

・決められた期間内に工事が完了するよう工程を調整する

などがあげられます。

 安全の管理は特に重要です。大型重機の使用や高所での作業といった危険な作業が多くあるため、安全管理を怠ると死亡事故につながってしまいます。

また、工事の内容としては以下のようなものがあります。

・道路工事 : 道路を新設、または傷んだ道路の修繕

・上下水道工事 : 水道もしくは下水道の新設、修繕工事

・構造物関係 : コンクリート構造物等の新設や修繕 

・造成工事 : 土地を住宅が建築できる状態にする

ほとんどの工事において、施工した結果が道路や構造物となって目に見えるため、この仕事は「自分の成果が地図に残る仕事」と言えるかもしれません。

 

【仕事を通して知ったこと】

 現場代理人となって気付いたことは、作業員の方々と一緒に作業するわけではないということです。我々の仕事は現場の管理であり、1つの工種ではなく現場全体を見る必要があります。そのため、「作業員」の立場とは異なる一歩引いた視点から現場を見ることが重要です。PCを使用する業務がある事も初めて知りました。市や県といった諸官庁の工事では、ExcelやWordを用いて書類を作成し、工事の進捗や施工状況を官庁に提出します。現場での作業が大半を占めていると考えていたため、意外でした。

 表題とは異なりますが、最近の建設業の傾向として、ICT施工が注目されています。これは、今まで人力で行っていた施工や施工管理を、機械を用いて行う技術です。

例えば、

・重機による掘削時に設計の高さになると作業が止まる機械を用いる  経験の浅いオペレータでも設計通りに施工が可能 

・工事現場全体の現況と完成図を3Dモデル化で見ることができるシステム → 工事の全体像の把握が難しい若手社員でも把握し易くなる

などがあります。

 ICT施工は単に作業の効率を上げるためだけではなく、熟練の作業員の減少による昨今の建設業の担い手不足を補う側面があります。私自身、このICT施工を行う機会がありました。測量では1人で測量が可能な「杭ナビ」の使用、写真管理では現場全体の推移が分かり易いドローンを用いた撮影、3D測量を用いた出来形管理など、多くの最新技術に直接触れることができました。まだ課題のある技術ではありますが、今後の建設業において大きな力になると確信しています。


 この職種は、現場の安全・会社の利益・構造物の品質・人材育成などが絡むタイトな職種であるといえます。しかし、それを乗り越え成果がモノとして目に見える形となった時の達成感は格別です。「現場は生き物」という言葉もあるように、まったく同じ現場は存在しません。それぞれの現場で、それぞれの苦労があり、それぞれの達成感があります。私はこの、自分の成果が地図に残るダイナミックな仕事に携わっていることを誇りに思います。

 

【必要なスキル・資格等】

●入社前

・普通自動車免許 : 現場によっては、車で向かうため必要になります。工事車両はMT車が多いため、MT免許だと尚良いです。

・Excel、Word : 前述のとおり書類業務もあるため、使えると便利です。 

●入社後

・CAD(図面作成ツール) : 工事の図面を確認する際や実際に図面を作成する際に使用します。

・車両系建設機械運転者(国家資格) : 重機を操縦する際に必要になります。主に使用するのは作業員の方々ですが、自分でも操縦できると便利です。

・施工管理技士(国家資格) : 現場の主任技術者となるために必要です。最初は2級を取得し、数年後に1級を取得することができます。

 

【株式会社 加藤建設工業 http://www.katoh-kk.co.jp/