第1回:木元洋佑さん(工学部建築学科2007年卒業)

卒業後、設計事務所、ゼネコン設計部、東洋大学理工学部建築助手を務める。ゼネコン設計部での勤務が契機となり独立。

2016年に木元洋佑建築設計室を設立し、現在も代表として活躍中。

🔷使えない文化財から活用する文化財へ🔷 

 私の仕事の一つとして、歴史のある建物の活用を目的とした改修設計を行っています。昔の建物の魅力を引き出しつつ、現代の使い勝手や建物の活かし方を考え、建物の価値を最大限に引き出すことを目的として取り組んでいるものです。

 その中でも特徴的なものとして、京都嵐山、天龍寺に程近い場所に位置する、京都府指定有形 文化財の旧小林家住宅とその周辺建物の改修プロジェクトに携わらせて頂いた事があります。 有形指定文化財を見るだけでなく、美味しいパンが購入でき、コーヒーが楽しめる物販飲食店 「パンとエスプレッソと嵐山庭園」として改修するといったプロジェクトです。


🔷歴史ある建物を安全に活用するために🔷

 文化財である旧小林家住宅は元々住居として使用されていたため、不特定多数が利用する店舗として利用する場合、建築基準法上、現状の雰囲気(建物としての本来の価値)を損なわずに活用するのが難しい状況がありました。

 そこで、京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例である建築基準法3条1項3号の但し書き条例を活用することで合法的に現状の雰囲気を壊さずに活用が出来るような手法をとりました。現行法規で担保出来ていない部分を補うため、構造的な補強や、防災上の補強、運営上の補強を行いました。京都府内の民家での適用事例は少なく、今後、古い建物を残していくうえでの先進的な事例となってほしいと考えています。


写真:木元さんの手がけた建築物「パンとエスプレッソと嵐山庭園」

【木元洋佑建築設計室  https://www.hare-ma.com/