インタビューシリーズ Episode 1001

ラトビア大学 博士後期課程学生

グンタース・キテンバーグさん

ラトビア大学の大学院生グンタース・キテンバーグさんが、2014年4月9日から28日までバイオ・ナノエレクトロニクス研究センターを訪れました。キテンバーグさんの博士論文のテーマであるナノ磁性について、本センターの若手研究者や学生と協力して研究を実施しました。

(左から:前川透センター長・キテンバーグさん・福田研究員)

自己紹介をお願いします。

私はグンタース・キテンバーグといいます。ラトビア大学(ラトビア・リガ)のMMMLラボに所属しています。今はパリ第六大学(フランス・パリ)とのダブル・ディグリー・プログラムに参加し、パリ第六大学PHENIXラボで研究しています。ラトビア大学での指導教員はAndrejs Cebers教授で、パリ第六大学での指導教員はRegine Perzynski教授です。このPerzynski教授と前川透センター長の研究連携のおかげで、今回のバイオ・ナノエレクトロニクス研究センターでの研究訪問が可能となりました。

私の母校であるラトビア大学は、科学の教育・研究で有名な大学です。大規模な大学ですが、私が所属する物理・数学部はこじんまりしていて学生数も500名以下ですので、なごやかな雰囲気で教員と学生の関係もとても親密です。古い伝統を受け継いだイベントも多く、ダンスパーティやボート下り、学園祭やスポーツイベントなど、学生だけでなく教員も楽しんで参加しています。物理・数学部の学友会は「FIZMATI」と呼ばれ、今では高水準の技術と知識を表すブランド名のようになっています。MMMLラボを含む研究ラボや研究グループは、数こそ少ないですが、海外の研究機関とも積極的に連携して研究活動を行っています。
パリ第六大学は、博士後期課程に入ってから初めて知るようになったのですが、まずはその規模や様式に圧倒されました。ジュシュー・キャンパスはとても広大で、そびえるような格子状の建物にフランス風の要素がちりばめられていて、国際的なキャンパスを形成しています。すばらしい研究施設や研究テーマが存在するこの大学に、世界中から優れた研究者が集まることで、興味深い議論だけでなく、さまざまなグループ活動も活発に行われるようになっています。PHENIXラボはとても明るい雰囲気で、フレンドリーな研究者が私のことも温かく受け入れてくれました。このラボでの毎日のテンポはゆっくりしているようですが、とても効率的に動いています。一緒に働き始めて、ラボの皆さんの深い知識とすばらしい能力に驚かされました。ぜひ皆さんからできる限りのことを学んでいきたいと思っています。

研究テーマは何ですか?

私の博士論文の研究テーマは、軟磁性材料のマクロ/ミクロレオロジー(流体学)についてです。主に磁性流体や、磁性粒子の拡散、磁性マイクロ対流、磁性リポソームなどを含む系の研究を行っています。今回、日本にいくつかの試料を共同研究の為に持ち込みました。

なぜ海外で研究しようと思ったのですか?

国際的な研究連携を行うということは、両国どちらも相手方の経験を学べるというメリットがあります。長い時間海外で過ごすことで、自分のやってきた研究を新しい視点で見ることができ、今までと異なるアプローチを試して比較することができるようになります。また、ラトビアは小さい国なので研究施設も多くありません。国外の連携施設で研究を行うことで、私の所属する大学にはない設備で実験することができました。

海外留学を考えている東洋大学の学生にアドバイスをお願いします。

ぜひ海外に留学してみてください!留学することで、専門的な知識や技術を身につけるだけではなく、異文化交流を経験することができます。私は、国際的な感覚を磨くことは、今の時代には必要なことだと思っています。言葉や環境の違い、故郷からの距離など、最初は大変だと思うこともありますが、留学で得られる知識や経験はそれだけの価値があります。

バイオ・ナノエレクトロニクス研究センターでの研究生活はいかがですか?

とても楽しんでいます。バイオ・ナノエレクトロニクス研究センターの最先端機器ももちろんですが、センターの研究者やスタッフのサポートのおかげですばらしい研究生活を送っています。

将来の夢は何ですか?

私の夢は、ラトビア大学で物理学と生物学を融合する分野での研究グループのリーダーとなることです。将来はぜひバイオ・ナノエレクトロニクス研究センターと連携していきたいですね。

ラトビア大学はラトビア共和国の首都リガにある、ラトビア最古かつ最大の大学である。1919年に創立、13の学部と20の研究所がある。2013年現在で約15,000名の学生が学んでおり、バルト諸国でも有数の総合研究大学のひとつである。MMMLラボ(磁性ソフトマター研究室)は、物理・数学部の理論物理学科に所属する研究ユニットで、ソフトマターの磁気特性についての研究を専門に、その基礎理論の構築から実験解析まで行っている。

パリ第六大学(ピエール・マリー・キュリー大学)はパリ大学群のひとつで、1971年に創立、2013年現在で31,000名の学生が所属している。旧パリ大学における理学部の理念を継承し、自然科学と医学における教育・研究を行っている。PHENIXラボ(電解質-ナノシステム界面科学研究室)は、様々な大きさのコロイドや多孔質材料についての研究を専門とし、コンピューターシュミレーションと実験結果の両面から解析する手法を得意としている。