太陽光発電と静電気の組み合わせ

能書き

乾燥地は晴れの日が多いので,太陽光発電には最適です.

広大な砂漠の真ん中に大規模太陽光発電プラントを造ると大きな発電電力が期待できます.

しかし乾燥地は砂ほこりが多いので,放っておくと太陽電池の表面は砂じんで覆われて,こうなります.発電できなくなります.

(エジプトカイロ市の某施設の屋上にて)

砂じんをどうする?

砂じんを除去するには太陽電池の表面を水洗いするのが一般的です.日本でも国内の太陽光発電所を対象にしたも洗浄を行う業者がいます.また,洗浄ロボットも開発されています.

しかし…

水が貴重な砂漠の真ん中で,水をジャブジャブ使えるでしょうか?その大量の水を給水車などで運ぶのは現実的でしょうか?清掃ロボットのメンテナンスはどうするのでしょうか?

そこで…

水を使わずに,ロボットのような可動部分が無く,電力も(ほとんど)消費しない砂じん除去方法があればいーなーということで,「電界カーテン」というもので.砂じんの除去をやってみようと思います.

電界カーテンとは何か?

左の図のように絶縁体(水色)に電極(黄色と赤)を埋め込みます.電極には交流(多相交流)が印加されています.(「電圧をかける」ということを業界用語では「電圧を印加する」といいます)

交流なので電極の極性(プラス,マイナス)や電圧は時間とともに変化します.

(上)この上にプラスに帯電している粒子が存在すると,その粒子はプラス電極に反発され,マイナス電極に引き寄せられて下に移動します.

(下)交流なので電極の極性が変わりました.粒子を引き寄せたマイナス電極はプラスに変わり,やってきた粒子を反発します.そして粒子はとなりのマイナス電極に引き寄せられ,どんどん移動していきます.

このような考え方で帯電した粒子を移動させる技術が「電界カーテン」です.

電極は絶縁体の中に埋まっているので,電極間に電流は流れません.つまり,消費電力は理論的に「ゼロ」です!

さてさて…

プリント基板(Substrate)に三相交流電極(赤青緑の●)を設けます.透明接着剤でカバーガラスをその上にくっつけます.基板が太陽電池に相当すると思ってください.


カバーガラスに砂を乗せました

電界カーテンを作動させると砂がなくなりました.

7kV-10deg x2.MOV

透明なプラスチックに電界カーテンを作成し,ガラス板ではさみました.実際に砂が動く様子です(2倍速)